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Written by DMN編集部
on 11月 01, 2021

DMN Design Management Report #037

ビジネスデザインマチュリティモデル:会話のためのツール

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パースペクティブ:アムステルダムのビジネスデザイン・エージェンシー

著者:マルクス・ラインウェーバー Markus Leineweberクリスティーナ・コロージ Cristina Colosiレンスク・ヴァーウィージャン Renske Verweijenキトラ・モハンラール Chitra Mohanlal and リチャード・アルカー Richard Alker

今回は、ビジネスデザインを組織に導入し活用するための鍵となる「ビジネスデザインマチュリティ」について、アムステルダムのビジネスデザインエージェンシー、パースペクティブの5名のチームによるMediumの記事をご紹介いたします。

 

Business Design Maturity Model: a conversation tool

 

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ビジネスデザインは、ますます人気が高まっている研究分野です。企業の組織は、センター・オブ・エクセレンス(CoE)に投資しています。また、ビジネスデザイナーを名乗る代理店やコンサルタントの数も増え続けています。いままさに、組織としてビジネスデザインを最大限に活用する方法を考えるときです。この記事で紹介しているビジネスデザイン成熟度モデルは、協業する組織内のビジネスストラテジスト、イノベーター、デザイナー、アジャイルコーチ、チェンジマネージャーを対象としています。私たちは「完璧なモデル」を構築しようとしているわけではなく、「ビジネスデザインを組織内で成功裏に実施し、拡大するにはどうすればよいか」ということについて、会話のきっかけや考察のためのツールを提供したいと考えています。危険な隕石を機敏な動きで避けるような、障害だらけの旅に、皆さんを招待したいと思います。この旅の経験で、未踏の予測不可能な空間を旅するとき、組織は無敵になるでしょう。

 

ビジネスデザイン

ビジネスデザインの台頭は、人間中心イノベーションの必要性や、より速く、より効果的にイノベーションを行うためのアジャイル原則に従ったチーム編成など、より一般的なトレンドと強く相関しています。技術的な発展は矢継ぎ早に起こり、競争上の優位性が維持できなくなってきています。そのため、我々には製品開発に延々と手を加えている時間はもはやありません。なぜなら、製品が出る頃には、アイデアが(部分的に)現実に追い越されている可能性が高いからです。

ビジネスデザインの共通の定義はありませんが、個人的には、IDEOの言葉を引用したいと思います。

" ビジネスデザインとは、デザイン思考の手法と考え方を、ビジネス思考家、アナリスト、ストラテジストのツールと組み合わせて、長期的に存続可能なビジネスを創造するための運用 方法である。"

あるいは短く言えば

" ユーザーの課題を解決するだけでなく、ビジネスゴールを達成すること "

となります。

ビジネスデザインとは、本質的には価値を創造することです。エンドユーザーにとっての価値と組織にとっての価値、それぞれのバランスの中でスイートスポットを見つけます。ビジネスデザインでは、ビジネス上の課題を、エンドユーザーにとっての有用性、組織にとっての持続可能性、そして実現可能性という3つの視点から捉えます。

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非同期的なソリューションは、3つの視点のバランスが取れていないという意味で、短期的にも長期的にも失敗するか、少なくとも十分な効果が得られない運命にあります。ビジネスデザインは、持続的な競争優位性を生み出すための同期的なソリューションを提供することを目指しています。デザイン思考の誤解に関するバート・ブラウティハムの記事は、ビジネスデザインの本質をよく捉えていると思いますので、ぜひご覧ください。

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ビジネスデザインマチュリティ

競争上の優位性を追求する中で、企業は「適切な組織」を構築するためには、「適切な製品やサービス」を開発し、維持するのと同じくらいの注意が必要だということを理解してきています。ここで、ビジネスデザインマチュリティとは何かを定義する必要があります。マチュリティ(成熟度)の高い組織やチームの特徴は何でしょうか?

私たちにとって、ビジネスデザインマチュリティは、マチュリティの段階の終点というような最終状態ではありません。

マチュリティとは、IDEOの言葉に従えば、顧客と組織のために価値を創造する能力を最大限に発揮できる継続的なフロー、つまり運用方法を実現することです。それは、組織が常に同期したビジネスモデルを継続的に探求し、深化する能力を示すことで、無敵になれるフローです。

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ビジネスデザインマチュリティモデルに向けて

モデルとは、常に現実を単純化して表すものであり、現実に対する理解を表現し、共有するために使うことができます。モデルを構築する際には、その使いやすさと、表現の詳細さのレベルとのバランスを取ることが重要です。つまり、地図は実際の領土ではないということです。地図は領土のモデルであって、自分が今どこにいるのかを知り、どこに行こうとしているのか確かめて、旅行の計画を立てるために使うものなのです。

これが、私たちがビジネスデザインマチュリティのモデルに3つの異なる単純化の層を採用した理由です。表面では、ほとんどの組織に関連するような広い範囲をカバーし、マチュリティの状態を評価するための共通のフレームを提供します。さらに掘り下げて詳細なレベルになると、マチュリティへの道のりを後押しする方法について、より具体的なインサイトを引き出すことが可能になり、最大の効果を得るために個々別々に調整することができます。

まず始めに、ビジネスデザインにおけるマチュリティの次元を定義しました。これは、企業のマチュリティの状態をスナップショットするのに役立つ4つのマクロ領域で、スーパーパワーとメガフローを明らかにします。さらに深いレベルでは、マチュリティの領域を特定しました。次元はマチュリティを高めるための力であり、領域はそれを実現するための梃子であると考えられます。最後の層であるマチュリティの構成要素には、マチュリティの取り組みを最も具体的に示すものがあります。これは、複数の領域と次元に同時に影響を与え、企業のビジネスデザインマチュリティを高めることができるアクションの集合体です。

この意味で、マチュリティとは、組織やチーム内でビジネスデザインの各構成要素が最適に構成されていて、使いこなせることだと定義することもできます。

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すでに見てきましたが、ビジネスデザインマチュリティモデルは厳密には直線的ではありません。ある次元や領域での成長は、必ずしも他の次元や領域での成長を意味するわけではありません。また、全体的なマチュリティの道程は、あらかじめ決められた段階を進めるものでもありません。

組織がその潜在能力を最大限に発揮するための進化は、終わりのないプロセスであり、決められたレベルアップによる直線的な発展のモデルで捉えるには、あまりにも複雑で、ダイナミックな状況に頼りすぎていると、私たちは考えています。むしろ、私たちは、企業がマチュリティの高い状態に向かって進むのをサポートする際に鍵となる、信念、原則、実践を特定することに焦点を当てています。それは価値ある議論の出発点となるものです。

打ち上げの準備はいいですか? 宇宙探検家たちは、冒険を求めています。彼らは挑戦を探し求めます。彼らは探索しています。未知のこと、観察されていないこと、試されていないことを盛り込んで、人間の視野を広げようとするのです。でも、これはどんなビジネスでも同じではないでしょうか? ビジネスデザインとは、このオープンスペースにあるビジネスモデルの可能性を探求し、深化するというミッションを遂行することです。成熟していくということは、この課題に熟練して立ち向かうことです。

 

マチュリティの次元

この宇宙探査のメタファーを使って、ビジネスデザインマチュリティモデルの第一層である「マチュリティの次元」を説明してみましょう。成熟したビジネスデザインの適用において、効率の向上につながる改善の余地です。この段階では、私たちのモデルは意図的にとても一般的で、特定の分野であるビジネスデザインの範囲を超えていることに注意してください。これは意識的な選択であり、私たちは組織内の異なるサイロ間の対話を促進することを目指しています。ビジネスデザイナーの中核的なミッションの一つであると考えています。

こちらが、私たちのビジネスデザインマチュリティモデルの4つの次元です。

  • インターナル・シナジー:広大な宇宙への憧れから始まる宇宙ミッションは、関係者全員が共通の目標に向かって力を結集することで成功します。これはビジネスデザインにも通じることで、会社がどこに向かっていくのかというビジョンを明確にした上で、全員が同じものを目指して、貢献できるような戦略を実行することが重要です。必要になるのは「インターナル・シナジー」です。明確な共通の目標を持つことと、ロードマップや優先順位についての透明性のあるコミュニケーションが、この次元の重要な要素です。

  • カスタマー・セントリシティー:価値の追求に向けて足並みを揃えるだけでなく、どこに価値があるのかを見極める必要があります。宇宙ミッションの場合は、遠い宇宙を観察し、探査に値する領域を特定するために収集したデータを分析して得られる、研究の遺産を持つことを意味します。企業であれば、ビジネスの価値の源泉である顧客と、その他のステークホルダーのニーズや願望を明らかにすることです。ビジネスデザイナーがユーザーを最も重要なステークホルダーとして扱うのは、共感能力の高さのためだけでなく、それが最終的に市場に還元されるためです。

  • ケイパビリティ:ルートができたら、次はロケットが必要になります。これは、投入されたすべての知識とリソースの結果です。企業においては、ビジネスデザインプロセスを促進するすべての専門知識、手順、およびリソースに関係します。「ケイパビリティ」と呼んでいるこの次元は、ロケットと同じように、継続的なアップデートとアップグレードが必要です。

  • アジリティ:最後に、飛行中にミッションが直面する可能性のあるすべての予測不可能な事態に備えなければなりません。小惑星? 太陽風? エンジンの故障? 加速しながら予期しない方向に進む可能性のある宇宙を横断するためには、変化を察知し、それに対応することが必要不可欠です。ビジネスにおいても同じことが言えます。必要に応じて適応したり、軌道修正したりする能力が企業の成功を左右します。

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マチュリティの領域

それでは、モデルの粒度を上げて、さらに詳しく見ていきましょう。それぞれの次元に対して、ビジネスデザインの力を解き放つためのセットと設定が見えてくる2つの領域を特定しました。

ビジネスデザインを成熟した形で適用するためには、それに対する明確なコミットメントが必要条件になりますが、それは組織のあらゆるレベルで現れる必要があります。ここでは、インターナルシナジーの次元では、ビジネス戦略とアライメントの2つの領域を見つけました。

  • ビジネス戦略:まず、トップダウンの視点から見てみましょう。ビジネスデザインの成熟した適用では、幹部がビジネス戦略全体のコンパスとしてビジネスデザインを採用し、推進します。戦略的な決定をビジネスのビジョンと目的に基づいて行うことから始めて、オーセンティシティという強力なエネルギーでそれらを刷新します。「有用性」「持続可能性」「実現可能性」のスイートスポットを狙った、関連する新たなKPIが見えてきて、オペレーションが軌道に乗ります。最終的に、このようなビジネス目標の実行は、新しいビジネスモデルの探求と既存のビジネスモデルの深化を同時に扱う姿勢を通じてバランスが取れます。

  • アライメント:ボトムアップの視点では、インターナルシナジーはアライメントと同じことです。社員が、会社の信念の方針や仕事の進め方について、認識し関与していることを意味します。その実現のために、組織は、独自の社内リズムや儀式を定義し、社員一人一人にその一部となるように促す必要があります。社内のコミュニケーション戦略は、組織の全体的な動きや、働き方への適応における、各チームの貢献度を明らかにし、それにインセンティブを与える業績管理システムとともに、重要な鍵となります。

カスタマー・セントリシティーの次元では、「顧客価値の創造」と「共感の組み込み」の領域を区別することができます。

  • 顧客価値の創造:今では、価値創造のプロセスにおいて顧客が中心であることに異論を唱える企業はありませんが、このゲームを適切にプレイするためには、指針となる明確に定義された目指すべき顧客体験に「デザイン原則」を根付かせる必要があります。製品開発においては、デザインリサーチツールや体験モデルが必須で、真のイノベーションがいかに外部との相互作用で生まれるかを証明しています。このパラダイムをさらに推し進めるために、オープンイノベーションラボのような専用施設を設立して、グローバルな外部環境からのアイデアを実りある形で取り入れることができます。

  • 共感の組み込み:外部からの刺激を感じ取るだけでなく、その刺激をいかに企業内に取り込むかが重要です。カスタマー・セントリシティーを実現するためには、「共感の組み込み」が必要です。提供された価値に対する社内の認識は、顧客を深く理解し、共感をもって共鳴することによって、顧客と密接に共創されなければなりません。リサーチから得られた定量的なインサイトは、組織をインスパイアする社内の言葉に変換されなければなりません。ストーリーテリングや体験ドライバーなどのツールは、小さなデータの力を誰もが利用できるようにして、顧客のニーズに応える新しい方法のアイデアを生み出すのに役立ちます。

企業や社内の全員が正しいビジネスデザインの道を歩むためには、必要となる適切な能力を持っていなければなりません。これが次の次元の「ケイパビリティ」です。この次元は、2つの領域に分かれます。「専門知識」と「ツールとリソース」です。

  • 専門知識:必要不可欠なのは、正しいビジネスデザインの専門知識に関して、組織としてどのような立場にあるかを知ることです。「何が必要なのか?」「今あるのか?」「アップデートは必要か?」 成熟したビジネスデザインの環境では、チームと個人の専門知識が常にモニターされ、収集され、蓄積されています。 

  • ツールとリソース:しかし、専門知識があっても、それを実行に移すための適切なツールやリソースがなければ意味がありません。ビジネスデザインがプロジェクト内でどのように実践されているのか、どのようなツールを使っているのかを共有することで、進むべき方向が示され、チームが意味のあるイノベーションに向けて前進することができるのです。

それでは、最後の次元に移りましょう。アジリティです。アジリティについて語るには、アジャイルについて語らなければなりません。アジャイルは、仕事のやり方というよりも、仕事のやり方についての考え方です。オリジナルのアジャイル・マニフェストを見てみてください。価値の提供と効率を実現するためのワークフロー作りを目指して、アジャイルの創始者は、チームと個人に主体性と自律性を与え、変化を感知して対応するために、プロジェクトの背後にある仮説を周期的に検証する必要性を強調しました。これらの考え方をコアとして、私たちはアジリティの次元に2つの領域を構築しました。クロスファンクショナリティとラーニング・エコシステムです。

  • クロスファンクショナリティ:クロスファンクショナル(デザイン)チームは、一つの機能的なユニットの中に、異なる専門家をを凝縮しています。チームは価値創造プロセスのさまざまな段階において、全体的な視点を持つことができます。このような才能の結集は、自律性を可能にする分散型の責任配分と組み合わさることで、より迅速でより高度な意思決定を可能にします。

  • ラーニング・エコシステム:では、この自律性をどのように活用すればよいのでしょうか? それには、アジリティの2つ目の領域である「ラーニング・エコシステム」を構築することです。継続的なプロトタイピング、テスト、インサイトの統合を通して、大局的な判断をより小さなスケールにブレークダウンすることで、組織は変化に対応する部隊を備え、相互に影響し合う製品開発と顧客ニーズの進化に常に対応することができます。

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マチュリティのビルディングブロック(構成要素)

ここで、ビジネスデザインマチュリティモデルの最後の層である「ビルディングブロック」について説明します。これは、ビジネスデザインマチュリティのレベルを実際に高めるために、組織が取ることのできる具体的なアクションです。

前述したように、マチュリティのよりな実際的な定義は、組織やチームにとってビジネスデザインの各構成要素が最適に構成され、熟知されていることです。

これは、私たちのモデルの最も詳細なレベルであり、その適用性が問題となります。「地図と領域」というコメントを覚えているでしょうか? 私たちは、この層は、ビルディングブロックが組織の構造や組織での仕事のやり方に適合しなければならないため、ケースバイケースで調整する必要があるものと考えています。

ここでは、ビルディングブロックを包括的かつ詳細に説明することはしませんが、ビジネスデザインを実施し、拡大しようとしているすべての組織にあると思われるビルディングブロックのリストを以下で紹介します。ご覧のとおり、ビルディングブロックは多岐にわたっています。より戦略的なものもあれば、より運用的なものもあります。また、ブロックには質的なものと量的なものがあります。ブロックは複数の領域や次元に関連している可能性があるため、あえてカテゴリー名をつけていません。

  1. Cレベルコミットメント:ビジネスデザインを主要な規律としてサポートするためには、Cレベルのコミットメントが不可欠です。最も具体的な表現は、最高デザイン責任者(CDO)の任命です。

  2. パーパスの戦略声明:ビジネスデザイナーとして、私たちはパーパスドリブンの組織を大事にしています。これは、価値創造のための領域を示し、デザインチームを共通の方向に導き、インスピレーションを刺激するからです。

  3. ビジネスモデルのポートフォリオ管理:将来のビジネスモデルの探求と、現在のビジネスモデルの深化を、同じ屋根の下で意識的にバランスを取りながら行っています。

  4. 機会計測システム:市場規模と潜在的な収益源を見積もる明確なシステムにより、ビジネスチャンスに対応します。

  5. ビジネスデザインKPI:ビジネスデザインの3つの視点(有用性、持続可能性、実現可能性)に基づいてKPIを再構築します。

  6. アダプションプログラム:組織内で共有されている信念、原則、仕事の進め方を拡大するための(オンボード)プログラムです。

  7. パフォーマンスマネジメント:ビジネスデザインの行動を刺激するインセンティブを組織全体の社員に与えます。

  8. アライメントリズム:一定期間(年次、四半期、月次、週次、日次)でのデザインチームの調整を実施します。

  9. 目指すべき顧客体験:製品やチャネルを問わず、デザインの原則を用いて望ましい顧客体験を定義します。

  10. オープンイノベーションラボ:(社内の)ステークホルダーや顧客との共創のための物理的・デジタル的環境です。

  11. デザインリサーチツール:顧客起点のイノベーションを実現するための共感やリサーチのツールボックスです。

  12. ビジネスデザイン・センターオブエクセレンス:ワールドクラスのパフォーマンスを達成・維持するための、専門知識とリソースを集中させます。

  13. トレーニングプログラム:組織内の専門性を高めるための、ニーズの評価と、トレーニングの開発です。

  14. オープンパートナーシップ:同じ考えを持っている企業組織、デザイン専門家、スタートアップ企業、代理店との価値ある関係を構築します。

  15. ビジネスデザイン・プレイブック: デザインプロジェクトを効率的かつ効果的に遂行するためのプロセスと作業方法を明確に定義します。

  16. ビジネスデザイン・ツールボックス:既製のデザインキャンバスなどのデザインツールが入った実用的なツールボックスです。

  17. ラジカル・コラボレーション:多分野のコラボレーションを究極のレベルにまで高め、ステークホルダーとの共創を自然な習慣にします。

  18. 自律的デザインチーム:MVPの開発プロセスで価値のロスがないように、エンドツーエンドで責任を持つデザインチームです。

  19. 実験システム:精神的・物理的な実験(シナリオプレイ、プロトタイプ&テストなど)を考案し、実行するためのシステムです。

 

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このレベルでは、それぞれのビルディングブロックが、一度に複数の領域や次元に影響を及ぼす可能性のある連鎖をどのように起こすかを知ることが有用です。企業の内部ダイナミクスの複雑さを明らかにして、実際の成熟度の状況に応じて、各企業が取るべき最善の行動について個別に話し合う必要があることが確認されます。

 

成熟度の評価:使えるか?使えないか?

ビジネスデザインのマチュリティモデルを議論する際には、評価の問題を外すことはできません。アセスメントが組織内で適切な会話のきっかけとなることが特に重要になります。アセスメントは、それ自体が目的ではありません。ビジネスデザインマチュリティをとても詳細なレベルで測定するための監査に多くの時間を費やすのは、ほとんど逆効果のように思えます。

私たちは、アセスメントを主に、例えば社内で戦略ワークショップをするときに、関連するステークホルダーが互いに価値ある対話を行うためのワーキングメソッドとして捉えています。繰り返しになりますが、私たちは、ビジネス・デザイナーの中核的なミッションの一つは、組織内のサイロを打破し、多分野のコラボレーションを促進することだと考えています。マチュリティへの取り組みは、トップダウンではなく、組織内に橋を架け、ステークフォルダーの間に内発的なモチベーションを生み出すことから始まります。

では、実際に試してみましょうか。私たちが提案するのは、8つあるビジネスデザインマチュリティの領域のアセスメントに焦点を当てることです。このレベルでは、議論は十分に具体化されていますが、詳細になりすぎて道を見失う危険性はありません(以下のビジュアルを参照)。このビジュアル化とその下の挑発的な質問は、建設的な社内対話の出発点となります。

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成熟したビジネスデザイナー:深化と探究の達人

自分が究極の成熟したビジネスデザイナーだと想像してみてください。どのように感じるでしょうか?この記事の最初の方で、マチュリティを次のように定義しました。

“ 顧客と組織のために価値を創造する能力を最大限に発揮する継続的なフローを達成することです。それは、組織が常に同期したビジネスモデルを継続的に探求し、深化する能力を示すことで、無敵になれるフローです。 ”

上記の表現から、ストラテジャイザーのアレックス・オスターワルダーとその同僚の仕事をすでに知っている人もいるかもしれません。彼らは近著の『インビンシブル・カンパニー』の中で、組織がさまざまなビジネスモデルのポートフォリオを構築する方法を説明しています。既存のビジネスモデルを深化することと、新しいビジネスモデルを探求することの間で適切なバランスを見つけることが、彼らのメッセージの核心です。

“ 無敵の企業は、未来を探求する一方で、現在を深化することに長けています。同じ屋根の下で調和した、イノベーションと遂行の文化を育んでいます。”

とてもクールな表現ですよね。成熟したビジネスデザイナーは、このゲームのリーダーであり、あらゆる挫折や障害を克服する能力と敏捷性によって無敵の地位を獲得し、クライアントと組織の両方に他にはない価値を生み出すことができる、超能力を持つ禅の師であると考えています。

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まとめ:私たちの宇宙旅行は始まったばかり

ここまで読んでいただいて、もう信じられないほどの感謝の気持ちでいっぱいです。しかし、ビジネスデザイナーとして、私たちの本格的なビジネスデザインマチュリティモデルへの私たちの宇宙の旅は、まだ始まったばかりだと思っています。私たちはこれからも発信し続け、皆さんの意見も伺いたいと思っています。組織がビジネスデザインを次のレベルに引き上げるための刺激となるような、オープンソースのモデルを私たちと一緒に創ってみませんか。

皆さんの参加をお待ちしています! もし仲間に入っていただけるなら、コメントを残したり、記事を皆さんの仲間と共有して、会話を盛り上げてください。ビジネスの可能性を秘めた広大な宇宙を一緒に征服しましょう!

 

・ ・ ・

 

この記事は、2021年1月に公開されました。英文はMediumで閲覧できます。

● Business Design Maturity Model: a conversation tool

https://medium.muz.li/business-design-maturity-model-a-conversation-tool-4e157484ea15

(DMN編集部)

 

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