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Written by DMN事務局
on 8月 05, 2021
心理学を使ってユーザーにパワーを与えるには
 
Tori_NoJohn

 


ビクトリア・クレイプール Victoria Claypoole
共同執筆:キャット・ホッジス Cat Hodges/ケイ・スタニー Key Stnney

 

UX and Human Factors

How to use psychology to empower the user.

 

 

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ユーザーエクスペリエンス(UX)は、デザインとエンジニアリングのさまざまな観点を網羅する、広範な学際的分野です。

 

UX」と聞くと、アプリケーションやソフトウェアに関連するものと思われるかもしれませんが、実際にはそれよりもはるかに大きな意味を持っています。UXの原則は、顧客サービスから店舗レイアウトにいたるまで、幅広く応用されています。UXとは、人々に共感し、ニーズを予測し、最終的な目標に導くためのソリューションを創ることです。人を第一に考えることで、時間とお金をかけて作ったものが、使う人の役に立ち、楽しめるものになるのです。

 

デザイナーがデザインを開発・実現する際には、さまざまな原理・原則・考え方がありますが、心理学を使うことで、UXのレベルを高め、実際にエンドユーザーに力を与えることができるのをご存知でしょうか。実のところ、UXの父(ドン・ノーマン)は、有名な認知心理学者なのです。この記事では、心理学の一分野でまだよく知られていない「ヒューマンファクター」についてご紹介します。そして、それを日々のデザインにどのように活かすことができるかについても書いていきます。

 

ちょっと待って、心理学は人を診断するだけじゃないの?

 

いいえ、違います。心理学は心と行動の科学で、精神疾患の診断も含みますが、学習理論、集団思考、記憶など、他の多くの研究領域にも広がっています(McLeod, 2019)。正式な学問としての心理学の歴史は比較的浅く、まだ150年そこそこなのですが、実はその起源は古く、紀元前4世紀にヒポクラテスが「精神障害の原因は悪魔的なものではなく、物理的な原因がある」と理論づけたとこまでさかのぼることができます。

 

心理学の分野では、一般的に、行動や認知を説明し、その発生について説明し、将来的な発生の事例を予測し、それを有益な方法で変化を起こすことを目指しています。例えば、犬のしつけを考えてみましょう。まず、その行動が何であるかを説明します。(犬が家の中で排泄する)。次に、それはどういうことかを理解して説明します(犬はおしっこをしなければならない)。そして、それがいつまた起こるかを予測し(通常は、犬の大きさ、年齢、水の摂取量などに基づいて)、最終的に学習科学(オペラント条件付けなど。さらに詳しくはこちら)を使って、犬が家の中でトイレをしないように訓練します。犬を訓練したことのある人はもちろん、子供のトイレのしつけをしたことのある人も、このプロセスをよく知っています。

 

これは共感していただけると思いますが、UXも同じところを目指しています。UXデザイナーはまず、ユーザーの行動、思考、そして感情を(多くの場合はタスク分析によって)説明し、理解しようとします。そして、その知識を使って、ユーザーについての説明や予測を試みます。デザインをユーザーの能力や期待によりマッチさせることで、体験をよりよくするためです。例えば、Webページでの入力の際に、いつも同じエラーを起こすユーザーがいるとします。心理学と同じように、まず何が起きているのかを説明し(必須項目の一つを見逃してしまう)、なぜそれが起きるのかを説明し(必須項目であることを示す視覚的な手がかりを見逃してしまう)、いつまた起きるのかを予測して(特にマルチタスクの場合)、行動を改善するためにデザインを変更します(マルチモーダルな手がかりを追加して、視覚的な手がかりをより目立たせるなどして)。さあどうです、UXデザインがよくなったでしょう!

 

心理学の目的、目標、そしてプロセスは、UXの場合とほとんど違いがありません。デザイナーの大半は、色彩理論やゲシュタルトの法則について知っていて、知識をいつも使っています。心理学の中で特にUXと関係が深い領域は、ヒューマンファクター、つまり人とシステムの間のインタラクションを理解し、改善するための科学分野です。(HFES, 2020)

 

ヒューマンファクター心理学とは何ですか?

 

前述のとおり、ヒューマンファクター心理学とは、人と「システム」とのつながりに関するすべてです(もっとも「システム」という言葉はかなり曖昧で、椅子だったり、スペースシャトルだったり、あるいは人間とロボットの学際的なチームなどにも使えてしまいますが)。ヒューマンファクターの分野はエルゴノミクス(人間工学)としても知られています。この科学分野は、北米のコミュニティでは「ヒューマンファクター」、ヨーロッパのコミュニティでは「エルゴノミクス」として議論される傾向にあります。いずれにしても、人と人が使う「もの」とのつながりを理解し、改善することがヒューマンファクターの目的です。腰痛軽減を目的としたオフィスチェアの最適な形状の決定から、軍用レーダー監視員の注意力をどう持続させるかまで、ヒューマンファクターは非常に多様な問題に取り組んでいます。他にも、職場の配置、情報の提示・理解、そしてシステムデザイン(空間・視覚レイアウトなど)など、ヒューマンファクターが関わる分野は多岐にわたります。

 

UXとの関連性が見えてきたでしょうか? まだ分からないようでしたら、もう少し詳しく説明しましょう。ヒューマンファクターは、心理学、工学、インタラクションデザインなどの、いくつかの分野が融合したもので、そしてもうお分かりかと思いますが、ユーザーエクスペリエンスも含まれます。これまでに、何かをより効率的にしようとか、人によるエラーを減らそうとか、あるいは何かの安全性を高めようようと再考したことがあるとすれば、実はすでにヒューマンファクターを実践していたことになります(知らなかっただけです!)。

 

使ってみましょう!

 

では、どうすればヒューマンファクター心理学の最も有効な原則を積極的に使ってデザインを強化したり、ユーザーが使うシステムを改善したり、最終的にユーザーの能力を高めることができるでしょうか。




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一貫性、メンタルモデル、認知的負荷

 

それには、私たちがいつもデザインで使っている、ヒューマンファクターの原則のトップ3をご紹介します。

 

1. メンタルモデル

 

メンタルモデルは、ユーザーの思考や理解を説明するもので、ある特定のシステムが正しいという判断の基になりますーザーが、システムをどのように使うかを推測するために必要になります。また、メンタルモデルには、システムの機能と、システムを使用する際のユーザーの行動や結果に対する認識との関係も含まれます。例えば、「このスイッチを上に上げると、何かが点灯する」といった具合です。メンタルモデルを理解することは重要です。なぜなら、ユーザーがシステムの機能に関する情報をどのように認識し、分類し、理解しているかについてのインサイトを得ることができるからです。こうしたメンタルモデルは、私たちのお気に入りのメソッドであるカードソートを使って簡単に明らかにすることができます。また、ユーザーインタビューやアンケート、競合製品(特に人気のある製品)のレビューなどでも、ユーザーが類似するシステムに対して、どんな期待を抱いているかを推測することができます。

 

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メンタルモデルのヒント

 

  • システムの使用に対するユーザーの期待は、メンタルモデルによって左右されることを忘れないこと
  • カードソートやインタビューなどで、ユーザーのメンタルモデルを明らかにする
  • ユーザーのメンタルモデルとUXデザインにミスマッチがある場合は、ヒントを与えるなど、ユーザーをサポートをする 

 

 システムを設計する際には、ユーザーのメンタルモデルを念頭に置いて設計し、システムの機能を視覚的に表現することで、ユーザーのメンタルモデルと一致させる必要があります。例えば、陸軍車両のオペレータがメンテナンスチェックリストを完成させるための支援システムを設計しているとします。この車両オペレータは、メンテナンスの問題を分類するための標準的な命名規則を持っており、それを毎日使用しています。このような特定のユーザーのためにシステムを設計するには、彼らの既存のメンタルモデルの重要な要素である命名規則を、システム設計に組み込むべきです。もしユーザーの既存のメンタルモデルを考慮せずに設計してしまうと、ユーザーが考えているシステムの仕組みと、実際のシステムの仕組みとの間にミスマッチが生じてしまいます。その結果、何が起こるのでしょうか? ユーザーの不満、購入しない決断、他のシステムの採用など、好ましくない結果を挙げればきりがありません。ユーザーのメンタルモデルを判断しようとするときに共通して言えることは、デザイナーとしてのメンタルモデルとターゲットユーザーのメンタルモデルが、同じだと考えてはいけないということです。ユーザーのメンタルモデルは、その人の経験によって異なるため、あなたや他のユーザーにとっては直感的に理解できることでも、ユーザーによっては容易に理解できないことがあります。ですから、デザイナーとしての私たちの課題は、ユーザーが私たちのシステムを使いながらメンタルモデルを進化させ、拡大させていくのを、できればイライラしない方法で手助けすることです。スムーズな移行を実現するために、新しいUX要素の導入は控えめにし、理解を助けるためのヒントを提供するようにしましょう。

 

 

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軍用車両整備のための運用支援ツールの設計におけるメンタルモデルの例

 

 

2. 認知的負荷

 

記憶には様々な種類があり(長期、短期、作業)、それぞれ機能は異なります。私たちがシステムに積極的に関わっているとき、主にはワーキングメモリ(一時的にしか使わない情報や記憶)が使われています。ワーキングメモリの容量は限られており、同時に多くのことは処理できません。認知的負荷とは、ワーキングメモリに関連するもので、新しいことを学ぶために必要な精神的な努力のことを意味して、一度に処理・使用しなければならない情報の量に基づいて表されます。ワーキングメモリをジャグリングに例えて考えると、認知的負荷はジャグリングをするボールになります。2つのボールをジャグリングするのはとても簡単です。3つのボールでもまだ簡単です。4つのボールだと少し難しくなりますが、まだなんとかできます。5つのボールでは難しくなって、たぶんミスをしてしまうでしょう。そして10個では、、、ボールが多すぎて全部のボールを落としてしまうでしょう。私たちのワーキングメモリもそれと同じで、扱う情報量が多すぎると、認知的負荷が限界に達し、ミスをするようになります。では、これはUXとどう関係するのでしょうか? ユーザーの認知的負荷が高いデザイン、つまり、システムの使い方や操作方法を習得するのに高度な精神的処理能力を必要とするデザインは、受け入れる障壁が高くなります。したがって、デザインする際には、たくさんの情報を提供することと、適切な情報を適切なタイミングで提供することとを、うまく両立させる必要があります。一度に多くの情報を提示すると、ユーザーは圧倒されて、使い方を間違えたり、最悪の場合はシステムを使うのをやめてしまうでしょう。また、最小限の情報しか与えず、重要な情報を隠してしまうと、ユーザーに不満を感じさせたり、飽きさせてしまうことになるでしょう。

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認知的負荷を改善するためのヒント

  • 既存のメンタルモードに基づいてデザインする
  • 視覚的な混乱を避ける
  • 短期記憶をサポートする

 

パフォーマンスを向上させるバランスをとるために、デザイナーは既存のメンタルモデルをベースとして、そこから見た目の乱雑さを取り除いたり、短期記憶をサポートするための方法として、ユーザーの入力を誘導する初期値の表示や、スキャフォールディング(たくさんある機能を段階的に出していくこと)や、パンくず、状況に応じたヘルプやヒントなどを使うことができます。ユーザーがシステムを使用する際の認知的負荷を理解し、情報アーキテクチャを適切に設計することが重要です。システムを使用する全体的な目的は何か、ユーザーが目的を達成するためにシステムはどのような情報を提供すべきか、また、ユーザーは個人的な経験(メンタルモデル)から、どのような記憶や期待を使って目的を達成するのかを考えてみてください。このようなユーザー・インタラクションの側面を理解することで、ユーザーの認知的負荷を改善し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができるのです。

 

3. 一貫性

「一貫性?」と思われるかもしれませんが、これはすでに実証されているUXデザインの原則です。それはそうと、一貫性はヒューマンファクターにとっても重要なことなのです。ここでは、デザインの一貫性とヒューマンファクターがどのように関わっているかをご紹介します。ではまず、ユーザーは、システムを使い始めるときには、自分のメンタルモデルを持ち出すことを思い出してください。ユーザーは特定のUXデザインと相互に作用しながら、そのメンタルモデルを進化させていきます。もし、デザインの一貫性に矛盾があったら、どうなるでしょうか? ユーザーは、矛盾に出くわすたびに、メンタルモデルや、システムがどのように機能するかについての考えを、常にくるくる変えることになります。その結果、ユーザーはシステムがどのように機能するのか全く理解できず、使えないシステムだと思い込んでしまうことになります。これほどイライラすることはありませんよね? このような矛盾があると、ユーザーはデザインのある側面で得たことを別の側面に移行させることができません。最初の一歩をなかなか踏み出せない赤ん坊のように、ユーザーは新しい機能を試すことに躊躇してしまうのです。一貫性と認知的負荷もまた深く関わっています。ユーザーにそれまで馴染みがあったものとは異なるUXのパターンを見せてしまうと、ユーザーを立ち止まらせ、新しいパターンの理解を強いることになります。UXの矛盾が原因で生まれる認知的要求は、ユーザビリティの妨げとなります。なぜなら、視覚的、機能的、あるいは外部(他の関連製品)との一貫性がないデザインは、混乱を招き、学習と使用が複雑になり、強固なメンタルモデルの構築を妨げるからです。

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一貫性を保つためのヒント

 

  • ビジュアルデザイン、インタラクション、ナビゲーションが一貫していて、ユーザーにとって馴染みやすいものであること
  • 一貫性のないUXは、大きな認知的負荷となり、完全で正確なメンタルモデルの開発を妨げることを理解する

こうした問題は、システムの使い方を覚えるときだけでなく、システムを使うたびにユーザーに大きな認知的負荷をかけます。例えば、玄関の鍵を開けようとすると、鍵穴の向きがランダムに変わってしまうので、毎回目で見て確認しなければならないとしたら......イライラが募りますよね。このような一貫性のないインタラクションのために、ユーザーは常にシステムがどう機能するのかを見極めようと、過敏に反応しなければなりません。視覚的にも行動的にも一貫性のあるデザインにすることで、ユーザーはUXの仕組みを理解するために高度に頭を働かせる必要はなくなり、少しリラックスができます。これからさらに、UXデザインがタブレット、ARヘッドセット、VRヘッドセットなどのクロスプラットフォームに広く対応するようになると、これらのプラットフォーム間で一貫性を維持することは、難しいですが非常に重要になります。



 

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操作支援ツールのタブレット版およびAR(拡張現実)版のデザインの一貫性の例

 

おわりに

 

UXデザイナーは、ヒューマンファクター心理学の原則を活用して、エンドユーザーに力を与えることができます。UXデザインに一貫性を持たせ、ユーザーのメンタルモデルを活用し、認知的負荷を軽減することで、ユーザーのパフォーマンスは向上し、混乱も少なくなり、日々の生活に本当に大きな力を与えることができるのです。人間工学の詳細については、Human Factors and Ergonomics Society(人間工学会)のウェブサイトをご覧ください。その他のヒューマンファクターのデザイン原則については、AdobeXDのブログやUX Collectiveのブログをご覧ください。

 

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参考文献

McLeod, S. A. (2019). 心理学とは何か https://www.simplypsychology.org/whatispsychology.html

HFES. (2020). Human Factors and Ergonomicsとは?https://www.hfes.org/About-HFES/What-is-Human-Factors-and-Ergonomics

マーゴット、A. (2019). UXデザインにおける認知心理学。Minimising the cognitive load. https://medium.com/design-signals/cognitive-psychology-in-ux-minimising-the-cognitive-load-d97ad8e3115b

ニコロフ、A. (2017). デザインの原則。一貫性。https://uxdesign.cc/design-principle-consistency-6b0cf7e7339f

ヴィニー、C. (2019). メンタルモデルとは何か、UXデザインでどのように使われるのか https://careerfoundry.com/en/blog/ux-design/mental-models-ux-design/ 

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この記事は、2021年1月に公開されました。英文はMediumで閲覧できます。

● UX and Human Factors: How to use psychology to empower the user

https://uxdesign.cc/ux-and-human-factors-9866337a61a7

(DMN編集部)

 

 

 

 

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