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◉ DMN REPROT 001: What is VIABLE? Part.1

 

DMNでは、2013年に「VIABLE DESIGN」をテーマにした全3回のケーススタディを開催しました。これは、デザインジャーナリストの第一人者として活躍する川上典李子さんの提案によって実現したもので、デザイン、ビジネス、そして社会・環境をつなぐ指針になるコンセプト「VIABLE DESIGN」についての初めてのケーススタディ・セッションです。

「VIABLE」には「生存できる」といった生命的な意味から敷衍して、「存続できる」「実行可能な」といった意味があります。「VIABLE DESIGN」とは、字義からしても、たとえば「持続可能」と訳される「SUSTAINABLE」とくらべて、はるかに豊かなパワーを具えた概念です。 しかし、今回のセッションは、もっと直截的に、「今、企業はどのように生きるのか」「何を目的に、どのようにビジネスを展開するのか」「デザインは、何を、どのようにデザインするのか」といった今日的な問いに答えている実際の活動を取り上げ、ケーススタディしていこうと企図されました。

川上典李子さんはこれまで、デザイン、ビジネス、社会・環境の領域で、それぞれ連続する場所、不連続な場所を、類まれなジャーナリストスピリッツをもって探索されてきました。その川上さんが、人びとが未来へジャンプするために、デザインは「VIABLE DESIGN」でなければならないと痛切に感じる、というのです。

「VIABLEとは何か?」という川上典李子さんの問いは、Covid-19後の社会のあり方、そしてビジネスやデザインのあり方を考える上で、私たちに新しい視点をもたらしてくれます。

全3回にわたって開催したこのケーススタディ・セッションのレポートは、皆さまのお仕事の指針としてお役に立つと考えております。

「What is VIABLE?」


全3回/川上典李子さんと一緒に学ぶ「VIABLE DESIGN」ビジネスパースン&クリエーターたちへの指針


DMN130116
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2013年1月16日/於インターナショナル・デザイン・リエゾンセンター


ー川上典李子さんのコメントー

VIABLE DESIGNが重要な意味を持つ


私は、アクシスの編集部におりまして、独立した後、雑誌、新聞などに寄稿しています。また、21_21デザインサイトの開館前から準備に携わっており、アソシエイトディレクターを担当しています。今回のセミナーについてお話しします。デザインの話をしている中で、「VIABLE」「VIABILITY」という言葉が、ここ2、3年の間によく出てくるようになりました。「VIABLE」なデザインプロセスとは何か、これからの社会の「VIABILITY」とは何か、というように使われています。

本日、講演をお願いした横山いくこさんとミラノサローネでお会いしたときにも、「VIABLE」という単語が会話に登場しました。どこかの団体が、この言葉を採り上げたわけではありませんが、だからこそ、これが重要なキーワードではないか、と実感しています。「VIABLE」を辞書でひくと、生存できる、生育できる、実行可能な、存続できる、という訳が出てきます。「VIABILITY」は、生存能力、存続の見込み、実行可能性。「VIABLE」という言葉が現在、重要な意味を持っており、それが増幅していると感じています。

今回は、「VIABLE DESIGN」の視点、手法などについて、3人のケーススタディを踏まえながら意見交換をしていきたいと思っています。第1回目は本日の横山さん。第2回目はハーマンミラージャパン代表取締役の松崎勉さん。東日本大震災の後、石巻工房の活動にいち早く連携を申し出て、サポートをなさっています。ハーマンミラーのギフトコミッティという予算枠など、その背景を話していただきます。

第3回目は藤原大さん。ISSEY MIYAKEのクリエイティブディレクターとして、2000年には「A-POC」でデザイン大賞を受賞しました。現在、藤原さんは、イントラデザイン(INTER TRAVEL DESIGN)という新しい考え方で、エンジニアリング、サイエンスを取り込みながら地域を活性化する活動をされています。その活動の成果が出てきたということで話していただきます。

これら3つのケースは、国家のような大きな組織というよりも、個人とか企業が自発的な気持ちをエネルギーにして活動しているものです。それでは、「エディションス・イン・クラフト:現代のクラフト発展の道筋をつくる」というテーマで横山さんにレクチャーをお願いします。


ー横山いくこさんの講演ー


EICを始める経緯


Editions in Craft(以下、EIC)の話を中心に「VIABLE DESIGN」についてお話ししたいと思います。まず、自己紹介も兼ねながら、EICを立ち上げるきっかけなどついてお話します。私は、武蔵野美術大学の工芸デザイン科を卒業しまして、1995年からスウェーデンに住んでいます。メタルアートや彫刻などパブリックアートの仕事に携わりました。その後、キュレーションのコースに2年間参加しまして、現在はスウェーデン国立芸術工芸デザイン大学(Konstfack)のエキシビジョン・マネージャーを務めています。

1990年代には現代アートの大きなムーブメントとしてRelational Aesthetics(関係性の美学)がありました。さまざまな価値観が相対的になってきたときに、プライベートスペースから生み出される美ではなくて、人々、社会の関係性の間から美が生まれる、というものです。2000年代に入ってから、ビエンナーレ・ブームがあり、村おこし的なエキシビジョンが流行しました。それらはRelational Aestheticsがもとになっていて、今の私の仕事においても、その考え方が重要な位置を占めています。

そのような流れの中で、2008年にオランダ人のキュレーター、レネー・パッドとともに作ったのがEICです。スウェーデンの未来文化財団の助成金をもとにして始めました。形式的にはNPOで、小さな草の根活動です。なぜ始めたかというと、展覧会は作品、空間構成、PRなどのさまざまな生産物で構成されています。そのようなものの流通や価格などに疑問点がでてきて、展覧会だけでは満足できなくなってきました。展覧会を開催するのではなくて、自分たちが作る側にならないとダメなのではないか、と試しに始めたプロジェクトです。EICは、アーティスト、デザイナー、職人が一緒に物を作るためのプラットフォームのような.......    続き

 

 

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