
mctのパートナーであるオルソン・ザルトマン社(OZA)はハーバードビジネススクールのジェラルド・ザルトマン教授が体系化したZMETの技術を用いて、顧客の真の声にアクセスし、無意識の深いメタファーを活用し、ブランド独自の価値提案とポジショニングを明確にすることを専門としています。
今回、記号論的インサイトやデザインインサイトを専門とするコンサルティングファームAxis Mundi社、また、システム1・2の思考を用いて高度な分析を行うDeriveOne社と連携し、Z世代の健康やウェルネスに対する無意識のフレームワークを明らかにしました。今回はそのレポートをお届けします!
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メタファーは、人々の物の見方や思考そのものであり、人の無意識の部分を明らかにします。
メタファーやフレームを活性化することで、行動の変化をシンプルかつ理解しやすくすし、
次なる取り組みを明確化することができます。
今、私たちの人生を取り巻く環境が急速に変化する中、自分自身の考えを明確に表現する事は容易では
なくなってきています。特に今回のようなパンデミックは人々に激しい感情反応を引き起こします。
今回は、Z世代にフォーカスし、彼らにとっての健康とウェルネスとは何かを理解するため、
パンデミック中の彼らの考えや感情を調査しました。
Z世代のメンタルフレーム [ コントロール + コネクション ] |

Z世代は、内的動機付けによって意思決定を行うことで、必要なコントロールと欲求を獲得しています。
社会に彼らの行動を阻止させずに、自分の人生をうまくコントロールし、人生の質を向上させています。
内面的コントロール 💬
『うつ病や多くの不安や自信喪失を抱えている場合、マインドセットを良くする方法としては、
自分を幸せにしてくれるものに囲まれているだけでなく、健康である意味を自分の中で問い、
内向きになる事が大切だと思う。助けが必要な時は、
自分を取り巻く人や状況に感謝する事が一種の心の癒しとなる。』
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コントロールの開放 💬
『十分に睡眠時間をとれる事で人生をコントロールできていると感じる。
自分の人生を操作する事で、自分が置かれている状況に気がつく事ができる。』
『健康とウェルネスにおいて自分を優先しなければ、最大限の能力を発揮する事はできない。
重要なのは、どれだけ自分の可能性に向かって努力しているかだから。』
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Z世代は自分をコントロールできる事を、肉体的にも精神的にも健康であると感じています。
コントロールにおける機会
✔︎ 実験的手術 | 痛みの受容体を減衰させるウェアラブル技術
✔︎ 身体の拡張|身体を引き立てる高度な義肢装具
✔︎ ブランド・ボディ|経済的資産としての身体づくり
✔︎ 認知機能の強化 |認知パフォーマンスの調整・向上させるための製品やサービス
✔︎ 早熟な起業家精神|若くして富の創造に取り組む ✔︎ 差益を得る|アルカリ水のような専門商品の消費

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Z世代はコネクションを求める 内発的な動機によって得たコントロールをコネクションを得るために使います。
孤立した世界 Z世代は、ソーシャルメディア上で常に多くの人と関わり、アクティブにコミュニティに既存しているにも
かかわらず、孤独感を感じています。偽りのつながりをフィルターにかけ、本物のつながりを見極める事に
苦悩しています。
現代の生活を超えて 分断社会や未来への不安を埋めてくれるような信念や真実を求めています。
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コネクションにおける機会
✔︎ ナチュラルパーソナルケア |透明感のある製品とサービスで親密なケアを提供
✔︎ 積極行動主義|Z世代の行動は、気候変動後の未来を顕している
✔︎ 伝統 |新しいメディア(アート、ポッドキャストなど)を通し古い習わしを習得する
✔︎ 妥協しない |飲料ブランドのSpindriftは化学物質を含まないためLaCroixよりも人気が高い ✔︎ パーソナライズされた栄養補給 |消費者の遺伝子構成に合わせて最適化したパッケージを提供 ✔︎ 絆を尊重する |寛大な精神と親密性を尊重する

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Covid-19がコネクション+コントロールに与える影響 |
◉ デジタルディスタンス
💬『 外の世界との接触手段は全てZoomに変わり、実際は誰も見えないし、誰にも見られていない 。』
💬『 外に出られなくなったことや、実際に会えずに、オンラインスクールが浸透していく事に、
精神的に不安になっている 。』
💬『 私たちの生活は完全にバーチャルになってしまったと感じる、人との交流も少なくなっている。 』
インサイトからアクションへ|コネクション:関係の復活
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◉ テーマ
GenZのように、スクリーンにより物理的な距離が保たれている時代は、
直接交わされるインタラクションに高い価値を置きます。
◉ フレーミング
デジタル以外の豊かなつながりを重視する。
デジタルでのつながりより人間的でカスタマイズされたものにフォーカスする。
共通するケースや障壁を超えられる様なつながりを重視する。
◉ 要素
ビジュアル|デジタルを置き換える物理的なタッチ、リラックスできる友人のグループ、親切な行為
トーン|誠実、温かい、刺激的、熱狂的
◉ 外は平穏、内は混沌
💬『 彼女は心を忙しくさせるためにあらゆることをしている 、それでも彼女は自分の世界が暴走している
と感じている 。仕事もなく両親と暮らしている。 』
💬『 感情が交差している。正気を保とうとすればするほど意識がおかしくなる。』
💬『 家族のために冷静さを保とうとしている。仕事を失い、食料品や生活必需品さえも得られていない 。』
インサイトからアクションへ|コントロール:本当の自分
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◉ テーマ
ありのままの自分を受け入れる「完璧なイメージ」からの解放。
◉ フレーミング
危機の最中のフレーミングを捉えることで、グループが感じているプレッシャーを認識し、
今後提供していく商品やサービスがどのように彼らを外面的にサポートしていけるのか、
あるいは内面の対立を和らげてあげられるのかを示すことで、サポートを拡大することができる。
◉ 要素
ビジュアル:コントラスト = 内面と外面、光と闇、二重のアイデンティティ、物理的なプレッシャー、孤立
トーン:現実的・陰鬱・慰め・希望に満ちる
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以上がレポートのサマリになります。
ZMETは、すでに欧米の先進企業において積極的に採用されておりますが、
mctでも、OZAによる認定課程を通過したモデレーターにより、バイアスのかからない
インタビューを実施ししております。
今回、AGILE ZMETのメニューが新たに加わった事で、より速く、より少ないリソースで、
質の高いリサーチが可能となりました。
AGILE ZMETまたはZMETの詳細に関しましては、
どうぞお気軽にお問い合わせください。

- Shoko Strang株式会社mct カスタマーサクセスアソシエイト

今回は、先日ご紹介したDesignX CommunityによるイベントRemote Design Weekから「Insights in Design and Business During COVID-19」(コロナ禍におけるビジネスとデザインのインサイト)についてご紹介します。

本セッションは、Webサイトやスマホアプリのためのプロトタイピングツールや、オンラインで使用できるホワイトボードツール等の開発を手がけている『InVision』のディレクター/CXデザイナーであるアダム・フライピアースがメインスピーカーとなり、zoomの画面共有とYouTubeのLive配信機能を用いて行われました。
InVisionでは創業当初からフルリモートを推進しており、いわばリモートワークのエキスパートともいえる企業です。
InVisionは、AppleやGoogleといった世界の名だたる企業のトップデザイナー達が参画している『Design Leadership Forum』(以下DLF)も企画しており、本セッションではそのDLF内のトップデザイナー達とのディスカッションで得られたコロナ禍におけるデザインとビジネス、特にデザインチームのための10のインサイトを以下のように紹介しています。

1.The digital transformation has accelerated
デジタルトランスフォーメーションが加速した
多くのビジネスリーダーたちは、デザインの価値やデジタルチャネルを最適化することの重要性を数年前まで理解していませんでした。しかし、Covid-19によるパンデミックが起きた今こそ「デジタル」というのは顧客と繋がるベストチャネルだとアダム・フライピアースは述べています。
今まで顧客と繋がる場合、顧客が実際に足を運んでいる場所、リアルの店先に足を運ばなければなりませんでしたが、今はデジタルの発展によって画面越しに顧客と接点を持つことができます。さらに、B2Cのブランドをみたとき、小売店やレストラン、エンターテイメントといった業界のビジネスリーダーたちは、次々とデザインチームを作って、デジタルカスタマーエクスペリエンスを最適化し、イノベーションを素早く起こしています。これはつまり、対面型/対人型のカスタマーエクスペリエンスを誇るB2Cブランドは、デジタルへの転換を余儀なくされているということになります。
2.Teams are designing for the "social distance economy"
チームは「ソーシャルディスタンスエコノミー」に備えてデザインをしなければならない
Covid-19のワクチンが完成し一般的に普及されるまで、以前のような生活に戻ることは難しく、現在のようなライフスタイルがしばらく続くでしょう。こうしたコロナ禍で事業を繁栄させるためには、ソーシャルディスタンス(社会的距離)が敷かれた世界で如何に顧客経験を向上させるかを考える必要があります。
DLFでは、レストランや劇場、スポーツ用品店などに対して、「ソーシャルディスタンスエコノミーの下、どのようにして顧客経験をデザインしていきますか?」というヒアリングを行ったそうです。その結果、彼らは対面式の顧客経験を再考し、デジタルとの融合を通して顧客経験を向上させるといった非常にクリエイティブな方法を思いつき、実践しようとしていました。例えば、リアルとネットの境界を融解し、あらゆるメディアで顧客との接点を作るオムニチャネル戦略は非常に効果的だとしています。
こうした戦略を取った時、発見した顧客の課題とビジネス機会を結びつけ、顧客に対して新しいソリューションを提供することができるデザイナーは、重要なポジションを担っているとアダム・フライピアースは述べています。
3. As team investments increase, so do systems
チームへの投資が増えると、よりシステマティックになる
既述のようにCovid-19のパンデミックによってこれまで以上にデザインの重要性やニーズが増してきています。
より多くのデザインニーズに対応するため、デザインチームにはより多くのお金とリソースが投資されます。これにより、デザインの運用効率を考えて全社的にデザインシステムを導入する流れがやってくるとDLFは推測しています。結果的に社内のデジタルトランスフォーメーションも加速し、より実践的になっていくでしょう。
4. Businesses are transforming, fast. They might be burning out their employees
ビジネスは素早く変化しており、従業員をバーニングアウト(焼き尽くす)してしまう恐れがある
新型コロナウイルスの影響でリモートワークが中心になり、その中でより効率的なワークフローを追求していますが、それがチームとチームリーダーに取って大きなストレスになっています。しかしながら、デザイナーはこのビジネスの転換を支える重要なポジションを担っています。
例えば、数時間に及ぶ非生産的なミーティングを、超効率的な30分のホワイトボードセッションに変え、そこでアイデアの取捨選択を行うことで、今まで時間を取られていた開発と意思決定のサイクルを早めることができます。
5.Covid-19 has created a climate of empathy and caring
Covid-19は共感と思いやりの風土を作り出した
パンデミックを通して、仕事の雰囲気や会社の風土がより人間的になってきたとアダム・フライピアースは主張します。
例えば、遠隔ミーティングの冒頭では、いきなりアジェンダに入るのではなく、「調子はどうですか?」「体調にお変りないですか?」といった挨拶から入ったりしますよね。
また、画面越しから子供の声が聞こえたり、飼っているペットが映り込むなど、上司やチームメンバーの内面的な部分もリモートワークを通して垣間見ることができます。
このように従業員の間で、共感と思いやりの風土が出来つつあります。自分を含め、チームメンバーをある1つの部族のように捉え、チームカルチャーを向上させることが大事だとしています。
6.The screen has democratized the team
スクリーン(PCの画面やモニター)がチームを民主的なものにした
リモートワークのツールとしてzoomを使用していようがwebexを使用していようが、画面の向こうに映るチームメンバー(自分自身も含む)は大体同じサイズ・形をしていますよね。その人の特徴、たとえば、衣服、身長、性格、大きめな声でさえ聞き手側で調整できてしまうので、誰も気にしません。画面越しのメンバーが、どんな部屋でどんな椅子に座って会議に臨んでいるのかといった物理的空間も気に止めることはありません。
このように制約的な画面を通してチームメンバーとコミュニケーションする機会が増えたことで、チームがよりフラットな雰囲気へと変化しつつあります。
7.Leaders are confident their teams will be stronger on the other side of the pandemic
デザインリーダーたちは自分たちのチームが、パンデミックを通してより強くなると確信している
長い外出自粛期間のなかで、既にリモートワークに適応し始めている方も多いのではないでしょうか。こうしたリモートでの作業が増えるにつれ、チームメンバー間でより強力なコミュニケーションが実践され、新しいコラボレーションのスタイルが生まれるだろうとDLFのメンバーは予測しています。
例えば、従来はデザインスタジオなどで行なっていた付箋を使ったワークショップも、今後は『miro』や『Freehand』といったホワイトボードツールを用いて、デザイナー以外の人とコラボレーションすることができます。
アフターコロナの環境では、こうしたホワイトボードセッションでイノベーションが生まれようとしています。
8.Teams might stay distributed, as there are many benefits
リモートワークは多くのメリットがあるため、チームは分散したままになる
上述のように新しいコラボレーション/コミュニケーションの方法が確立され、リモートワークのメリットが露わになると、従来のようにオフィスへと出社してチームで集まる機会は減っていくでしょう。そうなるともはや、リモートワークが一般的となり当たり前の日常になります。
9.Teams are cutting travel, but that might not be temporary
一時的ではなく今後も仕事のための移動は減り続けるだろう
世界のデザインリーダーたちは、既に多くの業務をリモートで行なっています。ミーティングに限らず、まさにRemote Design Weekのようなコミュニティイベントも完全リモートで開催できるようになりました。また、採用や営業といった、従来は対面でしか行うことのできなかった企業活動も徐々にリモートへとシフトしようとしています。リモート環境に慣れたデザイナーはこの状況をチャンスと捉え、企業のそうした活動を支援していくことが大事だとDLFのメンバーは主張しています。
10.Designers need to know how to communicate their business value
デザイナーは如何に自分たちのビジネス価値を伝えていくかを考えなければならない
インサイト1で既述のように、ビジネスリーダーはコロナ禍を生き抜くため、大きなイノベーションを起こすアイデアを模索しており、デザインの力を取り入れようとしています。
そんな中、自分たちのビジネス価値を適切に伝えることが、デザイナーにとって重要になってくるとDLFのメンバーは主張しています。デジタルチャネルでユーザーの声を聞き、如何にして課題を解決するかという部分にデザイナーは貢献していかなければなりません。
コロナ禍では、時代にそぐわないビジネスも増え、経済がより混沌としてきているため、デザイナーはデザインの価値を伝えることがより重要になりました。
最後にアダム・フライピアースは次のような言葉でセッションを締めくくっています。

Covid-19によるパンデミックは、私たちの生活や働き方を大きく変えました。そしてそれらは、アフターコロナの世界でも脈々と変化し続けるでしょう。そうした生活、労働、産業の変化をいち早く捉え、事業をリードしていくことがこれからのデザイナー、デザインリーダーには求められるでしょう。

- Keisuke Minowa株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

今、私たちは答えよりも多くの疑問を抱えています。
仕事、教育、旅行、医療、エンターテインメント、経済の未来は、この先どうなるのでしょうか?
私たちは元の生活に戻るのか、それとも以前の生活より優れたものを築き上げるのか。
COVID-19を受けて、労働者、企業、産業はどのように適応していくべきか。
先日米国で開催されたバーチャルサミット『What's the future』の参加レポートです。とても興味深いです👍
Nicholas Thompson Chris Clearfiel Jeremy Gutsche Stephanie Mehta
『Covid-19は、オープンでフラットなコミュニケーションの大切さを認識させた』
米国ビジネス誌『Fast Company』の編集長Stephanie Mehtaは、リモートミーティングの際に、参加者全員と会話を交わす事を心がけているそうです。リーダーとしてチームメンバーとの会話の仕方を改め、本社ニューヨークのスタッフだけでなく、これまで遠方にいたチームが疎外感を感じることなく関与できる様促しています。 組織内における階層や本社、支店を問わず、全員が同じ土俵に立ち、オークランドのスタッフ、ブルックリンのスタッフ問わず同じメッセージを投げかけています。良いリーダーシップと機会を設ければ、今後も露呈した問題を克服するための新しいビジネスラインを考え出すことができると言っています。 以前から多くのメディア企業がビジネスモデルを修正する必要があると認識していましたが、今は本当に大きな意味でメディア企業が、サミットやカンファレンス、スピーカーシリーズの様に購読や広告を補完するための、第三、第四の収入基盤を作ろうとしています。
バーチャルサミット中に実施されたアンケート Q.『レジリエンス=回復力』となっているものは?? A. 家族・エクササイズ・瞑想・自然・友人・読書 etc

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『自分のビジネスの目的や意味を今一度問い直し、レジリエンスを高める』
『Melt Down』の著者 Chris Clearfieldは、メキシコ湾で起きた2010年の大爆発とそれに伴う環境破壊の文脈をビジネスに例え、企業がレジリエンス(回復力)と衝撃に対応する能力を構築するためには、現実に真正面から向き合うとともに、内面的に深く掘り下げて自己に問う必要があると言います。人とのつながりを通し、自分を幸せにしているものは何か、この崩壊を機に、自分のビジネスの役目を今一度考える必要があると言います。隔離が始まり、1〜4週目までは歯を食いしばって、スプリントで乗り切ろうという感じでしたが、実際にはマラソンの様に長期的に考える必要があると言っています。以前、PTSDの患者の対応改善を行った際に、医療従事者の考え方に興味深いものがあったそうです。彼らは自らの働き方を振り返るスペース(時間・場所)を確保し、一歩下がって振り返る事を習慣付けていました。これは、回復力をつけるのにとても有効だと彼は考えます。
*『Melt Down』 = 失敗の多くは似たような原因を共有していて、これらの失敗の背景にあるものを理解することで、より良いシステムを設計し、チームの生産性を高め、職場や家庭での意思決定の仕方を変えるという見解を示す著書。mctは著者のChris Clearfieldさんと以前から接点があり、今回のイベントもChrisさんから紹介していただきました。
Q. 最近職場で起きたイノベーションとは? A. Zoom・柔軟性・コラボレーション・テクノロジー etc

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『新しい成長ビジネスは、危機の後に来るカオスの時期に生まれる』
世界No.1のイノベーションウェブサイト「Trend Hunter」のCEOであるJeremy Gutscheは、歴史を振り返り、ミケランジェロのダビデ像、レオナルドのプリンティングプレス機の発明 、ウィリアム・シェイクスピアの簿記と会計の発明などのすべては、中世の黒死病流行と呼ばれるペストの大流行に直面したことが起点となっていると言います。当時、社会構造は崩壊したため、彼らは実際に重要な事とは何かを改めて考えたそうです。現代の言葉で言うと、起業家的になり始めたという事です。 『危機』とは、一体何が重要なのかを考え直すきっかけとなり、その後に来る『混乱』のフェーズは予測可能な時期であると彼は考えています。
Rule No1. 消費者の新しいニーズを理解し解決する Solve new consumer need |
1929年のウォール街の大恐慌の時、当時のアメリカで最も影響力のある民間人と呼ばれたHenry.R.Ruceは男性ビジネス誌『Fortune』をウールセーターと同等の価格で販売しました。Fortune誌は、役員室のドアの向こうでどんな決定があったのか知ることもなく職を失った人たちに、なぜこうなってしまって、いつ元に戻るのか、役員室のドアの向こうで話されていることを垣間見るような感覚を与え、当時の消費者の新しいニーズに答えました。
Rule No2. 特定のグループにとって魅力的になる Be irresistible to a specific group of people |
アメリカでアイスクリームのマーケティングリサーチを行うと、圧倒的に人気のあるのはバニラ味です。どのブランドもバニラ味のアイスクリームを販売する中、消費者は、バニラ味のアイスクリームを買うものの、ブランドの違いを気にすることはありませんでした。1991年、グローバルリセッションに入ると、バニラ味のアイスクリームの値引き合戦が始まります。そんな中で、価格が4倍にも相当する『チェリーガルシア』という唯一無二のアイスクリームの販売を開始したのが、ベン&ジェリーズです。『チェリーガルシア』のネーミングは、ロックグループのグレイトフルデッドのリーダー『ジェリーガルシア』をもじったものですが、そのジェリーガルシア自身が、「単にベストオブベストになりたいと思ってはいけない。オンリーワンだと思われるようにならないといけない」と語っていたそうです。『チェリーガルシア』はそういアイスクリームだというメッセージを、商品名に込めているのです。
では、実際に行動を起こすにはどうすればいいのでしょうか?
世界が変わってしまった今、本当に必要なことは、まず実験に使う時間を確保する事だと Jeremyは言います。新しいアイデアを試すために自分の時間やお金を使って実験することが大切です。
ただ、すでにやっている事を全てシフトするという事ではなく、明るい未来を作り出すには、失敗が不可欠という事であり、失敗により新たな機会を見つける事ができると言っています。
Jeremyは、以下の様に『危機』の後に来る『カオス』のフェーズにビジネス機会があると捉え、『危機』の最中は消費者は恐怖を抱いているので、物を売るべきフェーズではないが、消費者の声を聞くことはとても有効だと言っています。
『危機』のフェーズは、緊迫感を生み出す。消費者は基本的生活必需品を求める。
『カオス』のフェーズは、ビジネス機会を生み出す。消費者は刻々と変化する。
① 経路依存 → ② 危機 → ③ カオス → ④ 新たな経路の設定

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『Covid-19後の未来。安全 vs プライバシー、リモートの定着 』
Wiredの編集長であるNicholasは、
Covid-19の発生により国のPrivacyがどの様に変わっていくかについて話しています。
Facebookの例を挙げると、テロリストからの情報を遮断するなど、安全なプラットフォームを構築するためにSafety面にフォーカスしてきました。それとは反対に、What's upは完全に暗号化したメーセージを使い個人を特定しにくくするなど、Privacy面にフォーカスしてきました。中国政府もコロナの情報共有に暗号化されたメッセージを使用していたと言われています。インターネットがつながった当初は、Privacyはそんなに重視されていませんでしたが、2018年(この時期にスキャンダルが多発)を境にどの商品やサービスもPrivacyを重視する様になりました。
コロナの影響で死を身近に感じる人が増え、人々はPrivacyを以前より気にしなくなっています。明日感染するとなったらPrivacyは何の意味も持たないという事です。国で見ると、Privacyよりも SafetyやSecurityを重視している国の方がパンデミックは治まりつつあり、また権威主義で市民が権利を持たない国は、個人特定が容易である事から死者数も少ないと言われています。この様に、Safety&Privacyにはいずれかを妥協する必要があるので、そのバランスを取る方法を考える事が重要だとNicholasは考えています。
今後は、オフィスの入り口にも温度カメラを設置し出勤前に感染を確認する、ウェアラブルウォッチで常に健康状態を自動で送信(耳・指輪など)し、事前に感染の拡大や場所を特定する、ドローンを使用し密接者に距離を開ける様警告する、Alexaなどのマイク内臓機器で咳を感知し個人を特定する、Facebookを介して症状を入力してもらう事で拡散状況をマッピングする、iphoneを介して感染者に近づいたら警告する、などが考えられます。
ドイツ、USA、シンガポール、オーストラリア、Englandではすでに開発が進んでいる様です。(以上の国ではPrivacyの確保より、コロナの阻止(Safety)にフォーカスしている)Safetyを選べばPrivacyを妥協せざるを得ない状況で、製品を開発する側は、適度なPrivacyを保つ事を考える必要があります。周りにいる人が咳をするだけで感染者を特定できる様になっても、その個人までは特定しないなど、製品開発における目的を忘れてはいけないという事です。5年後に振り返った際に、今の決断を異常に感じる事もありえるため、冷静に目的を定め、決断していくべきと彼は考えています。オンライン授業などは、今だけの対策ではなく、学校再開後も更にオンラインが活用されることは明確と言えます。Tele-medicineの例をあげても、Covid-19発生前は、法律が正しく制定されていないという理由で実施が遅れていましたが、発生後に実施が始まった事で、今後もその活用が期待できます。また働き方に関しても、リモートの機能性を学んだ企業は、 Covid-19収束後も引き続きテレワークの選択肢を残すだろうとNicholasは考えています。

- Shoko Strang株式会社mct カスタマーサクセスアソシエイト