
今回はみなさまにお知らせがあります。
私たちが自主プロジェクトとして進めてきた学習アプリ「CX4DX」が遂に完成しました!
本アプリはmctが企画・プロデュースを行い、日々のプロジェクトの裏で密かに(?)制作を進めてきたものです。苦節2年、やっとみなさまにお知らせができる日がきました。
今回はこのCX4DXについて少しご紹介できればと思います。
■ CX4DXとは? ■
本アプリは、組織でDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していく上で必要なCX(顧客経験)の考え方を学べる学習アプリです。動画レクチャーやクイズ、実践ワークを通して「DX推進のためのCX」について学ぶことができます。
※現時点では動画レクチャーと学習クイズの機能がついており、実践ワークは今後実装予定
■ プロトタイピングを繰り返しながら開発を進める ■
当初は「お客様と接する現場の従業員たちがCXについて学べるアプリ」というコンセプトのもと、2020年1月頃からプロジェクトがスタートしました。最初の頃は手書きレベルのスケッチを書いたりブレストを行いながら、自分たちの手で「まずつくってみる」を繰り返してアイデアを検討してきました。プロジェクトを通して社内外のテストを何度も繰り返し、改良を重ねています。
初期プロトタイプの一部。この2年、Adobe XD等のプロトタイピングツールを駆使しながら泥臭く開発を進めてきました
2020年の半ばごろにユーザー検証を経て、現在のコンセプトである「DXを推進する人たちがCXを学べるアプリ」というコンセプトに方向転換をし、デザインや機能を更にブラッシュアップしていくことになりました。この際、ターゲットやデザインなども一新しています。
元々はGembaCXというアプリでしたが、その後ターゲット・コンセプトを練り直し、現在のコンセプトに
プロトタイプをつくる→テストを繰り返しながら、デザインの方向性や機能、細かいインタラクションなどを徐々にアップデートしていきました。今回このような形でお披露目をしておりますが、これをもって完成!というわけではなく今後も新しい機能の拡張や実装を検討しております。

アンケート結果と修正方向の洗い出し
テストと制作を繰り返しながら現在の形に近づいていきました
実際の開発・実装フェーズに入るとアイデア構想・プロトタイピングの段階とはまた違った大変さも数多く経験し、「実際に世に出す」ということの難しさを感じました。またそれと同時に、このアプリ制作を通してメンバーの学びも非常に多く得られたと感じております。
本アプリは社内でDXを推進する方々の学習ツールとして、非常に役立つものになると思っておりますので、ご興味ある方には是非使ってみていただきたいと思います!
mctではクライアント様とのプロジェクト以外にも様々な社内プロジェクトを実施しており、今後もこういった事例について情報発信をしてまいります。
CX4DXについてもっと知りたい方、ご興味のある方はぜひ下記をご覧ください。
▶「CX4DX」CX視点でDXを推進する実践学習アプリ
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- Michiru Watanbe株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

- Shinpei Tsurumori株式会社mct
エクスペリエンスデザイナー/ストラテジスト

企業の業績に影響を与えるCX=顧客体験。ペルソナに共感し、その時間軸に沿った行動や感情の機微をカスタマージャーニーマップとして表現し、より良い顧客体験を経験してもらえるように次の施策を企画する。
このようなデザイン思考のプロセスは、今や多くの企業で採用されています。・・・ここまではもちろん正解なのですが、「次の一歩」を進めなければ実は”道半ば”とも言えます。ここではその一歩についてご紹介したいと思います。
本記事は、カスタマージャーニーを開発したがもっと上手く活用したい、とお考えの企業ご担当者様に是非お読みいただきたい内容です。もしジャーニーの主役が患者様であるならば、ペイシェントジャーニーと読み替えていただいても大丈夫です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めている企業にも有用な考え方かと思われます。DXを通して顧客体験がどう変化しているか。そのDXがどの程度有効であったのかを語るための物差しとなるでしょう。
◆CX<顧客体験>を測定する
あなたは以下を質問された時に自信をもって回答できるでしょうか?
Q. CXの施策がどの程度、ビジネスに効果をもたらしたか?(ビジネス効果の検証)
Q. この施策でCXはどの程度、変化したのか?(施策の検証)
Q. この施策でCXはどの程度、変化すると思うか?(施策の効果予測)
これらに回答するためには、元のCXのレベル感、そして、施策を通して変化したCXのレベル感、もしくは、施策を通して到達するだろうCXのレベル感、そしてそれらのビジネス成果への影響度を説明できることが求められます。いずれにせよ、CXの測定が必要になる訳です。

もちろん、企業活動は継続的に続くものであるため、この「企業活動=施策」と「CX測定」はローテーションとして交互に実施し、螺旋のように向上を目指していくことが求められます。
◆CX<顧客体験>の測定方法
CX測定に際して、大きくは以下の3つの指標を意識しながら実施します。
・MOT
Moment of Truth (真実の瞬間)と呼ばれるこの指標は、元はスカンジナビア航空のCEOであるヤン・カールソン氏が「わずかな接客時間で顧客体験が変化する」というインサイトを発見し、経営立て直しに役立てた考え方です。
現在は様々な形に拡張解釈されており、mctのCX測定では「CXに大きな影響を与える瞬間」としています。顧客体験は無限に切り取れてしまうので、いくつかの大切な瞬間に絞ってCXを測定しよう、ということです。
MOTとしてどの瞬間を捉えるかは、事前に定性調査等を通して丁寧に調査~検討を行った上で決定します。
・In Journey Signals
各MOTで顧客がどのような状態になったらCXとして成功なのか。ペルソナのゴールとして意味レベル・感情レベル・行動レベルのゴールがあるが、それらがどうなったら良い顧客体験が提供できたと言えるのか。それらを示すKPI指標です。
これらも事前の定性調査等を通して検討を行います。CX測定では、アンケートを使って測定することもあれば、Webの訪問者数等の数値を用いて測定する場合もあります。ジャーニーの中のシグナル、という意味でForrester Research 社等はこれらを「In Journey Signals」と読んでいます。
このKPI(=CXの達成度)は、貴社事業における重要な中間目標として計測を続けることが求められます。
・End of Journey Metric
CXの総合得点を評価する指標です。同指標は、当該事業の業績(売上等)を占うための重要な指標となります。
CXの測定結果を共有するツールとして、mctでは「顧客体験ダイアグラム」というツールをご準備しています。

定性調査・アンケート調査といった顧客調査、また、問い合わせ件数といった企業の保有データを組み合わせて同ダイアグラムを完成させます。
◆CX<顧客体験>の設計~運営
ここでは詳しくご説明しませんが、「顧客体験がこうなったら、CXの数値がこう変化し、業績にこのような影響を与えるだろう」という仮説づくりがCX測定の設計段階では重要です。海外では一般的な仮説づくりのメソッドを応用して本プロセスを進めます。
また、運営の段階ではデータ収集方法の設計、社内で共有する場の設定が重要となります。これらを全てデザインし、企業活動⇔CX測定の螺旋を描く体制を整えていきます。
◆何から始めれば良いか?
もし、貴社がカスタマージャーニーマップを作成済みでしたら、それは最適なスタート地点となります。同マップを作成したスタッフと共同でMOTを定義し、In Journey Signals や End of Journey Metric を設定し、まずは現状のCXの状態を測定する。それらをアンケート調査を使って進めることが初めの一歩です。
調査の建て付けとしては、「定性調査を行った後、アンケート調査で検証を行う」という一般的な流れにも沿っているので、社内でも承認を得られやすいのではないでしょうか。
そして、施策を実施してしばらくして、CXがどう変化したかを測定したいタイミングで2回目の測定を実施する流れとなります。
以上、本記事「CX<顧客体験>を測定し、企業活動を評価する」をお読みいただき、ありがとうございました。もう少し詳しく情報が必要な場合、弊社スタッフにご連絡いただくか、以下のフォームよりお問合せください。担当者から折り返しご連絡させていただきます。
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- Takeshi Sato株式会社mct
ストラテジスト

- Michiru Watanbe株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

こんにちは、mct CXチームの増田です。
日々リサーチをしていると、対象者の方の発言にハッとさせられる瞬間が多々あります。「生の声」の持つインパクトは大きく、特にそれが自社ユーザーのものであった場合など、皆さんも興味津々なのではないでしょうか。
一方で、ユーザーの生の声からダイレクトに商品開発につながったとか、新規ビジネスが始まったとかいうケースは、あまり耳にしません。(あくまで私の主観です)
やはり「生の声」は未加工の「ローデータ」なので、そこから一歩先の「考察」が不可欠です。自戒を込めて書きますが、「ユーザー中心」の考え方が陥りがちなリスクとして、「ユーザーリサーチの結果に過度に引っ張られるあまり、考察が不十分になってしまう」という点があると思います。ユーザーに共感することは大切ですが、彼らの発言を絶対的な “印籠”のように取り扱うと、最悪の場合、自らの頭で思考しなくなってしまうことも起こり得ます。
では、こういった事態を避けるためにはどのようにすればいいのでしょうか? 活発な議論や深い考察を促すおすすめの方法を、今回は3つご紹介します。
❶ユーザーリサーチそのものを、未来志向にデザインする

例えば、自分たちが一朝一夕には共感できないような対象者をリクルートしてみましょう。いわゆる「エクストリームユーザー」と呼ばれるような人たちや「イノベーター」と称される人たち。彼らの発言や行動は、今の私たちの常識ではなかなか計り知れません。
「まったく共感できない変わった人たちだ」と切り捨てるのではなく、自分が理解できなかったこと/驚いたこと/ショックを受けたことなどを冷静に受け止めてみましょう。現代の常識の枠の外で起こり得る価値観を咀嚼することは、未来に向けた議論のきっかけになります。
テーマ例 × ユニークなユーザー例
・健康管理サービス × オリンピックを目指すトップアスリート
・オンラインコミュニケーションツール × ゲーム配信を行うeスポーツインフルエンサー
・未来のモビリティサービス × ハリウッド映画を作るVFXスタジオのクリエイター
・決済サービス × 中国でサービス開発を行うUXデザイナー
❷今のユーザーリサーチとは別軸で、未来の“きざし”を積極的に探る

今のユーザーの延長線上にある王道の未来とは別に、「起こり得る未来」をいくつも考えてみましょう。ゼロから発想することは困難なので、先端事例など、なんらかのインプットを入れることがおすすめです。
例えば過去のプロジェクトでは、優れたSF作品(映画・アニメ・ゲームなど)を数十本ピックアップし、そこで描かれている世界観やディテールを徹底的に分析したことがあります。「ひょっとすると 」をキーワードに、メンバーそれぞれが(ある意味、邪道とも言える)未来の“きざし”を探索するアプローチは、なかなかに刺激的なものでした。
❸クリエイターをアサインし、未来の“きざし”を可視化する


未来の“きざし”はあくまでも小さな芽に過ぎません。そこからどのような考察を導くことができるのか、深く議論することが求められます。そして議論以上に重要なのが、議論の過程や結果をきちんと「可視化」することです。プロジェクトメンバーの中にクリエイターをアサインできれば、より高い精度が期待できるでしょう。
“きざし”という曖昧なものを例えば“シナリオ”という形でビジュアライズすることで議論が先に進みますし、新たなコンセプトのヒントを得ることにもつながります。
今回ご紹介した3つの方法は、いずれも未来に着目しています。一般的に、リサーチは“今”に傾倒しがちな側面がありますが、 “今”と“未来”の両軸から設計することで、プロジェクトにおける考察の質が一気に高まると思います。
こうした進め方にご興味のある方は、いつでもご相談ください。

ユニークなリサーチを取り入れたプロジェクト進行について、カジュアルな相談会のお申し込みを受け付けております。
・既存のリサーチに限界を感じている方
・未来に役立つアイデア開発をしたい方
・ユニークなデザインリサーチ〜アイデア創出のプロジェクトに興味のある方
は是非こちらよりお問い合わせください。
先着5名(担当者)様とさせていただいておりますのでお早めにお申し込みいただければと思います。
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- Nobuo Masuda株式会社mct
エスノグラファー/エクスペリエンスデザイナー