
こんにちは、mct CXチームの増田です。
日々リサーチをしていると、対象者の方の発言にハッとさせられる瞬間が多々あります。「生の声」の持つインパクトは大きく、特にそれが自社ユーザーのものであった場合など、皆さんも興味津々なのではないでしょうか。
一方で、ユーザーの生の声からダイレクトに商品開発につながったとか、新規ビジネスが始まったとかいうケースは、あまり耳にしません。(あくまで私の主観です)
やはり「生の声」は未加工の「ローデータ」なので、そこから一歩先の「考察」が不可欠です。自戒を込めて書きますが、「ユーザー中心」の考え方が陥りがちなリスクとして、「ユーザーリサーチの結果に過度に引っ張られるあまり、考察が不十分になってしまう」という点があると思います。ユーザーに共感することは大切ですが、彼らの発言を絶対的な “印籠”のように取り扱うと、最悪の場合、自らの頭で思考しなくなってしまうことも起こり得ます。
では、こういった事態を避けるためにはどのようにすればいいのでしょうか? 活発な議論や深い考察を促すおすすめの方法を、今回は3つご紹介します。
❶ユーザーリサーチそのものを、未来志向にデザインする

例えば、自分たちが一朝一夕には共感できないような対象者をリクルートしてみましょう。いわゆる「エクストリームユーザー」と呼ばれるような人たちや「イノベーター」と称される人たち。彼らの発言や行動は、今の私たちの常識ではなかなか計り知れません。
「まったく共感できない変わった人たちだ」と切り捨てるのではなく、自分が理解できなかったこと/驚いたこと/ショックを受けたことなどを冷静に受け止めてみましょう。現代の常識の枠の外で起こり得る価値観を咀嚼することは、未来に向けた議論のきっかけになります。
テーマ例 × ユニークなユーザー例
・健康管理サービス × オリンピックを目指すトップアスリート
・オンラインコミュニケーションツール × ゲーム配信を行うeスポーツインフルエンサー
・未来のモビリティサービス × ハリウッド映画を作るVFXスタジオのクリエイター
・決済サービス × 中国でサービス開発を行うUXデザイナー
❷今のユーザーリサーチとは別軸で、未来の“きざし”を積極的に探る

今のユーザーの延長線上にある王道の未来とは別に、「起こり得る未来」をいくつも考えてみましょう。ゼロから発想することは困難なので、先端事例など、なんらかのインプットを入れることがおすすめです。
例えば過去のプロジェクトでは、優れたSF作品(映画・アニメ・ゲームなど)を数十本ピックアップし、そこで描かれている世界観やディテールを徹底的に分析したことがあります。「ひょっとすると 」をキーワードに、メンバーそれぞれが(ある意味、邪道とも言える)未来の“きざし”を探索するアプローチは、なかなかに刺激的なものでした。
❸クリエイターをアサインし、未来の“きざし”を可視化する


未来の“きざし”はあくまでも小さな芽に過ぎません。そこからどのような考察を導くことができるのか、深く議論することが求められます。そして議論以上に重要なのが、議論の過程や結果をきちんと「可視化」することです。プロジェクトメンバーの中にクリエイターをアサインできれば、より高い精度が期待できるでしょう。
“きざし”という曖昧なものを例えば“シナリオ”という形でビジュアライズすることで議論が先に進みますし、新たなコンセプトのヒントを得ることにもつながります。
今回ご紹介した3つの方法は、いずれも未来に着目しています。一般的に、リサーチは“今”に傾倒しがちな側面がありますが、 “今”と“未来”の両軸から設計することで、プロジェクトにおける考察の質が一気に高まると思います。
こうした進め方にご興味のある方は、いつでもご相談ください。

ユニークなリサーチを取り入れたプロジェクト進行について、カジュアルな相談会のお申し込みを受け付けております。
・既存のリサーチに限界を感じている方
・未来に役立つアイデア開発をしたい方
・ユニークなデザインリサーチ〜アイデア創出のプロジェクトに興味のある方
は是非こちらよりお問い合わせください。
先着5名(担当者)様とさせていただいておりますのでお早めにお申し込みいただければと思います。
→ 最新のイベントやホームページでは紹介していない役立つ情報をお届けしています。
メールマガジンの登録は こちら!
→ このブログに関してのお問い合わせはこちらからお願い致します。

- Nobuo Masuda株式会社mct
エスノグラファー/エクスペリエンスデザイナー
.png?width=800&name=0419_%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%81%AE%E3%81%94%E7%B4%B9%E4%BB%8B03%20(1).png)
コロナ渦の中、これまで海外で仕事をされていた方々の中には、情報収集の手段が限定的になったり、今までよりも成果の達成に時間がかかってしまっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
mctは、以前よりリモートで海外の情報を得るために様々な手法(詳しくは下記参照)を提供しております。
また、mctのグローバルデザインチームには、アメリカ、中国、スペイン、ベトナムのメンバーが在籍しており、日本語、英語、スペイン語、イタリア語、中国語、ベトナム語での対応が可能です。それ以外の言語についても、現地や日本のパートナーによりカバーされています。
チームメンバーの紹介や簡単な事例を資料にまとめましたので、以下よりダウンロードしてご確認ください。
[資料ダウンロード] Global design team のご紹介

多国籍で様々なバックグラウンドを持つメンバーとのディスカッション、アイディエーションをすることで、言語の枠を超えてインサイトを特定し、アイディア発想を引き出すことが可能になります。
ご興味のある方は、どうぞお問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。
●Benchmark research
海外の企業がどのようにビジネスを展開しているのか調査し、比較することで自社のビジネス展開のヒントを得ることができます。例えばエクスパートインタビューでは、大企業のエグゼクティヴクラスのエクスパートにリーチすることが可能です。他社企業の部門構造/ナレッジマネジメントのシステム/MVPの手法などを知ることができます。またインタビュー結果にmctの解釈を加え、クライアント内で有効活用いただける資料を提供します。
●Trend research
海外のトレンドをSNSや海外記事を通じて収集します。集めた情報はNotionで共有し、デイリーにアップデートして、調査の方向性をクライアントと話し合いながら調整をしていきます。期間は1週間から、年間での契約も可能です。年間契約の場合は、データのストック方法も各社にあわせてデザインします。また収集した情報にmctの見解などを加え、クライアント内で有効活用いただける資料を提供します。
●ストリートインタビュー
現地のパートナー(フォトグラファー/デザイナー)が路上で人々の写真をとり、インタビューをします。
●リモートユーザーリサーチ
複数の国で同時にユーザーインタビューを実施し、比較して分析します。リモートでより効率よくデータを収集するために、事前課題としてセルフドキュメンタリー、日記などを使います。
●海外企業やユーザー、パートナーとのアイディエーション
海外企業やユーザー、パートナーとのセッションを設定し、ファシリテーションをmctが実施します。ツールはMiroなどを利用します。Miroのデザインはセッションに応じてmctがフレームワークをデザインします。
●リサーチ結果の可視化
デスクリサーチやインタビューで得られた情報を、メンバーで共有しやすくするため可視化します。
ペルソナ/ジャーニーマップ/エラスマップ(トレンドの歴史をたどるマップ)/トレンドマトリックス(収集したトレンドデータの分析)
●トレーニング
海外/国内の海外メンバーやパートナーにカスタマーエクスペリエンスデザインのレクチャーをすることが可能です。
→ 最新のイベントやホームページでは紹介していない役立つ情報をお届けしています。
メールマガジンの登録は こちら!
→ 内容に関するお問い合わせはこちらからお願い致します。

- Shiho Ishihara株式会社mct
エクスペリエンスデザイナー