
いきなりですが、GitLabのダーレン・マーフさんは以下のような仕事をしています。彼のポジションは何でしょう?
・リロケーションの専門家として、大都市を離れたい同僚が、ブロードバンドへのアクセスが良い安い地域はどこなのかを考える手助けをする
・エグゼクティブ・コーチとして、シニア・リーダーがリモート・フレンドリーな方法で新しいプロジェクトを推進できるように支援する
・技術アドバイザーとして、新しいリモートツールを評価する
・コミュニケーションのプロとして、在宅勤務のポリシーをリモートワークのハンドブックにまとめる
・イベントプランナーとして、バーチャルなチームビルディングの活動を計画する
答えは、「リモートワーク の責任者(Head of Remote Work)」。
ワシントンポストによると、いま米国で「リモートワークの責任者」がホットな職種になっているそうです。GitLabだけでなく、SlackではCXの副社長がリモートワーク への移行を推進中で、FacebookやQuoraなどでは「リモートワークの責任者」の募集をはじめています。WeWorkの元副社長のリズ・ブロウ氏は「より多くの企業がリモートワークの調整を担当したり、オフィスにいる人とそうでない人がいるハイブリッドなワークプレイスをリードする人物を指名するようになるだろう」と述べています。
いま、テック企業を中心にリモートワークの定着が企業の成長に欠かせないという認識が広がっています。在宅か出社か、あるいはその組み合わせかといった単なる場所の問題ではなく、組織のレジリエンスを高める企業の成長ドライバーとしてリモートワークを捉え、それを加速させるためにどんな役割の人・部門が、何をするべきかを考え、取り組んでいくべきだとmctは考えています。
リモートの普及に伴いますます重要になってくるのが自律、健康、スキル、つながりの4つです。
自律:
仕事がリモートに移行し、従業員はより自律的に働くことが求めらるようになりました。しかし、誰もが自律的な働き方を得意としているわけではなく、企業側も、従業員の個性や能力に沿って自律性を尊重、促進する体制やプロセスを十分に整えることができずにいます。
健康:
オフィスに出社する頻度が減り、顔を合わせればなんとなくわかっていた従業員の健康状態が見えなくなって、さらに在宅勤務ならではの身体的、精神的ストレスといった新たな問題が浮上してきています。
スキル:
多くの従業員がいきなりリモートのスキルを習得し、使いこなすことを強いられてきましたが、どんなスキルが必要で、どのように習得していくのかが明確でない企業もあり、スキルのギャップや格差が広がりはじめています。
つながり:
従業員が物理的に集まる機会が減ってしまい、これまでと同じように組織と従業員、従業員間のつながりを維持することが難しくなっています。さらに、つながりそのものの意味が問われはじめています。
組織は、自律、健康、スキル、つながりの4つの課題に対して、どのように取り組んでいけばいいのでしょうか。まずはじめに、組織がリモートでどんな働き方を期待し、どう行動すればいいのか、リモートワークの方針や期待、役割、進め方について、わかりやすく、具体的に従業員に伝えます。これは、従業員の活動をサポートするガイドブックの役割を果たします。ガイドブックは「こう決まっているから、このルールを守ってください」といった就業規則や業務命令のようなものではありません。個人や組織のレジリエンスを高めるために、自律的な働き方を尊重し、サポートするためのものであることを従業員に理解、共感してもらうこと、そして具体的に役立つコンテンツを提供することがポイントになります。
次に技術・ツール。今回のパンデミックを通じて、リモートに対応していないITシステムの問題を多くの企業が経験しました。次いつ起こるかわからない危機に備えるためには、技術・ツールのリモート対応が欠かせません。技術・ツールの導入においてセキュリティーが重要になるのは当然ですが、同時に、従業員体験(EX)について考えることも大切です。すでにパンデミック以前から、従業員がITシステムやツールを利用する場面が増えていましたが、リモート環境においては、技術・ツールの良し悪しが仕事の生産性を大きく左右するようになります。ガバナンスやセキュリティーだけを考えて従業員に我慢を強いるのではなく、いかに従業員の負担を減らし、仕事をスムーズにし、自律的な活動をサポートするかという視点での導入がポイントになります。
そして活動。リモートワークのガイドブックや技術・ツールをベースに、従業員が主体的に活動する機会を与え、リモート環境での働き方の実践を後押しします。ここでの活動は、単にこれまでオフィスで行っていた活動をリモートに置き換えるというレベルに留まりません。目指すのは、新しい働き方を試み、改善を重ねていくことで、自律、スキル、健康、つながりを向上させ、組織のレジリエンスを高めていくことです。活動を通じて従業員自身の手でガイドブックをより優れたものにバージョンアップしたり、技術やツールの導入や応用に自ら取り組めるような、自律的なプロセスを構築することがポイントになります。
リモートワークのメリットを最大限に生かしている企業はまだほとんどありません。また、一朝一夕で実現できるものでもありません。しかし、その重要性をいち早く認識し、継続的に取り組んでいった企業が、レジリエンスの高い企業に成長していくとわたしたちは考えています。
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- Hideaki Shirane株式会社mct
CEO / ストラテジスト

- Victor Corral株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

Remote Design Weekレポートvol.3ということで、今回は、様々なデジタルツールを使ったチームでの仕事の進め方についてのセッションをご紹介します。スピーカーはfigmaでデザインディレクターを務めるNoah Levinさん。figmaで働く前にはGoogleやFramer、NASAなど様々な業界で活躍されていたそうです。本セッション「Figma’s Remote Design Process」では、リモートで働くチームのノウハウやデジタルツールの活用方法など、Figmaならではの仕事の進め方が紹介されていました。いかに心理的安全性を高めながら創造性を引き出すか?
”チームでのコラボレーション”を中心にセッションの内容をご紹介していきたいと思います。
※figmaとは:ブラウザ上でも作業が可能なデザインツール。オンラインで複数人での共同作業が可能なことが大きな特徴。
1. オンラインにこそメンバーの”リアル”を感じさせる雑談を
リモートワーク中心になる前は、会社で他愛もない会話をしたり、少し雑談をしたりといった時間があったかと思います。リモート中心のコミュニケーションが増えた今、Levinさんたちのチームでは、画面の中で仕事以外のことを話す機会を積極的に作っているそうです。メンバーの1人がバーチャル背景を使って自分のマグカップコレクションを写し他愛もない話をしたり、メンバーの週末の振り返りなどをアイスブレイクとして、ミーティングを進めていきます。
zoomを使えばメンバーの好きな音楽をシェアすることもできるので、みんなでプレイリストを作ってコーヒータイムを楽しんでいるそうです。そうしたゆとりのある時間がチームが前向きになることに寄与しているそうです。
こうやってチームメンバー同士がカジュアルに話せる場作りというものは、リモートで働くにあたって重要な時間になっていそうだなと感じました。
2.チームワークを高める週単位のコミュニケーション

Levinさんのデザインチームでは、月曜の朝にはWarm-upというミーティングが設けられており、チームメンバーお互いの予定を共有したり、チームとしての1週間の計画を立てたりする時間を作っています。ここではお互いが興味を持っていることやチームとして改善したいこと、デザインレビューのやり方についてなど様々なテーマについて話す場となっています。このWarm-upは週によってはキャンセルすることもあり、月に3回くらいのゆったりとしたペースで進められています。週の初めはその前の週のポジテイブなニュースの振り返りを皮切りに今週のタスクについて各メンバーが説明を行なっていきます。この週のタスクや行うべきミッションについてメンバーで共有をし、ミーティング内容はnotionに一括管理しており、それぞれのタブに回ごとのディスカッション内容がまとめられています。
※Notionとは:タスク、Wiki、およびデータベースを統合するメモアプリケーションサービス。メモ作成、プロジェクト管理、タスク管理を行える。
普段のコミュニケーションにおいてはslackがコラボレーションのツールとして採用されています。slackの中の「design-crit-crit (デザイン批評)」というチャンネルでは、メンバーそれぞれがうまくいっていないことや、もっと良くできると思うことなど、日々の考えやメンバーの思いを共有する場が作られています。日々のメンバーの投稿は集約され、製品自体の改良やチームマネジメントに活用されています。
※slackとは:Stewart Butterfieldによって開発されたチームコミュニケーションツール。 トピックごとの「チャンネル」がありその中でメッセージなどをやりとりすることができる

そして週の終わりには、Cool downと呼ばれるリラックスした時間が設けられています。ここでは、リラックスした雰囲気の中で、チームで何か新しいことを学んだり、一緒にゲームやWSをしたりして、協働作業をするためのノウハウやナレッジが多く共有されています。ある時はfigmaのペンツールを使って絵しりとりのようなものをやってみたり、またある時にはfigmaのプラグインを使ってゲーム”マリオパーティ”を真似たボードゲームを作ってみたりと、様々な試みがなされる創造的な実験の場となっているようです。
週のはじめのWarm upからおわりのCool downといった風に最適なリズムで仕事のプロセスがデザインされています。
3.フィードバックの質を高めるFigmaの6つのフレームワーク
figma社では、製品、仕事の質を高めるために「フィードバックを行うこと」を非常に重要視しています。セッションでは6つのフィードバックのフレームワークが紹介されていました。以下が6つのフレームワークです。

① Standard critique
「プレゼンテーション」→「講評」スタイルの一般的なフィードバック方法です。
② Jam / Workshop
ブレインストーミングやクレイジー8(白紙を8つ折りにして制限時間内に1つの枠内に1つのアイデアを出していく手法)、グループでのスケッチワークなど共創型のフィードバック方法です。デザインプロセスの初期やアイデアに行き詰まった時は特に有効です。
③ Pair Design
2-3人の少人数グループでアイディエーション、フィードバックを行う方法です。大人数でのワークよりもより柔軟で実践的な取り組みが可能になります。
④ Silent Critique
口頭でのフィードバックではなく、全員がデジタル上で対象へフィードバック(コメント)をしていきます。多くのレビューが必要なときに有効です。またオンライン上で行うため、いつでもメンバーがフィードバックできることも特徴の1つです。
⑤ Paper Print-Out
印刷した対象物を壁に貼ってレビューする方法です。オープンで、共創的な場作りをするのに役立ちます。
⑥ FYI
クイックな共有と軽い議論をする(もしくは議論は後日行う)方法です。まだ深く議論するような内容が定まっていないときや取り急ぎ情報を共有するときに使われます。
その中でもオンラインならではのレビュー、フィードバックの方法についてご紹介します。
④のSilent CritiqueはLevinさんらが最もよく使っているフィードバック方法だそうです。メンバーそれぞれが付箋のようなものでコメントやメモを残していく方法です。一般的な口頭でのフィードバックだと声の大きい人の意見に傾いてしまう傾向がありますが、それに比べると発言への抵抗感を下げることができ、様々な人からのコメントを得ることができます。figmaではコメント機能があるので、このように大量のコメントがメンバーから出されているようです。

また②Jam / Workshopでのフィードバックもよく使われています。figmaを使ってアイデア出しをすることで、プロジェクトの初期段階でも様々なアイデア、意見を得ることができます。
これらはオンラインならではのスピード感や公平性を生かしたフィードバックの方法だと思います。
おわりに
多くの方たちにとってリモートで働くということがより当たり前になってきた今、日常の業務やチームでの関わり合い方もリアルの場から大きく変わってきています。figma社では、プロセスに参加している人が多ければ多いほど、より多く学ぶことができると考えられているそうです。リモート環境下でもメンバー同士で積極的なコミュニケーションをとり、多くのフィードバックをし合いながら、製品・サービス・環境をより良くしていく。また彼らの組織カルチャーを支えているのがリモートコラボレーションツールです。リモートワークをきっかけに、リモートコラボレーションツールをうまく活用して、メンバーの心理的な負担を取り除いたり、創造性を引き出す仕組みを取り入れてみてはいかがでしょうか?アフターコロナは、自分たちの組織に合わせたチームビルディングのチャンスともいえるでしょう。
他のmctのRemote Design Weekに関する記事はこちら
・Remote Design Weekについて
・「Insights in Design and Business During COVID-19」(コロナ禍におけるビジネスとデザインのインサイト)
アフターコロナビジョニングについて

「Making New Things 〜アフターコロナ・ビジョニング」は、コロナショックをテーマに株式会社mctが主催するデザインリサーチプロジェクトです。全てのプロセスをオンラインで行い、下記の3つの活動を主活動としてアフターコロナの未来創造を支援します。このプロジェクトへの協賛企業を募集しています。

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- Michiru Watanbe株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

Vol.1では、リモートワークがもたらした課題、課題解決の鍵である「チームカルチャー」とは何か、それを強固にしていくためのヒントについて紹介しました。今回は、リモートワークで「離れていながらにして、どのようにしてチームカルチャーを築くことができるか?」ということに焦点を当てて考えていきます。
Vol.1「チームカルチャーとは何か?」はこちら
離れていながらにして、チームカルチャーを築くには?

"強いカルチャーを創造するために、物理的に全員が一緒にいる必要はありません。
最高のカルチャーは、人々の実際の行いから生み出されます“
—ジェイソン・フリード(「ベースキャンプ」共同創設者兼CEO)
リモートワークは、チームカルチャーの中にある既存の問題を増幅させてしまうことがあります。メンバーと常に連絡を取り合ったり、サポートを受けられなかったりする環境下では、より顕著に問題が発生する可能性も否めません。しかしそれと同時に、リモートワークはこれらの問題を解決し、チームがより良い仕事ができるようになるための素晴らしい機会にもなり得るのです。
リモートワーク中でも、チームの一体感を感じ、安全で信頼できると感じられることは、各メンバーが積極的にリスクをとって活動をするために必要不可欠な要素です。多少リスクを感じるような挑戦がなければ、仕事のパフォーマンスをより高いレベルに引き上げ、よりエネルギッシュに活動し、結果的に満足度の高いライフワークバランスを実現するということも難しくなるでしょう。
は、リモート環境でもチームカルチャーを維持し、非リモート環境と同等あるいはそれ以上に強固なものにするためには、どのような動機付けが必要でしょうか?

リモートでチームカルチャーを醸成するためのポイント
✔︎ 有意義な仕事を定義し、優先する
リモートワーク時は、常に仕事をしているということを同僚に示すため、すぐにチャット等の要求に応えなければと感じがちです。しかし、中断されるべきではない有意義な仕事を定義してそのための時間を確保したり、他のメンバーに予め伝えたりしておくことで、チームとしての生産性を高めることを意識しましょう。
✔︎ 仕事の方針を明確にする
"フレキシブルな働き方 "や "リモートワーク"は、人によって異なる解釈をされることがあります。メンバーは毎日一定時間、オンラインにしておくことが必要? 定期的に本社に出向く必要は? メンバーに空気を読ませるのではなく、会社あるいはチームとしての方針を明示することが必須です。
✔︎ クリエイティブなやりとりでつながる
SlackやTeamsなどのプラットフォームを介して、「読書会」のように、仕事に関連するトピックを共有するための場をつくります。仕事とは関係がなくても、写真や考えの交換、オンラインでのハッピーアワー(お茶会や飲み会)やお料理教室など、お互いのクリエイティビティが刺激されるような仕掛けがつながりを生みます。
✔︎ 適切なハードウェアとツールでサポートする
自宅で働くことは、オフィスと同じようにというわけにはいきません。働くために整っていないスペースを無理やり作業エリアとして使うことも多々あります。あなたのチームが快適な作業環境を得るために、必要なハードウェアやツールという面からもサポートを提供しましょう。
✔︎ 相手の置かれた状況を理解し、信頼を築く
誰も見ていないのに仕事をしなければならないため、リモートワークではなおさらお互いの信頼が重要です。マネージャーと従業員とはお互いに、仕事の問題、また時にはパーソナルな問題に誠実に向き合う必要があります。自分のことだけではなく他者の目線に立ち、お互いの人間的なニーズを考慮して行動することが大切です。
「心理的安全性」が信頼を築くための一歩となる

リモートワークでは、「時間」や「人との交流」がより散発的で、貴重なものになります。メール等のコミュニケーションでは、対面と同じ量のやりとりを行うことはできません。そのため、自分の意見を述べたり、質問したりするには今まで以上の「努力」が必要とされます。実際にオンライン会議では、「これはテーマと関連性が高いコメントか?」「意味のある質問か?」ということを瞬間的に判断し、発言を躊躇してしまう場面も多くあるのではないでしょうか。
こうした考え方の変化に、トップの皆さんはより敏感になってください。リーダーは日頃から、メンバーがお互いにオープンで、自然なやりとりができるよう配慮すべきですが、リモートの場合はさらに、一見誰からも気づかれにくい「孤立」により多くの注意を払う必要があります。例えばミーティングの始めに、メンバーに積極的に意見を求め、「どんなコメントや質問でも、チームにとって貴重でポジティブなインプットになります」と伝えることが、すべてのチームメンバーの参加を奨励することにつながります。
コミュニケーションとコラボレーションを向上させるためには、対面の場合と同様に、それぞれのチームメンバーが自分の仕事や人生についての意見をオープンに、自信を持って共有できるスペースやプラットフォームが用意されている必要があります。
ハーバードビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授は、こうした、率直に意見したり質問したりしてもこのチームでは安全であるという、チームメンバーによって共有された考えのことを「Psychological Safety(心理的安全性)」として定義づけています。(この概念に興味がある方は、「心理的安全性」というキーワードで検索してみてください)
先述した「リモートでチームカルチャーを醸成するためのポイント」は、組織での立場や働く場所に関係なく、チームメンバーが自分の意見が取り入れられている、と感じるための鍵となります。そしてそれは、ベースとして「心理的安全性」が担保された場だからこそ、実現可能であることを忘れないでください。
今の状況だから「仕方ない」と諦めますか?
いえ、今の状況を「機会」として捉え、これからの働き方を、さらに上位のレベルへと革新していきましょう!
mctでは、リモート下におけるオンラインツール(ZoomやMiroなど)のスキルアップ、チームビルディングのためのオンラインワークショップを企画中です。
また、海外のオンラインでのリモートエスノグラフィも引き続き実施しています。変貌していく世界の生活者の価値観についてコンテクストの理解を深めながら、機会探索のサポートをいたします。お気軽にお問い合わせください。
記事原文:Victor Corral 日本語編集:池田 映子
●Playful NetWorkのお知らせ
mctは2019年に、これからの新しい働き方について考える参加型コミュニティ「Playful NetWork」を立ち上げました。会社や業界の枠を離れて、個人の方でも気軽に参加できる実験的な場です。EX(従業員経験)や、組織の中でイノベーションが生まれやすい環境をデザインしていくことにご興味のある方は、下記のFacebookページもぜひチェックしてみてください。
https://www.facebook.com/groups/PlayfulNetWork/

定期的なオンラインイベントも開催中です!

- Victor Corral株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

パンデミックは多くの人々の生活にネガティブで暗い影響を与えていますが、同時に、組織や企業、社会にとっては、自らを再定義し、新たな現実に即した運営モデルを模索する機会にもなっています。その機会をもたらした大きな変化の一つは、多くの企業が在宅ワークを—多くの場合は強制的に—採用したことです。
リモートワークがこれからのスタンダードに
リモートワークは、それ自体は新しいことではなく、グローバル企業を中心に数年前から世界中の企業が採用していました。しかし今回のように半ば強制的に、十分な準備期間もなくリモートワークが推進される中で、下記のような課題と、新しい機会が浮かび上がってきました。
- ホワイトボードやPost-itなど、共同作業のための物理的なツールが使えない
- 新しいデジタル・ツールをマスターするのに労力がかかる
- ボディランゲージや非言語情報が欠落し、コミュニケーションが取りづらい
- 気が散る環境下で、なかなかワークに集中できない
- 直接会うという形で、チーム文化を確立することが難しい
ここで、このリストの最後の項目に着目してみましょう。離れていながらも、強力なチームカルチャーを構築することができれば、リストにある他の課題の解決に近づくことができるのではないかと私たちは考えました。 ではどのようにすれば、強いチームカルチャーを構築し、私たちのリモートワークをより充実させ、そのメリットを最大限に引き出すことができるのでしょうか。
What is Team Culture ?
チームカルチャーとは、個人のパフォーマンスや個性、態度のことを問題にしているのではありません。大切なのは、メンバーがどのようにまとまりのあるユニットとして一緒に仕事をしているか、各メンバーがどのように他のメンバーと連携し、より良い結果を生み出すために自分のスキルを効果的に提供できているか、ということです。
チームカルチャーは、下記の3つの柱を中心に構築されています。
・信念
全てのチームメンバーが信じていること、指針となるメンタリティ、スタイル、ルール。
・行動
それぞれのメンバーの実際の振る舞い、行動。
・ツールと環境
メンバーが本来あるべき行動ができるようにサポートするためのデバイス、ソフトウェア、適切な作業スペース(自宅も含む)など。
チームカルチャーを構成する3つの柱
強いチームカルチャーを構築するには?
強いチームカルチャーを構築するために、チームがコントロールできる側面には色々なものがありますが、これから紹介する考え方は、先述した3つの柱「信念」「行動」「ツールと環境」を効果的にサポートすることができます。

強力なチームカルチャーをつくるために
✔︎ 最適な人材を採用する
確実にチームに最適な人材のみを採用することで、チームカルチャーの形成プロセスが大幅に容易になります。
✔︎ 儀式と伝統をつくる
特定の活動やプロセスは、友人や家族などのグループによって繰り返されることで「伝統」となっていきます。同じように、チームメンバーと一緒に特別なプロセスを作り上げることは、チームの結束力を保ち、オープンなコミュニケーションと信頼関係を築くことに寄与します。
✔︎ 責任感を醸成する
チームメンバーは、自分の仕事が、全体的な文脈の中でどこに当てはまるのかを理解する必要があります。それにより、各人が自分の仕事に責任を持つと共に、メンバー間のつながりや相互に補完しあっている存在であることを再認識することができます。
✔︎ オープンな環境をつくる
メンバーが自分の意見を表明することを恐れないような、かつ敬意を持って発言できるような、オープンな環境づくりを心がけます。全員に発言権を与えることで、より多くの異なる視点や意見を取り入れることができるようになります。
✔︎ ディスカッションと改善を繰り返す
定期的にメンバー全員と話し合う機会を作ります。チームとしてどのように仕事をしているか、自分の価値観は何か、期待や恐れは何か。そして団結力のあるユニットとして成功するために自分たちは何をすべきかを話し合うことで、向かうべき方向を再確認します。
今回は、リモートワークがもたらした課題、課題解決の鍵である「チームカルチャー」とは何か、それを強固にしていくためのヒントについて紹介しました。Vol.2では、リモートワークで「離れていながらにして、どのようにしてチームカルチャーを築くことができるか?」ということに焦点を当てて考えていきます。
Vol.2「離れていながらにして、チームカルチャーを築くには?」へ続く
記事原文:Victor Corral 日本語編集:池田 映子
●Playful NetWorkのお知らせ
mctは2019年に、これからの新しい働き方について考える参加型コミュニティ「Playful NetWork」を立ち上げました。会社や業界の枠を離れて、個人の方でも気軽に参加できる実験的な場です。EX(従業員経験)や、組織の中でイノベーションが生まれやすい環境をデザインしていくことにご興味のある方は、下記のFacebookページもぜひチェックしてみてください。
https://www.facebook.com/groups/PlayfulNetWork/

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