
企業の業績に影響を与えるCX=顧客体験。ペルソナに共感し、その時間軸に沿った行動や感情の機微をカスタマージャーニーマップとして表現し、より良い顧客体験を経験してもらえるように次の施策を企画する。
このようなデザイン思考のプロセスは、今や多くの企業で採用されています。・・・ここまではもちろん正解なのですが、「次の一歩」を進めなければ実は”道半ば”とも言えます。ここではその一歩についてご紹介したいと思います。
本記事は、カスタマージャーニーを開発したがもっと上手く活用したい、とお考えの企業ご担当者様に是非お読みいただきたい内容です。もしジャーニーの主役が患者様であるならば、ペイシェントジャーニーと読み替えていただいても大丈夫です。
DX(デジタルトランスフォーメーション)を進めている企業にも有用な考え方かと思われます。DXを通して顧客体験がどう変化しているか。そのDXがどの程度有効であったのかを語るための物差しとなるでしょう。
◆CX<顧客体験>を測定する
あなたは以下を質問された時に自信をもって回答できるでしょうか?
Q. CXの施策がどの程度、ビジネスに効果をもたらしたか?(ビジネス効果の検証)
Q. この施策でCXはどの程度、変化したのか?(施策の検証)
Q. この施策でCXはどの程度、変化すると思うか?(施策の効果予測)
これらに回答するためには、元のCXのレベル感、そして、施策を通して変化したCXのレベル感、もしくは、施策を通して到達するだろうCXのレベル感、そしてそれらのビジネス成果への影響度を説明できることが求められます。いずれにせよ、CXの測定が必要になる訳です。

もちろん、企業活動は継続的に続くものであるため、この「企業活動=施策」と「CX測定」はローテーションとして交互に実施し、螺旋のように向上を目指していくことが求められます。
◆CX<顧客体験>の測定方法
CX測定に際して、大きくは以下の3つの指標を意識しながら実施します。
・MOT
Moment of Truth (真実の瞬間)と呼ばれるこの指標は、元はスカンジナビア航空のCEOであるヤン・カールソン氏が「わずかな接客時間で顧客体験が変化する」というインサイトを発見し、経営立て直しに役立てた考え方です。
現在は様々な形に拡張解釈されており、mctのCX測定では「CXに大きな影響を与える瞬間」としています。顧客体験は無限に切り取れてしまうので、いくつかの大切な瞬間に絞ってCXを測定しよう、ということです。
MOTとしてどの瞬間を捉えるかは、事前に定性調査等を通して丁寧に調査~検討を行った上で決定します。
・In Journey Signals
各MOTで顧客がどのような状態になったらCXとして成功なのか。ペルソナのゴールとして意味レベル・感情レベル・行動レベルのゴールがあるが、それらがどうなったら良い顧客体験が提供できたと言えるのか。それらを示すKPI指標です。
これらも事前の定性調査等を通して検討を行います。CX測定では、アンケートを使って測定することもあれば、Webの訪問者数等の数値を用いて測定する場合もあります。ジャーニーの中のシグナル、という意味でForrester Research 社等はこれらを「In Journey Signals」と読んでいます。
このKPI(=CXの達成度)は、貴社事業における重要な中間目標として計測を続けることが求められます。
・End of Journey Metric
CXの総合得点を評価する指標です。同指標は、当該事業の業績(売上等)を占うための重要な指標となります。
CXの測定結果を共有するツールとして、mctでは「顧客体験ダイアグラム」というツールをご準備しています。

定性調査・アンケート調査といった顧客調査、また、問い合わせ件数といった企業の保有データを組み合わせて同ダイアグラムを完成させます。
◆CX<顧客体験>の設計~運営
ここでは詳しくご説明しませんが、「顧客体験がこうなったら、CXの数値がこう変化し、業績にこのような影響を与えるだろう」という仮説づくりがCX測定の設計段階では重要です。海外では一般的な仮説づくりのメソッドを応用して本プロセスを進めます。
また、運営の段階ではデータ収集方法の設計、社内で共有する場の設定が重要となります。これらを全てデザインし、企業活動⇔CX測定の螺旋を描く体制を整えていきます。
◆何から始めれば良いか?
もし、貴社がカスタマージャーニーマップを作成済みでしたら、それは最適なスタート地点となります。同マップを作成したスタッフと共同でMOTを定義し、In Journey Signals や End of Journey Metric を設定し、まずは現状のCXの状態を測定する。それらをアンケート調査を使って進めることが初めの一歩です。
調査の建て付けとしては、「定性調査を行った後、アンケート調査で検証を行う」という一般的な流れにも沿っているので、社内でも承認を得られやすいのではないでしょうか。
そして、施策を実施してしばらくして、CXがどう変化したかを測定したいタイミングで2回目の測定を実施する流れとなります。
以上、本記事「CX<顧客体験>を測定し、企業活動を評価する」をお読みいただき、ありがとうございました。もう少し詳しく情報が必要な場合、弊社スタッフにご連絡いただくか、以下のフォームよりお問合せください。担当者から折り返しご連絡させていただきます。
◆お問い合わせはこちらから
→ 最新のイベントやホームページでは紹介していない役立つ情報をお届けしています。
メールマガジンの登録は こちら!
→ 内容に関するお問い合わせはこちらからお願い致します。

- Takeshi Sato株式会社mct
ストラテジスト

リモートワークの普及によって働き方は便利で効率的になっていく一方で、創造的な活動におけるコラボレーションやコミュニケーションの面では、新たに複雑な問題が顕在化してきました。そのような環境変化の中で、注目されているのがオンラインコラボレーションツール「miro」です。miroは今やリモートワークを導入する企業では必須ツールだと言ってもいいかもしれません。
本記事では"組織内でmiroの活用をうまく進めていくためには?"というポイントについて動画でご紹介していきます。米国miro社からmiro Expertの公式認定を受けたmctが、どのようにmiroを活用しているかについて具体的な事例も交えながらお話します。
※本記事は、5/19と6/1にプレイフルネットワークのオンラインイベント「モーニングライブ」で配信された内容の編集レポートです。
<組織としてmiroを使いこなすために>
□ 新しいものに対する漠然とした苦手意識や恐怖意識を払拭していく必要があるかも。
□ 基本的なインストラクションが英語。だけど直感的な操作なので触ってみれば大丈夫!?
□ まず何から始めればいいのか分からない。“初めて”のハードルをいかに乗り越えるか。
□ miro勉強会。とりあえず使ってみよう! 使い方を共有し合おう!というムードを作る。
□ みんなで使う。(一人で使わない)
□ 学んだ人が他の人に教えていくという流れを作る。
□ 簡単な体験から始めて「できる」感覚を少しずつ積み重ねていく。
いかがでしたでしょうか?ご紹介したとおり、組織のメンバーに対してmiroを使うことをうまく動機付けできれば、チーム全体としてmiroを通じて活発なコラボレーションが可能になります。リモートワーク時代の最強ツール「miro」をみんなで使いこなしましょう。
今後もPlayful NetWorkでは、新しい働き方やチームのあり方に関するさまざまな情報発信やイベント開催を行なってまいります。ぜひFacebookグループもフォローください。
▶︎Playful NetWorkのFacebookグループはこちら
▶︎メールマガジンの登録はこちら

- Akihiro Yonemoto株式会社mct
エクスペリエンスデザイナー/ストラテジスト
-
-
-
-
-
-
- 先日、グローバルパートナーのOZA社が主催したウェビナーに、ベストセラー
- 『The Catalyst 一瞬で人の心が変わる伝え方の技術』の著者で、アップル、グーグル、ナイキ、
- アマゾン、GE、3M、ゲイツ財団などでコンサルティングを行うジョーナ・バーガーさんを
- お迎えしました!
-
- バーガーさんの著書『The Catalyst』は、心の変化を妨げている障害を特定し、それを除去することで
- 変化を容易にするアプローチについて書かれた本です。障害には5つのタイプがあり、
- 「心理的リアクタンス(Reactance)」「保有効果(Endowment)」「心理的距離( Distance)」
- 「不確実性(Uncertainty)」「補強証拠(Corroborating Evidence)」の頭文字をとって
- REDUCE(減らす)と名付けられています。
-
-
-
変化に纏わる身近な例として「現状維持バイアス」と呼ばれるものがあります。
例えば、消費者として、私たちは同じ製品を買い、同じサービスを利用する傾向があります。
同じスーパーで同じものを買い、同じようなレストランに行き、毎年同じ場所に旅行に行きます。
いつもと違うスーパーに行こうとすると、単純なことでもかなりの労力が必要になります。
この「現状維持バイアス」をどのように克服し、人々に変化をもたらすことができるのでしょうか?
-
-
-
-
-
- 私たちが「変化」について考えるとき、98%以上の割合で人は「押し付け」について挙げます。
-
モノは押せばそのままスライドしますが、人は誰かに押されると、大抵の場合反発します。
-
-
-
-
- 障壁を緩和することで、変化の可能性を高める
- 科学の世界でも、変化を生み出す際には何かのエネルギーを加えるのではなく、変化の障壁を特定し、
- それを緩和することで、同じ量の変化をより少ないエネルギーで起こす事を考えます。
-
もし、あなたがマーケターやプロダクトマネージャーであれば、まずはあなたが採用したいと思っているものを、何が妨げているかを特定し、そしてその障壁について理解する事で、より効果的に変化を生み出すことができるとバーガーさんは言います。
" P&Gの洗濯用洗剤「Tide pods」リアクタンスの事例 "
人は押されると、正反対のことをする
「Tide pods」は、洗濯をより早く、より簡単にする目的で開発された洗濯用洗剤ですが、
この商品を消費者が故意に「食べる」という問題がアメリカで起こりました。
消費者の一部が「Tide podsチャレンジ」というテーマを掲げ、動画をSNSに投稿したことで、情報が拡散しました。P&G側は、注意を喚起するための広告を新たに公開しましたが、「Tide podsチャレンジ」の検索数は下がるどころか、4倍も増加し、結果、警告は勧告となってしましました。
消費者が自分自身を説得するように導く
広告が入ったり、営業電話がかかってくると、人はそれを避けたり、無視したりするものです。また、私たちは何かを売り込まれた時、ただ聞くだけではなく、その提案が間違っている理由を無意識に探しています。そのため、説得力をあげたり、リアクタンスを減らしていくには、人々に自由とコントロールを与える事が大切だと言えます。
─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
不確実性 〜 変化のコスト 〜
─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━─━
変化のコストやメリットは一体いつ発生するのでしょうか。
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
これらの障害は、コントロールやバランス、コネクション、コンテナーといったZMETのディープメタファーと密接に繋がっています。ZMETを使って障害を理解することで、それぞれのコンテクストに沿って人々の考えや行動に変化をもたらすカタリスト=インサイトが見つけやすくなります。
-
-
生活習慣の改善や組織の変革など、行動変容を伴う課題・テーマに取り組んでおられるお客様は、是非ZMETを使って人や組織が変わるメカニズムを理解し、変化を起こすカタリストを一緒に見つけ出しませんか。
-
-

- Shoko Strang株式会社mct カスタマーサクセスアソシエイト

リサーチを行い、サービス開発やプロモーションに活かす。そのプロセスの中で、いかに関与者をポジティブに巻き込み、推進のパワーを得ていけば良いか。リサーチの運用プロセスに注目が集まってきています。
Future London Academy によるイベント"UX research live"でも同テーマが取り上げられていました。リサーチを単にインサイトを発見し、共有するためだけの場にしない。組織的にリサーチを活用するためにどうすれば良いのか。
そこでは、インパクトをもたらすリサーチの特徴が8つほど紹介されていました:
特徴1「使用法」
目的が曖昧ではなく、意味のあるプロダクト/サービス変更を行うためのリサーチになっている。
特徴2「教育」
リサーチ手法がステークホルダーに理解されており、さまざまな手法の長所や短所がクリアになっている。
特徴3「リソース」
プロダクト/サービス開発の早い段階で、リソースが確保されている。
特徴4「記憶に残る」
リサーチ結果がプロジェクトの枠、部門の枠を超えて、気づきとして思い出されるものになっている。
特徴5「信頼」
リサーチャーが社内でエキスパートとして認められている。社内での重要な会話や、チームミーティングで意見を求められる存在である。
特徴6「パートナーシップ」
リサーチがプロダクト/サービスチームのパートナーとして見なされていて、戦略の議論の際に、検討材料になっている。
特徴7 「シフト」
リサーチ結果が、プロダクト/サービスの方向性を決めるものになっていて、ロードマップの変更やプロダクトの機能を取り外すことなどの重要な方向転換も促す。
特徴8 「結果」
リサーチからの気づきが、組織全体にとって有用なものになっている。
mctでも経験的に、特に特徴6「パートナーシップ」が重要だろうと実感し始めています。miro 等のオンラインコラボレーションツールを活用することで様々な部門の方が理解しやすく、参加しやすく、所有感を持ってリサーチプロジェクトに参加いただけるようになります。
7/21に弊社主催の無料セミナーを予定しており、そのあたりのテーマもお話しできればと考えています。ご興味ある方は、是非、ご参加いただければと思います。
Future London Academy のイベントでは、「インパクトとは、あなたがいることで何かが変わることだ」と語られていました。リサーチを実施する人も、結果を聞く人も、いずれの関与者もポジティブに関与できて、互いに良い影響を与え合う。弊社としても、そのような場づくりにお役立ちしていければと願っています。
◆お申し込みはこちらから
【7月21日開催】ユーザーリサーチのニューノーマル
~オンライン時代の新しいリサーチのあり方と部門を超えたリサーチの活用方法~
https://media.mctinc.jp/20210721
→ 最新のイベントやホームページでは紹介していない役立つ情報をお届けしています。
メールマガジンの登録は こちら!
→ 内容に関するお問い合わせはこちらからお願い致します。

- Takeshi Sato株式会社mct
ストラテジスト