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Jun 22, 2021 05:00 Blog|~ビジネススクールとのコラボレーション~新たなデザイン思考メソッド開発

ICS@4x

こんにちは。mctのエリックとソレイムです。
今回は、約半年間にわたって行った、一橋ビジネススクール(一橋ICS)の鈴木智子准教授との共同プロジェクトについてご紹介したいと思います。内容は、初心者をターゲットとした新しいデザイン思考メソッドを開発するというものでした。


▶ English Ver.はこちら

アカデミックなリサーチ+デザインリサーチ
私たちは、鈴木准教授と学生さんと一緒に文献をレビューしたり、ユーザーセッションを行ったりなど、さまざまな活動を行いました。アナロジーやメタファーを活用しながら、深く狭い視野と広い視野を切り替えて考えていくことで、興味深く新しい切り口を探求しました。開発している新しいメソッドではマインドセットの醸成が鍵となっているのですが、そのエクササイズのためのデザインクライテリアの見極めなどを行いました。

新しいメソッドの開発なので、まずはプロトタイプ版を1DAYリモートワークショップとして実施し、デザイン思考の初心者と熟練者の方々に体験してもらいました。そして、その結果を元に改善を行いました。

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[1DAYリモートワークショップのmiroボード]


一橋ICS「デザイン思考ウィーク」
一橋ICSでは、毎年春に、鈴木准教授による「デザイン思考ウィーク」という集中講座が開講されています。インターナショナルなMBA課程の学生が、デザイン思考について学びます。この集中講義で、開発した初心者のためのデザイン思考メソッドを実装しました。

今年のデザイン思考ウィークには約40人の学生が参加しました。私たちも一橋ICSのキャンパスを訪れてサポートを行いました。

1日目には、マインドセットエクササイズとデザインプロジェクトの問題定義の作業が交互に行われました。エクササイズは、重要なマインドセットを解き放つと同時に、問題定義の作業をサポートするようにデザインされています。

2日目には、ペアで問題定義に関連したフィールドワークとインタビューを行いました。

3日目、学生たちはフィールドワークとインタビューの成果を活用しつつ、ペアで問題定義をさらに深め、ターゲットのペルソナやソリューションのアイデアを考えました。

4日目以降では、ペアはもう一組のペアと一緒になり、4人組のチームとなります。ここでは、異なる観点を持ったペア同士がチームになります。「インテレクチュアルバトル」という形で、お互いに持ち寄ったアイデアについて意味や価値観などのより深いレベルでの繋がりを模索し、アイデアをさらに練り上げていきます。

4日目、チームはアイデアを改善し、最終日のエキスパートテストのためのプロトタイプづくりに専念しました。プロトタイプとして、ウェブサイトとストーリーボードを制作しました。

5日目には、エキスパートテストを実施しました。エキスパートにプロトタイプをプレゼンし、彼らのフィードバックを得ることで、アイデアを進化させることが目的です。プレゼン後、各チームはアイデアをより良くするためには、デザイン思考のどのステップに戻る必要があるか、また追加でさらに必要な活動は何かなどを議論し、発表しました。

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[一橋ICSデザイン思考ウィークの様子]


継続的な開発
濃密な一週間集中のデザイン思考ウィークの後、学生からは好反応を得ることができました。授業のアウトプットや学生からのフィードバックを見直し、この新しいメソッドの修正を鈴木准教授を中心に行っていく予定です。

最後に
mctでは、このようなクライアントとの新しいデザイン思考プログラムの開発も行っております。また、今回のプロジェクトは、一橋ICSが国際的な教育機関であることから、全編英語で行いました。海外メンバーもおりますので、英語でのプロジェクトも対応も可能です。ご相談がありましたら、お気軽にご連絡ください。


English ver.


A Fresh Approach to Design Thinking for Novices
This past spring, mct wrapped up the first part in our latest collaboration with Hitotsubashi ICS, a joint project lead by Associate Professor Satoko Suzuki to develop a fresh approach for training novices in Design Thinking (DT) methodology.

Centered around a 1-week intensive DT Week course presented by Prof. Suzuki each spring, mct helped develop a new training framework to maximize the student’s experience within the week, and to set the stage for building key mindsets & skills into the kind of habits useful for seeking out innovation in business.


Academic Research + Design Research
Combining academic and design research approaches, we worked fluidly between literature reviews and user sessions, digging deeper in certain areas while also maintaining a wider lens using analogy and metaphor. Prior to the actual DT Week, we prototyped the methods in a one-day remote workshop with a mix of participants ranging from DT professionals to relative novices.


Hitotsubashi ICS Design Thinking Week: 5-Day Intensive Course
For the DT Week at ICS, mct joined Prof. Suzuki and 40 MBA students to support the week’s activities.

Day 1 kicked off with a back and forth combination of exercises designed to unlock key mindsets and aid early steps of problem definition on the week’s research theme. By the end of the day, students had been paired up based on similarities, and were finalizing their plan for a Day 2 of fieldwork and interviews.

Day 3 saw the pairs process fieldwork into a revised problem definition, a target persona, and ideation. After presenting their respective ideas to the class, pairs were then grouped into teams of four for the remainder of the week. Unlike the initial pairs, the groups were not put together based on similarities, and instead were encouraged to bring their ideas to each other in an “Intellectual Battle” to encourage discovery of connecting threads on deeper levels of meaning and values. Doing so not only provided further practice in digging deeper from a user-centered perspective on values, but also increased their chances at uncovering a fresh angle of meaning around the research theme.

Day 4 was dedicated to revising their ideas and creating a storyboard and a web landing page prototype to be ‘tested’ with the experts on the last day. After each group received feedback from the experts on Day 5, student teams were asked to reflect on their feedback, and think of what next steps they would take if they were to continue developing the idea.


Iterative Development
At the end of an intense and focused week, the response from the students was positive. In the spirit of the iterative process, reviewing the output from the course and the students’ own feedback, mct and Prof. Suzuki now targeting areas for revision in the iterative development of this new approach.



記事原文:Eric Frey 日本語訳:Mayuka Soleim


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Eric Frey / Mayuka Soleim株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

Jun 22, 2021 01:00 Blog|書籍紹介『プレイフル・シンキング[決定版]』働く人と場を楽しくする思考法

書籍紹介「プレイフル・シンキング決定版」

こんにちは、mct 組織デザインユニットの景山です。

今回のブログでは、上田信行先生の著書『プレイフル・シンキング【決定版】』の紹介をいたします。

プレイフル・シンキング[決定版]: 働く人と場を楽しくする思考法
プレイフル・シンキング[決定版]: 働く人と場を楽しくする思考法
Posted with Buyer at 2021.06.21
上田信行
宣伝会議
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プレイフル・シンキングのコアスキルのひとつ:メタ認知

こちらの書籍は2020年8月に出版され、PLAYFUL NetWorkでも、2020年11月に出版記念イベントを実施しました。

上田先生ご自身による著書とイベントの紹介動画

https://vimeo.com/468511767

https://vimeo.com/470114851

https://vimeo.com/472154284

 

動画では、上田先生はまず仕事における“プレイフル”を、「仕事に真剣に取り組んでいるときに感じる、ドキドキワクワク感」と定義します。そして、プレイフルのコアコンセプトとして、「playful jump(頭ひとつ分飛び出してチャレンジする)」、「playful clash(成長的マインドセットを持って、様々な状況と衝突し、新しい世界を楽しむ)」、「playful outlet(即興的に状況と対話し、仕事の意味をできる限り言語化することで、わかるといった状態になる・わかり直し続ける)」の3つを挙げます。

3つ目の、状況と対話する際に鍵となるのが「メタ認知」、つまり「状況を俯瞰的に把握し、その気づきや言語化を通して自分の可能性を拡張していくこと」(P.53)です。メタ認知を行うことで、自分を取り巻く状況を冷静に・客観的に把握し、状況に応じて振る舞いを変えたり、自分の可能性に気づいて仕事に見通しを立てられたりできるようになります。思考をメタレベル(高次のレベル)へ引き上げることで、全体像を理解したり物事の本質を探ったりできるので、よい学びにつながるのですね。上田先生はメタ認知を、プレイフルに働くためのコアスキルに掲げられています。

mctはこう読んで実践しています

出版後も、上田先生とお話する機会を定期的に持たせていただいていますが、先生の中でも「メタ認知」や“プレイフル”に対する認識が絶えずアップデートされていて、私たちも話しながら非常に多くの示唆と刺激を受けています。そして自分たちの日々の仕事をどうすればプレイフルにできるか、真剣に楽しみながら試行錯誤しています。「どのようにすれば、メタ認知を使いこなせるようになるか」の実践については、今の気持ちや心配事をノートに書き出したり他の人に話したりすると、うまくいくような気がしています。そういえばオフィスに出社していた頃は、帰り道で脳内セルフインタビューという名の反省会を開いたりもしていました。言葉にして外部化することで自分の気持ちを客観視できるし、どんな形であれ外に吐き出すとなんとなくスッキリします(笑)。他の人に話すときに「悩みなんか話して嫌がられないかな」と思わなくていいこと(心理的安全性が確保されていること)も大事だと思います。

25日のセッションにご期待ください!

25日のオンラインミートアップ「Future Work Styling!」では、上田先生・松下先生・田中先生の3名がトークを行います。上田先生の最新アップデートはもちろん、3名のセッションでどんなclashが起こるか、とても楽しみです!

Future Work Styling!の概要は以下からPDFのダウンロードをお願いいたします。Future Work Styling!概要PDFダウンロード

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Satoshi Kageyama株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

Jun 15, 2021 08:15 Blog|書籍紹介『チームワーキング ケースとデータで学ぶ「最強チーム」のつくり方』

書籍紹介「チームワーキング」

こんにちは、mct 組織デザインユニットの景山です。

今回のブログでは、6月25日に開催予定のPLAYFUL NetWorkのオンラインミートアップ「Future Work Styling!」に御登壇する、立教大学経営学部助教・田中聡先生が2021年3月に出版された書籍『チームワーキング』の紹介をいたします。

チームワーキング ケースとデータで学ぶ「最強チーム」のつくり方
チームワーキング ケースとデータで学ぶ「最強チーム」のつくり方
Posted with Buyer at 2021.06.11
中原淳,田中聡
日本能率協会マネジメントセンター
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『チームワーキング』概要

『チームワーキング』は立教大学経営学部教授・中原淳氏と同助教・田中聡氏の共著で、「チームを動かすスキル」を学ぶために作られた実践的な書籍です。

序章で「すべてのひとびとに、チームを動かすスキルを!」「ニッポンの『チーム』をアップデートせよ!」という本書の命題が述べられたのち、第1章「なぜ、日本の職場がうまく回らなくなってきたのか」で、不確実な時代に人々を襲う“VUCA病”と、その典型的な3つの症状「『うちの会社って何の会社だったっけ?』症候群」、「『あの人、何の仕事をしてるんだっけ?』症候群」、「ひーこらひーこら働いているのに気が枯れてる症候群」が紹介されます。この病気をよくするために、既存のチームワーク理論のアップデートと、アップデートの手段としてチームを「常に動き続ける」ダイナミックな存在として捉える必要性が説かれます。

第2章「チームワーキングとは何か?」では、チームを常に変化し続けるものと見立てるために重要な3つの視点、「チーム視点」「全員リーダー視点」「動的視点」が紹介され、さらにチームワーキングを生み出す3つの行動原理として「ゴール・ホールディング(目標を握り続ける)」「タスク・ワーキング(動きながら課題を探し続ける)」「フィードバッキング(相互にフィードバックし続ける)」が挙げられます。

第3章〜第5章は、ケーススタディ・データとともに「ゴール・ホールディング」「タスク・ワーキング」「フィードバッキング」それぞれがどういうことかが解説されます。最後の第6章「すべてのひとびとに、チームを動かすスキルを!」で、あらためてチームワーキングの技術を身につけて、ニッポンのチームをアップデートすることが唱えられます。

mctメンバーはこう読みました

私たちmctの組織デザインユニットのメンバーも、この書籍の読書会をABD(Active Book Dialogue)形式で行いました。

【メンバー各自、書籍の内容と読んだ感想をmiroボードにまとめました】

スクリーンショット 2021-06-11 14.23.33スクリーンショット 2021-06-11 14.24.54

議論で盛り上がったのが、タイトル「チームワーキング」にもあるように、重要な概念を「-ing」形で表現していることです。著者はこの理由を「重要なのは、そうした行動を、『常に取り続ける』ことなのです」として、動的視点の意味を込めたと述べていますが、私たちもここに強く共感しました。「一度やっておしまい」「考えたらそれでOK」ではなく、行動し続けながら少しずつよくしていくことが大事なのですね。ちなみに私は第5章を担当したのですが、実際に仕事の場面でやった経験のあることや、やってしまいがちなことが多く書かれていて、読みながら「耳が痛い…」ともんどり打ち、そしてちょっぴり泣きました。

6/25(金)「Future Work Styling!」では3名の著者によるセッションをお届け予定

6月25日(金)のPLAYFUL NetWork オンラインミートアップ「Future Work Styling!」では、田中先生ご本人による書籍紹介のほか、上田信行先生、松下慶太先生とのパネルディスカッション形式で、「プレイフル・シンキング」「ワークススタイル・アフターコロナ」との関係や、それぞれの視点を掛け合わせる考え方で働き方をアップデートするとどうなるか?というテーマで即興セッションを行う予定です。楽しい現場になることは間違いないので、ご興味ある方は是非ご参加ください!

Future Work Styling!の概要は以下からPDFのダウンロードをお願いいたします。Future Work Styling!概要PDFダウンロード

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Satoshi Kageyama株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

Jun 09, 2021 05:00 Blog|オンライントレーニングを成功させる7つのポイント

オンライントレーニングを成功させる7つのポイント のコピー 2@4x

コロナパンデミック以降、多くの企業で事業活動がリモートワーク中心のスタイルにシフトしてきました。そして人材育成や研修などの教育・学習の活動もオンライン主体に移行しつつあります。
一方で、オンラインでの研修は、かつてオフラインで開催していた会場型の集合研修と比較して運営が難しいという感覚を持ちの方も多いかもしれません。しかし、それらの難しさは実は誤解によるものである可能性があります。つまりオンライン研修を実施するにあたってのポイントをきちんと押さえれば、効果的な研修が可能になるということです。

mctではこれまでに数多くのオンライントレーニングの設計および運営を行ってきました。今回のブログでは、多くの実績を通じて得られたオンライントレーニングのノウハウの中から、絶対に押さえておくべき7つのポイントについてご紹介します。


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1. 非同期的な学習を取り入れる

オンラインでの学習を語る上で欠かせないキーワードが「非同期」です。かつての会議室での研修のように、同じ時間に同じ会場に参加者が集まって学ぶのが「同期的」であるのに対して、参加者がそれぞれ自分の好きな時間に好きな場所で個人で学ぶのが「非同期的」な学習です。オンライン研修においては、この同期的学習と非同期的学習を組み合わせることが重要になります。

例えばビデオミーティング形式での研修も、参加する場所は違っても時間は同じですので実は同期的な学習です。そしてこのビデオミーティング形式の研修では、「参加者が長時間集中できない」「ワークショップのような共同作業がしづらい」といった課題があります。そこで重要なのが「非同期的」な学習を取り入れるということです。参加者が個人で予習や復習を行ったり、個人ワークをしたり、といった非同期的なプロセスをビデオミーティングの前後に組み込んであげるのです。非同期的に個人がそれぞれ集中できる環境で自主学習に取り組み、個人としての学習モードを高めた上で、ビデオミーティング形式の研修に参加することで同期的な学習の効果もより高まります。同期と非同期の学習を反復的に行いながら、学習効果を高めていくというのが、オンライントレーニングの一つ目のポイントです。


2. 参加人数の制約を超える

研修において受講者が少人数である方が手厚い教育が受けられるという考え方は決して間違いではありません。しかしながら、オンライン開催のメリットを最大限に活かそうとするならば、より多くの受講者が参加できる研修について考える必要があります。これまでオフィスのある一室で数十名程度が参加して行われていた研修も、オンライン開催にすることで数百人以上で同時に参加することが可能になってきているからです。

このことは教育に対する投資対効果を考えたときに、非常に大きなインパクトです。これまでコツコツと積み上げていくしかなかった人材教育に、レバレッジを効かせた新たなモデルをもたらしたという意味でイノベーションとさえ言えるかもしれません。今後、オンライン研修を人材教育の仕組みの一つとして本格的に取り組んでいくのであれば「人数の制約を超える」という発想は欠かせないポイントです。


3. 自主学習や相互学習を促す

前述のような参加者の多い大規模研修が主流になっていくときに、「講師がそれぞれに教える」スタイルから「参加者が自ら学ぶ」スタイルへと考え方を変えていく必要があります。実際にラーニングの研究においても、講師から学ぶスタイルの学習(Passive learning)よりも、参加者自身が自ら学ぶスタイルの学習(Active learning)の方が学習効果が高いという事実も明らかになっています。

そういった中で、運営側や講師に求められるのは、たくさんの知識を持っていることやその知識を教えることだけではなく、参加者自身が自ら学んだり(自主学習)、参加者同士で学び合ったり(相互学習)するような仕組みをつくることです。その意味では、教育者や研修講師にとっては、これまでにはなかった能力が要求されるようになってきており、トレーニングがオンライン化していく中での新たな難しさと言えるかもしれません。


4. 分かりやすく、シンプルに

オンライン環境での研修では、プロセスや手順をシンプルで分かりやすくしてあげる必要があります。リアルの会場に比べて、参加者がその場における情報を得るのが難しいためです。講師からの説明をきちんと理解できないまま、進行や投影画面は先に進んでしまい、周りの参加者に聞くこともできず、何もしないまま時間が過ぎていってしまうというケースも起こりがちです。特にワークショップ形式のような参加者に演習をしてもらうような場面ではより丁寧な説明が重要になります。

また丁寧に説明するだけでなく、プロセスや手順をあらかじめシンプルな設計にしておくことも大切です。研修を主催する事務局や講師側にとって伝えたいコンテンツは広く深くなりがちです。結果としてレクチャーの内容やワークの組み立てがつい複雑になり、参加者がついて来れないということが起こってしまいます。専門的な知識やメソッドの全てを正確に精緻に伝えたいという思いをグッとこらえて、参加者側の視点に立たなければいけません。学びに対する遅延や離脱をさせず、参加者が丁寧に学びを積み重ねていけるようなシンプルな研修設計が重要です。


5. “ルール”を上手に活用する

リモート環境ではリアルの対面での環境と比較してコミュニケーションが取りづらく、講師と参加者あるいは参加者同士の心理的な距離も遠くなりがちです。そこで大切なのが、研修におけるマナーやルールです。厳格に縛り付ける必要はありませんが、参加者に一定の緊張感を与えたり、当事者意識を促したりするためのマナーやルールを設けておくことは非常に重要です。

例えば「必ずカメラONにして顔を出す」「発言やチャットコメントを積極的に行う」「他の参加者のコメントに耳を傾ける」「失敗を恐れずとりあえずやってみる」などです。特にカメラをONさせることはとても大切です。誰かがカメラをOFFにしてしまうと本人の学びに対する姿勢が受け身になってしまうだけでなく、他の参加者にも受け身の姿勢が伝播していってしまいます。共通のバーチャル背景を用意するなどして、全員がカメラONにするようなムードづくりを工夫してみましょう。


6. ツール選びを妥協しない

オンライントレーニングの効果を高めるためには、目的に合った良いツールを使うことが非常に重要です。例えばビデオミーティングのシステムを一つとってもたくさんのツールがあります。いずれのツールも一見、同じような機能があるように見えますが、参加者にとっての「体験」は全く異なります。「普段使っているツールがあるから」「新たなツールを利用するのは煩わしいから」とツール選びを妥協せず、参加者により良い体験を提供するために、最適なツールを選ぶことにこだわりましょう。

最もよく使われる標準的なツールとしては、Zoom、Miro、Slackなどが挙げられます。Zoomはビデオミーティングツール、Miroは参加者がワークなどをするためのオンラインホワイトボードツール、Slackは講師や参加者がお互い連絡を取り合ったりするためのチャットツールとして使われます。またmctでは配信用のスタジオ設備も作っています。より良い研修体験を演出するための設備という意味では、スタジオもツールの一つかもしれません。


7. ファシリテーションはチャーミングに

オンライン研修においてプログラムを事前にしっかりと設計しておくのが重要であることは言うまでもありません。その一方で意外と見落とされがちなのが、当日のファシリテーションはフォーマルさを押さえたカジュアルで“ゆるさ”のある進行にすべきであるということです。なぜならファシリテーターの振る舞いがフォーマルであるほど、参加者は完璧に設計されたプログラムが提供されることを期待するようになり、"お客様"的な意識が強くなってしまうからです。そしてこの問題は、受講者がリモート参加する環境でこそ起こりがちです。

しかし本来、「学びの場」とは事務局や講師だけでなく、参加者も含めた全員でつくるべきものです。そこで大切なのが、ファシリテーターがカジュアルでチャーミングに振る舞うということです。それによって良い意味での余白やゆとりが生まれ、参加者が積極的に関与できるようになります。わずかなバグすらない完璧なプログラムを目指すのではなく、少しくらい粗くても参加者を含めた全員による手作り感のあるプログラムを目指しましょう

 

以上、7つのポイントにまとめてみました。いかがでしたでしょうか?ぜひオンラインでの研修トレーニングを実施する際の参考にしてみてください。

そしてこれら7つのポイントのベースにあるのは「UX(ユーザー体験)デザイン」の考え方です。研修のユーザー(受講者)がオンライン環境で研修を受講する際に、各プロセスで実際にどのような体験をするかを想像しながら、その体験をより良くするような仕掛けを作っていくことが重要です。UXデザインの考え方を意識しながら、7つのポイントを押さえていくことができれば、充実したオンライン研修が提供できるはずです。ぜひチャレンジしてみてください!

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Akihiro Yonemoto株式会社mct エクスペリエンスデザイナー/ストラテジスト

Jun 08, 2021 12:00 Blog|書籍紹介『ワークスタイル・アフターコロナ』 「働きたいように働ける」社会へ

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こんにちは、mct 組織デザインユニットの景山です。

6月25日(金)に、PLAYFUL NetWorkのオンラインミートアップ「Future Work Styling!」を開催いたします。開催に先駆け、本日から3回にわたって、同イベントに御登壇する3人の方が書かれた著書の概要と、25日のイベントの見どころ・聴きどころをご紹介させていただきます。

1回目は、関西大学社会学部教授・松下慶太先生が2021年3月に上梓された書籍『ワークスタイル・アフターコロナ』の紹介をいたします。

ワークスタイル・アフターコロナ 「働きたいように働ける」社会へ
ワークスタイル・アフターコロナ 「働きたいように働ける」社会へ
Posted with Buyer at 2021.06.08
prime
松下 慶太
イースト・プレス
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『ワークスタイル・アフターコロナ』概要

この著書は、新型コロナウィルスが世界中に影響を及ぼした2020年以降、ライフスタイルやワークスタイルがどう変わっていくか・どう変えていくべきかを論じた一冊です。

プロローグ「コロナ禍で『ライフスタイル』はどう変わったのか?」で、ワークスタイルを「やっかいな問題(解き方も正解も不明で、客観的な判断もできないもの)」として捉え、さらにその問題を、関係者が前向きに向かっていけるような「課題」として設定することが必要と述べられます。第1章の「『リモート・ネイティブ』はどんな世界を生きているか?」で、Z世代、デジタルネイティブと呼ばれる世代の人たちを今後、「リモート・ネイティブ」として捉えることの重要性と、彼らが生きてきた時代背景、特にインターネットとモバイルメディアがもたらした変容による価値観への影響が紹介されます。

続く第2章「『オフィス』はどこになるのか?」では、コロナ禍がもたらした「WFH(Work from Home)」が私たちのワークスタイルに与えた影響にフォーカスを当てた議論が展開されます。ここで述べられるのは、オフィスの役割として「井戸的なもの」から「焚き火的なもの」が今後重視されるということです。つまりオフィスは、井戸に水を汲みに行くように「しっかり作業をする」ための空間から、焚き火を囲んで話をするように「社員同士のコミュニケーションを誘発し、関係を深めたりする」ための場へと変容していくことが求められます。こうした変容の背景には、働き方も「PBW(Plase Based Workplace)」から「SBW(Style Based Workplace)」への変容があり、働き方によって自分が働く環境をどのようにつくるのかに関与できる/せざるをえないようになった、と述べられます。

第3章「『通勤』と『会議』に意義はあるのか?」では、コロナ禍が変えたワークスタイルの典型例「通勤」と「会議」について議論がなされます。例えばコロナ以前、私たちが当たり前のものと捉えていた通勤や訪問先への移動といった「余白」が失われることで、それが持っていた潜在的機能(インフォーマルな人間関係の形成など)が浮き彫りになりました。オンライン主体になったコロナ禍以降では、こうしたインフォーマルなコミュニケーションをフォーマルな時空間や文脈の中に組み込んで設計していくことが求められるであろうと著者は予測します。

第4章「『テレワーク』と『ワーケーション』は広がるのか?」では、自宅からのテレワークが余儀なくされるような「WFH(Work from Home)」から、自分にとって快適な場所から主体的・選択的に働く「 WFX(Work from X)」へと進めていくチャンスとしてコロナ禍が捉えられます。生産性という指標をあらためて検討しつつ、時間的アプローチと空間的アプローチを組み合わせる働き方改革が、アフターコロナにおいて主流になっていくだろうと著者は述べます。

4章の後半では「ワーケーション」がテーマとして取り上げられます。本書ではワーケーションを「ワーカーが休暇中に仕事をする、あるいは仕事を休暇的環境で行うことで取得できる休み方であり、働き方。また、仕事に効果があると考えられる活動」(P178)と定義し、前述のWFXの一例であるとされます。ワーケーションの四分類が行われたり、ワーケーションが地域・企業・ワーカーそれぞれにもたらすメリット等が、事例を交えて語られます。そしてワーケーションの浸透に向けた課題が紹介されたのち、ワーケーション2.0に向けた「3つのH(Henjin(変人)/Hack(ハック)/Hospitality(歓待))」をクリエイティブ都市と比較して地域が魅力として提示することで、ワーカーや企業にとってもワーケーションは価値が高いものとして有効になるだろう、と述べられます。エピローグでの「働きたいように働ける社会」を私たちがデザインしていこう、という主張とともに本書は締めくくられます。

mctは本書をこう読みました

mct・組織デザインユニットのメンバーは、この本が出版される前の昨年9月末に、リモート合宿を実施しました。その時に感じたのは、「心配していたよりも、オンラインでコミュニケーションや意思疎通は図れる」ということと、「オンラインでつながって議論している時間はいいが、ランチなど離れる時間、オフラインの時間の過ごし方が難しい」ということでした(より詳細な内容と感想は以下の記事をご参照ください)。

こうした経験も踏まえて同書を読んでみると、私たちが行ったリモート合宿は「ワーケーション」の中でも「Vacation as Work(休暇的な環境で仕事をする)」の要素が強いことがわかったり、mctにとって最適で、最もPlayfulな働き方は何だろう、とチームみんなで考えることにつながったりと、多くの学びを得ることができました。個人的には、自分も周りの役に立てるようなHenjinになりたいし、自分以外のHenjinを受け入れられるようなHospitalityのある人になりたいと思いました。

6/25(金)はさらにアップデートした議論をお届けする予定です

6/25のオンラインミートアップ「Future Work Styling!」では、mctでの実践例や、合宿から1年弱経って新たに思うことなどをご紹介しつつ、松下先生、同じく御登壇予定の上田信行先生、田中聡先生や皆様と、議論をアップデートしたいと思っています。きっと楽しい会になるので、関心がある方はぜひご参加ください。

Future Work Styling!の概要は以下からPDFのダウンロードをお願いいたします。Future Work Styling!概要PDFダウンロード

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Satoshi Kageyama株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

Jun 04, 2021 05:00 Blog|リモートワーク時代の最強ツールmiroを使いこなそう vol.1

vol1@4x

リモートワークの普及によって働き方は便利で効率的になっていく一方で、創造的な活動におけるコラボレーションやコミュニケーションの面では、新たに複雑な問題が顕在化してきました。そのような環境変化の中で、注目されているのがオンラインコラボレーションツール「miro」です。miroは今やリモートワークを導入する企業では必須ツールだと言ってもいいかもしれません。


本記事ではmiroのココがすごい!というポイントについて動画でご紹介していきます。米国miro社からmiro Expertの公式認定を受けたmctが、どのようにmiroを活用しているかについて具体的な事例も交えながらお話します。

※本記事は、5/19と6/1にプレイフルネットワークのオンラインイベント「モーニングライブ」で配信された内容の編集レポートです。


<miroのココがすごい!>
 □ 対話の情報を視覚化しながらコミュニケーションできる。
 □ 使うのが楽しい!
 □ 直感的に操作できてUXがすごくいい。
 □ 一定期間続くプロジェクトの議論や情報共有を行う「場」として利用できる。
 □ 非同期のコラボを実現してくれる。
 □ みんなで一緒に使える。“一緒にいる感”を感じられる。
 □ とにかくUXがいい!ちょっとした使いやすさや使うときのワクワク感がある。

いかがでしたでしょうか?ご紹介したところの他にもmiroにはまだまだたくさんのすごいポイントがあります。リモートワーク時代の最強ツール「miro」をみんなで使いこなしましょう。

今後もPlayful NetWorkでは、新しい働き方やチームのあり方に関するさまざまな情報発信やイベント開催を行なってまいります。ぜひFacebookグループもフォローください。

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