
Remote Design Weekレポートvol.3ということで、今回は、様々なデジタルツールを使ったチームでの仕事の進め方についてのセッションをご紹介します。スピーカーはfigmaでデザインディレクターを務めるNoah Levinさん。figmaで働く前にはGoogleやFramer、NASAなど様々な業界で活躍されていたそうです。本セッション「Figma’s Remote Design Process」では、リモートで働くチームのノウハウやデジタルツールの活用方法など、Figmaならではの仕事の進め方が紹介されていました。いかに心理的安全性を高めながら創造性を引き出すか?
”チームでのコラボレーション”を中心にセッションの内容をご紹介していきたいと思います。
※figmaとは:ブラウザ上でも作業が可能なデザインツール。オンラインで複数人での共同作業が可能なことが大きな特徴。
1. オンラインにこそメンバーの”リアル”を感じさせる雑談を
リモートワーク中心になる前は、会社で他愛もない会話をしたり、少し雑談をしたりといった時間があったかと思います。リモート中心のコミュニケーションが増えた今、Levinさんたちのチームでは、画面の中で仕事以外のことを話す機会を積極的に作っているそうです。メンバーの1人がバーチャル背景を使って自分のマグカップコレクションを写し他愛もない話をしたり、メンバーの週末の振り返りなどをアイスブレイクとして、ミーティングを進めていきます。
zoomを使えばメンバーの好きな音楽をシェアすることもできるので、みんなでプレイリストを作ってコーヒータイムを楽しんでいるそうです。そうしたゆとりのある時間がチームが前向きになることに寄与しているそうです。
こうやってチームメンバー同士がカジュアルに話せる場作りというものは、リモートで働くにあたって重要な時間になっていそうだなと感じました。
2.チームワークを高める週単位のコミュニケーション

Levinさんのデザインチームでは、月曜の朝にはWarm-upというミーティングが設けられており、チームメンバーお互いの予定を共有したり、チームとしての1週間の計画を立てたりする時間を作っています。ここではお互いが興味を持っていることやチームとして改善したいこと、デザインレビューのやり方についてなど様々なテーマについて話す場となっています。このWarm-upは週によってはキャンセルすることもあり、月に3回くらいのゆったりとしたペースで進められています。週の初めはその前の週のポジテイブなニュースの振り返りを皮切りに今週のタスクについて各メンバーが説明を行なっていきます。この週のタスクや行うべきミッションについてメンバーで共有をし、ミーティング内容はnotionに一括管理しており、それぞれのタブに回ごとのディスカッション内容がまとめられています。
※Notionとは:タスク、Wiki、およびデータベースを統合するメモアプリケーションサービス。メモ作成、プロジェクト管理、タスク管理を行える。
普段のコミュニケーションにおいてはslackがコラボレーションのツールとして採用されています。slackの中の「design-crit-crit (デザイン批評)」というチャンネルでは、メンバーそれぞれがうまくいっていないことや、もっと良くできると思うことなど、日々の考えやメンバーの思いを共有する場が作られています。日々のメンバーの投稿は集約され、製品自体の改良やチームマネジメントに活用されています。
※slackとは:Stewart Butterfieldによって開発されたチームコミュニケーションツール。 トピックごとの「チャンネル」がありその中でメッセージなどをやりとりすることができる

そして週の終わりには、Cool downと呼ばれるリラックスした時間が設けられています。ここでは、リラックスした雰囲気の中で、チームで何か新しいことを学んだり、一緒にゲームやWSをしたりして、協働作業をするためのノウハウやナレッジが多く共有されています。ある時はfigmaのペンツールを使って絵しりとりのようなものをやってみたり、またある時にはfigmaのプラグインを使ってゲーム”マリオパーティ”を真似たボードゲームを作ってみたりと、様々な試みがなされる創造的な実験の場となっているようです。
週のはじめのWarm upからおわりのCool downといった風に最適なリズムで仕事のプロセスがデザインされています。
3.フィードバックの質を高めるFigmaの6つのフレームワーク
figma社では、製品、仕事の質を高めるために「フィードバックを行うこと」を非常に重要視しています。セッションでは6つのフィードバックのフレームワークが紹介されていました。以下が6つのフレームワークです。

① Standard critique
「プレゼンテーション」→「講評」スタイルの一般的なフィードバック方法です。
② Jam / Workshop
ブレインストーミングやクレイジー8(白紙を8つ折りにして制限時間内に1つの枠内に1つのアイデアを出していく手法)、グループでのスケッチワークなど共創型のフィードバック方法です。デザインプロセスの初期やアイデアに行き詰まった時は特に有効です。
③ Pair Design
2-3人の少人数グループでアイディエーション、フィードバックを行う方法です。大人数でのワークよりもより柔軟で実践的な取り組みが可能になります。
④ Silent Critique
口頭でのフィードバックではなく、全員がデジタル上で対象へフィードバック(コメント)をしていきます。多くのレビューが必要なときに有効です。またオンライン上で行うため、いつでもメンバーがフィードバックできることも特徴の1つです。
⑤ Paper Print-Out
印刷した対象物を壁に貼ってレビューする方法です。オープンで、共創的な場作りをするのに役立ちます。
⑥ FYI
クイックな共有と軽い議論をする(もしくは議論は後日行う)方法です。まだ深く議論するような内容が定まっていないときや取り急ぎ情報を共有するときに使われます。
その中でもオンラインならではのレビュー、フィードバックの方法についてご紹介します。
④のSilent CritiqueはLevinさんらが最もよく使っているフィードバック方法だそうです。メンバーそれぞれが付箋のようなものでコメントやメモを残していく方法です。一般的な口頭でのフィードバックだと声の大きい人の意見に傾いてしまう傾向がありますが、それに比べると発言への抵抗感を下げることができ、様々な人からのコメントを得ることができます。figmaではコメント機能があるので、このように大量のコメントがメンバーから出されているようです。

また②Jam / Workshopでのフィードバックもよく使われています。figmaを使ってアイデア出しをすることで、プロジェクトの初期段階でも様々なアイデア、意見を得ることができます。
これらはオンラインならではのスピード感や公平性を生かしたフィードバックの方法だと思います。
おわりに
多くの方たちにとってリモートで働くということがより当たり前になってきた今、日常の業務やチームでの関わり合い方もリアルの場から大きく変わってきています。figma社では、プロセスに参加している人が多ければ多いほど、より多く学ぶことができると考えられているそうです。リモート環境下でもメンバー同士で積極的なコミュニケーションをとり、多くのフィードバックをし合いながら、製品・サービス・環境をより良くしていく。また彼らの組織カルチャーを支えているのがリモートコラボレーションツールです。リモートワークをきっかけに、リモートコラボレーションツールをうまく活用して、メンバーの心理的な負担を取り除いたり、創造性を引き出す仕組みを取り入れてみてはいかがでしょうか?アフターコロナは、自分たちの組織に合わせたチームビルディングのチャンスともいえるでしょう。
他のmctのRemote Design Weekに関する記事はこちら
・Remote Design Weekについて
・「Insights in Design and Business During COVID-19」(コロナ禍におけるビジネスとデザインのインサイト)
アフターコロナビジョニングについて

「Making New Things 〜アフターコロナ・ビジョニング」は、コロナショックをテーマに株式会社mctが主催するデザインリサーチプロジェクトです。全てのプロセスをオンラインで行い、下記の3つの活動を主活動としてアフターコロナの未来創造を支援します。このプロジェクトへの協賛企業を募集しています。

→ 最新のイベントやホームページでは紹介していない役立つ情報をお届けしています。
メールマガジンの登録は こちら!

- Michiru Watanbe株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

生活者のインサイトを通じて将来像を描く未来探索プロジェクト「Making New Things 〜アフターコロナ・ビジョニング」のキックオフイベント(オンライン説明会)を5/15に開催しました。
製薬、家電、電機、生活用品、化粧品、飲料、食料、自動車、住宅設備、OA機器、ITという幅広い業種から70名を超える方にご参加いただき、すでに数社からは協賛のお申し出をいただいています。
是非、本プロジェクトを通して未来に役立つインサイトを多く獲得していきたいと思いますが、本記事では当日の様子を簡単にご紹介したいと思います。

◆Like & Wish 「参加企業の期待と望みは?」
オープニングのご説明をしながら、各企業が本プロジェクトにどのような期待(Like)と望み(Wish)をお持ちなのかをチャットでお聞きしました。
最も多いコメントとしては、(なかなか得られない)生活者のマインドセットの変化を知りたいというご意見。アフターコロナに関する情報や記事が世に出回っていますが、エキスパートの意見が中心。生活者視点でアフターコロナの世界を描いた情報が足りていない、という現状が表われていると感じました。もちろん、そのテーマの理解が本プロジェクトの最大の目的であるため、同ご期待には応えられるのではないかと思います。
少し印象的だったのは「他社がコロナの影響をどう受け止めているのかを知りたい」というご意見。業界を問わない複数の企業が参加可能な本プロジェクトならではのご期待だったのかと思います。

◆Break Out Session「コロナで何が変わった?」
次に、10チームほどに分かれて「コロナで何が変わったのか?」を参加者間で共有しました。参加者の多くはテレワークを実施されていましたが、いくつか面白いコメントがあったので紹介させていただきます。
「オンライン飲み会では家族の目が気になるので、上品なことしか言えなくなった」
「これまで面倒だと思っていた家庭菜園などに手を出すきっかけになった」
「夫婦ともに別のオンラインミーティングに入っていると、お互いに気になってしまう」
一方で、これまでテレワークを実施している企業からは「特に生活に変化はありませんね」とご意見いただき、他の発言との差が印象的でした。
◆Introduction プロジェクトのご説明
後半は、ディレクターの下野よりプロジェクト内容のご説明を行いました。

上記の繰り返しにはなってしまいますが、弊社のアフターコロナプロジェクトの特徴として、エキスパートの意見ではなく「生活者の内面がどう変化していくのか?」に注目していることをご説明しました。
また、オンラインでプロセスをシェアしながら進める目的で、オンラインホワイトボードツールや、インサイト共有ツールなどを用いながら進行することをご説明しました。デザインリサーチにデジタルツールをどう取り入れるか、そこにご関心のある方にもお喜びいただける内容になっています。

→インサイトのサンプル(Dovetail)はこちらから
本プロジェクトにご関心ある方は・・・
プロジェクトの概要は以下のリンク先でご説明しています。ご興味ある方はクリックしてお進みください。

キックオフイベントの映像をアップしています。
Vimeoでイベント当日の映像をアップしています。よろしければこちらもご視聴くださいませ。
→ 最新のイベントやホームページでは紹介していない役立つ情報をお届けしています。
メールマガジンの登録は こちら!

- Takeshi Sato株式会社mct
ストラテジスト

今回は、先日ご紹介したDesignX CommunityによるイベントRemote Design Weekから「Insights in Design and Business During COVID-19」(コロナ禍におけるビジネスとデザインのインサイト)についてご紹介します。

本セッションは、Webサイトやスマホアプリのためのプロトタイピングツールや、オンラインで使用できるホワイトボードツール等の開発を手がけている『InVision』のディレクター/CXデザイナーであるアダム・フライピアースがメインスピーカーとなり、zoomの画面共有とYouTubeのLive配信機能を用いて行われました。
InVisionでは創業当初からフルリモートを推進しており、いわばリモートワークのエキスパートともいえる企業です。
InVisionは、AppleやGoogleといった世界の名だたる企業のトップデザイナー達が参画している『Design Leadership Forum』(以下DLF)も企画しており、本セッションではそのDLF内のトップデザイナー達とのディスカッションで得られたコロナ禍におけるデザインとビジネス、特にデザインチームのための10のインサイトを以下のように紹介しています。

1.The digital transformation has accelerated
デジタルトランスフォーメーションが加速した
多くのビジネスリーダーたちは、デザインの価値やデジタルチャネルを最適化することの重要性を数年前まで理解していませんでした。しかし、Covid-19によるパンデミックが起きた今こそ「デジタル」というのは顧客と繋がるベストチャネルだとアダム・フライピアースは述べています。
今まで顧客と繋がる場合、顧客が実際に足を運んでいる場所、リアルの店先に足を運ばなければなりませんでしたが、今はデジタルの発展によって画面越しに顧客と接点を持つことができます。さらに、B2Cのブランドをみたとき、小売店やレストラン、エンターテイメントといった業界のビジネスリーダーたちは、次々とデザインチームを作って、デジタルカスタマーエクスペリエンスを最適化し、イノベーションを素早く起こしています。これはつまり、対面型/対人型のカスタマーエクスペリエンスを誇るB2Cブランドは、デジタルへの転換を余儀なくされているということになります。
2.Teams are designing for the "social distance economy"
チームは「ソーシャルディスタンスエコノミー」に備えてデザインをしなければならない
Covid-19のワクチンが完成し一般的に普及されるまで、以前のような生活に戻ることは難しく、現在のようなライフスタイルがしばらく続くでしょう。こうしたコロナ禍で事業を繁栄させるためには、ソーシャルディスタンス(社会的距離)が敷かれた世界で如何に顧客経験を向上させるかを考える必要があります。
DLFでは、レストランや劇場、スポーツ用品店などに対して、「ソーシャルディスタンスエコノミーの下、どのようにして顧客経験をデザインしていきますか?」というヒアリングを行ったそうです。その結果、彼らは対面式の顧客経験を再考し、デジタルとの融合を通して顧客経験を向上させるといった非常にクリエイティブな方法を思いつき、実践しようとしていました。例えば、リアルとネットの境界を融解し、あらゆるメディアで顧客との接点を作るオムニチャネル戦略は非常に効果的だとしています。
こうした戦略を取った時、発見した顧客の課題とビジネス機会を結びつけ、顧客に対して新しいソリューションを提供することができるデザイナーは、重要なポジションを担っているとアダム・フライピアースは述べています。
3. As team investments increase, so do systems
チームへの投資が増えると、よりシステマティックになる
既述のようにCovid-19のパンデミックによってこれまで以上にデザインの重要性やニーズが増してきています。
より多くのデザインニーズに対応するため、デザインチームにはより多くのお金とリソースが投資されます。これにより、デザインの運用効率を考えて全社的にデザインシステムを導入する流れがやってくるとDLFは推測しています。結果的に社内のデジタルトランスフォーメーションも加速し、より実践的になっていくでしょう。
4. Businesses are transforming, fast. They might be burning out their employees
ビジネスは素早く変化しており、従業員をバーニングアウト(焼き尽くす)してしまう恐れがある
新型コロナウイルスの影響でリモートワークが中心になり、その中でより効率的なワークフローを追求していますが、それがチームとチームリーダーに取って大きなストレスになっています。しかしながら、デザイナーはこのビジネスの転換を支える重要なポジションを担っています。
例えば、数時間に及ぶ非生産的なミーティングを、超効率的な30分のホワイトボードセッションに変え、そこでアイデアの取捨選択を行うことで、今まで時間を取られていた開発と意思決定のサイクルを早めることができます。
5.Covid-19 has created a climate of empathy and caring
Covid-19は共感と思いやりの風土を作り出した
パンデミックを通して、仕事の雰囲気や会社の風土がより人間的になってきたとアダム・フライピアースは主張します。
例えば、遠隔ミーティングの冒頭では、いきなりアジェンダに入るのではなく、「調子はどうですか?」「体調にお変りないですか?」といった挨拶から入ったりしますよね。
また、画面越しから子供の声が聞こえたり、飼っているペットが映り込むなど、上司やチームメンバーの内面的な部分もリモートワークを通して垣間見ることができます。
このように従業員の間で、共感と思いやりの風土が出来つつあります。自分を含め、チームメンバーをある1つの部族のように捉え、チームカルチャーを向上させることが大事だとしています。
6.The screen has democratized the team
スクリーン(PCの画面やモニター)がチームを民主的なものにした
リモートワークのツールとしてzoomを使用していようがwebexを使用していようが、画面の向こうに映るチームメンバー(自分自身も含む)は大体同じサイズ・形をしていますよね。その人の特徴、たとえば、衣服、身長、性格、大きめな声でさえ聞き手側で調整できてしまうので、誰も気にしません。画面越しのメンバーが、どんな部屋でどんな椅子に座って会議に臨んでいるのかといった物理的空間も気に止めることはありません。
このように制約的な画面を通してチームメンバーとコミュニケーションする機会が増えたことで、チームがよりフラットな雰囲気へと変化しつつあります。
7.Leaders are confident their teams will be stronger on the other side of the pandemic
デザインリーダーたちは自分たちのチームが、パンデミックを通してより強くなると確信している
長い外出自粛期間のなかで、既にリモートワークに適応し始めている方も多いのではないでしょうか。こうしたリモートでの作業が増えるにつれ、チームメンバー間でより強力なコミュニケーションが実践され、新しいコラボレーションのスタイルが生まれるだろうとDLFのメンバーは予測しています。
例えば、従来はデザインスタジオなどで行なっていた付箋を使ったワークショップも、今後は『miro』や『Freehand』といったホワイトボードツールを用いて、デザイナー以外の人とコラボレーションすることができます。
アフターコロナの環境では、こうしたホワイトボードセッションでイノベーションが生まれようとしています。
8.Teams might stay distributed, as there are many benefits
リモートワークは多くのメリットがあるため、チームは分散したままになる
上述のように新しいコラボレーション/コミュニケーションの方法が確立され、リモートワークのメリットが露わになると、従来のようにオフィスへと出社してチームで集まる機会は減っていくでしょう。そうなるともはや、リモートワークが一般的となり当たり前の日常になります。
9.Teams are cutting travel, but that might not be temporary
一時的ではなく今後も仕事のための移動は減り続けるだろう
世界のデザインリーダーたちは、既に多くの業務をリモートで行なっています。ミーティングに限らず、まさにRemote Design Weekのようなコミュニティイベントも完全リモートで開催できるようになりました。また、採用や営業といった、従来は対面でしか行うことのできなかった企業活動も徐々にリモートへとシフトしようとしています。リモート環境に慣れたデザイナーはこの状況をチャンスと捉え、企業のそうした活動を支援していくことが大事だとDLFのメンバーは主張しています。
10.Designers need to know how to communicate their business value
デザイナーは如何に自分たちのビジネス価値を伝えていくかを考えなければならない
インサイト1で既述のように、ビジネスリーダーはコロナ禍を生き抜くため、大きなイノベーションを起こすアイデアを模索しており、デザインの力を取り入れようとしています。
そんな中、自分たちのビジネス価値を適切に伝えることが、デザイナーにとって重要になってくるとDLFのメンバーは主張しています。デジタルチャネルでユーザーの声を聞き、如何にして課題を解決するかという部分にデザイナーは貢献していかなければなりません。
コロナ禍では、時代にそぐわないビジネスも増え、経済がより混沌としてきているため、デザイナーはデザインの価値を伝えることがより重要になりました。
最後にアダム・フライピアースは次のような言葉でセッションを締めくくっています。

Covid-19によるパンデミックは、私たちの生活や働き方を大きく変えました。そしてそれらは、アフターコロナの世界でも脈々と変化し続けるでしょう。そうした生活、労働、産業の変化をいち早く捉え、事業をリードしていくことがこれからのデザイナー、デザインリーダーには求められるでしょう。

- Keisuke Minowa株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

今、私たちは答えよりも多くの疑問を抱えています。
仕事、教育、旅行、医療、エンターテインメント、経済の未来は、この先どうなるのでしょうか?
私たちは元の生活に戻るのか、それとも以前の生活より優れたものを築き上げるのか。
COVID-19を受けて、労働者、企業、産業はどのように適応していくべきか。
先日米国で開催されたバーチャルサミット『What's the future』の参加レポートです。とても興味深いです👍
Nicholas Thompson Chris Clearfiel Jeremy Gutsche Stephanie Mehta
『Covid-19は、オープンでフラットなコミュニケーションの大切さを認識させた』
米国ビジネス誌『Fast Company』の編集長Stephanie Mehtaは、リモートミーティングの際に、参加者全員と会話を交わす事を心がけているそうです。リーダーとしてチームメンバーとの会話の仕方を改め、本社ニューヨークのスタッフだけでなく、これまで遠方にいたチームが疎外感を感じることなく関与できる様促しています。 組織内における階層や本社、支店を問わず、全員が同じ土俵に立ち、オークランドのスタッフ、ブルックリンのスタッフ問わず同じメッセージを投げかけています。良いリーダーシップと機会を設ければ、今後も露呈した問題を克服するための新しいビジネスラインを考え出すことができると言っています。 以前から多くのメディア企業がビジネスモデルを修正する必要があると認識していましたが、今は本当に大きな意味でメディア企業が、サミットやカンファレンス、スピーカーシリーズの様に購読や広告を補完するための、第三、第四の収入基盤を作ろうとしています。
バーチャルサミット中に実施されたアンケート Q.『レジリエンス=回復力』となっているものは?? A. 家族・エクササイズ・瞑想・自然・友人・読書 etc

|
『自分のビジネスの目的や意味を今一度問い直し、レジリエンスを高める』
『Melt Down』の著者 Chris Clearfieldは、メキシコ湾で起きた2010年の大爆発とそれに伴う環境破壊の文脈をビジネスに例え、企業がレジリエンス(回復力)と衝撃に対応する能力を構築するためには、現実に真正面から向き合うとともに、内面的に深く掘り下げて自己に問う必要があると言います。人とのつながりを通し、自分を幸せにしているものは何か、この崩壊を機に、自分のビジネスの役目を今一度考える必要があると言います。隔離が始まり、1〜4週目までは歯を食いしばって、スプリントで乗り切ろうという感じでしたが、実際にはマラソンの様に長期的に考える必要があると言っています。以前、PTSDの患者の対応改善を行った際に、医療従事者の考え方に興味深いものがあったそうです。彼らは自らの働き方を振り返るスペース(時間・場所)を確保し、一歩下がって振り返る事を習慣付けていました。これは、回復力をつけるのにとても有効だと彼は考えます。
*『Melt Down』 = 失敗の多くは似たような原因を共有していて、これらの失敗の背景にあるものを理解することで、より良いシステムを設計し、チームの生産性を高め、職場や家庭での意思決定の仕方を変えるという見解を示す著書。mctは著者のChris Clearfieldさんと以前から接点があり、今回のイベントもChrisさんから紹介していただきました。
Q. 最近職場で起きたイノベーションとは? A. Zoom・柔軟性・コラボレーション・テクノロジー etc

|
『新しい成長ビジネスは、危機の後に来るカオスの時期に生まれる』
世界No.1のイノベーションウェブサイト「Trend Hunter」のCEOであるJeremy Gutscheは、歴史を振り返り、ミケランジェロのダビデ像、レオナルドのプリンティングプレス機の発明 、ウィリアム・シェイクスピアの簿記と会計の発明などのすべては、中世の黒死病流行と呼ばれるペストの大流行に直面したことが起点となっていると言います。当時、社会構造は崩壊したため、彼らは実際に重要な事とは何かを改めて考えたそうです。現代の言葉で言うと、起業家的になり始めたという事です。 『危機』とは、一体何が重要なのかを考え直すきっかけとなり、その後に来る『混乱』のフェーズは予測可能な時期であると彼は考えています。
Rule No1. 消費者の新しいニーズを理解し解決する Solve new consumer need |
1929年のウォール街の大恐慌の時、当時のアメリカで最も影響力のある民間人と呼ばれたHenry.R.Ruceは男性ビジネス誌『Fortune』をウールセーターと同等の価格で販売しました。Fortune誌は、役員室のドアの向こうでどんな決定があったのか知ることもなく職を失った人たちに、なぜこうなってしまって、いつ元に戻るのか、役員室のドアの向こうで話されていることを垣間見るような感覚を与え、当時の消費者の新しいニーズに答えました。
Rule No2. 特定のグループにとって魅力的になる Be irresistible to a specific group of people |
アメリカでアイスクリームのマーケティングリサーチを行うと、圧倒的に人気のあるのはバニラ味です。どのブランドもバニラ味のアイスクリームを販売する中、消費者は、バニラ味のアイスクリームを買うものの、ブランドの違いを気にすることはありませんでした。1991年、グローバルリセッションに入ると、バニラ味のアイスクリームの値引き合戦が始まります。そんな中で、価格が4倍にも相当する『チェリーガルシア』という唯一無二のアイスクリームの販売を開始したのが、ベン&ジェリーズです。『チェリーガルシア』のネーミングは、ロックグループのグレイトフルデッドのリーダー『ジェリーガルシア』をもじったものですが、そのジェリーガルシア自身が、「単にベストオブベストになりたいと思ってはいけない。オンリーワンだと思われるようにならないといけない」と語っていたそうです。『チェリーガルシア』はそういアイスクリームだというメッセージを、商品名に込めているのです。
では、実際に行動を起こすにはどうすればいいのでしょうか?
世界が変わってしまった今、本当に必要なことは、まず実験に使う時間を確保する事だと Jeremyは言います。新しいアイデアを試すために自分の時間やお金を使って実験することが大切です。
ただ、すでにやっている事を全てシフトするという事ではなく、明るい未来を作り出すには、失敗が不可欠という事であり、失敗により新たな機会を見つける事ができると言っています。
Jeremyは、以下の様に『危機』の後に来る『カオス』のフェーズにビジネス機会があると捉え、『危機』の最中は消費者は恐怖を抱いているので、物を売るべきフェーズではないが、消費者の声を聞くことはとても有効だと言っています。
『危機』のフェーズは、緊迫感を生み出す。消費者は基本的生活必需品を求める。
『カオス』のフェーズは、ビジネス機会を生み出す。消費者は刻々と変化する。
① 経路依存 → ② 危機 → ③ カオス → ④ 新たな経路の設定

|
『Covid-19後の未来。安全 vs プライバシー、リモートの定着 』
Wiredの編集長であるNicholasは、
Covid-19の発生により国のPrivacyがどの様に変わっていくかについて話しています。
Facebookの例を挙げると、テロリストからの情報を遮断するなど、安全なプラットフォームを構築するためにSafety面にフォーカスしてきました。それとは反対に、What's upは完全に暗号化したメーセージを使い個人を特定しにくくするなど、Privacy面にフォーカスしてきました。中国政府もコロナの情報共有に暗号化されたメッセージを使用していたと言われています。インターネットがつながった当初は、Privacyはそんなに重視されていませんでしたが、2018年(この時期にスキャンダルが多発)を境にどの商品やサービスもPrivacyを重視する様になりました。
コロナの影響で死を身近に感じる人が増え、人々はPrivacyを以前より気にしなくなっています。明日感染するとなったらPrivacyは何の意味も持たないという事です。国で見ると、Privacyよりも SafetyやSecurityを重視している国の方がパンデミックは治まりつつあり、また権威主義で市民が権利を持たない国は、個人特定が容易である事から死者数も少ないと言われています。この様に、Safety&Privacyにはいずれかを妥協する必要があるので、そのバランスを取る方法を考える事が重要だとNicholasは考えています。
今後は、オフィスの入り口にも温度カメラを設置し出勤前に感染を確認する、ウェアラブルウォッチで常に健康状態を自動で送信(耳・指輪など)し、事前に感染の拡大や場所を特定する、ドローンを使用し密接者に距離を開ける様警告する、Alexaなどのマイク内臓機器で咳を感知し個人を特定する、Facebookを介して症状を入力してもらう事で拡散状況をマッピングする、iphoneを介して感染者に近づいたら警告する、などが考えられます。
ドイツ、USA、シンガポール、オーストラリア、Englandではすでに開発が進んでいる様です。(以上の国ではPrivacyの確保より、コロナの阻止(Safety)にフォーカスしている)Safetyを選べばPrivacyを妥協せざるを得ない状況で、製品を開発する側は、適度なPrivacyを保つ事を考える必要があります。周りにいる人が咳をするだけで感染者を特定できる様になっても、その個人までは特定しないなど、製品開発における目的を忘れてはいけないという事です。5年後に振り返った際に、今の決断を異常に感じる事もありえるため、冷静に目的を定め、決断していくべきと彼は考えています。オンライン授業などは、今だけの対策ではなく、学校再開後も更にオンラインが活用されることは明確と言えます。Tele-medicineの例をあげても、Covid-19発生前は、法律が正しく制定されていないという理由で実施が遅れていましたが、発生後に実施が始まった事で、今後もその活用が期待できます。また働き方に関しても、リモートの機能性を学んだ企業は、 Covid-19収束後も引き続きテレワークの選択肢を残すだろうとNicholasは考えています。

- Shoko Strang株式会社mct カスタマーサクセスアソシエイト

Vol.1では、リモートワークがもたらした課題、課題解決の鍵である「チームカルチャー」とは何か、それを強固にしていくためのヒントについて紹介しました。今回は、リモートワークで「離れていながらにして、どのようにしてチームカルチャーを築くことができるか?」ということに焦点を当てて考えていきます。
Vol.1「チームカルチャーとは何か?」はこちら
離れていながらにして、チームカルチャーを築くには?

"強いカルチャーを創造するために、物理的に全員が一緒にいる必要はありません。
最高のカルチャーは、人々の実際の行いから生み出されます“
—ジェイソン・フリード(「ベースキャンプ」共同創設者兼CEO)
リモートワークは、チームカルチャーの中にある既存の問題を増幅させてしまうことがあります。メンバーと常に連絡を取り合ったり、サポートを受けられなかったりする環境下では、より顕著に問題が発生する可能性も否めません。しかしそれと同時に、リモートワークはこれらの問題を解決し、チームがより良い仕事ができるようになるための素晴らしい機会にもなり得るのです。
リモートワーク中でも、チームの一体感を感じ、安全で信頼できると感じられることは、各メンバーが積極的にリスクをとって活動をするために必要不可欠な要素です。多少リスクを感じるような挑戦がなければ、仕事のパフォーマンスをより高いレベルに引き上げ、よりエネルギッシュに活動し、結果的に満足度の高いライフワークバランスを実現するということも難しくなるでしょう。
は、リモート環境でもチームカルチャーを維持し、非リモート環境と同等あるいはそれ以上に強固なものにするためには、どのような動機付けが必要でしょうか?

リモートでチームカルチャーを醸成するためのポイント
✔︎ 有意義な仕事を定義し、優先する
リモートワーク時は、常に仕事をしているということを同僚に示すため、すぐにチャット等の要求に応えなければと感じがちです。しかし、中断されるべきではない有意義な仕事を定義してそのための時間を確保したり、他のメンバーに予め伝えたりしておくことで、チームとしての生産性を高めることを意識しましょう。
✔︎ 仕事の方針を明確にする
"フレキシブルな働き方 "や "リモートワーク"は、人によって異なる解釈をされることがあります。メンバーは毎日一定時間、オンラインにしておくことが必要? 定期的に本社に出向く必要は? メンバーに空気を読ませるのではなく、会社あるいはチームとしての方針を明示することが必須です。
✔︎ クリエイティブなやりとりでつながる
SlackやTeamsなどのプラットフォームを介して、「読書会」のように、仕事に関連するトピックを共有するための場をつくります。仕事とは関係がなくても、写真や考えの交換、オンラインでのハッピーアワー(お茶会や飲み会)やお料理教室など、お互いのクリエイティビティが刺激されるような仕掛けがつながりを生みます。
✔︎ 適切なハードウェアとツールでサポートする
自宅で働くことは、オフィスと同じようにというわけにはいきません。働くために整っていないスペースを無理やり作業エリアとして使うことも多々あります。あなたのチームが快適な作業環境を得るために、必要なハードウェアやツールという面からもサポートを提供しましょう。
✔︎ 相手の置かれた状況を理解し、信頼を築く
誰も見ていないのに仕事をしなければならないため、リモートワークではなおさらお互いの信頼が重要です。マネージャーと従業員とはお互いに、仕事の問題、また時にはパーソナルな問題に誠実に向き合う必要があります。自分のことだけではなく他者の目線に立ち、お互いの人間的なニーズを考慮して行動することが大切です。
「心理的安全性」が信頼を築くための一歩となる

リモートワークでは、「時間」や「人との交流」がより散発的で、貴重なものになります。メール等のコミュニケーションでは、対面と同じ量のやりとりを行うことはできません。そのため、自分の意見を述べたり、質問したりするには今まで以上の「努力」が必要とされます。実際にオンライン会議では、「これはテーマと関連性が高いコメントか?」「意味のある質問か?」ということを瞬間的に判断し、発言を躊躇してしまう場面も多くあるのではないでしょうか。
こうした考え方の変化に、トップの皆さんはより敏感になってください。リーダーは日頃から、メンバーがお互いにオープンで、自然なやりとりができるよう配慮すべきですが、リモートの場合はさらに、一見誰からも気づかれにくい「孤立」により多くの注意を払う必要があります。例えばミーティングの始めに、メンバーに積極的に意見を求め、「どんなコメントや質問でも、チームにとって貴重でポジティブなインプットになります」と伝えることが、すべてのチームメンバーの参加を奨励することにつながります。
コミュニケーションとコラボレーションを向上させるためには、対面の場合と同様に、それぞれのチームメンバーが自分の仕事や人生についての意見をオープンに、自信を持って共有できるスペースやプラットフォームが用意されている必要があります。
ハーバードビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授は、こうした、率直に意見したり質問したりしてもこのチームでは安全であるという、チームメンバーによって共有された考えのことを「Psychological Safety(心理的安全性)」として定義づけています。(この概念に興味がある方は、「心理的安全性」というキーワードで検索してみてください)
先述した「リモートでチームカルチャーを醸成するためのポイント」は、組織での立場や働く場所に関係なく、チームメンバーが自分の意見が取り入れられている、と感じるための鍵となります。そしてそれは、ベースとして「心理的安全性」が担保された場だからこそ、実現可能であることを忘れないでください。
今の状況だから「仕方ない」と諦めますか?
いえ、今の状況を「機会」として捉え、これからの働き方を、さらに上位のレベルへと革新していきましょう!
mctでは、リモート下におけるオンラインツール(ZoomやMiroなど)のスキルアップ、チームビルディングのためのオンラインワークショップを企画中です。
また、海外のオンラインでのリモートエスノグラフィも引き続き実施しています。変貌していく世界の生活者の価値観についてコンテクストの理解を深めながら、機会探索のサポートをいたします。お気軽にお問い合わせください。
記事原文:Victor Corral 日本語編集:池田 映子
●Playful NetWorkのお知らせ
mctは2019年に、これからの新しい働き方について考える参加型コミュニティ「Playful NetWork」を立ち上げました。会社や業界の枠を離れて、個人の方でも気軽に参加できる実験的な場です。EX(従業員経験)や、組織の中でイノベーションが生まれやすい環境をデザインしていくことにご興味のある方は、下記のFacebookページもぜひチェックしてみてください。
https://www.facebook.com/groups/PlayfulNetWork/

定期的なオンラインイベントも開催中です!

- Victor Corral株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

パンデミックは多くの人々の生活にネガティブで暗い影響を与えていますが、同時に、組織や企業、社会にとっては、自らを再定義し、新たな現実に即した運営モデルを模索する機会にもなっています。その機会をもたらした大きな変化の一つは、多くの企業が在宅ワークを—多くの場合は強制的に—採用したことです。
リモートワークがこれからのスタンダードに
リモートワークは、それ自体は新しいことではなく、グローバル企業を中心に数年前から世界中の企業が採用していました。しかし今回のように半ば強制的に、十分な準備期間もなくリモートワークが推進される中で、下記のような課題と、新しい機会が浮かび上がってきました。
- ホワイトボードやPost-itなど、共同作業のための物理的なツールが使えない
- 新しいデジタル・ツールをマスターするのに労力がかかる
- ボディランゲージや非言語情報が欠落し、コミュニケーションが取りづらい
- 気が散る環境下で、なかなかワークに集中できない
- 直接会うという形で、チーム文化を確立することが難しい
ここで、このリストの最後の項目に着目してみましょう。離れていながらも、強力なチームカルチャーを構築することができれば、リストにある他の課題の解決に近づくことができるのではないかと私たちは考えました。 ではどのようにすれば、強いチームカルチャーを構築し、私たちのリモートワークをより充実させ、そのメリットを最大限に引き出すことができるのでしょうか。
What is Team Culture ?
チームカルチャーとは、個人のパフォーマンスや個性、態度のことを問題にしているのではありません。大切なのは、メンバーがどのようにまとまりのあるユニットとして一緒に仕事をしているか、各メンバーがどのように他のメンバーと連携し、より良い結果を生み出すために自分のスキルを効果的に提供できているか、ということです。
チームカルチャーは、下記の3つの柱を中心に構築されています。
・信念
全てのチームメンバーが信じていること、指針となるメンタリティ、スタイル、ルール。
・行動
それぞれのメンバーの実際の振る舞い、行動。
・ツールと環境
メンバーが本来あるべき行動ができるようにサポートするためのデバイス、ソフトウェア、適切な作業スペース(自宅も含む)など。
チームカルチャーを構成する3つの柱
強いチームカルチャーを構築するには?
強いチームカルチャーを構築するために、チームがコントロールできる側面には色々なものがありますが、これから紹介する考え方は、先述した3つの柱「信念」「行動」「ツールと環境」を効果的にサポートすることができます。

強力なチームカルチャーをつくるために
✔︎ 最適な人材を採用する
確実にチームに最適な人材のみを採用することで、チームカルチャーの形成プロセスが大幅に容易になります。
✔︎ 儀式と伝統をつくる
特定の活動やプロセスは、友人や家族などのグループによって繰り返されることで「伝統」となっていきます。同じように、チームメンバーと一緒に特別なプロセスを作り上げることは、チームの結束力を保ち、オープンなコミュニケーションと信頼関係を築くことに寄与します。
✔︎ 責任感を醸成する
チームメンバーは、自分の仕事が、全体的な文脈の中でどこに当てはまるのかを理解する必要があります。それにより、各人が自分の仕事に責任を持つと共に、メンバー間のつながりや相互に補完しあっている存在であることを再認識することができます。
✔︎ オープンな環境をつくる
メンバーが自分の意見を表明することを恐れないような、かつ敬意を持って発言できるような、オープンな環境づくりを心がけます。全員に発言権を与えることで、より多くの異なる視点や意見を取り入れることができるようになります。
✔︎ ディスカッションと改善を繰り返す
定期的にメンバー全員と話し合う機会を作ります。チームとしてどのように仕事をしているか、自分の価値観は何か、期待や恐れは何か。そして団結力のあるユニットとして成功するために自分たちは何をすべきかを話し合うことで、向かうべき方向を再確認します。
今回は、リモートワークがもたらした課題、課題解決の鍵である「チームカルチャー」とは何か、それを強固にしていくためのヒントについて紹介しました。Vol.2では、リモートワークで「離れていながらにして、どのようにしてチームカルチャーを築くことができるか?」ということに焦点を当てて考えていきます。
Vol.2「離れていながらにして、チームカルチャーを築くには?」へ続く
記事原文:Victor Corral 日本語編集:池田 映子
●Playful NetWorkのお知らせ
mctは2019年に、これからの新しい働き方について考える参加型コミュニティ「Playful NetWork」を立ち上げました。会社や業界の枠を離れて、個人の方でも気軽に参加できる実験的な場です。EX(従業員経験)や、組織の中でイノベーションが生まれやすい環境をデザインしていくことにご興味のある方は、下記のFacebookページもぜひチェックしてみてください。
https://www.facebook.com/groups/PlayfulNetWork/

定期的なオンラインイベントも開催中です!

- Victor Corral株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

今週からDesignX CommunityによるRemote Design Weekというイベントが始まりました。
本イベントは完全リモートで実施されているため、mctメンバーも日本から参加をしております。
【Remote Design Weekとは?】
4月27日〜5月1日にかけて行われるオンラインのデザインカンファレンスです。イベントはPanel discussion, Workshop, Fireside chat, Networking, Talksなど様々な形式で30名以上のスピーカーによってセッションが行われています。スピーカーにはGoogle, Adobe, Frog Design, dropbox, Figmaなど、様々な企業のデザイナーやクリエイティブディレクター、マネージャーらが参加しています。(https://remotedesignweek.com/)

5日間のイベントは日によってテーマが設定されており、スピーカーによるプレゼンテーションやディスカッションなどを視聴することができます。
4月27日:Community & Roundtables
4月28日:Tooling & Design Systems
4月29日:Collaboration & Facilitation
4月30日:Managing & Leading Remotely
5月01日:Career Fair & Portfolio Reviews

セッションは基本的にスピーカーが一方通行的に話しそれを視聴するスタイルですが、コメント欄を利用することで、よりインタラクティブな場が設けられているセッションもあります。また本イベントではデザインツールを使ったワークショップも企画されています。

初日は、「Early Stage Designers' Roundtable」といった若手デザイナー向けの座談会や「Designing a Remote Design Offsite」といったフルリモート制度を導入している企業のノウハウを知れるセッションなどが開催され、2日目はデザインシステムやリモートツールをテーマにしたイベントが行われていました。
また本イベントではオフィシャルslackグループも立ち上がっており、イベント開始前から参加者同士のネットワーキングにも使われています。1800名もの参加者がやりとりをしているため、非常に更新も活発でメッセージに全く追いついていけないほどです。slackを見ると、本イベントにはアメリカからの参加者はもちろんのこと、ヨーロッパやアジアなど世界各国のデザイナー、リサーチャーが数多く参加していることが伺えます。

5日間のカンファレンスですが、デザインについてのみならず、デジタルツールの活用方法やデザインシステム、リモートでの働き方など、内容が非常に濃く見どころがたくさんあります。アーカイブ視聴チケットは今からでも購入可能なので「実際のセッションを視聴したい!」という方は是非Webサイトをチェックしてみてください。
興味深かったセッションや注目すべきトピックについてはまたブログにて随時情報配信していく予定です。
どうぞお楽しみに!

- Michiru Watanbe株式会社mct エクスペリエンスデザイナー