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Feb 21, 2018 11:29 mct INSIGHT#05 住まいと暮らし

 

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空き家の急増問題から民泊法の施行へ向けた動きなど、住宅を取り巻く状況は刻刻と変化しています。
そんな中で、現代人の中にはどんな”住”へのニーズが潜んでいるのでしょうか?
また、企業はどのように、次なる”住”の可能性を見出していけば良いのでしょうか?

この疑問を明らかにするために今回はまず、以下の質問をしました。

  Q.住宅に関しての考え方は、どれがより当てはまりますか?

結果は...

住宅円グラフ.png

「住宅は購入せずに、その時々にあったところに住み替える」と「マイホーム(一戸建て、マンションなど)を購入して、住み続ける」の2つに回答が集まりました。一方で、「住宅は資産として、運用する」には回答がほとんど集まりませんでした。これは一体何故でしょうか...?

これには、不動産の評価基準が関係していそうです。日本では、中古物件を壊して建て替えるという発想が根本にあるため、不動産価値は新築時が一番高く、その後は築年数に応じて減価していきます。これとは異なる価値観が存在する国として、アメリカでは、不動産を評価するときに築年数は必ずしも重要視されず、"実際に物件が使用できる状態であるかどうか"を評価される傾向があります。したがってアメリカでは、築100年以上の物件であっても、修繕を重ねることで建物価値はゼロにはならず、資産として評価される例もあるようです。このよう背景も踏まえながら今回の結果を見ると、日本ではまだまだ、住宅は「資産」としてよりも「消費するもの」としての意味合いが強そうです。

さらに詳しく見ていくため、“グラス”というウィジェットを用いて、住宅を選ぶ際に重視する事柄を項目別に質問しました。

Q.住まいを選ぶ際に重要視する項目を教えてください

図1.png
 
その結果は...

項目別.png

都心へのアクセスや街の雰囲気など、住宅周辺の価値の重要視度合いが伸びており、建物の広さや新しさなど、住宅そのものの価値の重要視度合いを上回っていました。
不動産を選択する人の中で、土地建物への執着が減り、建物のソフト面への期待が高まってきていることが伺えます。

さて、もう少し詳しく見ていくために、この結果を「住宅に関しての考え方」別にまとめました。
グラフが右に伸びるほど平均を上回っており、左に伸びるほど平均を下回ります。

結果は...

考え方×重要視.png


マイホームを購入して住み続ける派では、その他の重要視度が大きくなっています。こちらは、ローンや子育て環境など、既存の選択肢にはなかった項目を、高い比率で重要視する人が一定数含まれていたためです。住み続ける派の構成は、「一人暮らし」もしくは「夫婦(ご自身のみも含む)+子供の二人暮らし以上」の人が主でした。

重要視する項目の自由回答として、
・夫婦双方の両親と会いやすく、誰もが幸福になれる居場所だと思っている。(40~44歳・夫婦+子供の二人暮らし以上)
・近くに大きな公園や緑があること。特に綺麗な川があったことが決め手。(35~39歳・夫婦+子供の二人暮らし以上)
・気分転換になるので自然は必要。(30~34歳・一人暮らし)
…などがありました。
夫婦双方の両親との会いやすさや気分転換など、重要視する内容はそれぞれですが、今ある自身の生活に合わせて住宅を選んでいく姿勢が伺えます。

一方、その時々にあったところに住み替える派では、街の雰囲気や利便性が重要視度が大きいです。住み替え派の構成は、「一人暮らし」もしくは「配偶者の二人暮らし」の人が主でした。

重要視する項目の自由回答として、
・路地裏に色んな景色やお店が広がっていて飽きないです。今の街に住んで散歩が趣味になりました。(30~34歳・一人暮らし)
・歩いて行ける範囲におもしろい場所、お店がある(30~34歳・一人暮らし)
・駅から近めのところがいい(35~39歳・一人暮らし)
・どこに行くにもまずは駅に行かないといけないから、地元のような頼れる人の近くに本当は住みたい。(25~29歳・配偶者との二人暮らし)
…などがありました。

こちらからは、近場の散策から電車を使って遠くまで、家から出かけることを前提とした暮らしがあることが伺えます。
このような層の人には住宅そのものだけでなく、出かけることや街に住むこと自体を楽しめるような体験を提供することが求められるのかもしれません。

ひと昔前、世の中には「結婚してマイホームを購入し、一箇所に定住しながら子育てをする。」という固定化されたライフモデルがあり、それに付随するものとして住宅の価値が語られることが多々ありました。
しかし現代では、DINKsなど人々のライフプランの描き方も多様化しています。
外観や内装といった土地住宅そのものでの差別化が容易ではない今、人々が住まいの周辺にどのような価値を求めているのか探ることで、次なる方向性が見えてくるのではないでしょうか。

今回の結果について、住宅に関するリサーチも手がけるベンチャー会社、株式会社GFLのCEO田邊氏に寄稿いただきました。

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不動産選びは人生でも何回かしかない大きな決断であり、ほとんどの人にとって不慣れな買い物です。本来、経験豊富な不動産屋さんが、この不慣れな素人に代わって、星の数ほどある物件候補から新生活の居所を探しだしてくれるはずでしたが、90年代にインターネットの不動産ポータルサイトが登場した時から、この難易度の高い仕事はセルフサービスになってしまいました。生活者は膨大な物件の海から、条件を変え、試行錯誤し、一喜一憂しながら学習を繰り替えし、絞り込み、物件を探し出し、自らの力で物件を見極めなければならなくなってしまったのです。

現在日本の不動産流通量は年間100万戸。人口減少にも関わらずゼネコンはマンションを建て続け、ずっと前からわかっていた供給過多は現実のものとなりました。空き家率は勢いよく上昇し、都心の優良物件を除いた不動産物件の多くが不良債権化する危機に瀕しています。日当たり良好程度の決まりきったキャッチコピーだけで客を誘致し「ネットに掲載しているのでセルフサービスで」のマーケティングで、はたして生活者を不動産の購入に踏み切らせることができるのでしょうか?ファンケートの回答には固定資産としての不動産を敢えて持たず、ライフステージに応じて自由に居所を変える、フリーアドレス的な住嗜好も散見されます。歴史的に終の住処という意識の薄い日本人、マイホーム神話が遠い過去になりつつある現代、不動産市場にも何か大きな地殻変動が起こる気がしてなりません。

田邊様紹介.png
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今日、購入者は、様々な視点で自ら不動産を選び取っているのが現状です。
不動産を取り巻く環境が変化している今、住む側も売る側も、"不動産市場の地殻変動"に備えておく必要があるのかもしれません。

住まいには、人の生き方や価値観がたくさん詰まっています。
今回の分析から、少しでも何かヒントを得ていただけますと幸いです。

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