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Apr 04, 2017 05:36 UXデザインとコ・クリエーション

UXデザインとは何か?

UXデザイン(ユーザーエクスペリエンスデザイン)とは、ユーザーと製品とのインタラクション(やりとり)をデザインする取り組みです。そこには、製品の形状、ユーザーインターフェース、サポートサービスなど、製品にまつわるすべての側面が含まれます。UXデザインは、製品が定義された後、ユーザーを招いてコンセプトの評価とユーザービリティをテストする人間中心デザインのプロセスです。(通常、ユーザーはデザインの初期段階のクリエイティブなプロセスには関わりません)

 

 

コ・クリエーションは、実際に製品やサービスを実際に体験する人々をデザインの初期段階のプロセスに招いて、製品やサービスがどうあるべきかについて彼らが語ることができるようにする、UXデザインのもうひとつのアプローチです。コ・クリエーションには、ビジネスに関わる内部のステークホルダー(例:R&D, マーケティング、セールス、通信部門、エンジニアetc.)だけではなく、製品やサービスのユーザーといった外部のステークホルダーも参加させることができます。 コ・クリエーションを行うポイントとしては、ユーザーに製品やサービスについてのアイデアを出す権利を与えることで意欲をかきたたせ、ユーザーを巻き込みながらコンセプトを協創することです。

 

UXデザインにおけるコ・クリエーションでは、デザイナー、リサーチャー、ユーザーなどビジネス上のステークホルダー全員が、共通の目標に向かって協力的に取り組んでいる状態が理想です。しかし、コ・クリエーションをUXデザインに活かそうとしても、初めはなかなか思うようにはいきません。企業の中には、内部ステークホルダーでのコ・クリエーションを前もって行ったうえで、外部ステークホルダーとのコ・クリエーションを行う企業もあります。一方で、最初に外部とのコ・クリエーションを行い、そのあとに内部でコ・クリエーションを行う企業もあります。

 

UXデザインプロセスにおけるコ・クリエーションとは、一体どのようなものなのか? 

コ・クリエーションはさまざまな形式で行われます。11でインタビューを行うこともあれば、35人の少人数グループでセッションを行うこともあります。参加者が多い場合でも、小さなワーキンググループに分けて行えば、ワークショップとしてコントロールすることができます。コ・クリエーションは、一度のみ行うこともできますし、毎週、毎月といったスパンで継続的に行うこともできます。少し難しいやり方かもしれませんが、一度対面でコ・クリエーションを行った後であれば、その後はモバイルを活用して行うこともできます。

 

コ・クリエーションの方法とツールは、UXデザインプロセスの段階によって異なります。未来の経験を探る初期段階では、イメージコラージュなどの手法がよいかもしれません。インスピレーションカードや、プロボケーション(挑発的に刺激する)カードもイメージを膨らませるのに役立ちます。ヴィジュアル的な刺激や想像力をかきたてるツールを使うことも内部および外部のコ・クリエーターがイメージやアイデアを表現することに役立ちます。

 

コ・クリエーションのワークショップの結果を分析する時に、誰かに手伝ってもらうのもよいでしょう。たとえば、エンドユーザーと一緒にコ・クリエーションの結果を理解する際に、内部のステークホルダーにも参画してもらうことができるかもしれません。そうすれば、内部のステークホルダーが、ユーザーのニーズや将来の夢についてより共感することができるようになります。

 

初期段階と同様に、後半の段階においても、コ・クリエーションは内部および外部のステークホルダーの理想的なシナリオを見極めることに役立ちます。この段階におけるコ・クリエーションは、ジャーニーマップやストーリーボード(絵コンテ)を作成するなど、紙ベースのツールを使用して進めることができます。また、未来のシナリオを演じてもらうなど、参加者が楽しめるようなやり方で未来の経験を探索することもできます。

 

将来の理想的なシナリオが明確になってからは、コンセプトのラフなプロトタイプを作成していきます。 この段階でのプロトタイプは、例えば製品コンセプトをベルクロモデル(表面をマジックテープで加工した直方体や円柱などの立体)で表現するなど、忠実度の低いツールを使います。また、ユーザーと製品とのインタラクションは、紙のワイヤーフレーム を使って表現することもできます。この段階が終わると、忠実度の高いプロトタイプに対してユーザーがどのようにフィードバックをするかを検証するといった、一般的な人間中心デザインプロセスになっていくのです。

 

なぜ、UXデザインにおいてコ・クリエーションを行うのか?

UXデザインにおいてコ・クリエーションを行うと、デザインプロセスを加速することができます。ステークホルダーをデザインプロセスの初期段階に招き入れることで、効率的に内部のコミュニケーションがとれるようになります。そして、リサーチとデザインを統合することで、全体のデザインプロセスを短縮することができるのです。

 

さらに、コ・クリエーションによって、人々が本当に求め、必要としている製品やサービス経験を作り出すことができます。デザインの初期段階に将来のユーザーに参加してもらうことで、早い段階で、求められている製品、サービスを定めることができ、より焦点を絞った設計・開発プロセスを辿ることができるでしょう。

                 

UXプロセスにおいてコ・クリエーションをどのように始めればよいのか?

既存のUXプロセスにコ・クリエーションをブレンドしていくことが、よりよいコ・クリエーションの始め方です。ユーザーとのワークショップを試してもよいですし、内部のステークホルダーだけで始めてもよいかもしれません。より高度なステップとして、内部と外部のステークホルダーを同時に招いてワークショップを行うこともできますが、ある程度経験を積んでから行うほうがよいでしょう。

Liz SandersMakeTools 代表

【タグ】 co-creation, UXデザイン,

Apr 04, 2017 05:35 インダストリアル・インターネット企業へ変貌するGEが唱える、ユーザー・エクスペリエンス・デザインとは

ジェネラル・エレクトリック(GE)は、近年大きな変化を遂げてきた大企業だ。創業は1892年。重工業メーカーとして、発電機、エネルギー・インフラ、鉄道、航空機、家電などを手掛けていた。GEのロゴマークは、アメリカのでは町でも家庭でもいつも目にするものだった。

ところが、2000年ごろまでに同社は重工業よりも金融業としての存在感を大きくしていった。GEキャピタルは全世界でビジネスを展開し、もっとも成功を収めているファイナンシャル・サービスのひとつとして知られるようになった。

 

だが、重工業から脱皮して、新時代にふさわしい体系の企業となったように思われていた同社が、再び革新的な転換を図ったのは2015年だ。重工業への復帰である。ただし、従来と同じ重工業ではなく、ソフトウェアやインターネットに裏付けされた重工業、つまりインダストリアル・インターネットという21世紀的な新たな業態を目指す企業になることを宣言したのだ。

その当時はまだ現実味は薄かったものの、インダストリアル・インターネットやインダストリー4.0への移行は、世界中の重工業メーカーにとって最近はますます火急のことになっている。タービンやモーター、鉄道車両などにセンサーを取り付け、そこから得られたデータを分析する。これによって機械の稼働状況を把握するばかりでなく、メンテナンスの必要性や予知、今後の効率的な運用の方法などが予測可能になる。

GEは、インダストリアル・インターネット企業に移行するにあたってGEデジタルという部門をシリコンバレー地域に設け、そこに多数のソフトウェア・エンジニアを雇い入れた。この部門は、120年以上の歴史を持つ旧来型企業の中のスタートアップとも呼ばれ、設立には10億ドルを投入した。ビッグデータを解析するプレディクスというクラウドのプラットフォームもここで開発されている。

さて、ソフトウェアにとって重要なのは、使い勝手やエクスペリエンスだ。GEデジタル内には、デザイン・センターがあり、ここでユーザー・インーターフェイスやユーザー・エクスペリエンスのデザインが行われている。対象とするユーザーは、GEの顧客企業で、特に機械や機器を運用、管理する技師たちである。

同センターのチーフ・エクスペリエンス・オフィサーのグレッグ・ペトロフ氏は、GEのソフトウェアを利用する顧客ユーザーが、「その質やユーザーの仕事に対する理解の感じられる」デジタル・エクスペリエンスを提供することが重要だと話している。

同氏は、あるインタビューの中でインダストリアル・インターネットにおいてデザインをする際の重要なポイントとして、次の5点を挙げている。

  1. 文脈を理解したデザインを行うこと。たとえばジェット・エンジンのためのモバイル・アプリならば、そのエンジンの履歴、エンジンの管理に携わってきた社員の名前、部品の価格といったことがわかるようにする必要がある。
  2. ユーザーを賢くするようなデザインであること。利用するにつれて、そこから学習できるようなしくみが必要。
  3. 他のスキルを持つ人間とのつながりを提供するデザイン。たとえば、その機械のハードウェア面に対して深い経験を持つ人材と、デジタル面に詳しい人材とつなぐデザインを行う。
  4. 運営のためのデザイン。GEのソフトウェアは、機械を稼働し運営する人々がユーザーとなる。彼らがデータを利用しながら効率的に働けるようにする。
  5. GE内で広くデザインを民主化して、デザイナーでない開発者たちもデザインの方法論を用いてアイデアをモックアップできるようにする。

 

こうして、GEはインダストリアル・インターネット時代に向けて、優れたソフトウェアとユーザー・エクスペリエンスを提供する企業として、大きな飛躍を成し遂げようとしているのである。

実際のデザイン・プロセスにおいて強調されているのは、ユーザーとの共同作業、つまりコー・クリエーションだ。コー・クリエーションは、社外の顧客と社内の他の担当者らを含めたすべてのステークホールダーを交えて行う必要がある。顧客ユーザーについては、その仕事方法を観察して作業の順序や文脈を理解し、社内ではソフトウェア・エンジニア、データ分析担当者などとの共同作業が必要になる。

油田やガス担当のデジタル・イノベーション担当者は、「部門を超えて共同作業を行うことには抵抗もあるが、大きな成果を生むためには不可欠。隠れたユーザーのニーズを洗い出し、将来に起こり得る必要性を理解した製品やサービス作りは、この方法でないと実現できない」と語っている。すべてのステークホールダーが関わることによって、製品やサービスへのかかわりも深くなるという。

GEでは、ユーザー・エクスペリエンス分野でリーダーとなれる人材を育成する「ユーザー・エクスペリエンス・リーダーシップ・プログラム(UXLP)」も設けている。新しい時代の重工業メーカーに変貌を遂げようとする同社の成功の鍵は、ユーザー・エクスペリエンスのデザインにかかっていると言っても、決して過言ではないのだ。

 

Noriko Takiguchiフリージャーナリスト

【タグ】 UXデザイン,

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