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Mar 05, 2018 09:35 ホワイトスペースの見つけ方(2)ビジネスからホワイトスペースを考える

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「顧客ニーズとソリューションのギャップによってもたらされるビジネスの空白」のことを我々はホワイトスペースと呼んでいます。そして、そのホワイトスペースを見つけるための3つの要素として「顧客」「ビジネス」「トレンド」があります。今回はこのホワイトスペースの見つけ方について「ビジネス」という視点から考えてみます。

あるビジネス領域での事業を考えるとき、たいていはその領域で事業を行っている競合企業の存在があります。そして、そのビジネス領域では、すでに重視されている要素(既存ニーズ)が明らかで、その中で差をつけようと企業努力をしています。例えばレンタカーというビジネス領域では、車種・利便性・価格・スピードといった要素が代表的な要素として挙げられます。

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しかし、このような「既存の差別化要素」でビジネスを考えている間は、競合他社と競争軸が変わらないのでホワイトスペースに達することはできません。同じ土俵で勝負しても力比べになるだけです。そのためそのビジネス領域において競合企業がどのような要素で勝負しているのか、逆に競合企業が勝負をしていない要素は何か、を網羅的に理解し、その業界におけるビジネスの既成概念(バイアス)を洗い出すことで、隠れた機会にたどり着くことができます。

フレームワークを使って網羅的に業界のバイアスを洗い出す1つの手法として、イノベーションコンサルティングファームのDoblin社が開発した「Ten Types of Innovation(amazon)」というフレームワークがあります。

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例えば、あるビジネス領域の3社を分析した結果が図のようになるとしたら、オレンジの破線で示す部分は「競合他社と勝負して差別化になりうる機会」、もしくは「勝負しないことが差別化になりうる機会」が見えてくる、というものです。

これは新事業開発に限らず、既存領域での商品開発でも有効です。「新しいコンセプトの商品を考えないといけない」というときは、自分・自社の中にあるビジネス領域の既成概念(バイアス)を視覚化し、どこに、どれだけ偏っているかを一度確認しておいたほうが、その後に発想するコンセプトも効率的に発想できると思います。

 新規事業・新規技術のビジネス開発プログラム  

Yoichi Sugiki株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

Feb 28, 2018 09:24 ホワイトスペースの見つけ方(1)トレンドからホワイトスペースを考える

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「顧客ニーズとソリューションのギャップによってもたらされるビジネスの空白」のことを我々はホワイトスペースと呼んでいます。そして、そのホワイトスペースを見つけるための3つの要素として「顧客」「ビジネスモデル」「トレンド」があります。今回はこのホワイトスペースの見つけ方について「トレンド」という視点から考えてみます。

近年、スタートアップの活性化により毎年さまざまな製品・サービスが登場しています。その製品・サービスがフォーカスしている課題やアイデアの着想は、新事業テーマやホワイトスペースを考える上で発想の刺激になります。mctでは業界を10カテゴリで分類し、インスピレーションソースブックとして日々の新製品・サービス事例を蓄積しています。今回は異なるカテゴリから3つの2017年のサービス事例をピックアップしました。

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「日陰」しか通らない、日よけルート検索アプリ「inshade」
http://inshade.adriablue.jp/

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手の震えを相殺する腕時計型デバイス「Emma」
https://gigazine.net/news/20170511-microsoft-emma/

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食品の無駄をなくして、お店の味を多くの方に。「Reduce GO」
https://reducego.jp/

それぞれのサービスについて熱く説明したいところですが、今回はさまざまな業界からピックアップした事例をもとに共通点を探してみます。いかがでしょうか?例えば1つの仮説として「瞬間的に弱者・ビハインドになるタイミング」にフォーカスしている点が共通点として挙げられます。

その共通点を自社製品・サービスに展開して考えてみることで、新しい発想が得られるかもしれません。ポイントは、自社の業界だけ考えずに、業界を超えたトレンドを捉えることです。

インスピレーションソースブックに関するご質問はこちらまで。 
 新規事業・新規技術のビジネス開発プログラム  

 

Fumihiro Shimono株式会社mct ストラテジスト

Jan 09, 2018 08:24 (第7回)技術探索支援のナインシグマ・ジャパン社との取り組み

 

昨年度からmctは技術探索支援のナインシグマ社とコラボレーションし、顧客探索と技術探索の両面から新規事業開発を支援しています。今回はこの1年の取り組みについて、ナインシグマ・ジャパン、マネージャーの若宮氏と振り返りました。

ナインシグマ社は、2006年の日本進出以降、国内企業のオープン・イノベーション活動の支援を行ってきました。日本に「オープン・イノベーション」という言葉が浸透する前から企業のニーズと世界中の技術とのマッチングに取り組んできた、いわばオープン・イノベーションの老舗です。具体的には、依頼主である大手製造業者のオープン・イノベーションを支援しており、例えば、依頼主企業が単独で解決することが困難な研究開発上の課題に対して、解決策を世界中から探し出したり、新規事業で必要な技術や顧客基盤を補完するために、該当する世界中のスタートアップを厳選してアプローチするなどのサービスを提供しています。

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若宮 俊太郎氏

東京工業大学 大学院理工学研究科化学工学専攻 修了。花王株式会社を経て、株式会社ナインシグマ・ジャパン入社。自身のバックグラウンドである化学やエンジニアリング分野のみならず、自動車、材料、機械分野なども対象に幅広くオープン・イノベーション活動を支援。メンバーの中でも日系メーカーでの社歴が長く、研究開発の上流ではなく、生産技術という下流を主に担当しており、R&Dの流れと現場に精通している。


 

オープン・イノベーションを推進する難しさ

mct:若宮さんと一緒にセミナーやプロジェクトを取り組みはじめて1年になりますが、これまでの活動をどのようにとらえていますか?

若宮:オープン・イノベーション支援事業者のパイオニアとして、我が社自身、自社だけでは依頼主に提供できない価値については、他の会社様と一緒に提供していかなければいけないと感じています。その点で、弊社が特に強みとしている技術探索の強みと、御社のデザイン思考の考え方がうまくマッチしていくのではないかと考えており、今年は1年目にしてはうまく連携できたのではないかと感じています。

mct:そうですね、双方において、クライアントに提供できる課題解決の幅が広がっている印象を受けています。

若宮:実際、あるメーカーが保有している技術について、その用途仮説を探索するセッションを、先日貴社と一緒に行わせて頂きましたが、有識者とのコラボレーションをおこなったり、御社のファシリテーションからアイデア出しを行ったりしていただき、クライアントに非常に喜んでいただけました。

mct:技術シーズの側面から考えるだけではなく、デザイン思考を取り入れた新しいインスピレーションが、研究者のみなさんの発想を広げるヒントになったのでしょうか。

若宮:思考フレームが自社内で固まってしまっている研究者には、外部からの刺激を与えることにより、シーズ起点からニーズ・顧客起点へマインドセットを変革させることの重要性を感じています。ただし、そのように研究者のマインドセットが変わっても、その流れが社内全体にまで広がるのは難しいところもあります。近年は特に新規事業の創出を目的としたオープン・イノベーションが非常にはやっていますが、大企業では新規事業開発に取り組もうとする一方、新しいことにチャレンジする取り組みを中々認めてくれない場合も多いですし、認めてくれたとしても、新規事業開発の取り組みを、既存事業と同じ評価軸で判断されて、評価されないといったところがオープン・イノベーション担当者のボトルネックになっていると感じてます。

mct:社内の組織や文化に壁がありそうですね。

若宮:そういった壁にぶつかってもくじけないためには、この技術を使って何かを達成したいといった担当者の相当の熱意がなければ新規事業開発を中々難しいと感じています。

 

アイデアをどのように絞り込んでいけばいいのか?

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mct:新規事業開発を目指す方や技術者の方はどのような課題を持っているのでしょうか?

若宮:企業の方からは、「アイデアはたくさんあるんだけれども、その中でどれが新規事業の芽になり得るものかというスクリーニングの方法がわからない」と言った声をよく聞きます。アイデアがある中でどう絞り込むのかを生み出せるようなツールがあればいいかもしれませんね。

mct:なるほど。企業体制や文化による影響もありますが、若宮さんが指摘するように担当者のモチベーションを上手く取り入れるようなアイデアスクリーニングを開発できると面白そうですね。

若宮:ただ一方で、担当者のモチベーションだけでそのアイデアを推進することを会社側は許容しないでしょうから、そのあたりは客観的な指標でバランスを取りながら、という形になるかもしれないですね。

mct:そういった意味では、客観的な指標と主観的な指標を取り入れて判断する、テーマ探索のフレームワークはそのヒントになるかもしれないですね。

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オープン・イノベーションの大切さを伝える

mct:オープン・イノベーション実践セミナーにてmctが登壇する企画もありました。
オープンイノベーション実践セミナー参照。

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若宮:そうですね、東京は4,50人、大阪は2,30人の方にお越しいただけました。ご来場いただいた方は、R&D部門の方が多い印象を受けました。

mct:我々も大変貴重な体験でした。当日配布している資料や、ウェブサイトで公開している技術公募※を見るだけでも、オープン・イノベーションの進んでいる企業は活発に活動されていますよね。
※ナインシグマ社のウェブサイトでは探索技術の一部をオープンに公開して技術公募を実施している。
http://www.ninesigma.co.jp/list/

若宮:そうですね。我々としては定期的な情報発信の場としてセミナーを開催していて、オープン・イノベーションの大切さを伝え、技術者の方々の意識を啓蒙しています。すでに実績のある企業事例を出すと危機感を感じる方が多いようです。

mct:我々もビジネス創造支援ネットワークとしてDMN(ダイヤモンド・デザインマネジメント・ネットワーク)やConvivial Salonを運営しています。今度は若宮さんにぜひ技術探索というテーマで登壇いただき、オープン・イノベーションについて参加者と議論する機会を参加者の皆さんに提供できればと考えています。

若宮:こちらこそよろしくお願いします。

mct:今年もよろしくお願いいたします。

 

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Fumihiro Shimono株式会社mct ストラテジスト

Nov 30, 2017 06:00 (第6回)デザイン思考を用いたビジネスデザイン [ソリューション探索編]

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mctビジネスデザインユニットの杦木(すぎき)です。
 
「アイデア出しをしたがその受容性がわからないので検証したい」といったご相談をいただくことがあります。
 
機会探索のフェーズを終えて「こんな顧客が抱いているこんな困り事・ニーズに対して、自社としてはこんなことができそう」というビジネス機会が見えてきても、プロダクトやサービスを具体的に作り込んでいく中で、どの方向に進んでいいか迷いが生じてしまい、進路を見失った感覚に陥る開発担当者は少なくないと思います。
 
 
大きな方向転換は早めに済ませる
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受容性を評価していく中でターゲット顧客が「このまま状態のサービスをぜひ利用したい!」となるケースは稀なので、アイデアの良し悪しを評価することよりも、一連のプロセスを通して方向性を修正し、よいソリューションを探索していくことの方が重要になります(特に検討初期段階)。
 
これは「リーンスタートアップ」の中でも語られることですが、考え出したビジネスアイデアにおけるリスク(方向性の修正が必要になり得る要素)を洗い出した上で、大きなリスクから検証し、大きな方向転換は早めに済ませる方が限られたリソースを有効に使えます。
 
 
ニーズがあると思って始めたビジネスの多くが、ニーズがなくて失敗している。
最も大きなリスク=「顧客と課題の間のフィット感があるか?」をまず検証する 
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一般的に、最も大きなリスクは「顧客と課題の間にフィット感がない」ことと言われます。これまでのフェーズで検証できていない場合は「着目している課題は、本当に顧客にとって解決したいと思う課題か?」という点の確認に重きを置きます。また、サービスを成り立たせるために欠かせないステークホルダーがいる場合は、その人たちの課題に対してフィット感があるかも重要です。
 
顧客と課題の間のフィット感を確認できたら、課題とソリューションの間にフィット感があるか確認します。これには顧客の視点で見た時に、自社が提案するソリューションが顧客の課題解決になっているかという観点と、そのソリューションが実現可能かという観点で、検証を進めていきます。実現可能性については早い段階から詳細に詰めていく必要はないかもしれませんが、そもそも顧客に提供できる価値が変わる可能性があるようなサービスの核になる部分の実現可能性は早めに検証することをお勧めします。
 
 
行動変容のドライバーを捉える
 
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デザイン思考的なプロセスで機会探索を行っているのであれば「実は顧客はそんなことをまったく必要としていなかった」ということはめったにないと思います。ただそれでも「顧客は確かに課題は抱えているけど、アクションを起こして解決したいほどではない」「課題を解決したい気持ちより、それを躊躇うハードルの方が大きい」(課題フィットにおける問題)、あるいは「確かに解決したいけど、このサービスはなんか使う気になれない」(ソリューションフィットの問題)ということはしばしば起こります。
 
あるソリューション案を提示したときに、顧客は過去の経験などから形成されたメンタルモデルやそのときの環境からソリューション案への期待値は生まれ、それがほしいかどうかの評価につながります。この態度形成の要因(ハードルやドライバー)をつかみ、ソリューション案がどのように位置づけられているかを理解しておけば、市場での顧客の反応を予測するのに役立ちます。そして、このドライバーをソリューションに反映していくことが重要です。 
 
mctはもともとインサイトリサーチを得意としてきました。このノウハウを活かして、ソリューション探索プログラムでは、顧客やステークホルダーに行動変容を促すようなソリューション開発をサポートします。ビジネス機会を見つけた後のステップでお困りの場合、ご相談いただければ、それぞれの状況に合わせた進め方を提案させていただきます。
 
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プログラムの詳細については知りたい方のお問い合わせ・資料請求はこちらから◆
新規事業・新規技術のビジネス開発プログラム 
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Yoichi Sugiki株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

Nov 01, 2017 09:53 (第5回)デザイン思考を用いたビジネスデザイン [アイデア探索編]

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世界的な経営コンサルティング会社であるBooz&Companyは「新製品の66%が2年以内に失敗する」と報告しています。 イノベーション戦略コンサルであるDoblin Groupは、「すべてのイノベーションのうち、驚くべき96%が資本コストを返すことができない」と語っています。Fast Company、2012年4月4日

 

そのため、これまでにない新しい製品やサービスを発想する初期の段階では、失敗するリスクが高いことを織り込み、じっくりと1つのアイデアを練り上げるのではなく、アイデアの発散と収束を繰り返し、顧客の意見も取り入れながら、少しずつアイデアを絞り込んでいくほうが効果的と考えています。

 

 

他業界事例をインスピレーションに活用した強制発想

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最初の足掛かりとなるアイデア発想は、まっさらな状態から考えていくよりも、他業界で成功しているトレンドや面白い事例をインスピレーションとして数多くのアイデアを発散していくほうが数多くのアイデアを発想することができます。

mctでは業界を13に分割し、それぞれの業界のトレンドや面白い事例を収集・蓄積しているイノベーションソースブックを活用し、それとサービス対象者との掛け合わせで強制アイデア発想をしていきます。

イノベーションソースブックの内容としては、少し古くてわかりやすい事例だと「Uber」「Airbnb」「Ingress」「Nest」などが含まれており、テーマに合わせてアイデアの出しやすい素材をピックアップしています。

 

 

強制発想のフレームワーク

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約20個のソースブックを6つのサービス対象者と掛け合わせると、それだけで20×6=120のアイデア発想フレームワークができあがります。そのフレームをすべて埋めるように強制発想セッションを実施すると、参加者の数にもよりますが、およそ1.5時間で約400~500個のアイデアにつながります。

従来のメンバーでアイデアを考えると、どうしても業界内の細かな動きに左右されてしまったり、暗黙裡にターゲットを絞り込んでいたり、無意識のうちに発想の幅を狭めてしまう危険性があります。
そのためアイデアを考えるときには、自分がどのような思考フレームから発想しているのか客観視する術を身につけてください。

 

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Fumihiro Shimono株式会社mct ストラテジスト

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