BLOG

Apr 25, 2018 07:33 ひとりでいられる能力(the capacity to be alone)

こんにちは。mctの合田です。
タイトルにある「ひとりでいられる能力」について、ご存知でしょうか。
大学時代、ドナルド・ウィニコット(イギリスの小児科医、精神科医、精神分析家)が提唱した「ひとりでいられる能力(the capacity to be alone)」を知り、『ひとりでいられる人』と『ひとりでいられない人』の違いはなんなんだろうなぁ。という単純な興味からそれを卒論にしました。

有名な話ですが、幼少期の母子関係で「母親=安全基地」だと子供が感じることができれば、「自分には安全基地があるので外に出かけても大丈夫」と冒険することができます。つまり、良好な親子関係であれば、子供は不安なく外に出られる(何かあっても帰ってこられる場所がある)、と言われています。
ウィニコットによれば幼少期の母子関係が良好であれば、幼少期以降も「ひとりでいられる能力」が培われていきます。
当然、ひとりぼっちという状況も「ひとりでいられる能力」に関係しますが、ここで面白いのは友人と一緒にいても「ひとりでいる」ことができるということです。

(以下はウィキペディアの引用です)
ーーーーーー
ひとりでいられる能力は洗練された現象である。いろいろな体験がひとりでいられる能力の確立に寄与するが、その最も基本的なものは、「幼児または小さな子どものとき、母親と一緒にいてひとりであった」という体験である。つまりひとりでいる能力は逆説であり、誰か他の人が一緒にいるときにもった、「ひとりでいる(to be alone)」という体験である。
母親を自己に内在化することで、やがて幼児はしばらくはひとりでいることができるようになるし、そしてまた、安心してひとりでいることを楽しむことができるようにもなっていく。幼児はこのひとりでいる能力をもった状態になってはじめて、外界からの侵害に反応することなく、やけに活動的な人間にならずともいられるようになる。やがて幼児は実際に母親が付き添うことを諦めることができるようにもなる。それは内的環境の確立が達成されたからである。ひとりでいられる能力は情緒的成熟とほとんど同意語である。
ーーーーーー

上記のポイントは、「自分は自分」だとアイデンティティの確立ができていれば、周りの環境に左右されない、ということです。
余談ですが、「十分に良い母親 good enough mother」について書かれた精神科医の先生の記事も興味深いです。
https://www.huffingtonpost.jp/arinobu-hori/the-capacity-to-be-alone_b_17047378.html


このウィニコットの「ひとりでいられる能力」は1958年に提唱されました。
60年後の現在はネット環境など様々な状況が変化しつつあります。ひとりでいても大勢でいてもSNSで情報をシェアしあい、ウィニコットの定義からすると、ひとりといえばひとりですし、複数といえば複数(ひとりではない)といった状況になっています。

ここで、テクノロジーに関する書籍を参照してみます。
2016年に出版されたケヴィン・ケリーの「〈インターネット〉の次に来るもの」には、未来を決める12の法則が記載されています。
最新のテクノロジーに作用する傾向を集めて、それらを12の動詞(BECOMING、COGNIFYING、FLOWING、SCREENING、ACCESSING、SHARING、FILTERING、REMIXING、INTERACTING、TRACKING、QUESTIONING、BEGINNING)で表現し、近い将来に起こる変化を述べています。

当然、SHARINGも含まれており、テクノロジーの視点からもシェアすることはより当たり前になってきます。
★シェアの習慣がますます一般的になり、我々の文化の基盤になってきている。こうしてシェアしながら大陸をまたがるグループの会ったこともない人々と、社会階層など関係なく一緒に百科事典やニュース配信、動画アーカイブ、ソフトウェアなどを協働して作り上げている。(上記書籍のP193より引用)

ちなみに、この書籍でのSHARINGは自分の知識をシェアすることで、それに対して他人が別の情報をシェアしてくれるという、「知識のアップデート」を示唆しているので、ポジティブな意味になります。

私の個人的な意見ですが、「ひとりでいられる能力」は幼少期の体験が影響している人間の根本的な部分なので、SNSが普及している現在でも必要な能力だと感じています。
(ひとりでいられる能力が欠如した場合、依存や分離不安などの要因の1つになるのかもしれません)

最近では「就寝1時間前からスマホは機内モードにしている」という話もちょくちょく聞きます。
無理やり遮断することでひとりになる時間を作っている人もいますが、今後はもう少しスムーズにひとりになれる時間を作れるようなサービスが出てくるかもしれません。

今回は、心理学の用語と現在のトレンドについて書籍を参考にしながらブログを考えてみましたが、
また面白そうなものがあればご紹介させていただこうと思います。IMG_8957

Satomi Goda株式会社mct エスノグラファー

Apr 09, 2018 03:48 B2Bブランディングセミナー 「顧客経験から考える新しいサービス開発」 〜これからのIoT活用のありかた〜開催レポート

2018年3月23日(金)、株式会社大伸社コミュニケーションデザインと株式会社mctによるセミナーを実施しました。IoTビジネスをテーマとし、「IoTを使った新規事業」「顧客経験×IoTビジネス」といった領域に課題・関心をお持ちの皆様にお集まりいただきました。
風景

そこで今回はセミナーでお伝えした、IoT商品の開発にあたって重要なポイントを一部だけご紹介します。それは、
IoT商品を開発するときに必要な視点は二つあり、一つは顧客とIoTプロダクトとの間に発生する新たな経験をいかに良いものにするかといったマイクロな視点、もう一つは、IoTプロダクトから得られたデータの先にどのようなネットワークを作れば新たな価値を生むのかといったマクロな視点で、この二つの視点を行き来することが大切だということです。

視点

例えばお掃除ロボットを思い出していただくと、いまどきのお掃除ロボットは間取りを学習しお掃除をより効率的にしたり、何かトラブルがあればアプリに通知したり、必要になれば自分で充電ベースに戻ったりと非常に便利になりました。
ただし、お掃除ロボットを使うためには、お掃除の邪魔になるものをあらかじめよけておいたり、段差をなくしておいたり、充電ベースを置く場所を確保したりと今まで慣れ親しんだやりかたではなく新しいインタラクションに人間側が合わせないとならないという側面があります。つまり顧客経験をよく考え、ユーザーに負担の少ない設計をしないと、そもそも商品を導入していただくための土俵にも上がれません。

一方、顧客経験を良くしてただ使ってもらうだけではユーザーにとっての価値は限定的になります。デバイスから得られたデータやネットワークを起点にユーザーへのフィードバックの価値を大きくしなければ、ユーザーも企業もIoTの恩恵を十分こうむることができません。例えば、家庭用サーモスタットのNestは、洗濯機や火災報知器、スプリンクラーなど様々なデバイスとのネットワークを前提として開発されていて、ユーザーの生活全体をより快適なものにしています。

セミナーでは、これらのマイクロな視点とマクロな視点を使いこなしていただくためにワークショップ形式でIoT商品のアイデアを開発しました。具体的には、ペルソナを元にカスタマージャーニーに沿ってゴール分析をしたり、ネットワーク視点に立ってステークホルダーにとっての価値をどう高めるか?ということを発想し、身近な日用品に思ってもみない角度からの価値を検討でき、大変盛り上がりました。

mctのCXデザインチームでは、今後もIoTをテーマとしたセミナーを実施予定です。どうぞご期待ください。

Saori Kameda株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

Search検索

過去のExperience Magazine

  • 米国マーケティング最新事情 / 瀧口範子
  • デザインテクノロジーの最前線 / 桐山孝司
  • 「本能」から人間を読み解く / 佐藤武史
  • 注目のクリエーターズボイス