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Jun 19, 2020 01:00 Blog|Business Management Virtual Summits (Outthinker2020 & Reimagine The Future2020) Vol.2

bmvs vol2


There are decades when nothing happened,
and weeks when decades happen.

10年間何も起こらないこともあれば、
数週間で10年分の物事が起こることもある



-Vladimir Ilyich Ulyanov


Reimagine the futureのウェビナーから、COVID-19パンデミックに対応するために、限られたリソースでどのようにイノベーションを起こすかに焦点を当てた2つのセッションを紹介したいと思います。これらのセッションは、この世界的な危機の中で生き残るだけでなく、その後の成功を目指す個人や組織に貴重なインスピレーションを与えてくれます。

1) ベンジャミン・プリング
(コグニザントの共同創業者であり、コグニザントの「フューチャーワークセンター」リーダー)

ベンジャミン・プリングは、ベストセラーで受賞歴のある書籍『What To Do When Machines Do Everything』(2017年)と『Code Halos; How the Digital Lives of People, Things, and Organizations are Changing the Rules of Business』(2014年)の共著者です。

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Profile Information Source: https://www.cognizant.com/futureofwork/author/details/benjamin-pring

あらゆる分野で変化のペースが加速しています。私たちの生き方や働き方は、持続的な効果を伴いつつ劇的に変化していくでしょう。ベンジャミンは以下の例を使って、現状と変化の影響についてよく考える必要があることを示しました。

座って一緒に仕事をする?
パンデミックの前から、多くの企業が在宅ワークを推進し、実践していました。しかし、検疫期間中は、多くの企業が分散したチームで完全に自宅で仕事をすることは難しいと感じていました。チームメンバーのモチベーションを維持し、効率的に仕事をこなしながら、家賃や光熱費、その他のオフィス手当の削減の恩恵を受けている企業は、確かに競争上の優位性を持っていると言えるでしょう。

保健所ですか?
ビルに入る前や公共交通機関に乗る前に体温チェックを受けた経験がある人もいるかもしれません。多くの国では、「ニューノーマル」とは、体温チェックだけでなく、個人の健康データの追跡や「ヘルスパス」を意味します。インド、オーストラリア、中国などの国では、この種のアプローチは、感染の可能性を追跡するのに有効であることが証明されていますが、個人データのプライバシーに関する多くの懸念が提起されています。

"オンライン "ビッグバン?
ヘルスケア、教育、コンサート、フォーラム、パーティーなどのライブイベント、さらには観光業など、あらゆる業界で大規模なオンラインシフトが起きています。5G、ビッグデータ、ブロックチェーン、クラウドコンピューティングなど、このシフトを可能にする基盤技術の大きな成長と急速な進歩が期待できます。企業は、このシフトを踏まえて自社の価値提案を再考し、100%オンラインのムーブメントを活用すべきです。
Picture and information source: https://summitoutthinkerroundtables.thinkific.com/courses

mct's view
COVID-19パンデミックにより、オンライン活動へのシフトが加速しています。テクノロジーは、対面式で行っていたローカルな活動さえも破壊しています。例えば、中国の医療相談サービスは伝統的に地域の診療所によって提供されていました。パンデミックがきっかけとなり、人々は病院でのアウトブレイクのリスクを回避するために、アリババや平安などの企業が提供するオンライン医療相談を利用するようになりました。この変化は、人々が簡単な医療相談、さらには一次医療を求める方法に永続的な影響を与えると予想されます。これは、コミュニティ・クリニックの存続そのものを脅かすことになるでしょう。これは、中小企業が地域の優位性を持っていた業界全体で繰り返されるパターンです。彼らは今、グーグル、アマゾン、アリババのような多国籍スーパー独占企業との生き残りをかけた「勝者がすべてを手に入れる」戦いの中にいます。

mct’s recommendations
ビジネスリーダーは、非伝統的な競合他社や間接的な競合他社からの脅威に注意を払いながら、顧客の期待や競争上の脅威の急速な変化を先取りするために、ディスラプターのマインドセットを待つ必要があります。バックキャスティングのような方法は、リーダーが特定の将来のシナリオを想定し、時間的にさかのぼって進行状況を予測することを可能にします – そうすることで、破壊が来たときに取り残されるのではなく、組織が破壊者であるための戦略を計画することができます。




2)ナヴィ・ラジュー(ケンブリッジ大学ジャッジ・ビジネススクールフェロー)
ナビ・ラジューは、フランス系アメリカ人の学者。インドのポンディチェリーで育ち、現在はニューヨークとシリコンバレーを拠点にリーダーシップアドバイザーを務める。著書に『Jugaad Innovation:倹約に考え、柔軟に対応し、飛躍的な成長を生み出す(2012年)』。

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Information Source: https://en.wikipedia.org/wiki/Navi_Radjou

資源の制約が多い逆境の時代、破壊的イノベーションを起こすためには倹約的なイノベーションが不可欠になってきています。ナビ・ラジュー氏は、「do better with less」という考え方を紹介しました。毛細管冷却の原理を利用して電気冷蔵庫がない地域で野菜の鮮度を保つ「粘土冷蔵庫」や、中国の農村部で高齢化が進む地域の高度な医療ニーズに対応するための遠隔診療など、インドと中国の事例を紹介しました。


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また、上述した実施例で例示した倹約的イノベーションの概念は、数式として表現することもできます。

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資源が限られているとき、リーダーは限られたものに焦点を当てるのではなく、豊富なもの、可能なものに焦点を当てなければなりません。豊富で利用可能な資源を使ってニーズに対応していれば、解決策は完璧である必要はありません。この原則がインドの子供たちにも適用されているのを見ると、本当に感激します。

逆境の時代に成功するためには、リーダーや起業家は、「Why?」ではなく「Why not?」と問うべきです。製品やサービスだけでなく、ビジネスモデルも適応させなければなりません。最も重要なことは、利用可能なリソースで市場のニーズに対応するために、倹約的イノベーションの考え方を採用することです。西側の企業は、インドや中国のような新興市場から、アジャイルな労働文化と倹約的イノベーションについての教訓を得ることができるでしょう。

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Picture and information source:
https://nypost.com/2020/03/18/india-is-stamping-hands-of-people-under-coronavirus-quarantine/
https://www.nytimes.com/2020/03/01/business/china-coronavirus-surveillance.html

mct’s view
コロナウイルスの流行は、危機に対処するために中国とインドで倹約的イノベーションがどのように適用されているかを観察する機会を与えてくれました。


アリババは中国杭州市政府と協力して、個人の "コロナリスク "を追跡・評価するためのヘルスコードを開発しました。このアプリは、プライバシーと引き換えに、数百万人の人々がわずか2週間後にロックダウンを解除することができました。このアプリを最初に起動したときには欠陥があったようですが、次第に信頼性が上がっていきました。このアプリが2月7日に1つの地区でローンチされた後、1つの地区で人を囲い込むという目標をすぐに達成しました。非常に早いスピードで 中国全土に広く普及させるために 、このアプリは 反復を重ねるごとに信頼性が増していきました

インドでは、検疫から漏れる人を避けるために、マハラシュトラ州とカルナタカ州は、空港到着時に人々の手にスタンプを押し始めました。スタンプには、自宅の検疫のためのその人の制限時間が表示され、「仲間の市民を守ることを誇りに思う」と書かれています。

これらのソリューションは完璧でもエレガントでもありませんが、地域社会がリスク下にある人々を追跡し、他の市民や企業を仕事に復帰させることを可能にしました。


mct’s recommendation
短期的に顧客との関連性を高めるためには、いくつかのチームに分かれて、既存のリソースで実現可能な最低限の製品(MVP)を作っていきましょう。顧客が直面している新しい課題を特定するために、安価で迅速なリモートリサーチのテクニックを活用してください。次に、6つの思考法(エドワード・デ・ボノによって開発された)を用いて、実用的であるかどうかに関わらず、まず多くのアイデアをアイデア化し、その後、調査すべきアイデアのリストを洗練させていくのが良いでしょう。



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Zhan Zhao株式会社mct ストラテジスト

Jun 17, 2020 08:00 Blog|Business Management Virtual Summits (Outthinker2020 & Reimagine The Future2020) Vol.1

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この数週間の間、mctメンバーは、世界的なCOVID-19パンデミックを背景としたビジネスリーダーシップと組織の課題に焦点を当てた2つのバーチャルイベントからの洞察とアイデアを獲得しました。

1. Outthinker2020バーチャルサミット(2020年4月6日~7日開催)
2. Reimagine The Future 2020 バーチャルサミット(2020年5月6日開催)

イベントの内容:
バーチャルイベントは、Outthinker(ニューヨークに本社を置く成長戦略コンサルティング会社)とThinkers50(ロンドンに拠点を置き、毎年トップのビジネス思想家のランキングを作成している会社)の共催で行われました。各イベントは24時間にわたり、ポール・クルーグマン教授(ノーベル賞受賞者)、ダニエル・ピンク(ベストセラー作家)、ロザベス・モス・カンター(ハーバード・ビジネススクール教授、経営学の権威)をはじめ、起業家、コンサルタント、ビジネススクールの教授など、多様な専門分野を持つオピニオンリーダーたちによる24のプレゼンテーションが行われました。
Source: https://summitoutthinkerroundtables.thinkific.com

COVID-19パンデミックの規模とスピード、それがもたらす将来への不確実性が相まって、これまでに経験したことのない困難に直面しています。この危機は、全ての産業を突然停止させました。多くの人々が通常の生活を中断せざるを得ませんでした。各国は、パンデミックを管理するための効果的な対策を打ち出すことに苦労しました。そして、私たちはウイルスについて多くのことを学びましたが、ウイルスがいつまで私たちの生活を混乱させ続けるのか、また、その長期的な影響がビジネスや社会に及ぼす影響については、いまだ不確実性の霧の中で立ち往生しています。

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ビジネスリーダーにとって、パンデミックが過ぎ去り、状況が通常通りになるまで待つことは選択肢になりません。スコット・アンソニー氏は、企業は、(1)現在を維持する、(2)迅速な対応戦略を実行する、(3)未来を所有する、という3つの段階の計画において、短期・中期・長期の課題をカバーするような対応を準備せよと述べました。つまり、突発的な危機の直撃を乗り切るためのレジリエンス、課題に対応するアジリティ、そして未来の新たなチャンスをつかむイノベーションが必要なのです。

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Source: Scott D. Anthony (Innosight)



このタイミングで特定の企業や技術に何が起こるかを予測しようとすると、予測の一部が的外れになることは避けられません。これらのイベントで登壇者が共有したビジョンは、パンデミックがテクノロジーの採用、消費者行動、ビジネスモデルの変化のきっかけとなるという幅広い予測に関連しています。彼らの最も価値のある提言は、この危機をうまく乗り切り、より強い立場に立つために企業が採用すべき考え方や経営へのアプローチに言及していることです。

講演者は、経済学、テクノロジー、イノベーション、経営管理、トランスフォーメーション、マーケティング、心理学、消費者行動、人事管理、異文化コミュニケーションなど、多様な専門分野を持っていました。
その中でも特に貴重なアドバイスは4つのカテゴリーに分類できると感じました。

- 現状と将来のトレンドの把握
- レジリエントかつアジャイルな組織の作り方
- 不確実性を乗り越えて組織をリードするために必要なこと
- イノベーションと創造性を活かす方法

教訓がCOVID-19のパンデミックと関係性がないように思えるかもしれませんが、すでに世界の多くの地域に影響を与えており、ビジネスや社会にとってさらに大きな意味を持つであろう地球規模の気候変動への挑戦に、これらの教訓を生かすことができるのではないかと私は感じています。

24時間で24回のセッションを行うという異例の進め方によって、主催者は様々な地域や時間帯の講演者や聴衆を巻き込んでいました。世界的に有名な専門家の多くが自宅に閉じこもっていたため離れた場所から講演をすることができたという事実が、このイベントにはプラスに働いたと感じています。そのため、短時間で非常に優秀なスピーカーの方々のお話を聞くことができました。参加者は、ライブセッション中にチャットで専門家に質問をするように促されました。すべてのセッションは録画されているので、どの時間帯の参加者も後で見ることができます。これは、本当にグローバルな雰囲気を醸し出していると感じました。また、このイベントの収益がアメリカとイギリスの慈善団体に寄付されたことも特筆すべきことだと思います。

mctメンバーの趙と私は、本イベントでのプレゼンテーションの中から貴重な教訓をピックアップして、mctブログの読者の皆さんと共有していこうと考えています。
「前例のない危機」や「ニューノーマル」などの多用されている言葉をあまり使わないようにしたいと思いますが、いくつかの決まり文句は避けられないものがあるかもしれません。

ブログ記事をフォローしていただき、ご意見・ご感想・ご質問などをお寄せいただければと思います。

Thank you,
Jonathan Browne




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Jonathan Browne株式会社mct 執行役員/コンサルタント

Jun 15, 2020 01:00 Blog|Remote Design Week Report vol.4 -Design for belonging- 帰属意識を高めるデザインとは?-

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米黒人男性暴行死事件をきっかけにアメリカ全土で人種差別に対するデモ運動が広がり、ソーシャルメディアやニュースなどでも話題となりました。また、世界中のあらゆる企業がこの問題への賛同を示し、黒人コミュニティ、多様性、公平性への支援を公にしました。
例えば、Google、Facebook、Uber、Amazon、その他多くの企業の広報やマーケティング部門は、支持声明を発表するなど、人種差別に対するメッセージを投稿しています。
しかし多くの人は、このような企業活動は世界的に話題となっている深刻な問題から人気を得るためのx-washing(グリーンウォッシング、ブラックパワーウォッシング)戦略に過ぎないと懸念しています。


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こうした特定のコミュニティに対する問題が世界中で話題となっている中、私たちはどのようにして帰属意識をデザインしていくべきなのでしょうか?どのようにして多様性、公平性をチームカルチャーに組み込めばよいのでしょうか?チームやコミュニティに安全で健康的な空間を提供し、誰もが認められ発言し合い、誰もがそこから利益を得られるようにするにはどのようにしたらよいのでしょうか?


帰属意識について語るとき、自分自身はもちろんのこと、組織構造、チーム、製品、ユーザーといった社会のあらゆる側面を考慮する必要があります。
Remoto design weekのセッションの中で、Lara Mendonçaは、帰属意識に必要な以下の3つ要素を提示しています。

① 多様性(Diversity)
② 公平性(Equity)
③ 包摂性(Inclusion)

これからの時代は複数のアイデンティティを許容できる多様なチームやグループが必要となってきます。組織に関係するすべての個人からアイデアや視点を取り入れていかなければなりません。


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この3つの要素が実行されていないと、組織はどうなってしまうのでしょうか?
もし、多様性が欠如すれば、新しい視点や声を取り入れることができないため、イノベーションが生まれにくくなり、競争力が失われてしまいます。もし、公平性が失われれば、多様な人材や多様なアイデアはあっても、それを実行する力がなくなります。そして、もし包摂性が欠如していたら、多様なチームと新しいアイデアを実装するための力を持っていても、新しい視点や切り口を加味できないので同様に競争力は失われます。


帰属意識をデザインするためには、多様性・公平性・包摂性の3つを同時に推進する必要があります。Lara Mendonçaは、帰属意識のデザインを推進する5つの原則を挙げています。


安全性(Safety):チームメンバーがどんなアイデアや考えを持っていても、非難されることがないような安全性が保たれている。
尊重(Respect):誰もがあらゆる立場で尊重され、自尊心を持つような雰囲気づくり。
信頼(Trust):メンバー1人1人が信頼し合える関係を築く。
声(Voice):どのような場面でもアイデアや意見、論点を議論に持ち込める。
作用(Agency):上記4つの条件が全て実行されている状態。


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なぜ帰属意識がデザイナーにとって重要なのか?

政治、経済、社会などにおいて、帰属意識が必要不可欠であることは明らかですが、私たちデザイナーはこれらの分野に影響を与えるような活動のあらゆるステップにおいて、帰属意識が存在し、それが守られているかどうかを確認する義務があります。

製品やサービスをデザインするときも、「帰属意識」を持ったアプローチが必要です。デザイナーとして多様性、包摂性、公平性を反映できなければ、その製品やサービスから価値を感じるユーザーは限られてしまいます。

帰属意識のデザインをしないことで、ビジネス機会を逃し、致命的な失敗をもたらした例は数多くあります。

例えば、自動石鹸ディスペンサーが肌の黒い手を検出できず、「ユーザー」は石鹸を使うことができなかったり、あるいは顔認証システムが唇の大きさだけで黒人男性の笑顔を判別しているなど、多様性・公平性・包摂性を欠いた製品・サービスが挙げられます。


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帰属意識はイノベーションへの通り道

上記例のような帰属意識の欠けた製品・サービスは、ユーザー中心の視点からアプローチされたにもかかわらず、結果は成功には程遠いものでした。これらのことから、真の人間中心イノベーションを起こすためには「帰属意識を持ってデザインすること」が必要不可欠であることがわかります。

新型コロナウィルスによるパンデミックは、食品業界のビジネスモデルを「家にいながら」という状況に適応するために、生き残りをかけたピボットを余儀なくしました。これは多くの場合、消費者に対してオンラインデリバリーサービスを提供することを意味しています。それにもかかわらず、ほとんどのレストランは、多様性・包摂性・公平性を念頭に置いて提供価値をリ・デザインしなかったため、期待された結果を出すことができませんでした。

今回のパンデミックで最も影響を受けたのは高齢者であり、外出のリスクが最も高く、その状況に合わせたサービスのニーズが高い層でもあります。しかしながら、食品業界のデジタル化は、食品配達アプリを設計することに焦点を当てたアプローチでした。
デジタル技術やスマートフォンアプリに精通していない高齢者は、当然アプリを使いこなせず、「ユーザー」の中から孤立してしまいました。

このように高齢者の考えや気持ちを反映し、多様性・公平性・包摂性を持たせることは容易ではないかもしれませんが、3つの要素が欠落していると、最も必要としている人たちに対するイノベーションが消えてしまいます。



帰属意識を保つためにはどうすればよいか?

一部の特定のユーザーのためだけに製品やサービスをデザインし、潜在的なユーザーを孤立させることを避けるため、デザイナーは「誰が潜在的なユーザー」で「何が必要なのか」を一般化したり仮定したりするのではなく、リサーチを通じて深く理解しなければなりません。

そしてチーム、組織、製品、サービスに関係する全ての人に声を与え、意見を聞き、共有し合うことが大切です。ユーザーをデザインプロセスに招き、より良く公平な未来のために帰属意識を高めていくことが求められるでしょう。


記事原文:Victor Corral 日本語編集:箕輪慶介




他のmctのRemote Design Weekに関する記事はこちら
・Remote Design Weekについて
・「Insights in Design and Business During COVID-19」(コロナ禍におけるビジネスとデザインのインサイト)
・リモートでチームの創造力を高めるFigmaの働き方



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Victor Corral株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

May 28, 2020 09:00 Blog|Remote Design Week Report vol.3 -リモートでチームの創造力を高めるFigmaの働き方-

Remote design week vol3


Remote Design Weekレポートvol.3ということで、今回は、様々なデジタルツールを使ったチームでの仕事の進め方についてのセッションをご紹介します。スピーカーはfigmaでデザインディレクターを務めるNoah Levinさん。figmaで働く前にはGoogleやFramer、NASAなど様々な業界で活躍されていたそうです。
本セッション「Figma’s Remote Design Process」では、リモートで働くチームのノウハウやデジタルツールの活用方法など、Figmaならではの仕事の進め方が紹介されていました。いかに心理的安全性を高めながら創造性を引き出すか?
”チームでのコラボレーション”を中心にセッションの内容をご紹介していきたいと思います。

※figmaとは:ブラウザ上でも作業が可能なデザインツール。オンラインで複数人での共同作業が可能なことが大きな特徴。



1. オンラインにこそメンバーの”リアル”を感じさせる雑談を

リモートワーク中心になる前は、会社で他愛もない会話をしたり、少し雑談をしたりといった時間があったかと思います。リモート中心のコミュニケーションが増えた今、Levinさんたちのチームでは、画面の中で仕事以外のことを話す機会を積極的に作っているそうです。メンバーの1人がバーチャル背景を使って自分のマグカップコレクションを写し他愛もない話をしたり、メンバーの週末の振り返りなどをアイスブレイクとして、ミーティングを進めていきます。
zoomを使えばメンバーの好きな音楽をシェアすることもできるので、みんなでプレイリストを作ってコーヒータイムを楽しんでいるそうです。そうしたゆとりのある時間がチームが前向きになることに寄与しているそうです。
こうやってチームメンバー同士がカジュアルに話せる場作りというものは、リモートで働くにあたって重要な時間になっていそうだなと感じました。


2.チームワークを高める週単位のコミュニケーション

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Levinさんのデザインチームでは、月曜の朝にはWarm-upというミーティングが設けられており、チームメンバーお互いの予定を共有したり、チームとしての1週間の計画を立てたりする時間を作っています。ここではお互いが興味を持っていることやチームとして改善したいこと、デザインレビューのやり方についてなど様々なテーマについて話す場となっています。このWarm-upは週によってはキャンセルすることもあり、月に3回くらいのゆったりとしたペースで進められています。週の初めはその前の週のポジテイブなニュースの振り返りを皮切りに今週のタスクについて各メンバーが説明を行なっていきます。この週のタスクや行うべきミッションについてメンバーで共有をし、ミーティング内容はnotionに一括管理しており、それぞれのタブに回ごとのディスカッション内容がまとめられています。

※Notionとは:タスク、Wiki、およびデータベースを統合するメモアプリケーションサービス。メモ作成、プロジェクト管理、タスク管理を行える。


普段のコミュニケーションにおいてはslackがコラボレーションのツールとして採用されています。slackの中の「design-crit-crit (デザイン批評)」というチャンネルでは、メンバーそれぞれがうまくいっていないことや、もっと良くできると思うことなど、日々の考えやメンバーの思いを共有する場が作られています。日々のメンバーの投稿は集約され、製品自体の改良やチームマネジメントに活用されています。

※slackとは:Stewart Butterfieldによって開発されたチームコミュニケーションツール。 トピックごとの「チャンネル」がありその中でメッセージなどをやりとりすることができる


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そして週の終わりには、Cool downと呼ばれるリラックスした時間が設けられています。ここでは、リラックスした雰囲気の中で、チームで何か新しいことを学んだり、一緒にゲームやWSをしたりして、協働作業をするためのノウハウやナレッジが多く共有されています。ある時はfigmaのペンツールを使って絵しりとりのようなものをやってみたり、またある時にはfigmaのプラグインを使ってゲーム”マリオパーティ”を真似たボードゲームを作ってみたりと、様々な試みがなされる創造的な実験の場となっているようです。

週のはじめのWarm upからおわりのCool downといった風に最適なリズムで仕事のプロセスがデザインされています。


3.フィードバックの質を高めるFigmaの6つのフレームワーク

figma社では、製品、仕事の質を高めるために「フィードバックを行うこと」を非常に重要視しています。セッションでは6つのフィードバックのフレームワークが紹介されていました。以下が6つのフレームワークです。

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① Standard critique
「プレゼンテーション」→「講評」スタイルの一般的なフィードバック方法です。

② Jam / Workshop
ブレインストーミングやクレイジー8(白紙を8つ折りにして制限時間内に1つの枠内に1つのアイデアを出していく手法)、グループでのスケッチワークなど共創型のフィードバック方法です。デザインプロセスの初期やアイデアに行き詰まった時は特に有効です。

③ Pair Design
2-3人の少人数グループでアイディエーション、フィードバックを行う方法です。大人数でのワークよりもより柔軟で実践的な取り組みが可能になります。

④ Silent Critique
口頭でのフィードバックではなく、全員がデジタル上で対象へフィードバック(コメント)をしていきます。多くのレビューが必要なときに有効です。またオンライン上で行うため、いつでもメンバーがフィードバックできることも特徴の1つです。

⑤ Paper Print-Out
印刷した対象物を壁に貼ってレビューする方法です。オープンで、共創的な場作りをするのに役立ちます。

⑥ FYI
クイックな共有と軽い議論をする(もしくは議論は後日行う)方法です。まだ深く議論するような内容が定まっていないときや取り急ぎ情報を共有するときに使われます。

その中でもオンラインならではのレビュー、フィードバックの方法についてご紹介します。
④のSilent CritiqueはLevinさんらが最もよく使っているフィードバック方法だそうです。メンバーそれぞれが付箋のようなものでコメントやメモを残していく方法です。一般的な口頭でのフィードバックだと声の大きい人の意見に傾いてしまう傾向がありますが、それに比べると発言への抵抗感を下げることができ、様々な人からのコメントを得ることができます。figmaではコメント機能があるので、このように大量のコメントがメンバーから出されているようです。

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また②Jam / Workshopでのフィードバックもよく使われています。figmaを使ってアイデア出しをすることで、プロジェクトの初期段階でも様々なアイデア、意見を得ることができます。
これらはオンラインならではのスピード感や公平性を生かしたフィードバックの方法だと思います。


おわりに

多くの方たちにとってリモートで働くということがより当たり前になってきた今、日常の業務やチームでの関わり合い方もリアルの場から大きく変わってきています。figma社では、プロセスに参加している人が多ければ多いほど、より多く学ぶことができると考えられているそうです。リモート環境下でもメンバー同士で積極的なコミュニケーションをとり、多くのフィードバックをし合いながら、製品・サービス・環境をより良くしていく。また彼らの組織カルチャーを支えているのがリモートコラボレーションツールです。リモートワークをきっかけに、リモートコラボレーションツールをうまく活用して、メンバーの心理的な負担を取り除いたり、創造性を引き出す仕組みを取り入れてみてはいかがでしょうか?アフターコロナは、自分たちの組織に合わせたチームビルディングのチャンスともいえるでしょう。



他のmctのRemote Design Weekに関する記事はこちら
・Remote Design Weekについて
・「Insights in Design and Business During COVID-19」(コロナ禍におけるビジネスとデザインのインサイト)



アフターコロナビジョニングについて

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Michiru Watanbe株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

May 15, 2020 04:00 Blog|Insights in Design and Business During COVID-19

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今回は、先日ご紹介したDesignX CommunityによるイベントRemote Design Weekから「Insights in Design and Business During COVID-19」(コロナ禍におけるビジネスとデザインのインサイト)についてご紹介します。

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本セッションは、Webサイトやスマホアプリのためのプロトタイピングツールや、オンラインで使用できるホワイトボードツール等の開発を手がけている『InVision』のディレクター/CXデザイナーであるアダム・フライピアースがメインスピーカーとなり、zoomの画面共有とYouTubeのLive配信機能を用いて行われました。

InVisionでは創業当初からフルリモートを推進しており、いわばリモートワークのエキスパートともいえる企業です。

InVisionは、AppleやGoogleといった世界の名だたる企業のトップデザイナー達が参画している『Design Leadership Forum』(以下DLF)も企画しており、本セッションではそのDLF内のトップデザイナー達とのディスカッションで得られたコロナ禍におけるデザインとビジネス、特にデザインチームのための10のインサイトを以下のように紹介しています。

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1.The digital transformation has accelerated
 デジタルトランスフォーメーションが加速した


多くのビジネスリーダーたちは、デザインの価値やデジタルチャネルを最適化することの重要性を数年前まで理解していませんでした。しかし、Covid-19によるパンデミックが起きた今こそ「デジタル」というのは顧客と繋がるベストチャネルだとアダム・フライピアースは述べています。
今まで顧客と繋がる場合、顧客が実際に足を運んでいる場所、リアルの店先に足を運ばなければなりませんでしたが、今はデジタルの発展によって画面越しに顧客と接点を持つことができます。さらに、B2Cのブランドをみたとき、小売店やレストラン、エンターテイメントといった業界のビジネスリーダーたちは、次々とデザインチームを作って、デジタルカスタマーエクスペリエンスを最適化し、イノベーションを素早く起こしています。これはつまり、対面型/対人型のカスタマーエクスペリエンスを誇るB2Cブランドは、デジタルへの転換を余儀なくされているということになります。



2.Teams are designing for the "social distance economy"
 チームは「ソーシャルディスタンスエコノミー」に備えてデザインをしなければならない

Covid-19のワクチンが完成し一般的に普及されるまで、以前のような生活に戻ることは難しく、現在のようなライフスタイルがしばらく続くでしょう。こうしたコロナ禍で事業を繁栄させるためには、ソーシャルディスタンス(社会的距離)が敷かれた世界で如何に顧客経験を向上させるかを考える必要があります。
DLFでは、レストランや劇場、スポーツ用品店などに対して、「ソーシャルディスタンスエコノミーの下、どのようにして顧客経験をデザインしていきますか?」というヒアリングを行ったそうです。その結果、彼らは対面式の顧客経験を再考し、デジタルとの融合を通して顧客経験を向上させるといった非常にクリエイティブな方法を思いつき、実践しようとしていました。例えば、リアルとネットの境界を融解し、あらゆるメディアで顧客との接点を作るオムニチャネル戦略は非常に効果的だとしています。
こうした戦略を取った時、発見した顧客の課題とビジネス機会を結びつけ、顧客に対して新しいソリューションを提供することができるデザイナーは、重要なポジションを担っているとアダム・フライピアースは述べています。




3. As team investments increase, so do systems
 チームへの投資が増えると、よりシステマティックになる


既述のようにCovid-19のパンデミックによってこれまで以上にデザインの重要性やニーズが増してきています。
より多くのデザインニーズに対応するため、デザインチームにはより多くのお金とリソースが投資されます。これにより、デザインの運用効率を考えて全社的にデザインシステムを導入する流れがやってくるとDLFは推測しています。結果的に社内のデジタルトランスフォーメーションも加速し、より実践的になっていくでしょう。 



4. Businesses are transforming, fast. They might be burning out their employees
 ビジネスは素早く変化しており、従業員をバーニングアウト(焼き尽くす)してしまう恐れがある


新型コロナウイルスの影響でリモートワークが中心になり、その中でより効率的なワークフローを追求していますが、それがチームとチームリーダーに取って大きなストレスになっています。しかしながら、デザイナーはこのビジネスの転換を支える重要なポジションを担っています。
例えば、数時間に及ぶ非生産的なミーティングを、超効率的な30分のホワイトボードセッションに変え、そこでアイデアの取捨選択を行うことで、今まで時間を取られていた開発と意思決定のサイクルを早めることができます。



5.Covid-19 has created a climate of empathy and caring
 Covid-19は共感と思いやりの風土を作り出した

パンデミックを通して、仕事の雰囲気や会社の風土がより人間的になってきたとアダム・フライピアースは主張します。
例えば、遠隔ミーティングの冒頭では、いきなりアジェンダに入るのではなく、「調子はどうですか?」「体調にお変りないですか?」といった挨拶から入ったりしますよね。
また、画面越しから子供の声が聞こえたり、飼っているペットが映り込むなど、上司やチームメンバーの内面的な部分もリモートワークを通して垣間見ることができます。
このように従業員の間で、共感と思いやりの風土が出来つつあります。自分を含め、チームメンバーをある1つの部族のように捉え、チームカルチャーを向上させることが大事だとしています。



6.The screen has democratized the team
 スクリーン(PCの画面やモニター)がチームを民主的なものにした


リモートワークのツールとしてzoomを使用していようがwebexを使用していようが、画面の向こうに映るチームメンバー(自分自身も含む)は大体同じサイズ・形をしていますよね。その人の特徴、たとえば、衣服、身長、性格、大きめな声でさえ聞き手側で調整できてしまうので、誰も気にしません。画面越しのメンバーが、どんな部屋でどんな椅子に座って会議に臨んでいるのかといった物理的空間も気に止めることはありません。
このように制約的な画面を通してチームメンバーとコミュニケーションする機会が増えたことで、チームがよりフラットな雰囲気へと変化しつつあります。



7.Leaders are confident their teams will be stronger on the other side of the pandemic
 デザインリーダーたちは自分たちのチームが、パンデミックを通してより強くなると確信している


長い外出自粛期間のなかで、既にリモートワークに適応し始めている方も多いのではないでしょうか。こうしたリモートでの作業が増えるにつれ、チームメンバー間でより強力なコミュニケーションが実践され、新しいコラボレーションのスタイルが生まれるだろうとDLFのメンバーは予測しています。
例えば、従来はデザインスタジオなどで行なっていた付箋を使ったワークショップも、今後は『miro』や『Freehand』といったホワイトボードツールを用いて、デザイナー以外の人とコラボレーションすることができます。
アフターコロナの環境では、こうしたホワイトボードセッションでイノベーションが生まれようとしています。



8.Teams might stay distributed, as there are many benefits
 リモートワークは多くのメリットがあるため、チームは分散したままになる


上述のように新しいコラボレーション/コミュニケーションの方法が確立され、リモートワークのメリットが露わになると、従来のようにオフィスへと出社してチームで集まる機会は減っていくでしょう。そうなるともはや、リモートワークが一般的となり当たり前の日常になります。



9.Teams are cutting travel, but that might not be temporary
 一時的ではなく今後も仕事のための移動は減り続けるだろう


世界のデザインリーダーたちは、既に多くの業務をリモートで行なっています。ミーティングに限らず、まさにRemote Design Weekのようなコミュニティイベントも完全リモートで開催できるようになりました。また、採用や営業といった、従来は対面でしか行うことのできなかった企業活動も徐々にリモートへとシフトしようとしています。リモート環境に慣れたデザイナーはこの状況をチャンスと捉え、企業のそうした活動を支援していくことが大事だとDLFのメンバーは主張しています。



10.Designers need to know how to communicate their business value
  デザイナーは如何に自分たちのビジネス価値を伝えていくかを考えなければならない


インサイト1で既述のように、ビジネスリーダーはコロナ禍を生き抜くため、大きなイノベーションを起こすアイデアを模索しており、デザインの力を取り入れようとしています。
そんな中、自分たちのビジネス価値を適切に伝えることが、デザイナーにとって重要になってくるとDLFのメンバーは主張しています。デジタルチャネルでユーザーの声を聞き、如何にして課題を解決するかという部分にデザイナーは貢献していかなければなりません。

コロナ禍では、時代にそぐわないビジネスも増え、経済がより混沌としてきているため、デザイナーはデザインの価値を伝えることがより重要になりました。



最後にアダム・フライピアースは次のような言葉でセッションを締めくくっています。

03-5


Covid-19によるパンデミックは、私たちの生活や働き方を大きく変えました。そしてそれらは、アフターコロナの世界でも脈々と変化し続けるでしょう。そうした生活、労働、産業の変化をいち早く捉え、事業をリードしていくことがこれからのデザイナー、デザインリーダーには求められるでしょう。

Keisuke Minowa株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

【タグ】 デザイン, leadership, covid19,

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