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May 14, 2018 01:00 優れた起業家の意思決定理論「エフェクチュエーション」

こんにちは。mctの鶴森です。
「エフェクチュエーション」という言葉をご存知ですか。
「エフェクシュエーション」とは
バージニア大学ダーデン経営大学院のSaras Sarasvathy教授が提唱している理論で、成功した企業の創業者を研究して導き出した、優れた起業家の意思決定の理論です。それ以前は、起業家の特徴は、生まれ持った資質や運などで語られていたのですが、共通の理論や思考プロセスを体系化したことで、注目されてました。(邦訳「エフェクチュエーション」碩学舎、サラス・サラスバシー 著)

Sarasvathy教授は、エフェクチュエーションの反意語として、「コーゼション」を挙げています。 「コーゼション」とは、目的からスタートし、目的を達成するには何をすればいいかを考え、特定の結果を生み出すための手段を選択するという意思決定プロセスのことを差します。STPマーケティングなどの教科書的なアプローチがコーゼションにあたるので、イメージしやすのではないでしょうか。その前提には、未来は不確定なものだが、できるだけ予測して進めていく「未来は予測できるかぎりコントロールできる」という考えがあります。

一方、エフェクチュエーションは、特定の手段からスタートして、それらの手段を使って何ができるかを問い、可能な限りの結果をデザインしていくというアプローチです。その前提には未来は不確定なものだから、自ら影響を与え変えていくものであり「未来はコントロールできる限り予測する必要はない」という考えがあります。

比喩として、エフェクチュエーションは手持ちの生地を自由に組み合わせながら全体像を作り上げていくパッチワークキルトのようなもの、コーゼションは全体像が見えていてピースを埋めていくジグソーパズルのようなものに喩えられます。スクリーンショット 2018-05-10 12.47.22

「手段からスタートして結果をデザインする」「未来はコントロールできる限り予測する必要はない」といわれても具体的にどう行動すればよいのかイメージしにくいですが、Sarasvathy教授はそのためのテクニックを5つの原則として具体化しています。

エフェクチュエーションの5つの原則(熟達した起業家の意思決定基準)

1)「手中の鳥」の原則
自分が今持っている手段「自分は誰か、何を知っているのか、誰を知っているのか」からスタートして、可能な結果をデザインする。(⇔コーゼションでは、目的や特定の結果からスタートして手段を選択する)

2)「許容可能な損失」の原則
いくらまでなら損してもよいかコミットする。(⇔コーゼションでは、いくら儲かるのかリターンを最大化することに焦点を合わせる

3)「クレイジーキルト」の原則
顧客や競合をパートナーとして交渉し、ステークホルダーが提供してくれる資源を柔軟に組み合わせて価値のあるものを作りだす。(⇔コーゼションでは、顧客や競合を自分と切り分けて分析の対象とする

4)「レモネード」の原則
不確実性や予期せぬ出来事をリソースと捉え梯子として活用する。すっぱいレモンをつかまされたら、レモネードを作れという格言があるそうです。(⇔コーゼションでは、不確実性を避け、克服し、適応する

5)「飛行中のパイロット」の原則
予測に頼らず、常に状況監視とコントロールを怠らない。それは予想外の機会を知る手段であり、最悪の自体を克服するための鍵。(⇔技術年表や社会経済学的なトレンドのみを活用する

ここまで、エフェクチュエーションとコーゼションを対比させて見てきましたが、どちらが優れているということではありません。企業のライフサイクルにおいて0→1フェーズではエフェクチュエーションが、1→10ではコーゼションが有効で、場面に応じて双方のアプローチを組み合わせながら用いることが重要と言われています。

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mctが提供するメニューにも、エフェクチュエーションと相性がよい手法があります。
・顧客をステークホルダーと捉えて一緒に価値を作っていく「コ・クリエーション」
・短期間でデザイン上の課題の発見とインタビューによる学習を繰り返す「デザインスプリント」
・業界外のトレンドを手軽に具体的に知るための「インスピレーションソースブック」
など
ご興味のある方はぜひお問い合わせください。 

Shinpei Tsurumori株式会社mct エクスペリエンスデザイナー/ストラテジスト

Apr 15, 2018 12:59 mct 事例のご紹介:コンセプト開発

 

■ミニバンカスタマイズリサーチ~コンセプト開発

ホンダアクセス様(純正用品の開発、生産、販売メーカー)

 

サムネ-5

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 先方PJメンバーの方がフィールドワークを実施され、ミニバンカスタマイズの新価値仮説を開発。先方担当者を交え、その仮説をユーザーに提示し、検証や潜在ニーズを探っていく、コ・クリエーションユーザーリサーチを実施。これまでになかったミニバンのインサイトと潜在ニーズを獲得し、それらの情報から新しいミニバンの方向性、コンセプトを開発した。

 

■取組内容

・コ・クリエーションユーザーリサーチ

・分析共有セッション

・コンセプト開発セッション

 

■取組のプロセス

 

■活用

後に先方にてオデッセイを利用したプロトタイプモデルが製作され、東京オートサロン2018に出展。

 

IMG_5879-1IMG_5887-1オデッセイ・クロスクルーザー

 

※この記事は、ホンダアクセス様の許可を得て掲載しております。

 

Shuichi Jouriku株式会社mct エクスペリエンスデザイナー/エスノグラファー

Aug 17, 2016 02:00 What is co-design and where is it happening?

Co-design is the topic of many discussions today. But these discussions can be confusing because co-designing has many meanings. For example, some people use the term co-design to refer to the use of specific tools and techniques. Others see it as an approach to design research. Still others talk about co-design as a mindset that describes the culture of a company. I will argue that co-designing can be all three: set of tools and techniques, an approach to design research and also a mindset of the company culture. But its impact will vary depending upon the perspective we take regarding its value.

The design and development process has transformed over the last 10 to 20 years with the growth of a large front end that is often referred to as the "fuzzy front end". It is here activities take place in order to inform and inspire the exploration of open-ended questions. In the front end of the design process we determine what could be (or should not be) designed.
The fuzzy front end can be approached from a designing for people or a designing with people mindset. When we invite people into the design process to design with us, we are taking the co-designing or co-creation approach.

liz_01.pngのサムネール画像
Figure 1: Co-creation and co-designing are taking place at all points of time along the design and development process.

Co-creation can take place at every point along the design and development process as the dots in Figure 1 show. But it is not always used at all points along the process.

In Figure 2 another dimension has been added to the design and development process. Here three levels of value that can be adressed in the co-design process (monetary, use/experience and societal) are shown.

liz_02.jpg
Figure 2: Co-designing provides different types of value at various points along the design and development process.

The monetary value of co-creation, the top level, has received the most attention in the business community. Co-creation that results in monetary value is aimed at making money. Co-creation at the monetary level does not necessarily require direct contact between the company and its customers. For example, crowd-sourcing can be used to obtain feedback from customers about products, services and brands.

The use/experience value of co-creation is fueled by a company's desire to transform consumers into users by ensuring that the products and services they offer will better meet people's wants and needs. Co-designing at the use/experience level may impact monetary gain if its application results in satisfied repeat customers.

The societal value of co-creation is aimed at longer term and more sustainable ways of living. It supports the exploration of big and open-ended questions such as "how can we improve the quality of life for people living with a chronic illness?" Co-creation at the societal level involves the integration of experts and everyday people working closely together. Direct personal involvement between such people is needed for this type of co-creation.

The shapes shown in Figure 2 reveal that co-creation with a focus on monetary value is more likely to take place later in the design development process, in the design adoption stages such as marketing, sales and distribution. Co-creation with a focus on the use/experience level tends to take place during the design process. And societal value co-creation starts in the very early front end and continues throughout the design and development process. So the earlier in the design development process that co-designing or co-creation occurs, the greater will be the likely impact.

Figure 2 shows the pattern of the three distinct applications of co-designing:
Co-designing as a collection of tools and techniques refers to the use of specific tools and techniques after the design of the product or service. This is a fast and low-cost way to drive interest in and attention to brands and/or new products and services in the marketplace.

Co-designing as an approach refers to the use of participatory methods in design. This application is used primarily during the discovery and design exploration phases.

Co-designing as a mindset has the most potential to impact the lives of people in the future since it starts in the fuzzy front end of the process. If the co-designing mindset is shared by all the people in the organization, its impact will be very large. However, the co-designing mindset may not be shared by them all. But it can start in small ways and grow to define the company culture if it is nurtured over time. For example, the adoption of co-designing practices might start at the monetary level and then move to the use/experience level and move, finally, to the societal level.

Liz SandersMakeTools 代表

May 30, 2016 06:45 デザイナーの日々の活動としての"ユーザー中心デザイン"

"ユーザー中心"とは一体どのようなことなのか?

"ユーザーを製品・サービスに慣れさせる"のではなく、"ユーザーの実際の行動に合わせたものを作るユーザー中心デザイン"は、それがどの分野のデザイナーであろうと、またそれが製品であろうとサービスであろうと可能です。

ユーザー中心デザインを進めるには3つの段階があり、それらの段階を通じて、ユーザーとデザイナーとの距離は縮まっていきます。デザイナーは、やりやすいレベルを選択してそれを進めることもできますし、もしくはレベル1から順に進めていくこともできます。


レベル1 :人々から学ぶ
レベル2 :人々と共感する
レベル3 :コ・デザインする

 


レベル1: 人々から学ぶ

1.jpgのサムネール画像人々の発言、行動により注意を向けることで、デザイナ-は"ユーザー中心"となることができます。このレベルでは、デザイナーは少し距離を置いて人々(ユーザー)を観察していきます。
人々から学ぶには、ユーザーに語らせ、話している内容に耳を傾けることが必要です。この時、実際に顔を合わせて会話するほうがよいでしょう。会話を進めるための準備として、いくつか質問を用意しておき、より自然な状態(日常に近い状態)で会話を進めていくことも重要です。

また、彼らの日常生活の中の、ありのままの行動を観察します。彼らの生活を邪魔しないように、興味深かったことや驚いたことをノートなどに記録しましょう。注意深く観察していくうちに、インサイトや新たな機会に気づき始めます。

例えば、自社の製品やサービスについてユーザーから学びたいのであれば、それらをテーマにした話をしてみるのがよいでしょう。買い物の様子を観察したり、製品を実際に使っている様子を観察するのもよいです。彼らの日常生活の中で対話ができる機会があるのであれば、発言からも行動からも学びを得ることができます。


レベル 2: 人々と共感する
2.jpgのサムネール画像人と共感することでさらに"ユーザー中心"になることができます。気持ちをシェアしたり、理解するといった共感によって、実際の生活や経験により近づくことができ、将来求められている製品やサービスのデザインにつなげられるようになります。共感するためには、人を観察したり話をするだけでは不十分です。まず必要なのは、ユーザーの視点に立つためにデザイナー自身の視点から抜け出すことです。その上で自身の視点に戻るといったステップを踏むと、より深い学びを得ることができます(Kouprie and Sleeswijk Visser, 2009)。これを実行するには(自分の視点から抜け出す)勇気、自信が必要になります。

共感のできるデザイナーになるためには、観察だけにとどまらず、ユーザーのライフスタイルや環境に入りこむことがよい経験になります。これによって、新しいライフスタイルの発見にもつながります。また他のアプローチとして、ユーザーの生活を演じ、ロールプレイのテクニックを利用することもできます。バーチャルリアリティーはまだあまり一般的ではありませんが、共感するための新しい方法としては極めて有望です。その代表的な例がTED Talkでの Chris Milkのプレゼンテーション「How virtual reality can create the ultimate empathy machine」で語られています。


レベル3: コ・デザインする
3.jpgのサムネール画像人を招き、パートナーとして一緒にデザインや開発のプロセスを踏むと、より"ユーザー中心"になることができます。このレベルでのユーザーはデザインプロセスにおける参加者として扱います。ここでは参加者とデザイナーとの関係はとても近いので、人間中心のアプローチという べきかもしれません。ユーザー中心のデザインの中でもコ・デザインは特異な手段といえます。というのも、ユーザーの過去、現在、未来の経験を語るうえで、彼らがエキスパートであることをデザイナーとしてしっかりと認識しておかなければならないからです。

共創のプロセスにおいては、参加者が意欲をもって相互的かつ反復的に作る(make)、語る(tell)、演じる(enact)といったプロセスを回していくことが必要です。たとえば、ユーザーを招き、コラージュや、ベルクロモデリングなどの創造的なツールを利用して、未来の経験を視覚化してもらう(make)、そして、彼らにそれをどのように利用するのかを語ってもらう(tell)、さらには、未来のシナリオを設定し、それがどのように彼らの生活の中で使われるのかを演じてもらう(enact)、というようにプロセスを進めることができます。
※このプロセスの詳細は「Sanders and Stappers, 2012」(http://studiolab.ide.tudelft.nl/convivialtoolbox/)を参照し、人とのコ・デザインについての考察に役立ててください。


参照
Kouprie, M. and Sleeswijk Visser, F. (2009) A framework for empathy in design: stepping into and out of the user's life, Journal of Engineering Design, Vol. 20, No. 5, October 2009, 437-448

Milk, C. How virtual reality can create the ultimate empathy machine, TED Talk, April 22, 2015. https://www.youtube.com/watch?v=iXHil1TPxvA

Sanders, E.B.-N. and Stappers, P.J. (2012) Convivial Toolbox: Generative Research for the Front End of Design, BIS Publishers, Amsterdam.

Liz SandersMakeTools 代表

May 30, 2016 06:42 Daily activities for designers to be user centered

What does being "user-centered" mean?
User-centered designers are able to design whatever they are designing, whether that is a product or a service, around how users can actually use the product/service, rather than forcing the people to change their behavior to accommodate the product/service.

There are three levels from which designers can approach user-centered designing. The designer and user become closer to each other as one progresses through the levels. Designers might choose to focus on the level on which they feel most comfortable. Or they might choose to start at Level 1 and then advance to Levels 2 and 3 as they gain experience.

1. Learning from people.
2. Empathy with people
3. Co-designing with people.

 


Level 1: Learning from people.


1.jpgA designer can become user-centered by paying more attention to what people say and do. In Level 1 the people (who might become the users of the product or service) are viewed by the designer from a distance.

To learn from people, listen to what people say. Let them do the talking. The best way to do this is in a face-to face conversation. Have a few questions ready to get the conversation started and then let the conversation go in the way that is the most natural.

Observe what people do as they go about their daily lives. You do not want to intrude on their lives so just watch and make notes later about what was interesting or surprising. Once you start observing carefully, you will notice all kinds of insights and opportunities.

For example, if you are interested in learning from people about your products or services, have conversations with them about your products or services. Or watch them as they shop for and/or use your products and services. If you have conversations with people in their natural environments you will be able to learn from what they say and do simultaneously.


Level 2: Empathy with people.

2.jpgA designer can become more user-centered by learning to empathize with people, i.e., understand them and share their feelings. Empathic designers attempt to get closer to the lives and experiences of their future users in order to design products or services that better meet their needs. Design empathy goes beyond watching people in their natural environments and talking to them. Empathy requires that the designer first step out of their own perspective in order to enter into the perspective of the user. Then the designer must return to his or her own perspective, having been influenced by the stepping into and out of the user's life (Kouprie and Sleeswijk Visser, 2009). It takes courage and confidence to do this.

Some activities that designers can practice to become empathic designers include immersing themselves in the user's environment and lifestyle. This goes beyond observing and becomes a new way of living, at least for a while. Another approach is to use role-playing techniques such as acting out the user's life. The use of Virtual Reality, although still out of reach for many, holds great promise for new ways to empathize with people. A good example of this is the TED Talk by Chris Milk called How virtual reality can create the ultimate empathy machine‬.


Level 3: Co-designing with people.

3.jpg

A designer can become more user-centered by inviting people to partner with him or her in the design and development process. In Level 3, people (who might become the users of the product or service) are seen as participants in the design process. Their relationship to the designer is very close. In fact, I would say that this is better described as a human-centered approach. Co-designing with people is the most extreme form of user-centered design as it means that the designer must recognize that others are the experts when it comes to their experiences of the past, present and the future.

In designing with people you will need to engage them in an iterative and interactive exploration of making, telling and enacting. For example, you might invite users to visualize their ideas for future experience by using generative tools for making such as image collaging or Velcro-modeling. Then you would ask them to share what they have made by telling how they would use it. Or you might ask them to demonstrate how it would fit into their lives by using it as a prop when enacting future scenarios. The interested reader will want to refer to Sanders and Stappers, 2012(http://studiolab.ide.tudelft.nl/convivialtoolbox/ )for more ideas about co-designing with people.


References
Kouprie, M. and Sleeswijk Visser, F. (2009) A framework for empathy in design: stepping into and out of the user's life, Journal of Engineering Design, Vol. 20, No. 5, October 2009, 437-448

Milk, C. How virtual reality can create the ultimate empathy machine, TED Talk, April 22, 2015. https://www.youtube.com/watch?v=iXHil1TPxvA

Sanders, E.B.-N. and Stappers, P.J. (2012) Convivial Toolbox: Generative Research for the Front End of Design, BIS Publishers, Amsterdam.

Liz SandersMakeTools 代表

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