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Sep 17, 2020 06:00 Blog|リモートワークで切り開く働き方の未来

リモートワークで切り開く働き方の未来

いきなりですが、GitLabのダーレン・マーフさんは以下のような仕事をしています。彼のポジションは何でしょう?

・リロケーションの専門家として、大都市を離れたい同僚が、ブロードバンドへのアクセスが良い安い地域はどこなのかを考える手助けをする

・エグゼクティブ・コーチとして、シニア・リーダーがリモート・フレンドリーな方法で新しいプロジェクトを推進できるように支援する

・技術アドバイザーとして、新しいリモートツールを評価する

・コミュニケーションのプロとして、在宅勤務のポリシーをリモートワークのハンドブックにまとめる

・イベントプランナーとして、バーチャルなチームビルディングの活動を計画する


答えは、「リモートワーク の責任者(Head of Remote Work)」。

ワシントンポストによると、いま米国で「リモートワークの責任者」がホットな職種になっているそうです。GitLabだけでなく、SlackではCXの副社長がリモートワーク への移行を推進中で、FacebookやQuoraなどでは「リモートワークの責任者」の募集をはじめています。WeWorkの元副社長のリズ・ブロウ氏は「より多くの企業がリモートワークの調整を担当したり、オフィスにいる人とそうでない人がいるハイブリッドなワークプレイスをリードする人物を指名するようになるだろう」と述べています。

いま、テック企業を中心にリモートワークの定着が企業の成長に欠かせないという認識が広がっています。在宅か出社か、あるいはその組み合わせかといった単なる場所の問題ではなく、組織のレジリエンスを高める企業の成長ドライバーとしてリモートワークを捉え、それを加速させるためにどんな役割の人・部門が、何をするべきかを考え、取り組んでいくべきだとmctは考えています。

リモートの普及に伴いますます重要になってくるのが自律、健康、スキル、つながりの4つです。

自律:
仕事がリモートに移行し、従業員はより自律的に働くことが求めらるようになりました。しかし、誰もが自律的な働き方を得意としているわけではなく、企業側も、従業員の個性や能力に沿って自律性を尊重、促進する体制やプロセスを十分に整えることができずにいます。

健康:
オフィスに出社する頻度が減り、顔を合わせればなんとなくわかっていた従業員の健康状態が見えなくなって、さらに在宅勤務ならではの身体的、精神的ストレスといった新たな問題が浮上してきています。

スキル:
多くの従業員がいきなりリモートのスキルを習得し、使いこなすことを強いられてきましたが、どんなスキルが必要で、どのように習得していくのかが明確でない企業もあり、スキルのギャップや格差が広がりはじめています。

つながり:
従業員が物理的に集まる機会が減ってしまい、これまでと同じように組織と従業員、従業員間のつながりを維持することが難しくなっています。さらに、つながりそのものの意味が問われはじめています。



組織は、自律、健康、スキル、つながりの4つの課題に対して、どのように取り組んでいけばいいのでしょうか。まずはじめに、組織がリモートでどんな働き方を期待し、どう行動すればいいのか、リモートワークの方針や期待、役割、進め方について、わかりやすく、具体的に従業員に伝えます。これは、従業員の活動をサポートするガイドブックの役割を果たします。ガイドブックは「こう決まっているから、このルールを守ってください」といった就業規則や業務命令のようなものではありません。個人や組織のレジリエンスを高めるために、自律的な働き方を尊重し、サポートするためのものであることを従業員に理解、共感してもらうこと、そして具体的に役立つコンテンツを提供することがポイントになります。

次に技術・ツール。今回のパンデミックを通じて、リモートに対応していないITシステムの問題を多くの企業が経験しました。次いつ起こるかわからない危機に備えるためには、技術・ツールのリモート対応が欠かせません。技術・ツールの導入においてセキュリティーが重要になるのは当然ですが、同時に、従業員体験(EX)について考えることも大切です。すでにパンデミック以前から、従業員がITシステムやツールを利用する場面が増えていましたが、リモート環境においては、技術・ツールの良し悪しが仕事の生産性を大きく左右するようになります。ガバナンスやセキュリティーだけを考えて従業員に我慢を強いるのではなく、いかに従業員の負担を減らし、仕事をスムーズにし、自律的な活動をサポートするかという視点での導入がポイントになります。

そして活動。リモートワークのガイドブックや技術・ツールをベースに、従業員が主体的に活動する機会を与え、リモート環境での働き方の実践を後押しします。ここでの活動は、単にこれまでオフィスで行っていた活動をリモートに置き換えるというレベルに留まりません。目指すのは、新しい働き方を試み、改善を重ねていくことで、自律、スキル、健康、つながりを向上させ、組織のレジリエンスを高めていくことです。活動を通じて従業員自身の手でガイドブックをより優れたものにバージョンアップしたり、技術やツールの導入や応用に自ら取り組めるような、自律的なプロセスを構築することがポイントになります。

リモートワークのメリットを最大限に生かしている企業はまだほとんどありません。また、一朝一夕で実現できるものでもありません。しかし、その重要性をいち早く認識し、継続的に取り組んでいった企業が、レジリエンスの高い企業に成長していくとわたしたちは考えています。

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Hideaki Shirane株式会社mct CEO / ストラテジスト

May 07, 2020 02:00 Blog|リモートワークの時代。チームカルチャーはどうなる?vol.2

team culture

Vol.1では、リモートワークがもたらした課題、課題解決の鍵である「チームカルチャー」とは何か、それを強固にしていくためのヒントについて紹介しました。今回は、リモートワークで「離れていながらにして、どのようにしてチームカルチャーを築くことができるか?」ということに焦点を当てて考えていきます。

Vol.1「チームカルチャーとは何か?」はこちら

離れていながらにして、チームカルチャーを築くには?
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"強いカルチャーを創造するために、物理的に全員が一緒にいる必要はありません。
最高のカルチャーは、人々の実際の行いから生み出されます“
—ジェイソン・フリード(「ベースキャンプ」共同創設者兼CEO)



リモートワークは、チームカルチャーの中にある既存の問題を増幅させてしまうことがあります。メンバーと常に連絡を取り合ったり、サポートを受けられなかったりする環境下では、より顕著に問題が発生する可能性も否めません。しかしそれと同時に、リモートワークはこれらの問題を解決し、チームがより良い仕事ができるようになるための素晴らしい機会にもなり得るのです。

リモートワーク中でも、チームの一体感を感じ、安全で信頼できると感じられることは、各メンバーが積極的にリスクをとって活動をするために必要不可欠な要素です。多少リスクを感じるような挑戦がなければ、仕事のパフォーマンスをより高いレベルに引き上げ、よりエネルギッシュに活動し、結果的に満足度の高いライフワークバランスを実現するということも難しくなるでしょう。

は、リモート環境でもチームカルチャーを維持し、非リモート環境と同等あるいはそれ以上に強固なものにするためには、どのような動機付けが必要でしょうか?

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リモートでチームカルチャーを醸成するためのポイント

✔︎ 有意義な仕事を定義し、優先する
リモートワーク時は、常に仕事をしているということを同僚に示すため、すぐにチャット等の要求に応えなければと感じがちです。しかし、中断されるべきではない有意義な仕事を定義してそのための時間を確保したり、他のメンバーに予め伝えたりしておくことで、チームとしての生産性を高めることを意識しましょう。

✔︎ 仕事の方針を明確にする
"フレキシブルな働き方 "や "リモートワーク"は、人によって異なる解釈をされることがあります。メンバーは毎日一定時間、オンラインにしておくことが必要? 定期的に本社に出向く必要は? メンバーに空気を読ませるのではなく、会社あるいはチームとしての方針を明示することが必須です。

✔︎ クリエイティブなやりとりでつながる
SlackやTeamsなどのプラットフォームを介して、「読書会」のように、仕事に関連するトピックを共有するための場をつくります。仕事とは関係がなくても、写真や考えの交換、オンラインでのハッピーアワー(お茶会や飲み会)やお料理教室など、お互いのクリエイティビティが刺激されるような仕掛けがつながりを生みます。

✔︎ 適切なハードウェアとツールでサポートする
自宅で働くことは、オフィスと同じようにというわけにはいきません。働くために整っていないスペースを無理やり作業エリアとして使うことも多々あります。あなたのチームが快適な作業環境を得るために、必要なハードウェアやツールという面からもサポートを提供しましょう。

✔︎ 相手の置かれた状況を理解し、信頼を築く
誰も見ていないのに仕事をしなければならないため、リモートワークではなおさらお互いの信頼が重要です。マネージャーと従業員とはお互いに、仕事の問題、また時にはパーソナルな問題に誠実に向き合う必要があります。自分のことだけではなく他者の目線に立ち、お互いの人間的なニーズを考慮して行動することが大切です。




「心理的安全性」が信頼を築くための一歩となる
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リモートワークでは、「時間」や「人との交流」がより散発的で、貴重なものになります。メール等のコミュニケーションでは、対面と同じ量のやりとりを行うことはできません。そのため、自分の意見を述べたり、質問したりするには今まで以上の「努力」が必要とされます。実際にオンライン会議では、「これはテーマと関連性が高いコメントか?」「意味のある質問か?」ということを瞬間的に判断し、発言を躊躇してしまう場面も多くあるのではないでしょうか。

こうした考え方の変化に、トップの皆さんはより敏感になってください。リーダーは日頃から、メンバーがお互いにオープンで、自然なやりとりができるよう配慮すべきですが、リモートの場合はさらに、一見誰からも気づかれにくい「孤立」により多くの注意を払う必要があります。例えばミーティングの始めに、メンバーに積極的に意見を求め、「どんなコメントや質問でも、チームにとって貴重でポジティブなインプットになります」と伝えることが、すべてのチームメンバーの参加を奨励することにつながります。

コミュニケーションとコラボレーションを向上させるためには、対面の場合と同様に、それぞれのチームメンバーが自分の仕事や人生についての意見をオープンに、自信を持って共有できるスペースやプラットフォームが用意されている必要があります。
ハーバードビジネススクールのエイミー・エドモンドソン教授は、こうした、率直に意見したり質問したりしてもこのチームでは安全であるという、チームメンバーによって共有された考えのことを「Psychological Safety(心理的安全性)」として定義づけています。(この概念に興味がある方は、「心理的安全性」というキーワードで検索してみてください)

先述した「リモートでチームカルチャーを醸成するためのポイント」は、組織での立場や働く場所に関係なく、チームメンバーが自分の意見が取り入れられている、と感じるための鍵となります。そしてそれは、ベースとして「心理的安全性」が担保された場だからこそ、実現可能であることを忘れないでください。

今の状況だから「仕方ない」と諦めますか?
いえ、今の状況を「機会」として捉え、これからの働き方を、さらに上位のレベルへと革新していきましょう!


mctでは、リモート下におけるオンラインツール(ZoomやMiroなど)のスキルアップ、チームビルディングのためのオンラインワークショップを企画中です。
また、海外のオンラインでのリモートエスノグラフィも引き続き実施しています。変貌していく世界の生活者の価値観についてコンテクストの理解を深めながら、機会探索のサポートをいたします。お気軽にお問い合わせください。



記事原文:Victor Corral 日本語編集:池田 映子





●Playful NetWorkのお知らせ

mctは2019年に、これからの新しい働き方について考える参加型コミュニティ「Playful NetWork」を立ち上げました。会社や業界の枠を離れて、個人の方でも気軽に参加できる実験的な場です。EX(従業員経験)や、組織の中でイノベーションが生まれやすい環境をデザインしていくことにご興味のある方は、下記のFacebookページもぜひチェックしてみてください。

https://www.facebook.com/groups/PlayfulNetWork/

03-3
定期的なオンラインイベントも開催中です!

Victor Corral株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

May 07, 2020 01:00 Blog|リモートワークの時代。チームカルチャーはどうなる?vol.1

team culture

パンデミックは多くの人々の生活にネガティブで暗い影響を与えていますが、同時に、組織や企業、社会にとっては、自らを再定義し、新たな現実に即した運営モデルを模索する機会にもなっています。その機会をもたらした大きな変化の一つは、多くの企業が在宅ワークを—多くの場合は強制的に—採用したことです。

リモートワークがこれからのスタンダードに
リモートワークは、それ自体は新しいことではなく、グローバル企業を中心に数年前から世界中の企業が採用していました。しかし今回のように半ば強制的に、十分な準備期間もなくリモートワークが推進される中で、下記のような課題と、新しい機会が浮かび上がってきました。

 - ホワイトボードやPost-itなど、共同作業のための物理的なツールが使えない
 - 新しいデジタル・ツールをマスターするのに労力がかかる
 - ボディランゲージや非言語情報が欠落し、コミュニケーションが取りづらい
 - 気が散る環境下で、なかなかワークに集中できない
 - 直接会うという形で、チーム文化を確立することが難しい



ここで、このリストの最後の項目に着目してみましょう。離れていながらも、強力なチームカルチャーを構築することができれば、リストにある他の課題の解決に近づくことができるのではないかと私たちは考えました。 ではどのようにすれば、強いチームカルチャーを構築し、私たちのリモートワークをより充実させ、そのメリットを最大限に引き出すことができるのでしょうか。



What is Team Culture ?
チームカルチャーとは、個人のパフォーマンスや個性、態度のことを問題にしているのではありません。大切なのは、メンバーがどのようにまとまりのあるユニットとして一緒に仕事をしているか、各メンバーがどのように他のメンバーと連携し、より良い結果を生み出すために自分のスキルを効果的に提供できているか、ということです。



チームカルチャーは、下記の3つの柱を中心に構築されています。

・信念
全てのチームメンバーが信じていること、指針となるメンタリティ、スタイル、ルール。
・行動
それぞれのメンバーの実際の振る舞い、行動。
・ツールと環境
メンバーが本来あるべき行動ができるようにサポートするためのデバイス、ソフトウェア、適切な作業スペース(自宅も含む)など。

01-7チームカルチャーを構成する3つの柱



強いチームカルチャーを構築するには?
強いチームカルチャーを構築するために、チームがコントロールできる側面には色々なものがありますが、これから紹介する考え方は、先述した3つの柱「信念」「行動」「ツールと環境」を効果的にサポートすることができます。

02-3


強力なチームカルチャーをつくるために

✔︎ 最適な人材を採用する
確実にチームに最適な人材のみを採用することで、チームカルチャーの形成プロセスが大幅に容易になります。

✔︎ 儀式と伝統をつくる
特定の活動やプロセスは、友人や家族などのグループによって繰り返されることで「伝統」となっていきます。同じように、チームメンバーと一緒に特別なプロセスを作り上げることは、チームの結束力を保ち、オープンなコミュニケーションと信頼関係を築くことに寄与します。

✔︎ 責任感を醸成する
チームメンバーは、自分の仕事が、全体的な文脈の中でどこに当てはまるのかを理解する必要があります。それにより、各人が自分の仕事に責任を持つと共に、メンバー間のつながりや相互に補完しあっている存在であることを再認識することができます。


✔︎ オープンな環境をつくる
メンバーが自分の意見を表明することを恐れないような、かつ敬意を持って発言できるような、オープンな環境づくりを心がけます。全員に発言権を与えることで、より多くの異なる視点や意見を取り入れることができるようになります。

✔︎ ディスカッションと改善を繰り返す
定期的にメンバー全員と話し合う機会を作ります。チームとしてどのように仕事をしているか、自分の価値観は何か、期待や恐れは何か。そして団結力のあるユニットとして成功するために自分たちは何をすべきかを話し合うことで、向かうべき方向を再確認します。



今回は、リモートワークがもたらした課題、課題解決の鍵である「チームカルチャー」とは何か、それを強固にしていくためのヒントについて紹介しました。Vol.2では、リモートワークで「離れていながらにして、どのようにしてチームカルチャーを築くことができるか?」ということに焦点を当てて考えていきます。


Vol.2「離れていながらにして、チームカルチャーを築くには?」へ続く

記事原文:Victor Corral 日本語編集:池田 映子





●Playful NetWorkのお知らせ

mctは2019年に、これからの新しい働き方について考える参加型コミュニティ「Playful NetWork」を立ち上げました。会社や業界の枠を離れて、個人の方でも気軽に参加できる実験的な場です。EX(従業員経験)や、組織の中でイノベーションが生まれやすい環境をデザインしていくことにご興味のある方は、下記のFacebookページもぜひチェックしてみてください。
https://www.facebook.com/groups/PlayfulNetWork/

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Victor Corral株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

Apr 09, 2018 03:48 B2Bブランディングセミナー 「顧客経験から考える新しいサービス開発」 〜これからのIoT活用のありかた〜開催レポート

2018年3月23日(金)、株式会社大伸社コミュニケーションデザインと株式会社mctによるセミナーを実施しました。IoTビジネスをテーマとし、「IoTを使った新規事業」「顧客経験×IoTビジネス」といった領域に課題・関心をお持ちの皆様にお集まりいただきました。
風景

そこで今回はセミナーでお伝えした、IoT商品の開発にあたって重要なポイントを一部だけご紹介します。それは、
IoT商品を開発するときに必要な視点は二つあり、一つは顧客とIoTプロダクトとの間に発生する新たな経験をいかに良いものにするかといったマイクロな視点、もう一つは、IoTプロダクトから得られたデータの先にどのようなネットワークを作れば新たな価値を生むのかといったマクロな視点で、この二つの視点を行き来することが大切だということです。

視点

例えばお掃除ロボットを思い出していただくと、いまどきのお掃除ロボットは間取りを学習しお掃除をより効率的にしたり、何かトラブルがあればアプリに通知したり、必要になれば自分で充電ベースに戻ったりと非常に便利になりました。
ただし、お掃除ロボットを使うためには、お掃除の邪魔になるものをあらかじめよけておいたり、段差をなくしておいたり、充電ベースを置く場所を確保したりと今まで慣れ親しんだやりかたではなく新しいインタラクションに人間側が合わせないとならないという側面があります。つまり顧客経験をよく考え、ユーザーに負担の少ない設計をしないと、そもそも商品を導入していただくための土俵にも上がれません。

一方、顧客経験を良くしてただ使ってもらうだけではユーザーにとっての価値は限定的になります。デバイスから得られたデータやネットワークを起点にユーザーへのフィードバックの価値を大きくしなければ、ユーザーも企業もIoTの恩恵を十分こうむることができません。例えば、家庭用サーモスタットのNestは、洗濯機や火災報知器、スプリンクラーなど様々なデバイスとのネットワークを前提として開発されていて、ユーザーの生活全体をより快適なものにしています。

セミナーでは、これらのマイクロな視点とマクロな視点を使いこなしていただくためにワークショップ形式でIoT商品のアイデアを開発しました。具体的には、ペルソナを元にカスタマージャーニーに沿ってゴール分析をしたり、ネットワーク視点に立ってステークホルダーにとっての価値をどう高めるか?ということを発想し、身近な日用品に思ってもみない角度からの価値を検討でき、大変盛り上がりました。

mctのCXデザインチームでは、今後もIoTをテーマとしたセミナーを実施予定です。どうぞご期待ください。

Saori Kameda株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

Feb 21, 2018 12:45 mct INSIGHT#05 住まいと暮らし

#05ブログ画像-5.png

空き家の急増問題から民泊法の施行へ向けた動きなど、住宅を取り巻く状況は刻刻と変化しています。
そんな中で、現代人の中にはどんなへのニーズが潜んでいるのでしょうか?
また、企業はどのように、次なるの可能性を見出していけば良いのでしょうか?

この疑問を明らかにするために今回はまず、以下の質問をしました。

  Q.住宅に関しての考え方は、どれがより当てはまりますか?

結果は...

住宅円グラフ.png

「住宅は購入せずに、その時々にあったところに住み替える」と「マイホーム(一戸建て、マンションなど)を購入して、住み続ける」の2つに回答が集まりました。一方で、「住宅は資産として、運用する」には回答がほとんど集まりませんでした。これは一体何故でしょうか...?

これには、不動産の評価基準が関係していそうです。日本では、中古物件を壊して建て替えるという発想が根本にあるため、不動産価値は新築時が一番高く、その後は築年数に応じて減価していきます。これとは異なる価値観が存在する国として、アメリカでは、不動産を評価するときに築年数は必ずしも重要視されず、"実際に物件が使用できる状態であるかどうか"を評価される傾向があります。したがってアメリカでは、築100年以上の物件であっても、修繕を重ねることで建物価値はゼロにはならず、資産として評価される例もあるようです。このよう背景も踏まえながら今回の結果を見ると、日本ではまだまだ、住宅は「資産」としてよりも「消費するもの」としての意味合いが強そうです。

さらに詳しく見ていくため、グラスというウィジェットを用いて、住宅を選ぶ際に重視する事柄を項目別に質問しました。

Q.住まいを選ぶ際に重要視する項目を教えてください

図1.png
 
その結果は...

項目別.png

都心へのアクセスや街の雰囲気など、住宅周辺の価値の重要視度合いが伸びており、建物の広さや新しさなど、住宅そのものの価値の重要視度合いを上回っていました。
不動産を選択する人の中で、土地建物への執着が減り、建物のソフト面への期待が高まってきていることが伺えます。

さて、もう少し詳しく見ていくために、この結果を「住宅に関しての考え方」別にまとめました。
グラフが右に伸びるほど平均を上回っており、左に伸びるほど平均を下回ります。

結果は...

考え方×重要視.png


マイホームを購入して住み続ける派では、その他の重要視度が大きくなっています。こちらは、ローンや子育て環境など、既存の選択肢にはなかった項目を、高い比率で重要視する人が一定数含まれていたためです。住み続ける派の構成は、「一人暮らし」もしくは「夫婦(ご自身のみも含む)+子供の二人暮らし以上」の人が主でした。

重要視する項目の自由回答として、
・夫婦双方の両親と会いやすく、誰もが幸福になれる居場所だと思っている。(40~44歳・夫婦+子供の二人暮らし以上)
・近くに大きな公園や緑があること。特に綺麗な川があったことが決め手。(35~39歳・夫婦+子供の二人暮らし以上)
・気分転換になるので自然は必要。(30~34歳・一人暮らし)
などがありました。
夫婦双方の両親との会いやすさや気分転換など、重要視する内容はそれぞれですが、今ある自身の生活に合わせて住宅を選んでいく姿勢が伺えます。

一方、その時々にあったところに住み替える派では、街の雰囲気や利便性が重要視度が大きいです。住み替え派の構成は、「一人暮らし」もしくは「配偶者の二人暮らし」の人が主でした。

重要視する項目の自由回答として、
・路地裏に色んな景色やお店が広がっていて飽きないです。今の街に住んで散歩が趣味になりました。(30~34歳・一人暮らし)
・歩いて行ける範囲におもしろい場所、お店がある(30~34歳・一人暮らし)
・駅から近めのところがいい(35~39歳・一人暮らし)
・どこに行くにもまずは駅に行かないといけないから、地元のような頼れる人の近くに本当は住みたい。(25~29歳・配偶者との二人暮らし)
…などがありました。

こちらからは、近場の散策から電車を使って遠くまで、家から出かけることを前提とした暮らしがあることが伺えます。
このような層の人には住宅そのものだけでなく、出かけることや街に住むこと自体を楽しめるような体験を提供することが求められるのかもしれません。

ひと昔前、世の中には「結婚してマイホームを購入し、一箇所に定住しながら子育てをする。」という固定化されたライフモデルがあり、それに付随するものとして住宅の価値が語られることが多々ありました。
しかし現代では、DINKsなど人々のライフプランの描き方も多様化しています。
外観や内装といった土地住宅そのものでの差別化が容易ではない今、人々が住まいの周辺にどのような価値を求めているのか探ることで、次なる方向性が見えてくるのではないでしょうか。

今回の結果について、住宅に関するリサーチも手がけるベンチャー会社、株式会社GFLのCEO田邊氏に寄稿いただきました。

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不動産選びは人生でも何回かしかない大きな決断であり、ほとんどの人にとって不慣れな買い物です。本来、経験豊富な不動産屋さんが、この不慣れな素人に代わって、星の数ほどある物件候補から新生活の居所を探しだしてくれるはずでしたが、90年代にインターネットの不動産ポータルサイトが登場した時から、この難易度の高い仕事はセルフサービスになってしまいました。生活者は膨大な物件の海から、条件を変え、試行錯誤し、一喜一憂しながら学習を繰り替えし、絞り込み、物件を探し出し、自らの力で物件を見極めなければならなくなってしまったのです。

現在日本の不動産流通量は年間100万戸。人口減少にも関わらずゼネコンはマンションを建て続け、ずっと前からわかっていた供給過多は現実のものとなりました。空き家率は勢いよく上昇し、都心の優良物件を除いた不動産物件の多くが不良債権化する危機に瀕しています。日当たり良好程度の決まりきったキャッチコピーだけで客を誘致し「ネットに掲載しているのでセルフサービスで」のマーケティングで、はたして生活者を不動産の購入に踏み切らせることができるのでしょうか?ファンケートの回答には固定資産としての不動産を敢えて持たず、ライフステージに応じて自由に居所を変える、フリーアドレス的な住嗜好も散見されます。歴史的に終の住処という意識の薄い日本人、マイホーム神話が遠い過去になりつつある現代、不動産市場にも何か大きな地殻変動が起こる気がしてなりません。

田邊様紹介.png
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今日、購入者は、様々な視点で自ら不動産を選び取っているのが現状です。
不動産を取り巻く環境が変化している今、住む側も売る側も、"不動産市場の地殻変動"に備えておく必要があるのかもしれません。

住まいには、人の生き方や価値観がたくさん詰まっています。
今回の分析から、少しでも何かヒントを得ていただけますと幸いです。

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こちらよりアプリに戻れます。
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〜お願い〜
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月に1回アプリを用いてアンケートを配信しています。
結果は、分析したのちブログにて配信していきます。
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