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Oct 14, 2015 09:30 ヘルスケアとクリエイティブを考える「ケアクリ会議」開催レポート

9月26日土曜日、一般社団法人グッドネイバーズカンパニーと弊社が共催したイベント「ケアクリ会議」が日本橋にて開催されました。ヘルスケアデザイン領域において、現場で活躍されている実践者が全国から集い、語り合い、大成功を収めた本イベントの熱い一日をご紹介します。

※今後、mctがお届けするヘルスケアデザイン関連イベントとして、米国で開催された「ヘルスケアデザイン国際カンファレンス」のご報告イベントを10月30日(金)に予定しております。この記事の最後で、詳細をご紹介しています。

ケアクリ会議とは?
医療・介護・福祉などケアの現場で活躍する人材と、デザイナーやクリエイター、企業内イノベーター、社会起業家などのクリエイティブ人材が「ケアとクリエイティブ」について共に学び、語り、考える、参加型のトークイベント。10年後の医療・介護・福祉の現場が、創造的な健康課題の解決、価値創造の場に変化することを目指し、スタートしました。

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今年のテーマは「ケアの課題をクリエイティブにプロデュースする方法!?」。
当日は、「じゃあ、どうやって?」の部分を、3人のゲストスピーカーから話題提供していただき、参加者同士の経験や問題意識を共有。対話を通じてヘルスケアの現場課題を創造的に解決する方法を探索します。

《ゲストスピーカー》
1.障害者 X バラエティ
NHK障害者情報バラエティ「バリバラ」プロデューサー  日比野 和雅 さん
2.認知症介護 X 演劇
「老いと演劇」OiBokkeShi主催 俳優/介護福祉士   菅原 直樹さん
3.子どもの格差 X インクルーシブデザイン 
一般社団法人ピーシーズ代表 児童精神科医  小澤 いぶきさん

Story 1.
つっこむ、笑う、考える。
障害者のリアルを描くのに、バラエティの手法は相性がいい。

NHK障害者情報バラエティ「バリバラ」プロデューサー  日比野 和雅 さん

「バリバラ」は障害者の恋愛、仕事から、スポーツ、お笑いまで、日常生活のあらゆるジャンルに果敢に切り込む「バリアフリーバラエティ番組」。

◯街中のなんちゃってバリアフリーを検証する「バリバラ珍百景」
◯寝たきりコント職人が障害者あるあるネタで競う「SHOW-1グランプリ」
◯障害者モデルがランウェイを歩くファッションショー「バリコレ」

など、ユニークな企画を通じて、障害者のリアルな姿を発信しています。

かつて「きらっといきる」という障害者のドキュメンタリー番組を手がけていた日比野さん。
出てくるのは一部の頑張っているエリート障害者ばかり、という視聴者の指摘をうけ、番組改革に向けて新たな表現を模索します。ドキュメンタリーでは、どうしても課題と向き合い奮闘する主人公を追いかける感動モノになってしまう。一方で、制作スタッフの間では「障害者施設の運動会が面白いんですよ」「ヒッチハイクを始めた面白いヤツがいて」「番組では放送されない取材現場では、もっと面白いコトが起こっている」との声多数。この面白さを伝えるにはドキュメンタリーよりも、むしろそのままバラエティのほうがいいのでは?
"障害者を笑ってはいけない"というタブーを超え、"障害者と笑おう!"
こうした発想から「バリバラ」の挑戦がスタートしました。

やってみてわかったのは、障害者とバラエティ手法は相性がいい、ということ。面白く描くのではなく、単純に課題があったら、そこにつっこむ。そして笑う。笑った後で一緒に考える。この流れを作ってしまえば、誰もが巻き込まれ、障害者との距離感も縮まる。
境界のあちら・こちらを超える力は『笑い』にあり!
日比野さんの軽快なトークに、会場も終始笑いに包まれていました。

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Story 2.
老い×ボケ×死を受け入れる。
認知症の方と、今この瞬間を楽しむために「役」を演じる。

「老いと演劇」OiBokkeShi主催  俳優/介護福祉士 菅原 直樹さん

OibokkeShi(オイボッケシ)は岡山県和気町で、菅原さんと地元住民たちが作った劇団。
演者は認知症の妻を介護するお年寄り、商店街の店主など街に暮らす人たちです。

認知症徘徊演劇「よみちにひはくれない」の舞台は和気町の街。お客さんは劇場に座って舞台を見るのではなく、まちを徘徊する認知症役の人の後をついてまわる。そうすることで、認知症の方の気持ちを追体験することができる。また、「老いと演劇」ワークショップでは、介護職員にむけて、認知症の方の世界観を読み解き、その中で役割を見つけて演じる、という手法を伝えています。

元々特別養護老人ホームで職員をしていた菅原さん。認知症の方が困っていることは「忘れる」ことではなく「ひととの関係性が壊れてしまう」ことなのだそうです。食事・入浴・排泄の介助は大切だけれど、やはり人間というのは役割がほしいのではないか。そこで、認知症の人や周囲の介護者の方が"今、この瞬間を楽しむ"ために、和気町という舞台の上でそれぞれの役割を見つけてあげる。菅原さんがやっていることは、どこか演出家の仕事と似ているそうです。

ケアクリ会議当日は、菅原さんによるミニ演劇ワークショップを開催。参加者に台本や役割が与えられ、演劇を通じた認知症の方との関わり方を体感しました。ボケを正すのではなく、その方のもつ可能性に寄り添う。"遊びリテーション"の極意に触れ、会場は大盛況でした。

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Story 3.
貧困、虐待、育児放棄。
逃げ場のない子供たちに「ただいま」といえる安心基地を。

一般社団法人 PIECES(ピーシーズ)代表 児童精神科医  小澤 いぶきさん

病院で待っていても何も変わらない。児童精神科医の小澤さんは、医療現場を飛び出し、地域住民の方を巻き込みながら、貧困や虐待に苦しむ子供たちに「家庭以外で安心して過ごせる居場所」を創る活動をしています。

◯一般家庭の食卓を地域に開き、子供たちみんなで安心してごはんを食べられる家(足立区)
◯不登校の子供が集まるプログラミング教室(足立区)
◯地域の先輩ママが助けてくれる10代ママの子育て支援コミュニティ(豊島区)
◯多世代型本気のドッジビースポーツ大会+運動後のピアカウンセリング(豊島区)
◯高校生ユースワーカー育成事業:地元のお兄さんお姉さんによる子供向け企画づくり(都内高校と提携)

家庭環境に恵まれなかった子供たちが、"家族以外の地域の大人と関わりながら安心して育つことができる関係性"を一つの単位とし、PIECESの活動はアメーバ式に発展しています。

生まれる環境は選べない。過酷な状況でその日暮らしの生活を強いられ、生きる意味、働く意味を見出せなかった子供たち。「安心基地」で仲間と過ごし、その中で役割を与えられ、徐々に心を開いていく。地域の大人に見守られながら、プログラミング、アート、スポーツ、ファッションなど熱中できるものに出会い、自分で自分のことを決められるようになっていくそうです。

ケアクリ参加者の疑問は「いったいどうやって地域の一般家庭や大人を巻き込んでいるのか?」
小澤さんによると、"おせっかいおばちゃん"のような社会的資源が各地域に必ずいるそうです。
また、PIECESがコーディネーターとして、企画の作り方、子供たちとの関わり合い方を一般の方にアドバイスしていく。その中で、大人たちも自分に求められている役割を学び、自身の居場所を見出していきます。

「助けてあげたいけれど、どうしたらいいのかわからない」大人たちが、ケアの現場に参加できる仕組みを創る。診断、治療、カウンセリングといった医療の枠を飛び越えた小澤さんの本質的アプローチに学ぼうと、参加者から絶え間なく質問が投げかけられていました。

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原石を見つけ、舞台に上げ、演出する
障害、老い、貧困・・・一見取り扱いにくい問題を抱える人々の中に原石を見つけ、ひとりひとりの物語を紐とき、舞台と役割を与える。「番組企画」、「演劇公演」、「教育プログラム」と単位も対象も異なりますが、3人のゲストスピーカーに共通していたのは『一つの舞台を演出する敏腕プロデューサー』であることでした。

医療現場における診断・治療という文脈を越え、生活環境の中で利用できる資源を有機的に結びつける。支援する側・される側の境界を越え、舞台の中でそれぞれが役割を担う。

当日の参加者は、看護師、理学療法士、栄養士、保健師、患者当事者の方から医療コンサルタント、医療機器・製薬メーカーの方、デザイナー、WEBクリエイターまで様々なバックグラウンドの方がいらっしゃいました。「自分になにができるか?」「どうしたら一歩を踏み出せるのか?」「誰にどうやって協力してもらえばよいか?」など、参加者もそれぞれの体験を共有しながら、熱い議論が交わされました。参加者のひとりである医師の方が、「今日はお話したひと全員から学びがあり、感動して涙が出そうです」とおっしゃっていたのが印象的でした。

本イベントの発案者であるグッドネイバーズカンパニー代表・清水愛子さんは、元々エスノグラフィやデザインリサーチのエキスパートとして企業で活躍されていました。現在は、ヘルスケア領域における専門性を高めるべく医学部に在籍中という異色の経歴の持ち主。弊社のヘルスケアデザイン事業における提携パートナーとして、昨年は「ヘルスケアデザインセミナー/北米健康・医療系イノベーション組織の視察報告」「ヘルスケアデザインワークショップ/高齢者の見守りとオープンサービスイノベーション」などでご協力いただいています。

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弊社では引き続きヘルスケアデザイン関連イベントを企画しています。
直近では、米国で開催された「ヘルスケアデザイン国際カンファレンス」のご報告イベントを予定しており、グローバルトレンドと先進事例を日本のみなさまにお届けします。
「ヘルスケア課題の創造的解決」に関心があり、参加を希望される方は、弊社担当者までご連絡ください。

患者中心で考える「ヘルスケア・イノベーションセミナー」
§1.「HXR:HEALTH EXPERIENCE REFACTORED 2015」のご報告
§2. 患者ジャーニーマップ 実践ワークショプ

日時:2015年10 月 30 日(金)15:00 ~ 18:00
会場:株式会社大伸社 本社ビル B1 スタジオ (渋谷区千駄ケ谷 2-9-9)
定員: 20 名
参加費:5,000 円(税抜)

お申し込み:下記コンタクトフォームからご連絡をお願いいたします。
https://www.daishinsha.co.jp/mctinc/contact/index.html


関連リンク:
清水さんのグッドネイバーズカンパニー
http://gnc.or.jp/

日比野さんの公演
http://www.ritsumei.ac.jp/acd/cg/ss/kouza/3_h24/3.html

バリバラHP
http://www.nhk.or.jp/baribara/

菅原さんの記事
http://www.theaterguide.co.jp/feature/artist/vol_11/

小澤さんのインタビュー記事
http://greenz.jp/2015/04/08/diversity_inclusion_children/

Wakako Kitamura株式会社mct サービスデザイナー

【タグ】 ヘルスケア,

Oct 14, 2015 09:00 ファシリテーターとしてのデザイナー:新しい役割

最近、デザイナーの役割の変化について盛んに議論されています。デザイナー(あるいはデザインリサーチャー)の新しい役割のひとつとされるのがファシリテーターです。「コ・クリエーションのプロセスにさまざまなステークホルダーを参加させること」に関心が高まる中、コラボレーション、アイディエーション、そして意思決定が求められるグループセッションにおいても、デザインを専門的に学んでいない参加者をサポートする必要が出てきました。

 

ファシリテーターの役割とは?
デザイナーは、新たなユーザーを獲得するためのフォーカスグループやコ・クリエーションワークショップなど、同じ目的を持つグループにおいてファシリテーターとして振る舞うことがあります。しかし、コ・クリエーションへの関心が高まるにつれて、さまざまな分野の参加者が集まって複雑な課題に取り組むグループセッションにおいて、デザイナーがファシリテーションを頼まれることが多くなってきました。異なるバックグラウンドや異なる目標を持つ組織を代表する参加者がいる場合には、特にその傾向があります。こういった場合、ファシリテーションは非常に難しく、ファシリテーターとしての高度な専門技術が要求されます。

ファシリテーターはグループセッションの目的を理解していなくてはいけません。情報やリソースを共有することなのか?コラボレーションすることなのか?何かを決定することなのか?問題を解決することなのか?それとも新しいアイデアを生み出すことなのか?目的ごとに異なるファシリテーションプランが必要ですが、たいていのグループセッションには複数の目的が存在します。経験豊富な進行役が主な目的を達成するためのプランを立てますが、万一に備えて、別のプランも準備しておかなくてはなりません。

 

ファシリテーターに相応しいのは?
組織内の人なら誰でもファシリテーターになれますが、「優れた」ファシリテーターになるためには豊富な経験が必要です。ファシリテーターとグループセッションの参加者との相性も大切です。例えば、年齢や性別について十分に考慮する必要があります。

 

優れたファシリテーターになるために必要な能力やスキルとは?
ファシリテーターの最も重要なスキルは聞き上手であることです。注意深く、そして共感を持って参加者の話を聞くことです。ファシリテーターは、話を聞きながら同時に考えることもできなくてはなりません。参加者に話をさせ共同作業をさせることがその役割だからです。時には沈黙が生まれることもあります。例えば、誰かが何を言おうかと考えていたり、数人で何かの作業をしている時などです。そういう時に無理に話をして沈黙を破る必要はありません。

優れたファシリテーターは、グループセッション用に設けられた時間枠の中で、合意した議題に従って系統立った思考をすることができます。また、議論をリードしたり自分の意見を共有したりしません。ファシリテーターは、ほかの参加者の見解を引き出し、視覚化するためにそこに居るのです。優れたファシリテーターは会話を引き出し、継続させながら同時にコントロールします。
ファシリテーターは、すべての参加者が重要かつユニークな意見を持ってセッションに参加していると、固く信じていなくてはいけません。さらに、優れたファシリテーターはグループのダイナミクスをコントロールし、参加者全員に自分の考えや感じていることを発言する機会を与えることができなくてはなりません。時には、口数の少ない参加者の意見を聞き出す必要もあります。

ファシリテーションのスキルは教科書や講義、Youtubeのビデオから学習することはできません。実践あるのみです。このスキルを習得するには何年もかかります。自分のファシリテーションに自信を持つには場数をこなすしかないのです。自信がなければ、参加者がそれを敏感に察知して、セッション自体がうまくいかなくなるかもしれません。経験を積むには、アシスタントから始めて経験豊富なファシリテーターに成長していく方法があります。

優れたファシリテーターの「その他の条件」とは?
ファシリテーターには、一定の作業を任せられるアシスタントが必要です。アシスタントがいて初めてファシリテーターはグループのニーズをサポートできるのです。アシスタントはメモを取り音声を録音して、セッションの議事録を作成します。アシスタントは、セッションをスケジュール通り順調に進めるためにファシリテーターが必要とするものを、準備します。

グループセッションを開く場所は、参加者を歓迎する雰囲気があり、心地良いこと、そして動き回れる広さがあることが大切です。美味しい食べ物も必要です。歓迎されている雰囲気を作るのは、開催場所の物理的な条件だけではありません。ファシリテーターがセッション参加者を歓迎し、互いに心地良く感じるように仕向けることも重要です。

ファシリテーションを学ぶために役立つリソースは?
私の知っているベストなファシリテーター学習リソースは、Group Works Card Deck(グループ作業カードデック)です。優れたファシリテーターが習得し実践している内容を、100枚のカードに表示しています。このカードはさまざまな組織的バックグラウンドを持つ50人以上のボランティアが、グループセッションを成功に導くための知恵を出し合い、3年以上かけて作成しました(Group Pattern Language Project)。

以下に掲載しているのは、この記事で説明したポイントを表示したカードです。
全カードデックは次のサイトから購入またはダウンロードできます。

http://groupworksdeck.org

 

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Liz SandersMakeTools 代表

Oct 01, 2015 05:45 京都大学サマーデザインスクール2015と101デザインメソッド

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先日、9月16日~18日に開催された「京都大学サマーデザインスクール2015」に参加してきました。

このサマーデザインスクールは産学官のさまざまな分野から参加者と実施者が集まり、社会の実問題に取り組む3日間のデザインワークショップです。今年は参加者・実施者・メディア等の見学者合わせて300人を超える、過去最大規模のものとなったとのことです。


今回mctはこのスクールに初めて参加し、「京都を訪れる外国人のためのサービスデザイン」というテーマで講座を開きました。

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※写真のように300人が一同にアトリウムでワークショップを行うので、(ベタな言い方ですが)会場は異様な熱気に包まれていました。

ダイバーシティにあふれるチームで参加
mctのテーマへの参加者は、インバウンド向けビジネスで起業を考えている学生やデザインメソッドに関心がある社会人、東南アジアからの留学生らで、弊社からは白根・石原・杦木・エリックの4名+インターンのインド人スタッフ1名が参加し、ダイバーシティにあふれるチームとなりました。(ちなみに全28テーマのうち、実施者に外国人スタッフがいたのは弊社が唯一でした)

参加者には3日間のワークショップを通して、弊社が普段から行っているイノベーションプロセスに沿って、101デザインメソッドを用いた観察~分析ワークを体験していただき、最終的には外国人観光客向けのサービスアイデアを考えるためのフレーム開発を行うというプログラムでした。

【1日目~2日目午前】 フィールドワーク
タイプが異なる観光地として、多くの外国人観光客が訪れるメジャーな観光地である「清水寺・三十三間堂」と、マイナーだけれども日本らしさが感じられる「智積院」で観察を行いました。
また、宿泊客の8割を外国人が占めるハイアットリージェンシー京都様のご協力を得て、キャリア10年のベテランコンシェルジュの方にインタビューを行いました。

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観察は101デザインメソッドの「POEMS」という人(People)もの(Objects)環境(Environments)メッセージ(Messages)サービス(Services)にフォーカスした観察を行いました。観察フレームが書かれた「しおり」を参加者全員に配り、それにメモを行ってもらいました。

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【2日目午後】 分析ワーク
観察により得た要素を付箋に書き出し、分析を行いました。POEMSの中でも特に「人」に着目し、タイプ分け(セグメンテーション)を行い、どのような潜在的ニーズがあるのかディスカッションしました。
ここでは日本人だけの視点ではなく、mctの外国人スタッフ、タイからの留学生の視点が加わることで、より議論が深まりました。

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分析の結果、「観光への関心が高い人ばかりではなく、関心は低いけど日常からの逃避を楽しんでいるだけの人もいるのではないか?」、「クイックに効率よく観光地をまわりたい人だけでなく、ゆったりと楽しみたい人もいるのではないか?」という視点から、『観光に対する関心の高さ』×『観光を楽しむペース』という切り口のフレームを開発しました。

【3日目】 ポスタープレゼンテーション
今回の締めくくりは、3日間の成果を大きなポスターに取りまとめ、回遊する他テーマ参加者に対して個別にプレゼンテーションを行うスタイル。
我々のチームでは、『観光に対する関心の高さ』×『観光を楽しむペース』のフレームをもとにしたデザインクライテリアと、それに紐づくアイデア例のイラストをポスターに描きだしました。
限られた時間でのポスター作成は非常にハードでしたが、受講者とmctスタッフ全員が協力して必死に追い込み、一体感に包まれながらスタンバイ完了です。
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作成したポスターを前に、受講者がプレゼンテーションを実施
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3日間という短い時間の中でで、フィールドワークから分析、アイデア出し、プレゼンテーション作成までをやりきるのはなかなかハードでしたが、参加者にとってもmctにとっても刺激に溢れた、実りの多い3日間となったと思います。

Yoichi Sugiki株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

Oct 01, 2015 08:50 Designer as facilitator: A new role

There has been discussion recently about the changing roles of designers. One of these new roles is the designer (or design researcher) as facilitator. With the increased interest in bringing various stakeholders into the co-designing process comes the need to support those who are not trained in design during group sessions that require collaboration, ideation and decision-making.

 

What do facilitators do?

Sometimes designers serve as facilitators for a group of like-minded people. This is the situation for focus groups or co-design workshops with future users.  But with the rise in interest in co-designing, designers are increasingly being asked to facilitate group sessions where diverse people have been gathered to address complex challenges. It is often the case that the people are from different backgrounds and have different goals for their organizations. This is a most challenging type of facilitation and requires a high degree of expertise in a facilitator.

 

The facilitator must understand the objectives of the group session. Is it to share information and resources? Or is it to collaborate? To resolve issues? To solve problems? Or to generate new ideas?  Each of these objectives will take a different facilitation plan and most group sessions will have multiple objectives. The experienced moderator must come up with a plan to address the key objective(s) but also have other plans in their "back pocket" just in case they are needed.

 

Who can be a facilitator?

Anyone in the organization can be a facilitator but it takes a lot of practice to be a good facilitator. The match between the facilitator and the people in the group session is also important. For example, age and gender should be carefully considered.

 

What are the abilities and skills needed to be a good facilitator?

The most important skill is that the facilitator is a good listener.  This means that they listen attentively but also with empathy toward the participants. The facilitator must be able to listen and think at the same time. Their role is to get the participants talking and working together. Sometimes there is silence; for example, when someone is thinking about what they want to say or when several people are creating something together. It is not necessary to fill the silences with talking.

 

A good facilitator is organized and can follow the agreed upon agenda within the time frame that has been set aside for the group session. A good facilitator does not lead the discussion and does not share their own opinions.  They are there to bring out and to visualize the viewpoints of the others. A good facilitator gets the conversation going, keeps it going and under control.

The facilitator must truly believe that all the participants have something important and unique to add the session. In addition, a good facilitator must be able to manage the group dynamics so that everyone has a chance to say what they think or feel. Sometimes the facilitator will need to draw people out in order to ensure that the quiet participants can be heard.

Learning to facilitate is not something that you can learn from a book or from listening to lectures or youtube videos. It is something that you learn by doing. It can take many years for this skill to build.  Confidence in facilitation comes with practice. If you do not have confidence the participants can tell and the session may not go well. One way to get practice is to start by serving as an assistant to an experienced facilitator.

 

What are the other conditions for good facilitation?

The facilitator needs an assistant who can take care of certain activities so that the facilitator can focus on supporting the needs of the group. The assistant takes notes and audio-records so that the session is well-documented. The assistant makes sure that the facilitator has whatever they need to keep the session on track and on schedule.

 

The space that has been set up for the group session must be designed to ensure that the participants are welcomed, feel comfortable and have plenty of room to move around. Good food is also important. It is not only the physical qualities of a space that make it welcoming. It's also the way that the facilitator welcomes the participants to the session and makes them feel comfortable with each other.

 

Is there a good resource for learning about facilitation?

The best resource that I have seen for facilitators is the Group Works Card Deck. It contains 100 cards that describe what skilled facilitators have learned and what they practice. The cards were created by more than fifty volunteers (the Group Pattern Language Project) from a wide variety of organizational backgrounds who worked together over three years to express the core wisdom at the heart of successful group sessions.  

 

A few of the cards, some that mirror the points made in this short paper, can be seen below.

The entire card deck can be purchased or downloaded here:http://groupworksdeck.org

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Liz SandersMakeTools 代表

Aug 17, 2015 02:00 ビジネスモデルデザインの『作法』

■イノベーションの現場で起こる"生々しい"問題

―「株式会社○○ イノベーション推進室 新規事業開発担当の○○です」。

最近、社外の方と名刺交換させていただくと、所属部署名に「イノベーション」や「新規事業開発」といったワードを頻繁に目にするようになってきました。イノベーションや新規事業開発に関わる担当者はクリエイティブ活動に必要な情報やネットワークを欲しており、社外のイベントにもよく参加されています。4人グループで名刺交換したりすると、私以外の全員がそんな担当者だったりすることもしばしばです。実際に多くの企業で新たな挑戦をミッションとした新設のチームが立ち上げられています。既存事業からの脱却や新規事業への挑戦は、ビジネス書の中だけで取り上げられる先進的活動ではなく、多くの企業にとってスタンダードな活動になりつつあるようです。

社内から選抜された期待のメンバーが集まり、バジェットも与えられ、華々しい冒険の始まりに見えるイノベーション活動ですが、現実はなかなかそうもいきません。イノベーションや新規事業が持つ、華やかで挑戦的なイメージとは異なり、実際の担当者の方々から聞かれるのはたくさんの苦悩の声です。
「社長からは何をやってもいいと言われているんですが、何でもいいと言われても...」
「今まで全く違う仕事をしてきたのに、急に新規事業なんてできっこない...」
「とにかく3年以内に結果を出せと言われています...」
「周りの部署からどう思われているのかが心配ですね...」

こういった実態を目の当たりにすると「イノベーションのジレンマ」でクリステンセンが指摘している話よりも、現場はずっと"生々しい"と感じます。このように新規ビジネスの挑戦がうまくいかないのはいくつかの理由があります。もちろんフェーズによって起こり得る問題も異なりますし、解決策もまた様々です。ここではある種の『作法』を身につけることによって乗り越えられるテーマについてお話します。テーマは「ビジネスモデルデザイン」です。

■ビジネスモデルキャンバスという『作法』の必要性

イノベーション活動の現場において、魅力的なアイデアはあっても収益モデルや事業モデルが設計できない、というケースが多く発生しています。ビジネスモデルデザインが課題になっているのです。実際、アイデアから事業設計には大きなジャンプが必要で、具体的には以下のような問題がその難しさの要因として挙げられます。
・事業設計の方法論を知らない
・誰も事業設計などやったことがない
・新しい事業のポテンシャルを明らかにすることが困難
・既存事業のロジックを当てはめてしまう
・アイデア自体が未成熟

これらの問題を解決する『作法』が「ビジネスモデルキャンバス」です。
・顧客セグメント(Customer Segment)
・提供する価値(Value Proposition)
・チャネル(Channel)
・顧客との関係(Customer Relation)
・収入の流れ(Revenue Stream)
・主なリソース(Key Resource)
・主な活動(Key Activity)
・パートナー(Key Partner)
・コスト(Cost Structure)
の9つの要素からなる事業設計のためのツールです。ここではビジネスモデルキャンバスについては詳しく触れませんが、書籍『ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書(翔泳社)』をはじめ、オンライン記事などもたくさんありますのでご参照ください。

■現象は構造から生まれる

このビジネスモデルキャンバスを『作法』と呼ぶのには理由があります。ビジネスモデルキャンバスは単にそのキャンバスを埋めて完成させることが目的ではなく、各要素間の関係性やつながり、キャンバス全体の意味や構造を意識する必要があります。なぜならビジネスモデルは生き物だからです。人間の体が多くの細胞による複雑なつながりで成り立っているように、ビジネスモデルもまた全体を一つのシステムとして捉えるという『作法』が必要なのです。

mctでは、6月18日(木)に「ビジネスモデル・ジェネレーション」の翻訳者・小山龍介さんを講師にお迎えし、イノベーションのためのビジネスモデルデザインをテーマにセミナーを開催しました。その中で小山さんは、独特の言い回しを用いながらビジネスモデルの性質を表現されています。一つは「現象は構造から生まれる」という話。顧客が受ける価値や体験といった現象は、それを提供する構造、すなわちビジネスモデルから生まれるという意味です。これもまたビジネスモデルが統合されたシステムであることを前提とした考え方です。また、ビジネスモデルキャンバスにおいて、守(構造化)、破(想定外の変化)、離(再構造化)という考え方にも言及されていました。これは構造化されたビジネスモデルが、一部の要素変化によってビジネスモデル全体が再構造化され、新たなシステムとして生まれ変わることを表しています。正に生き物の進化を表現しているようです。

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ビジネスモデルキャンバスをうまく使えないといった声もよく耳にしますが、それもこういった『作法』として使いこなすことができていないからだと思います。9つの要素を埋めて完成させるという視点ではなく、キャンバスの構造を意識しながら組み立てることが必要です。またその過程においてはプロトタイピングのマインドセットも大切です。一度完成させたら終わりではなく、要素間の関係性を確認しながら何度も微調整を行い、さらに運用を通じて絶えず修正を繰り返していかなければなりません。生き物としてのビジネスモデルの特性を理解し、『作法』を以てビジネスモデルキャンバスを使いこなせるようチャレンジされてはいかがでしょうか。

※ビジネスモデルキャンバスに興味がおありの方は、お気軽にお問合せください。小山さんを招いてのプライベートセミナー等も実施可能です。

Akihiro Yonemoto株式会社mct エクスペリエンスデザイナー/ストラテジスト

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