BLOG

Apr 11, 2016 06:28 より良いカスタマージャーニーマップを作るためのコツ

こんにちは、mctの池田です。

 

先日、同僚のエリックから面白いクイズを出してもらいました。

 

ある状況で、ゾンビの大群が近づいてきました。

それに気がついた誰かが、隣にいる人に向かって声をかけます。

下記のセリフから、あなたはそれぞれどんな状況を想像しますか。

-----------------------------------------------------------------------------------------------

zonbie-thumb-400x198-680.jpg

(1)「後ろを向いちゃダメ! 大丈夫、手をつないでついてきて!」

(2)「お取り込み中申し訳ありません。ゾンビが後ろから迫ってきております。恐れ入りますが早歩きでお願い致します」

(3)「北北西の方角から、死んでいないホモサピエンスが2.5SPSでこちらに向かってきています」

-----------------------------------------------------------------------------------------------

 

(1)は幼い子供の親が、子供を怖がらせずに逃げるため

(2)は秘書が社長に対して、電話を中断させて危険を知らせるため

(3)は科学者が、博士に調査状況を正確に伝えるため

...が本当に正解かどうかはさておき、大事なことは、「コミュニケーションにはいくつかの大切な基本要素がある」ということのようです。

 

・目的(誰に、どんな行動をしてもらいたいか):「不安にさせない」「注意をひく」「正確な情報を伝える」

・内容(伝えたい内容は何か):「ゾンビの大群が近づいてきている」

・表現(相手の立場・能力、状況に合っているか):理解できる、共感できる、活き活きしている

 

誰かとコミュニケーションをとり、何かを伝えたいという時には、これらの要素を意識することが必要です。カスタマージャーニーマップを作る時にも、同じことが言えます。

 

・目的:マップを使って、誰に、どんな行動をしてもらいたい(どんな結果をもたらしたい)?

・内容:そのために、マップにはどんな情報が必要?

・表現:そのマップを見る相手に、直感的にわかってもらえる?

 

これらのポイントを踏まえて、もう少し詳しく、より良いカスタマージャーニーマップを作るコツをお伝えしたいと思います。

 

作る前に、どんな目的で使うためのマップかを定義する

「とにかく顧客の体験を可視化しよう」と、勢いよくマップ作りに取り組むその前に、まず、「具体的にどんな目的で使うため」のマップか、明確に定義しましょう。

 

「どうすれば、不動産店を訪れた新規客に、安心して相談しやすいと思ってもらえるだろうか」

「どうすれば、患者がだんだん億劫になる毎日の服薬を、ポジティブな行動に変えられるだろうか」

「どうすれば、通販サービスに加入して1年後の、飽き始めている顧客に、もう一度ワクワクできる体験を提供できるだろうか」

 

目的が明確になれば、自ずとカスタマージャーニーマップのタイムスパンも定めやすくなります。ある特定のタッチポイントにフォーカスを当ててそこでの詳細な体験を理解したいのか、長期的な視点で全体像を把握したいのか。解決したい問題に沿って適切な範囲設定をすることで、「誰に、どのような形で活用してもらうためのマップか」というメッセージもはっきりしてきます。

 

カスタマージャーニーマップの主人公を明確にする

「カスタマージャーニーマップを作成したい」というご依頼を受ける際、そもそも自社のターゲット像が明確になっていないことがよくあります。ターゲット像がはっきりしていないと、マップで描き出される内容は表層的なレベルに留まり、それを見ても理解、共感できないという問題が起こります。

そうならないために、主人公となるペルソナとセットにしてカスタマージャーニーマップを作ることをお勧めします。カスタマージャーニーマップに描ききれない、ペルソナの人物像、背景、性格、思考の癖はペルソナシートで理解した上で、その主人公が実際に、時系列でどんなタッチポイントでどんな体験をしているかをマップで明らかにします。そうすることで、ひとつひとつの出来事が顧客にとってどのような意味や感情をもたらしているのかがより深く理解できるようになります。

 

顧客の視点から世界を捉える

カスタマージャーニーマップのステップが、下記のように設定されているとしたらどうでしょうか。

 

 入店→席にご案内→注文をとる→料理を出す→会計→出店

 

業務の流れは明確ですが、カスタマージャーニーマップは業務設計書とは異なります。

この一連の流れを、顧客の視点から捉え直してみると、例えば下記のようなステップになります。

 

 店の外観を見て近づく→店の前で混み具合を確認する→入店する→席に案内される→上着と荷物を隣の席に置く→壁のメニューを見上げる→注文する→眼鏡を外す→...

 

カスタマージャーニーマップを作る時は、各タッチポイントで顧客がどんなメッセージを受け取り、どんな気分になっているのか、製品・サービス提供者の立場から離れ、顧客の目線になって体験を捉え直すことが大切です。一連の流れを顧客の目で見てみると、これまでは当たり前で見過ごしてきたことが、実は顧客にとって「なんかちょっとやだな」と感じることの連続だった...といったことにも気づけるようになります。

さらに、顧客の体験を捉えるためには、「結果」だけではなく、「期待」をマップの中に記載することも効果的です。人は何かを体験する前には、意識せずとも何かしらの期待や想定を抱いています。「売り込みされるんじゃないだろうか」「この病院ならちゃんと診てくれるはず」「このお店ならゆっくり過ごせそう」...。こうした期待を捉えることで、実際の体験が、その期待を上回る素晴らしい体験だったのか、想定内のことか、期待外れのがっかりする体験だったのかが明確になります。さらに、そのギャップの大きさから、体験全体に影響を与えるような重大なペインポイント(あるいは満足度を上げているポイント)がどこにあるのかが把握しやすくなります。

 

顧客体験に影響を与えるバックステージにも目を向ける

本当に顧客体験をよくしようとすれば、顧客と直接接するフロントステージだけではなく、それを支えるバックステージにも目を向ける必要があります。

例えば、不動産店で家を紹介してくれた担当者は自分に対してとても親身になり、決断を熱く後押ししてくれたのに、後日、経理部門から何の気持ちも感じられない事務的な振込用紙が1枚送られてきたら、どう思うでしょうか。顧客から見て一貫性のない体験は、顧客に不安、不快、不信感といったマイナスの感情を与えてしまいます。顧客との関係が直接ない部門であっても、顧客の体験のどこかに影響を与えています。フロントステージだけではなく、バックステージの動きもカスタマージャーニーマップに加えてみてください。そうすることで顧客体験を良くするための全体像が見えてきます。

 

いかがでしたでしょうか。顧客の目線で体験を捉える練習としては、自分自身も"ひとりの顧客"として、世の中の優れた製品・サービスを積極的に体験してみることをお勧めします。だいぶ暖かくなって、活動しやすい季節になってきましたので、ぜひいつもよりちょっとだけ意識的になって、いろいろな体験にトライしてみてください!

Eiko Ikeda株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

Mar 02, 2016 10:08 Insight and the big picture

What is insight in design?

When we talk about "insight" in the design process, we refer to a deep understanding of a situation that can lead to actionable outcomes. This understanding comes from engaging in exploratory research activities such as observing people, having conversations with stakeholders, participatory workshops, etc.  We integrate the findings of these research activities through analysis and when we can see how the findings fit together we say we have made sense of the content we explored.  But designers do not stop when it all makes sense. We are driven to use the understanding to inspire thinking about and making things for the future. Thus, design insight is about deeply understanding the situation and then doing something about it for the future.

 

 

Design insight can be communicated and shared with others if we visualize it in the form of a "big picture". The big picture reframes the situation so that we can see it in new ways which can help us to take action through design. Design insight connects the deep understanding to actionable designed outcomes. 

 

How do you get to insight in design?

You get to insight in design by conducting exploratory research that leads to messy data. The messy data is analyzed as design conceptualization begins. Figure 1 shows a framework for the analysis of messy data. Here we can see that the path of analysis starts in the lower left with the collection of data related to the topic or situtation. The layers of analysis are based on Ackoff's (1989) DIKW scheme (where the letters D, I, K and W stand for Data, Information, Knowledge and Wisdom) which distinguish different levels of sense making. Here data are documented, organized and reorganized into information. Information is then transformed into knowledge as the analysis proceeds. Theory is said to set the boundaries for this investigation and to inform the analysis process. Sometimes new theory is created as a result.

図1-thumb-400x172-642.png

 Figure 1:  The framework for analyzing messy data in the front end of the design and development process.

From Sanders and Stappers (2012). 

 

Analysis moves upward and to the right, from the analytical side to the design side of the framework with crossovers between research and design taking place at every level of sense making. Bigger ideas emerge at higher levels of sense making. At the highest level, the big picture connects the sense-making side to the design exploration side.

 

What is the big picture?

The big picture is a visual representation of what you have learned through exploratory research, analysis and design conceptualization. It reframes the content so that it is easier to see and to share with others.  The big picture connects backward to the data, and serves to house and to organize it in a way that reveals previously unseen patterns and structures. Sometimes the big picture will reveal different things depending on where you are standing when looking in (or out of) it. The big picture also points forward to the future, and serves to suggest or provoke new ways of thinking about opportunities for actionable outcomes.

 

What do big pictures represent?

Big pictures fall into three main categories of representation: conceptual, spatial and temporal. Conceptual representations include models, theories, and frameworks. Spatial representations include maps and landscapes.  Temporal representations include timelines and journeys. The theme of the big picture can also vary, for example, with an emotional focus or a customer focus. Figure 2 shows the themes (in the left column) and types of representation (in the right column) that can be used to describe big pictures. Many different possibilities arise by combining one item from each column. For example, the big picture might be an experiential timeline or it could be a conceptual model of understanding.

english01-thumb-400x131-666.png

Figure 2:  The themes and types of representation that can be combined to

describe many different types of big pictures.


How do you know that the big picture is working?

It can take many years of experience to be able to create effective big pictures from the messy data of exploratory research. A big picture that works well has these three characteristics.

 

  1. It is simple.The big picture evokes new directions in thinking. By simplifying, it reveals new ways to see. The visualization of the highest level of the big picture should fit on a single page.
  2. It is memorable. Others can remember what the big picture says without having to make extensive notes about it.
  3. It connects to all the research results.The top level visualization is connected to the intermediate levels of knowledge, information and data.

 

Summary

Insight in the design process can be visualized in a big picture that you can use to connect your understanding of the situation to actionable design outcomes.

 

References

Ackoff, R. L. (1989) From data to wisdom. Journal of Applied Systems Analysis 15: 3-9.

 

Sanders, E.B.-N. and Stappers, P.J. (2012)  Convivial Toolbox: Generative Research for the Front End of Design, BIS Publishers, NL. 

Liz SandersMakeTools 代表

Mar 01, 2016 05:29 4月からmctが、ダイヤモンド社が主催する「DMN」の企画・運営を行います。

こんにちは、mctの白根です。

この度、株式会社mctでは、1990年からダイヤモンド社が主催してきたDMN(ダイヤモンドデザインマネジメントネットワーク機構)の企画・運営を担当させていただくことになりました。

深澤直人氏の『WITHOUT THOUGHT』や、濱口秀司氏など世界で活躍するイノベーション実践者による『イノベーションメソッドプログラム』に加え、5月から、新たに「サービスマネジメント」「IoT」「グローバル戦略」「リーンスタートアップ」「オープンイノベーション」「顧客経験(CX)の6つのテーマからなる『ビジネスデザインプログラム』がスタートします。各テーマの理論・背景から組織における実践、成功のポイントまでを1日で体得する画期的な内容で、最高の講師陣による、最高のプログラムに仕上がったと自負しております。

 

例えば、一橋大学大学院藤川准教授による、第1回目の「サービスマネジメント(5月17日)」の内容をご紹介しましょう。

 

皆さんの中には、これまでに「サービス・マネジメント」という言葉をお聞きになったことがある方はいらっしゃいますでしょうか。経営学においても比較的新しい領域である「サービス・マネジメント」は、サービス業だけを対象とした研究でもなければ、学術成果のみを目指す学問でもありません。また、「脱コモディティ化」、「製造業のサービス化」、「モノのインターネット」などの現象に見られるように、サービ ス企業にとっても、モノづくり企業にとっても、従来の産業の垣根を超えて「サービス・マネジメント」の重要性が高まりつつあります。近年、世界経済のサービス化に伴い、経済成長の機会や課題をどうとらえるかに関する議論が、世界規模で、産官学の枠を超えて、国家政策や産業振興、企業戦略など様々なレベルで活発化しつつあります。

 

本セッションでは、まず、現在、地球規模かつ数十年単位で進む変化を三つのキーワード

SHIFT(世界経済のサービス化の進展)

MELT(産業の垣根がますますあいまいになりつつある)

TILT(世界経済の重心が北半球から南半球に傾きつつある)

を通して紹介します。

 

そして、新たなサービス・ビジネスの可能性について、近年世界規模で議論が進む「サービス・ドミナント・ロジック」の観点から議論します。サービス・ドミナント・ロジック(S-Dロジック)とは、「価値づくり」に関する新しい一つの世界観で、その特徴は、総ての経済活動をサービスとして捉え、「交換価値」でなく「使用価値」を重視し、顧客を「消費者」ではなく「価値共創者」として捉えるところにあります。

 

また、「価値共創 」の概念を複数の顧客グループに拡張してとらえる「マルチ・サイド・プラットフォーム (MSP)」の考え方を紹介します。近年話題の世界的な先進企業や事業事例の多く、たとえば、

Airbnb(世界190ヵ国に展開する空部屋シェアサイト)

NestGoogle傘下のスマートホーム企業)

Uber(スマートフォン・ベースのハイヤー配車アプリケ-ション)

Waze(ユーザー同士がリアルタイムの渋滞情報や道路状況をシェアするソーシャル・カーナビゲーション)

等を見ると、いずれもその経営戦略や事業構築の根底に「MSP」の発想を見出すことができます。

 

S-DロジックやMSPの観点から自社の未来をとらえた場合、どのような機会や課題がみえてくるでしょうか。

 

 

プログラム アジェンダ

1.いま世界規模・数十年単位で起きていること

  「地球儀」視点でとらえる「SHIFT」「MELT」「TILT

2.サービス・ドミナント・ロジック

  価値共創の概念、交換価値と使用価値

3.マルチ・サイド・プラットフォーム

  「価値共創」の拡張、価値創造と価値獲得 

4.ワークショップ | 価値共創の未来

  A. SDL - サービス・ドミナント・ロジックへの転換

  B. MSP - マルチ・サイド・プラットフォームの視点

 

(プログラムメッセージ/アジェンダ 藤川佳則)

 

 

いかがですか。あなたの組織がいままさに取り組むべきテーマではないでしょうか。

その他、すべてのプログラムをweb上でご確認いただけますので、まずはプログラム詳細をご確認ください。DMN『ビジネスデザインプログラム』は、あなたの組織のビジネス創造を強力にサポートすると確信しています。

是非とも『ビジネスデザインプログラム』への参加をご検討ください。

 

DMN

http://www.dmn-program.jp/index.html

Hideaki Shirane株式会社mct CEO / ストラテジスト

【タグ】 イベント告知, DMN,

Mar 01, 2016 05:27 早稲田大学ビジネススクール・樋原准教授と語る「オープンイノベーションで勝つ企業、負ける企業」

こんにちは、mctの米本です。

先日219日より、mctの新たな活動として『Convivial Salon』がスタートしました。さまざまな業種、職種で働く人々が、その垣根を越えて集い、対話し、楽しみながら学び合おうという趣旨のもとに企画したイベントです。「Convivial」という単語には「懇親的な」「陽気な」「お祭り気分の」といった意味があり、参加者が気軽に交流しながら楽しく学ぶことができる場づくりを目指しています。


企画の背景にあるのは、われわれmctの大切なポリシーの一つである[Co-Creation/共創]という考え方です。ユーザーを"顧客経験のエキスパート"として招き入れ、参加者全員の創造力を使って課題発見・課題解決に向き合う手法です。Convivial Salonもこのような思想をもとに、mctメンバーがパートナーの皆さんとともに学び、成長できる場を作りたいと考えて企画しました。

 

 

1回目は「オープンイノベーションで勝つ企業、負ける企業」と題して、早稲田大学ビジネススクール・樋原伸彦准教授をゲストスピーカーにお招きし、約50名の参加者全員が集まってオープンイノベーションについて学びました。

yonemoto_1-thumb-400x300-657.jpg

はじめに樋原先生からオープンイノベーションの理論や事例についてご紹介いただき、その後は参加者が自社での取り組みやその問題点などを挙げながら対話を行いました。最初は慣れない場で緊張感も見られましたが、徐々に空気が温まってくると、参加者の方々から様々な意見が飛び交うようになり、終了する頃にはものすごい熱気で会場が一体となりました。

yonemoto_2-thumb-400x400-660.jpg

参加者からは、オープンイノベーションの取り組みに関して、その概念の難しさから目的や意図が共有されないまま取り組まれているケースも多いことや、取り組みの成否を決める評価基準が不明確であるといった問題点が共有されました。また、それらの問題点に対して「オープンイノベーションの独立組織」や「業績好調時の新規事業投資」、「撤退戦略の事前策定」など興味深い解決策のアイデアもいくつか出てきました。

 

面白かったのは「出島」のメタファー。江戸幕府の鎖国時代に唯一、外国との貿易が行われた長崎の「出島」のように、オープンイノベーション活動は既存事業の組織やプロセスとは切り離して考える仕組みが必要であるとする意見です。私たちがよく見聞きするイノベーション事例は、その「成果物」に焦点が当てられていることが多く、「プロセス」を正しく定義することの重要性が十分に認知されていないのかもしれません。

 

イノベーションがうまくいかない要因は、とかく企業の文化や価値観の問題にされがちです。もう一歩踏み込んでルールやシステムの問題として捉えることで、イノベーションと正しく向き合うことができるのではないでしょうか。

 

参加者の方々が所属する企業の多くにおいて、オープンイノベーションはすぐに実現できる取り組みではないものの、そのコンセプトへの理解を深め、可能性を探索するという点で、貴重な機会になったのではないかと思います。

当日の配布資料をダウンロードしてご覧いただけます。

 

【配布資料ダウンロードはこちら ⇒ 配布は終了しました。ご興味のある方は直接お問合わせください 



yonemoto_3.jpg-thumb-400x90-663.png


Convivial Salonでは今後も経営やマーケティング、デザインといった様々な分野のテーマを取り上げながら定期的に開催していく予定です。

 

○ビジネステーマについて熱く議論したい人

○自社の課題解決の答えを社外に求める人

○お酒を酌み交わしながら気軽に交流したい人

○終業後の時間を有意義に使いたいという人

○学習や成長の機会を求める人

 

そういった方々のご参加をお待ちしております。ぜひ今後もご期待ください。

Akihiro Yonemoto株式会社mct エクスペリエンスデザイナー/ストラテジスト

Mar 01, 2016 04:51 ビッグピクチャーを描くためのメソッド

こちらは、イリノイ工科大学デザインスクールのヴィジェイ・クーマー教授が著したデザイン思考の教科書、『101デザインメソッド』を紹介するコーナーです。今回は、101メソッドの中でビッグピクチャーとして使えるものをご紹介しましょう

 

 

Summary Framework(サマリーフレームワーク)

人々やコンテクストの深い理解に基づくインサイト、デザイン原則を1つにまとめるために分析の最後に用いる構造化のメソッドで、サンダース教授の「ビッグピクチャー」がこれにあたります。

形態に関わらず、優れた「サマリーフレームワーク」「ビッグピクチャー」は以下の性格を持っています。作成する際は、これらの項目をチェックリストとして使いながら表現するとよいでしょう。

・あるテーマを完全かつ包括的に表している

・詳細は割愛し、全体レベルの情報のみを示した概略である

・全体レベルの情報は詳細レベルの情報を内包している

・あるテーマの要素間の関係を示す構造を表す

・通常は図表を使って、ひとつの形状で表される

・コミュニケーションを促進し、モードの移行をサポートする

 

img-224195700_04-thumb-400x382-669.jpg引用:Vijay Kumar『101 Design Methods』186ページ

 

User journey Map(ユーザージャーニーマップ)

Customer Journey Map(カスタマージャーニーマップ)とも呼ばれますが、顧客のゴールにまつわる一連の体験を顧客の視点で時間の流れに沿ってマップ化するメソッドです。視点を企業から顧客に転換し、顧客のニーズを視覚的なモデルとして共有することができます。

カスタマージャーニーマップでは、一連の体験を通して顧客がどんな結果(ゴール)を得たいのかを軸に、体験の流れに沿って、顧客の期待、行動、考え、感情がどうなっていくのかといった情報が描かれます。また、顧客が抱えているペインポイントや重要度の高いインタラクションなど、鍵となるファインディングを明らかにします。重要なタッチポイントを特定することで、自社やパートナー企業がどこに焦点を当てて顧客経験を改善し、顧客の期待をマネジメントするべきかが分かるようになります。

 

img-224195700_06-thumb-400x385-672.jpg引用:Vijay Kumar『101 Design Methods』183ページ

 

Descriptive Value Web(ディスクリプティブ・バリューウェブ)

Prescriptive Value Web(プリスクリプティブ・バリューウェブ)

自社、自社業界、更には近隣業界など、ステイクホルダーの関係性を描き出し、どのような価値交換が行われているのかを視覚的に理解するツールです。

Descriptive Value Webでは現在の状況を可視化する手法であり、顧客(ユーザー)だけでなく、競合組織、サプライヤー、流通業者など関与してくるステイクホルダーを洗い出し、それらがどのように関係しているか(価値を交換しているか)を描き出します。市場全体の仕組みとして見ていくことで、価値がどこで生まれ、どのポイントがキーとなっているか、手が加えられていない場所はどこかなどを見つけ、メンバー間の共通理解や、スコープの設定のためのツールとして活用することができます。

Prescriptive Value Webでは、プロジェクトで新たなアイデアやコンセプトを作成した際、それが市場に組み込まれれば価値交換の仕組みがどのように変化するのかを描き出します。自分たちで出したアイデアは魅力的に映りがちですが、市場の仕組みの中でそれを見ていくことで、市場にどんなインパクトがあるのかどうかを検討することができます。

 

img-224195700_08-thumb-400x322-654.jpg

引用:Vijay Kumar『101 Design Methods』261ページ

 

 

クマー教授のコア原則では、イノベーションはシステムとして捉えるべきものだといわれています。つまり、獲得したインサイトをそのままアイデア、ソリューションに変換するのではなく、人、モノ、組織、金の動きや関係といったビッグピクチャーの中で位置づけることで、取り組むべきイノベーションの大きな方向性を明らかにすることができます。

Satoru Inoue株式会社mct エクスペリエンスデザイナー/エスノグラファー

Search検索

Categoryカテゴリー

過去のExperience Magazine

  • 米国マーケティング最新事情 / 瀧口範子
  • デザインテクノロジーの最前線 / 桐山孝司
  • 「本能」から人間を読み解く / 佐藤武史
  • 注目のクリエーターズボイス