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Oct 30, 2019 10:03 デザイン思考で、課題提起型デジタルカンパニーへの変革を目指す【KONICA MINOLTA Case study Vol.2】

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左からヒューマンエクスペリエンスデザインセンター デザイン戦略部
久保田さん、今村さん、野添さん


取材:池田映子、米本明弘

2017年から、中期計画で「課題提起型デジタルカンパニー」を目標として掲げ、全社的にデザイン思考の考え方を現場に取り入れることを急ピッチで実践してこられたコニカミノルタ社。
単純に一般的なデザイン思考プロセスを導入すればいいということではなく、「コニカミノルタ流」の考えを取り入れながらプログラムを設計することが必要でした。弊社はそのプログラムのコンテンツ開発と実施をサポートさせて頂きました。

この度、こうした取り組みの「仕掛人」であったヒューマンエクスペリエンスデザインセンター デザイン戦略部の皆様が、社内での革新的な取り組みについて表彰されるインナーアワード「Transform Awards」で受賞されたとの一報をお聞きし、ご担当者としてのご苦労や導入のための工夫について、インタビューをさせて頂きました。



取り組みのポイント

✓ トップダウンからの明確なメッセージ
✓ 関連部門の協力
✓ 手法からではなく、マインドセットから取り組む
✓ 自社の特性や業種に合わせたデザイン思考プログラムの開発
✓ デザイン思考プログラムの修正をトライ&エラーでスピーディに行う




今回の記事は「vol.2」です。



「なぜ今、デザイン思考に取り組む必要があるのか」、
導入部分での動機付けが必要だと学んだ


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―デザイン思考の考え方を学んで頂くことについて、受講者の方にはすんなり受け入れられたのでしょうか?

今村さん:「そもそもなんでデザイン思考って、デザインという名前がついてるんですか?」といった疑問からはじまり、我々デザイナーが当たり前に考えて深く考えてなかったことについて色々質問や意見がありました。それらを聞いていく中で、ただデザイン思考の方法論だけ教えていてもダメだと教育プログラムを組み替えたんです。導入のところで、「我々がなぜデザイン思考をやる必要があるのか」という動機付けの部分をしっかり語った方がいいと。

まず、世の中の潮流を大局的に捉えてもらうために、GAFA を中心とするプラットフォーム企業が、なぜ市場を席巻し、企業価値を高められたのか、ビジョン・ミッション視点から話をすることにしました。ビジネスパーソンにはわかりやすいかなと。例えばグーグルだと「世界中の情報を整理し、世界中の人々が無料でアクセスできて利用できるようにする」と。技術の話は言ってない。人間中心のミッションです。アマゾン、フェイスブックも人間中心のビジョン・ミッションを掲げています。

では日本の企業はどうですかと。今やどの日本企業も世界の時価総額ランキングで30位にも入っていない。このままだとどんどん世界の経済成長に後れをとっていってしまう。まずは社員一人ひとりが徹底的に人間中心のマインドを持たなきゃいけないということを教育の最初に言うようにしたんです。そうすると、そこで「なるほどね」と感じてくれた人も結構いて。とにかく危機感を持ってほしかった。

―全体のプログラム構成も、3段階で、段階的に学べるよう工夫されていましたよね。

今村さん:教育って山を登るようなもので、いきなり8合目から大事なことを言っても、山のふもとにいる人には響かない。まずは「デザイン思考概論」でデザイン思考のことを知るところから始めて、意義やマインドセットを伝えて。それだけでも1日かかる。それができたら、2日間の「ブートキャンプ」で、5名程度の最小単位のチームでファシリテーションを含めて創造性を高めるワークをやってみる。そのあと更に学びたい方には、「スキル学習」でインタビューやジャーニーマップの書き方、プロトタイピングなどのスキルセットが学べる機会を提供する。手法だけをいきなり教えたとしても響かないので、段階的に山を登っていけるように考えました。

これは実は、社内で我々が中心となって開発している顧客をファンにする「魅力」を生み出すためのサービス開発の方法論を応用しているんです。顧客のステージを、認知、導入、継続利用の3つのステップに分けて各ステージに応じて顧客に寄り添って魅力を提供していこうという考え方なのですが、教育にもその考え方は効果的なんです。

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デザイン思考について知識のない受講者でも段階的に学べるような教育プログラムを構築



―ここでいう参加者の皆さんが「顧客」で、最後はデザイン思考のファンになってほしいと。
デザイン思考を組織にインストールするプロセスに、まさにデザイン思考の考え方を使っているということですね。

今村さん:使っていますね。デザイン思考のファンになってほしい。大上段に構えて上から教えてもモチベーションは上がらないですからね。「デザイン思考」というラベルにはこだわっていなくて、一人ひとり、さらにはチームの創造性を高めるという大目的に共感して、我々の取り組みそのもののファンになってほしい。さらにはインフルエンサーになってもらいたい。教育プログラム自体も、やりながら繰り返し、繰り返し修正をかけているんですね。それもデザイン思考のやり方かなと。フィードバックをもらってすぐ修正をかけて、次の講義に反映しています。

―今はどれくらいまで目標達成できたと感じられていますか?

今村さん:まだまだ道半ばというか。山でいうと3合目くらい。2018年度に一通りのプログラムが出来上がって、全プログラムを一気通貫して実施するというのが2019年度なので、ようやく土台ができたかなと。これもプログラムができたらそれで終わりではなく、進化させていかなくてはいけないし、教育の質も高めていってデザインシンカーを増やしていかないといけない。スピーディーにやっていかないといけないと思いますね。

野添さん:一通りの土台となる、理論はできました。真の浸透という意味では、これからはやはり現場での実践を通じて実践知を高めていくことが課題だと思います。教育を受けた一人ひとりが、実践をしていく上での見本となれるように地道に支援していく必要があると思っています。


組織的な協力がなければ、ここまで辿り着くことはできなかった

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―御社のように規模として大きい企業が、継続的、構造的にデザイン思考のインストールに取り組むに当たって、苦労した点はありましたか?

今村さん:うーんそうですね…、規模が大きくてかつ中長期的な活動になると、なぜそれをやるのか、明確なメッセージにできるかどうかが大切です。トレンドだから、他社がやっているから、というのは本当の意味で組織を動かす力にはならないと思います。人やお金などのリソースも使うので、経営視点で中期計画と我々の活動をどうやって効果的に紐づけて考えていくのか。そこを意識してやってきました。

中期計画の中でも、弊社のように製造に強みのある会社は技術戦略がとても大事なんです。技術部門にはMOT(Management of Technology)をベースとした新規事業を生み出すための「KM way」という考え方があるのですが、その枠組みとリンクさせて考えていく。また、全社的な教育の場である「コニカミノルタカレッジ」の中で効果的に教育する人財を集める。すでにある社内のアセットを活用しながら、コーポレート横断組織とうまく連携しながらやっていくことを意識しました。1つの部署だけ単体で頑張ってもなかなかスケールしていかないので。

― 一部門単体の活動では、ここまでやりきることはできなかったと。

今村さん:ありがたいことに、技術、人事、経営企画を担当する部署の人たちがとても協力してくれたんですね。その協力がないと、スケール的に大きく、中長期的に実施するのは難しい。また、「事業部門でもデザイン思考を取り入れてやらなきゃ」という意識づけがトップダウンで行われたので、やりやすい部分は非常にありました。トップダウンだからこそこうした活動が成り立っている部分は多分にあります。会社の経営方針、各部署の方針と足並みをそろえながら親和性を高くやっていくことが大事だと考えています。

また、私が所属しているデザインセンターのトップはグループ業務執行役員でもありますから、これからやろうとしていることについて経営トップ層との共有が行われたり、経営的観点からのフィードバックを直接もらったりすることができました。経営層とも対話をしながら、教育プログラムづくりや浸透計画を練られたことは大きかったと思います。




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▼コニカミノルタのデザイン(外部のウェブサイトに移動します)
https://www.konicaminolta.com/jp-ja/design/index.html


【関連記事】
組織へのデザイン思考導入事例 - サントリー食品インターナショナル様
なぜ組織にデザイン思考が必要なのか? -1-
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Eiko Ikeda株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

Oct 28, 2019 10:05 デザイン思考で、課題提起型デジタルカンパニーへの変革を目指す【KONICA MINOLTA Case study Vol.1】

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左からヒューマンエクスペリエンスデザインセンター デザイン戦略部
久保田さん、今村さん、野添さん


取材:池田映子、米本明弘

2017年から、中期計画で「課題提起型デジタルカンパニー」を目標として掲げ、全社的にデザイン思考の考え方を現場に取り入れることを急ピッチで実践してこられたコニカミノルタ社。
単純に一般的なデザイン思考プロセスを導入すればいいということではなく、「コニカミノルタ流」の考えを取り入れながらプログラムを設計することが必要でした。弊社はそのプログラムのコンテンツ開発と実施をサポートさせて頂きました。

この度、こうした取り組みの「仕掛人」であったヒューマンエクスペリエンスデザインセンター デザイン戦略部の皆様が、社内での革新的な取り組みについて表彰されるインナーアワード「Transform Awards」で受賞されたとの一報をお聞きし、ご担当者としてのご苦労や導入のための工夫について、インタビューをさせて頂きました。



取り組みのポイント

✓ トップダウンからの明確なメッセージ
✓ 関連部門の協力
✓ 手法からではなく、マインドセットから取り組む
✓ 自社の特性や業種に合わせたデザイン思考プログラムの開発
✓ デザイン思考プログラムの修正をトライ&エラーでスピーディに行う




今回の記事は「vol.1」です。


取材にご協力いただいた コニカミノルタ株式会社様
もともとカメラ・写真フィルムメーカーとして創業。そこで140年間培った4つのコア技術「材料・光学・微細加工・画像」のシナジーを発揮させ、現在ではオフィスサービスからヘルスケア製品、プラネタリウムまで、多彩なビジネスを展開しています。モノの提供に留まらず、デジタル技術を駆使し、世界中のお客様や社会の課題提起とその解決を目指すデジタルカンパニーです。

「Transform Awards」とは
同社内で毎年実施されている表彰イベント。顧客価値創造につながるプロセス刷新や組織文化の変革にチャレンジする活動にフォーカスして、まだ取り組み中であっても、価値があり、これからも更に加速することが期待される活動に対して表彰する。世界中のグループ会社より応募があり、ファイナリストの全社員に向けたプレゼンを経て、最終的な受賞はわずか4つのプロジェクトに絞られる。



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プレゼンテーションの様子

「あなたは自分のことをクリエイティブだと思いますか」という問いに、
全員手を挙げられるようになってほしい

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―この度は、トランスフォームアワードでの受賞、おめでとうございます!
今回受賞されたオーディエンス賞について教えてください。

今村さん:このトランスフォームアワードは、全世界の拠点でファイナリストのプレゼンテーションが中継されていて、コニカミノルタの社員が1人1票、投票できる仕組みなんです。社長賞、銀賞、銅賞の他に、オーディエンス賞という特別賞もあり、聴講者からの投票によって評価が最も高かったものが選ばれます。幸いにも今回はこのオーディエンス賞を受賞することができました。

―聴いている人からの評価が高かったんですね。

野添さん:笑いが起きていましたよね。面白かったんですね。
今村さん:笑わせるつもりは毛頭なかったんですけどね(笑)。
我々は本格的に2年前くらいからデザインシンキングの浸透に取り組み始めたのですが、プレゼンは2018年度からデザイン思考の体系化と教育プログラム構築を中心に組み立てました。全社的な取り組みとして、社内にデザインシンキングを浸透させ文化にしていくストーリーを意識して話しました。

僕たちが取り組んでいるのは、一般的なデザインシンキングの浸透ではなくて、コニカミノルタ流の行動指針となるようなデザインシンキングの体系化と浸透です。Deep Diving(ビジョンを描き課題を提起する)、Creative Dancing(試行錯誤しながら顧客と価値共創する)、Service Crafting(顧客をファンにするサービスをつくる) からなる3つのオリジナルの型をつくりました。2017年度から中期計画で会社が掲げている「課題提起型デジタルカンパニー」というビジョンを実現するための行動指針としてこの型をつくってきました。

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コニカミノルタ流の行動指針となるデザインシンキングの型を構築


―プレゼンテーションの中で、一番伝えたかったことは何だったんでしょうか。

今村さん:デザイン思考教育の中でも常に問いかけているのですが、今回のプレゼン中でも「あなたは自分自身がクリエイティブだと思いますか?」という問いを投げかけて、会場にいる人に手を挙げてもらったんです。そうすると、大抵みんな手を挙げない。社長の山名さんは率先して挙げてくれたので良かったんですが(笑)。

この問いは、我々がデザインシンキングに取り組む理由を明確にするための根源的な問いです。僕たちは、コニカミノルタの社員全員が、この問いに対して自信をもって、自分はクリエイティブだと「はい」と手を挙げられるようになってほしいと思っています。実際にデザイン思考のトレーニングを受けてもらった後に「クリエイティブになったと感じましたか?」と問い直すと、ポジティブな感覚に変わってくれる実感があるんですね。ビジネス環境が大きく変わり、顧客起点にサービスを考えることの重要性が高まってきている現在、一人ひとりの創造性が高まり、自信を持つことが大事だと考えています。

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デザインシンキングのトレーニング後に参加者に問いなおすと、
自分の創造性に対する感じ方がポジティブな感覚に変わった


―いきなりチームがというより、まずは一人ひとりの創造性が高まると言うことが大事だったんですね。

今村さん:日本人は組織でうまくやると言うのは当たり前にうまくできていると。逆に言うと組織でうまくやろうとすればするほど、型にはまっていって自分を出してはいけないんじゃないかとなって、どんどん規則に縛られ受け身になっていく。世の中全体として、そうなりすぎている気がするんです。とくに大企業は。デザイン思考はチームで創造性を高めることにフォーカスしていますが、逆説的にチーム力を高めるためには個の力を高めていく必要があると思っています。ただ、独りよがりにはなっちゃいけないと思っています。


モノ売りから、コトの価値を売る会社への変革が急務だった

―そもそも御社がデザイン思考を取り入れることになった背景、課題としてはどういうことがあったのでしょうか?

今村さん:今我々が抱えている大きな課題は、モノ売りから価値(バリュー)を売っていく会社にトランスフォームしていくことです。そのためには、社員全員が徹底的に人にフォーカスをして、その人が困っている課題、その人がどうしたいのかを深く考える力が大事になってくる。そこで、デザイン思考のマインドセットとスキルを活用していこうと、社長と担当役員であるデザインセンター長を中心とした経営層がデザイン思考の全社浸透を経営課題として位置づけました。

野添さん:2017~2019年の中期経営計画での目指す姿は「課題提起型デジタルカンパニー」で、顧客の価値を創造するということが、経営方針になっています。会社としてもコト売りへのシフトを掲げていますよね。


―「デザイン思考」という言葉というよりは、人にフォーカスして課題を解決するという中身が大事だったんですよね。

今村さん:そうです。人間を相手にすると、「このソリューションで全て解決」みたいな一点突破でいくのは難しい。こういう状況ではこの解決策でいいけど、お客様の状況が変われば、全然違うニーズが出てくる。自分たちの提供する価値は何か、どういうソリューションが必要なのかをお客様に寄り添って継続的に考えていかなければならない。それを迅速にやるには、デザイン思考の考え方が非常に有効なんじゃないかと。

さらに、BtoBになると、複雑なステークホルダーの中で誰にどんな価値を提供すればいいのかも考えなくてはいけない。この技術を使ってこういう商品つくります、みたいな最初からプロダクトアウトでガッチリ決めてやっても、BtoBのビジネスで成功するのは難しくなってきていると思います。

だから、お客様と対話をしながら一緒に課題と解決策を考えていくような形にしていくと。我々が現在取り組んでいるプロダクションプリンティング領域における新サービス創出プロジェクトでも、お客様と密に対話しながら、お客様の置かれている業務環境の理解から始まり、課題の特定に力をいれて、その上で解決策を考えるようにプロジェクトの流れをつくっています。


― 一方的に提供というよりは、共創に変わっていかないといけない。


今村さん:共創するときに特に大事になるのが、対話力。対話とはただ相手と意思疎通するというようなことではありません。対話というと言葉を使った言語的なコミュニケーションをイメージしますが、僕はお客様の現場の中に入って観察したり自ら体験することも対話の一部と考えています。観察や体験から得られた主観的な意識を相手にぶつけて、共通理解をつくっていく。この営みが対話です。真の対話は人と人との共感につながっていきます。言語的な抽象的な概念だけのやり取りからは共感は生まれないと思いますし、この共感という概念が人間中心の考え方の土台だと思ってます。




→ Vol.2に続く


▼コニカミノルタのデザイン(外部のウェブサイトに移動します)
https://www.konicaminolta.com/jp-ja/design/index.html


【関連記事】
組織へのデザイン思考導入事例 - サントリー食品インターナショナル様
なぜ組織にデザイン思考が必要なのか? -1-
なぜ組織にデザイン思考が必要なのか? -2-

 

Eiko Ikeda株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

Sep 19, 2019 02:53 組織変革に本当に必要なのは「遊びの科学」

Playful-1

企業の課題は組織やチームへ。

先日、吉本興業の内部騒動が大きな話題になりました。芸能という一般企業とは異なる世界での出来事に見えますが、業界の違いに関わらず様々な世界で働く多くの人たちが『心理的な安全』や『仕事へのやりがいや幸福感』など求めているという点で、現代の人々のライフニーズを象徴する出来事だった気がします。人々にとって仕事は単に報酬を得るための活動ではなくなり、働くことを通じて生きがいや幸福感を手に入れようとする人が増えてきています。

それに伴い、企業における関心事も「事業や戦略」から「組織やチーム」へと移りつつあります。実際、今まさに組織変革に取り組もうとする企業は多いのではないでしょうか。例えば「働き方改革」や「ダイバーシティ」といった活動も個別のトレンドとしてではなく、組織変革の大きなムーブメントの一部として捉えられるようになってきています。またムーンショットと呼ばれる強力なビジョンをつくることで組織変革に取り組む企業も増えています。企業活動において持続的・反復的に新たな製品や事業を創造していくためには、自立した個人が集まった有機的な組織づくりが必要である、ということに多くの企業が気づき始めたのだと思います。

Playful_1
企業組織や仕事のプロセスに「遊び」の要素を取り入れようとする組織変革アプローチも注目されています。


組織変革を阻む「壁」。

これらのムーブメントが広がりを見せる一方で、新たな課題も生まれています。組織変革の取り組みが一過性のコンセプチュアルな活動に終わり、実際の業務レベルでの変革にまで繋がらないという課題です。多くの場合、組織変革の活動ではカルチャーやマインドセットへのアプローチが中心になり、仕組みやプロセスにまで踏み込めず地に足のつかない宙に浮いた活動になってしまいがちです。特に最近は、playfulやtrustといったより感覚的で概念的なエッセンスが重要とされるようになり、形式的な仕組みやプロセスに落とし込むことがますます難しくなっている気がします。

これらの問題の本質は、人間の意志に頼りすぎていることにあります。組織変革の取り組みとしてビジョンデザインやチームビルディングワークショップなどがしばしば見られるアプローチですが、これらは概念的、理念的な働きかけを通じて人の認識、態度、行動を変容させようとする方法論です。しかし、多くの人にとって認識変容や行動変容の意欲を持続させることは簡単なことではありません。このようなアプローチの多くが定着せずに終わってしまうのは、人の意志に委ねる部分が多すぎるのです。

「遊びの科学」が組織変革を実現する。

このような背景から生まれたのがPlayful Moduleです。Playful Moduleでは、人の意志に働きかけるのではなく、人の意志に影響を与えている環境やツールを使って、無意識的、感情的なアプローチで型としての行動を定着させていきます。そのポイントは、既存のビジネスプロセスをモジュール(部分)に分解し、モジュールの単位で新たなストラクチャー(構造)として再設計しようとするところにあります。組織変革の取り組みを概念的、理念的なアプローチだけに頼らず、科学的かつ構造的なアプローチによって実現していくのです。

mctでは、このPlayful Moduleの開発をプレイフルラーニング研究の第一人者である同志社女子大学の上田信行教授とともに進めてきました。10/9のセミナーでは同志社女子大学の上田信行特任教授と立教大学の舘野泰一特任准教授をゲストにお迎えし、「プレイフルモジュール」のエッセンスを皆様にお伝えしていきます。ぜひこの機会にご参加ください。

イベント情報はこちら
↓↓↓
https://playfulmodule.peatix.com/


Playful_2

先日のイベント事前打ち合わせでも「遊び」が満載。大盛り上がりの打ち合わせになりました。イベント当日もどんな場になるのか楽しみです。

 

Akihiro Yonemoto株式会社mct エクスペリエンスデザイナー/ストラテジスト

Aug 07, 2019 03:16 Playful Organization

Playful


8月に入り、毎日暑い日が続いていますね。

クーラーのきいた室内から一歩外へ出ると反射的に「あつい…。」と口からこぼれてしまうような気温ですが、同時に花火大会やBBQなどのイベントもたくさんある季節ですので、楽しんで夏を乗り切っていきたいと思っています!

今回からスタートするPlayfulシリーズでは夏の暑さに負けないような、熱いプロジェクトの裏側の様子をお伝えしていきます。

 

実は、先日、同志社女子大学の上田先生とゼミ生の方々にお会いしてきました。

上田先生は同志社女子大学現代子ども学科の特任教授です。教育工学や学習環境デザインを専門としており、「人が夢中になって学ぶ、夢中になって仕事をするPlayfulな環境」について研究・実践を行うワークショップのエキスパートでもあります。

※Playfulとは…人がワクワクしながら物事に夢中になるときというのは、多少の困難にあってもポジティブに乗り越えていこうとするエネルギーにあふれている。そのエネルギーのエンジンになるのがプレイフルである。(上田信行)

 

上田先生とはこれまでにも、コラボレーションしていくつかのお仕事をさせていただいたのですが、このたび、マル秘プロジェクトを立ち上げることとなりました。

 

pkayful1

 

いつもゼミ室を訪れるとプレイスマットと美味しいお菓子、雰囲気にあった音楽のある空間が迎えてくれます。こうした細かな気配りやおもてなしがあることで、初めて訪れる人にも安心感とワクワク感が感じられる場所になっています。

 

 

打ち合わせの内容はまだ公開できないのですが…一部、様子をお見せします。

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打ち合わせ当日、話した内容をその場で記録をとり、アウトプットする「スクライビング」もゼミ生が行ってくれました。

スクライビングはグフラフィックレコーディングとも似ていますが、こちらは絵がメインではなく、文字が多くなっています。文字が多い分、目の前で起こっている議論の内容をきちんと構造化し書き取っていく必要があります。PCで議事録をとることもできますが、大きな紙とカラフルなペンを使うことによって書き手それぞれの表現が可能となり、書き手によってひと味もふた味も違うスクライビングが生まれます。会議やミーティングの締めくくりにその場で書き取った内容のおさらいと、ポイントとなる点をフィードバックを行うため、議論に夢中になってしまっていた我々にとって振り返りと新たな気付きを促すツールとなりました。

 

 

約3時間という長時間の打ち合わせが最後に可視化されて自分たちの前に現れるのは圧巻でした。内容がきちんと書き込まれているので、出席できなかったメンバーにも共有しやすいのもメリットです!

 

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スクライビングのような装置が一つあるだけで、企業内で行われている会議の景色はかなり変わっていくのではないでしょうか。主体的に参加、発言をして、参加者自身がワクワクできるような会議を行いたいと思いませんか。そんな時間をつくりたいと考えているチームや組織のお手伝いができるようなプロジェクトを企画中ですので、ぜひお楽しみにお待ち下さい!

 



●直近のイベントのお知らせ
若手人材のための「DMN[U-30]デザイントレーニング・シリーズ」

DMNではこの度、未来のイノベーターを目指す若手人材のためのデザイントレーニング・シリーズを企画いたしました。
「顧客志向」「ペルソナ&ジャーニーマップ」「プロトタイピング」など、毎回テーマを変えて、8月から12月まで全6回の講座をご用意しております。
*1回ずつの個別申し込みも可能です。

初めてデザイン思考の概念に触れる方にとっても分かりやすい基礎的な内容がメインとなっております。
また、講座参加を通じて、同世代のメンバーとのネットワークの輪が広がればと思っておりますので、ぜひ、お気軽にご参加ください!

■申し込みページ
https://ddmn-u30triaining.peatix.com/

俯瞰-1

Saki Watanabe株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

Jul 26, 2019 01:47 [Seminar]DESIGN SPRINT 部門横断でアイデアを素早く検証 ~ 短期間で事業を成功に導く驚異のメソッド ~

 

DesignSprint0404

デザインスプリントの生みの親である ジェイク・ナップ氏は
「 スプリントは大きな問題を解決し、
新しいアイデアを試しより多くのことをより速く成し遂げる道筋になる 」メソッドであると述べています。
デザインスプリントでは、短期間のうちに、重大なリスクを特定し、素早いアイデアの創出と絞り込みを行って、ユーザーからのフィードバックを得ることで、これを可能にします。

本セミナーでは、mctの過去事例を交えながらデザインスプリントの基礎とコツを体験型でレクチャーしていきます。

ぜひこの機会にご参加ください。


Google-Sprint


< デザインスプリントとは >
事業開発・デザイン開発を成功に導くブレークスルーのための短期プログラム。5日間でデザイン、プロトタイピング、ユーザーテストを行い重要なビジネス上の質問に答えるプロセスです。もともと、シリコンバレーのGoogle Venturesで開発されましたが、世界中に広まり、多くの企業・チームによって使用されています。

< 本セミナーのポイント >
・デザインスプリントの全体プロセスを知る
・リアルな現場で実施するための“コツ“を知る
・ユーザー、社内外との共創の仕方を知る

< 本セミナーの受講をおすすめする方 >
✓ 様々な部門をまとめあげて新しい事業をスタートさせたい方
✓ 失速しがちな自社内のアイデアを具体化、検討の土台に乗せたい方
✓ スピーディにユーザーの声をサービス開発に取り入れたい方



※2月7日に実施した「デザインスプリントセミナー」がご好評につき、今回は第2弾の開催となります。
 前回ご参加いただけなかった方は、是非この機会にご検討くださいませ。


※申し訳ございませんが、定員に達しましたのでお申込みを締め切らせていただきました。
たくさんのお申込みありがとうございました。またのご参加をお待ちしております。



2部門以上かつ10名以上の参加が見込める場合、貴社内でプライベートセミナーとしての実施も可能です。

→ セミナーについてのお問い合わせは こちら
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Nobuo Masuda株式会社mct エスノグラファー/エクスペリエンスデザイナー

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