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Jan 25, 2016 11:17 101デザインメソッドでフォーカスをスコープに拡げる方法

こちらは、イリノイ工科大学デザインスクールのヴィジェイ・クーマー教授が著したデザイン思考の教科書、『101デザインメソッド』を紹介するコーナーです。今回は「Offering-Activitiy-Culture Map」をご紹介します。

 

クマー教授が唱えるイノベーションを成功に導く4つのコア原則の1つに、「経験の周辺でイノベーションを構築する」というものがあります。製品・サービス自体から活動にスコープを広げることで、未対応のニーズを発見することができます。また、活動の中にはそれがなされるための文化や制度が既に結び付いています。常識として認知されている活動が、海外では文化の違いによって成立しなくなってくることは、想像に難くないでしょう。

 

 

リズ・サンダース教授は「デザインの初期段階でジェネレーティブデザイン・リサーチを実施する際は、フォーカスを中心に据えつつ、スコープまで探索範囲を拡げる」こと、そのために「プロジェクトのチームメンバーに、フォーカスに直接的・間接的に関連するトピックスのブレーンストーミングやマインドマッピングに参加してもらう」ことを推奨しています。「Offering-Activitiy-Culture Map」を使って、Offering(製品・サービス)からActivitiy(活動)、Culture(文化)の関連性をビジュアル化し、製品・サービスに関連した一連の活動や、影響する文化的要因を整理。そこから重要な関連性を見出すことで、イノベーションの機会を広く捉え直すことが可能になります。

 

oac.jpg引用:Vijay Kumar『101 Design Methods』47ページ

 

このメソッドを使う際の進め方を以下にご紹介します。

 

Step1:製品・サービスとその特性の明確化

 図の中央に円を描き、そこに自社が現在想定している製品・サービスを置き、その属性を記入します。

 

Step2:関連する活動(経験)を描き出す

円の周りに、製品・サービスに関する活動を記入します。ここには、例えば「ひげを剃る」といった直接的な活動だけでなく、「顔を洗う」「刃を取り替える」「著名人の髭のスタイルを参照する」といった前後・周辺の活動も洗い出します。

 

Step3:文化的背景を描き出す

描き出した活動の周りに円を描き、その外側に、その活動を決定づけている、または影響しうる文化的要因や、規範、制度を書き出します。例えば、「ひげを剃る」という活動には「会社の規定」「エチケット」「社会的信用」などの文化的背景が考えられます。

 

Step4:イノベーション機会の考察

描き出されたマップを使って、製品・サービス、活動、文化的背景がどのようにつながっているかを理解します。製品・サービスから文化に向けて伸びた枝としてのまとまりだけでなく、それらのまとまり同士がどのように関連しているのかを見ることも重要です。

 

このように、その製品・サービスを文化的背景にまで広げて捉え直すことで、市場としてどのような機会があるのか、自社はどういった部分に取り組めそうなのか、慣行的な見方から離れてイノベーションの機会を探索することができるようになります。

Satoru Inoue株式会社mct エクスペリエンスデザイナー/エスノグラファー

【タグ】 101_design_methods,

Jan 22, 2016 08:56 米国企業から日本企業が学ぶべきこと 「グローバル戦略セミナー」開催レポート

昨年1215日に「米国企業から日本企業が学ぶべきグローバル戦略」というテーマでセミナーを開催しました。ゲストスピーカーとして私たちのグローバルパートナーであるアランカのニラージャさん、カナンさんに来日していただき、グローバル戦略における米国企業と日本の企業の違いや学ぶべきポイントを語っていただきました。

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■アランカのご紹介

アランカは2003年にロンドンで創業。現在600名の社員から構成されています。拠点はニューヨーク、シリコンバレー、ロンドン、インドのムンバイ、デリー、チリと今もなお拡大しており、リサーチセンターがムンバイにあります。得意分野は、「インベストメントリサーチ」「企業研究」「評価サービス」「知的財産研究」。フォーチュン500に名を連ねる大企業から、投資銀行、証券会社、政府機関を含む1700 以上のグローバル企業の問題解決をサポートしています。

 

mctとアランカ

お客様のテーマに合わせて、ストラテジックリサーチとデザインリサーチをカスタマイズしてご提供しています。たとえば、「グローバルに進出する際、新たな市場に参入したいがどこの国が最適なのか、また、その国における競合企業の基本情報や戦略を知りたい」、「M&Aをしたいが、最適な企業が存在するのかどうか」、等々のストラテジックリサーチを主にアランカが担当し、その後、地域や人々の深い理解~ユーザゴールの理解、プロダクトデザインやサービスデザイン、コミュニケーションデザインへの展開、といったデザインリサーチをmctが担当します。

 

■セミナーの内容 

○米国企業と日本企業の成長の歩み

前半は戦後~現在までの両国の成長の歩みについて解説してもらいました。1990年までは両国とも同様に伸びていたのに1991年以降、日本企業の伸びが鈍化。PWCのグローバル企業トップ1002015年版)には米国企業が「53社」も選ばれたのに対して日本企業はわずか「2社」。直近25年間の株価の伸び率も米国の「12.3%」(S&P500社)に対して日本は「-3.5%」(日経225社)といったデータを示してもらいながら、現在に至る両国の違いを説明いただきました。

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○米国企業の取ったグローバル戦略

1991年以降、なぜ米国企業は成功したのか?米国企業の取ってきたグローバル戦略にについて4つのポイントをあげてもらいました。

 

1.新興市場への積極的なアプローチ

米国企業には国内の需要が下がれば、その分は海外の別の国で需要創造してカバーするという決断の早さ、積極性があります。新興国へのこれまでの投資額をみると、米国企業は日本企業の「4倍」もの投資を実行しています。

 

2.国際的なM&Aの推進

2013年~15年における国際的なM&A件数を比較すると日本企業の「6700件」に対して米国企業は「31000件以上」。

 

3.現地に合わせたビジネス戦略/ビジネスモデルの最適化

現地に適用できるように適時ビジネスモデルを柔軟に見直しています。マクドナルドのロシア進出、ジレットのインド進出、デルの中国進出等具体的な事例を交えて、現地に合わせた最適化とはどのようなものか、解説してもらいました。

 

4.イノベーションを使ったグローバル進出

米国企業はイノベーションを通じてグローバル市場の可能性を追求してきました。Forbesの世界で最もイノベーティブな企業100の中において米国企業が「47社」選ばれたのに対し日本企業はわずか「7社」。特許申請数も1999年時点では日本企業の方が倍近く上回っていましたが、2013年にはとうとう申請数で米国企業に抜かれました。米国企業は特許の製品化がうまく、自社で製品化が難しい場合はパートナーを見つけてライセンス展開をするなど、R&Dの費用対効果について意識が高いのも特徴です。

 

○日本企業へのアドバイス

アランカから日本企業に5つのアドバイスをもらいました。ここでは2つご紹介します。

 

1.社内でのシリコンバレー化

インテル社が実行しているように、社内で「ミニ・シリコンバレー」のようなアイデアをサポートする環境を作り出す。具体的にはメンターを用意したり予算を確保するなど、イノベーションを起こそうとするチームをサポートするエコシステムを社内で用意してはどうか?

 

2.グローバル進出をするという視点を持ち続ける

R&D戦略を考えたり、R&Dと交渉する際、国内だけに目を向けるのではなく、常にグローバルに目を向けた製品開発を意識して取り組む。そのことによってモノの見方が変わるのではないか?

 

残り3つのアドバイスについては、当日の配布資料をダウンロードしてご覧いただけます。

また当日のセミナーの詳しい内容が知りたい方はお気軽にお問い合わせください。セミナー映像のお渡しも可能です。

 

【配布資料ダウンロードはこちら ⇒ 配布は終了しました。ご興味のある方は直接お問合わせください 

Ichiro Tsukada株式会社mct CMO/プロジェクトデザイナー/イノベーションコンサルタント

Jan 19, 2016 04:06 Understanding Focus and Scope in Generative Design Research

What is generative design research?
Generative design research starts at the early front end of the design and development process before we know what it is that will be designed. It is conducted in order to determine what to design as well as what not to design. It is an exploratory and participatory approach that brings the people we serve through design directly into the design process so that we can meet their needs and dreams for the future.

How do you start when you are engaged in applying generative design research in practice? The fundamental problem of exploratory research is always the chicken-and-egg problem: before you set out to explore, you must know something about what you will find in order to make a plan that your client can approve. A good place to begin is by discussing and visualizing the focus and scope of the project. Visualization is important because it helps to ensure that all members of your design research team are in agreement.

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Figure 1: Exploring focus and scope.

 

This diagram was originally published in Convivial Toolbox: Generative Research for the Front End of Design, Sanders and Stappers, 2012.

 

What is the focus and what is the scope?
The focus is the area of experience that you want to fully understand and invite your participants to explore. The scope refers to larger fields of experience around the focus that provide important links and perspectives. Figure 1 illustrates the focus and scope. The large oval denotes the chosen scope, the smaller circle the focus. The arrows show the directions of exploration.

For example, if the focus of the generative design research project is healthy eating then some of the topics in the scope could include other components of wellness such as social, emotional, physical and environmental factors. You will certainly learn a lot more about healthy eating if you explore how it is affected by the other components of wellness.

 

How do you expand the focus into the scope?
In conducting generative research in the front end of design, it is advisable to keep the focus in the center of consideration, but broaden the investigation out to the scope. It is only by going 'out of bounds' that you can be sure that you are focused in the right place.

To expand the focus into the scope you can invite the project team members to join you in brainstorming and mindmapping topics that connect directly or indirectly to the focus. The mindmap that results can serve as the landscape for initial exploration. Conduct secondary research on the topics in the landscape, being sure to investigate historical, current as well as future trends. A preliminary round of observations and informal interviews is also a good way to explore this landscape.

How do you know when to stop exploring? In a holistic worldview, everything can be interesting and relevant, but when you're on a budget, you need to set the limits somewhere. A rule of thumb is to set up a portion of the overall budget for the initial exploration but then move ahead with the generative design research once the budget is gone. The landscape generated in this initial burst of exploration can then be used to capture additional ideas and insights that emerge spontaneously throughout the ongoing process.

 

How do you manage focus and scope in a project?
In generative design research, we are interested in finding out what people's values and needs are in the future, and how these values and needs can be served by design through the development of new concepts for experiences, products or services. The design research plan starts by having the participants explore topics in the larger scope so that you can better understand their values and future needs. In the healthy eating project, this could involve giving your participants assignments that help them explore the surroundings of different starting points in the scope (e.g., memories of eating experiences when growing up, keeping track of daily exercise, noting relationships between food and mood, etc.). Because the assignments are open-ended, participants can take them into a direction of their choosing. As part of this, they may choose to 'wander into' the focus area out of their own choosing. The participant journey narrows down throughout the research plan, reaching the focus only at the end.

 

How do you handle insight which is beyond what you expected?
Generative design research returns results at two levels: near-term and far-term. Insights that are connected to the focus usually describe ideas and concepts that can be acted upon in the not-so-distant future. Insights that are connected to the scope are more likely to be actionable in the distant future. It is important to keep track of both levels of insight. The near-term insights are most useful today, but the far-term insights can be used to inform and inspire future projects. The far-term insights might also be useful for project teams who are working in other parts of the organization.

Liz SandersMakeTools 代表

Jan 19, 2016 03:50 ジェネレーティブデザイン・リサーチにおけるフォーカスとスコープを理解する

ジェネレーティブデザイン・リサーチとは?

ジェネレーティブデザイン・リサーチは、デザイン・開発プロセスの初期段階、それもデザインの対象が何なのかを把握する前に始まります。何をデザインするのか、そして何をデザイン「しない」のか。それを決定するために行うこのリサーチは、デザインを納品するクライアントにデザインプロセスに直接参加してもらうという探索型かつ参加型のアプローチを取るため、クライアントのニーズと将来の希望を叶えることができるのです。

 

 それでは、ジェネレーティブデザイン・リサーチを実際に行う場合、どこからスタートすればいいのでしょうか?探索的リサーチには「卵が先か鶏が先か」という基本的な問題が常に付きまといます。クライアントに認めてもらえるプランを立てるためには、探索を始める前にその対象について何らかの知識を持っていなければならないからです。そこで、リサーチはプロジェクトのフォーカスとスコープについて話し合い、可視化するところから始めることをお薦めします。可視化は、デザイン・リサーチ・チームのメンバー全員が同一の認識を持てているかを確かめる上でも、非常に重要です。

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図1:フォーカスとスコープの探索

出典Convivial Toolbox:Generative Research for the Front End of Design, Sanders and Stappers, 2012.

 

フォーカスとスコープとは?

フォーカスとは、あなたが完全に理解し、リサーチ参加者にも探索してもらいたいと望むエクスペリエンスの範囲です。スコープとは、フォーカスを含むより広い範囲のエクスペリエンスで、そこから重要な関連性や視点に気づくことができます。フォーカスとスコープの関係を表したものが図1です。大きい楕円が選択したスコープで、小さい円がフォーカスです。矢印は探索の方向を表しています。

例えば、ジェネレーティブデザイン・リサーチ・プロジェクトのフォーカスが「健康的な食事」であった場合、スコープ内のトピックスには、社会的要因、感情的要因、物理的要因、環境的要因など、健康に関する別のコンポーネントが含まれる可能性があります。ほかの健康関連コンポーネントからどのような影響を受けているかを探索すれば、健康的な食事ついてより詳しく知ることができるはずです。

 

フォーカスをスコープに拡げる方法

デザインの初期段階でジェネレーティブデザイン・リサーチを実施する際は、フォーカスを中心に据えつつ、スコープまで探索範囲を拡げることが推奨されます。正しい対象にフォーカスできているかを知るには、その境界を飛び越えてみるしかありません。

フォーカスをスコープまで拡げるには、プロジェクトのチームメンバーに、フォーカスに直接的・間接的に関連するトピックスのブレーンストーミングやマインドマッピングに参加してもらう方法があります。その結果出来上がったマインドマップは、探索初期の道しるべとして利用できます。その道しるべとなるトピックスについて2回目のリサーチを行い、過去、現在、そして将来のトレンドを探索します。下準備的な観察や非公式のインタビューを行うのも、この道しるべに従って探索する良い方法です。

探索はどの段階で終了するべきか?総合的な世界観の中ではすべてが興味深く関連しています。しかし、予算が限られている以上探索はどこかで止めなければなりません。経験則として、初期の探索に予算の一部を割り当て、その予算を使い切った時点でジェネレーティブデザイン・リサーチに進むと良いでしょう。この初期の集中的な探索によって作成される道しるべを利用すれば、進行するプロセスにおいてさらなるアイデアやインサイトを自然に得ることができるはずです。

 

プロジェクトにおけるフォーカスとスコープの扱い方

ジェネレーティブデザイン・リサーチでは、将来の価値観やニーズを探り出し、エクスペリエンス、製品、サービスの新しいコンセプトを開発して、デザインによってその価値観やニーズに応える方法を探索します。デザイン・リサーチ・プランは、参加者がより広い範囲のスコープに当てはまるトピックスを探索するところから始まります。こうすることによって、彼らの価値観や将来のニーズをより理解しやすくなります。健康的な食事プロジェクトでは、スコープ内のさまざまなスタートポイント周辺を探索しやすくするため、参加者に課題を与える方法も考えられます(例:子供時代の食事の思い出を書き出す、毎日の運動の記録を取る、食事とムードの関係をメモする、など)。課題は自由回答式にして、参加者が自身の選択した方向に沿って答えることができるようにします。その過程で、参加者は自身の選択範囲から外れたフォーカスに「迷い込んで」しまうかもしれません。参加者の探索範囲はリサーチ・プランを通して絞られていき、最終的にはフォーカスにたどり着きます。

 

予期せず得られたインサイトの扱い方

ジェネレーティブデザイン・リサーチからは、短期と長期の2つのレベルの結果が得られます。フォーカスに関連するインサイトからは一般に、そう遠くない将来に関係するアイデアやコンセプトが得られます。スコープに関連するインサイトからは、遠い将来に関係するアイデアやコンセプトが得られることが多くなります。どちらのレベルのインサイトも経過を追い続けることが重要です。短期のインサイトは今日最も役立つものですが、長期のインサイトは将来のプロジェクトにおいて活用することができます。また、長期のインサイトは組織内の別の分野で活動するプロジェクト・チームにも役立ちます。

Liz SandersMakeTools 代表

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