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Dec 02, 2015 03:47 ヘルスケアプロジェクトのフロントエンドにおけるコ・クリエーション

今日、多くの業界でコ・クリエーションが導入されています。そして遂に、ヘルスケア分野の製品、環境、サービスのデザインにも影響を与え始めるようになりました。この事実は、「へルスケアプロジェクトから優れたデザインが生み出されれば多くの人の生活の質を向上させる可能性がある」という点で重要なトレンドといえます。プロセスにコ・クリエーションが導入される時期が早ければ早いほど、製品、環境、サービスのデザインと開発に与える影響は大きくなります。

 

ヘルスケアプロジェクトにコ・クリエーションを導入するメリットとは?

ヘルスケアプロジェクトは複雑で、さまざまな関係者が関与します。ヘルスケアプロジェクトにコ・クリエーションを導入するには多くの時間とリソースが必要になりますが、最終的にもたらされるメリットは計り知れません。デザインのフロントエンドにコ・クリエーションを導入すれば、ヘルスケアプロジェクトの最終結果に次の3つのメリットがもたらされます。一つ目は、関係者をコ・クリエーターとしてプロセスに参加させることで、彼らのニーズを満たす最終結果が得られる可能性が飛躍的に高まります。二つ目は、関係者がコ・クリエーターとして積極的にプロセスに参加し、何らかの役割を果たすことで、デザイン過程に主体的に関われるようになります。当事者感覚は自信につながり、関係者の仕事の仕方に良い影響を与えます。三つ目は、ソリューションに対し当事者感覚があれば移行期間が過ごしやすくなります。ここで言う移行期間とは、新しい製品、環境、サービスの扱いに慣れるまでの期間のことです。

 

ヘルスケアデザインのフロントエンドにおけるコ・クリエーション:ショート・ケーススタディ

通常、新しい病室をデザインする際には患者、患者の家族、看護師のニーズを考慮しなくてはなりません。しかし、医師、画像検査技師、付添人、栄養士、清掃作業員、修繕業者など、病室で働く人はほかにも大勢います。私は現在、オハイオ州立大学の研究者たちと共にコ・クリエーション・プロジェクトで働いて、病室で働く人や過ごす人、全員のニーズを調査しています。プロセスに参加する関係者は背景の異なる23ものグループから募っています!このプロジェクトは、デザインプロセスのフロントエンドにおける究極のコ・クリエーション事例です。

 

現在プロジェクトはコ・クリエーションの段階にあり、関係者の小グループに参加してもらい、理想的な病室を作っています。参加者には病室に設置するすべての設備の模型を与え、設置場所を決めてもらいます。部屋の設備模型はすべて実物大です。壁面はすべてマジックテープで覆われているので、関係者は設備模型(コンセント、棚、照明スイッチ、TVなど)を正確な場所にくっ付けることができます。バスルームは部屋のどこにでも移動できます。壁、シンク、トイレのすべてにキャスターが付いているからです。現在は、30回におよぶ実物大の模型を使ったコ・クリエーション・ワークショップの結果を分析し、病室で働き、療養し、訪問するすべての人たちのニーズを満たす、病室デザインのガイドラインを作成しています。

 

フロントエンドへのコ・クリエーション導入計画で考えるべきこととは?

デザインプロセスのフロントエンドへのコ・クリエーション導入計画段階で、組織のトップレベルの人材を巻き込むことができればベストです。組織のあらゆるレベルそしてポジションにある関係者と協力することが望ましいからです。また、プロセスの初めから終わりまで参加できる専門のコ・デザイナー・グループも必要です。コ・デザイナーとして参加したいという意欲のある人たちがいればベストですね。興味のない人やプロセスに疑問を抱いている人にコ・クリエーション・プロセスへの参加を強制してはいけません。

 

ヘルスケアプロジェクトのフロントエンドへのコ・クリエーション導入は繰り返し行われるプロセスです。コ・クリエーションのベストな形を探り出すには、多くの時間と試行錯誤が必要です。プロセスを可視化して、コ・クリエーター全員が自分たちが一緒に成し遂げたことを見えるようにすることが重要です。また、コ・クリエーションの取り組みを組織内の関係者全員に知らせることも重要です。プロセスを共有することで、さらなる関係者を発掘し、コ・クリエーション・ワークショップに参加してもらうのです。関係者全員にコ・クリエーターとしてプロセスに参加してもらうには、先進的な通信テクノロジーやソーシャル・ネットワーキングが役立つでしょう。

 

 

コ・クリエーションの未来とは?

今後も、ヘルスケアデザインにおけるコ・クリエーションの取り組みは増え続けていくでしょう。事実、Philips社は最近、オランダのアイントホーフェンに初の「HealthSuite Labs Co-creation Center」を開設したと発表しました。Philips社のプレスリリースによると、同センターは、「ヘルスケア専門家や一般開業医が、患者やさまざまな業界のビジネス専門家とチームを組んで、コ・クリエーションを通じて総合的なヘルスケア・ソリューションを構築すること」を目的としています。Philips社は今後も、アメリカやアジアを含む全世界にコ・クリエーション・センターをオープンしていく予定です。

Liz SandersMakeTools 代表

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