BLOG

Oct 14, 2015 09:00 ファシリテーターとしてのデザイナー:新しい役割

最近、デザイナーの役割の変化について盛んに議論されています。デザイナー(あるいはデザインリサーチャー)の新しい役割のひとつとされるのがファシリテーターです。「コ・クリエーションのプロセスにさまざまなステークホルダーを参加させること」に関心が高まる中、コラボレーション、アイディエーション、そして意思決定が求められるグループセッションにおいても、デザインを専門的に学んでいない参加者をサポートする必要が出てきました。

 

ファシリテーターの役割とは?
デザイナーは、新たなユーザーを獲得するためのフォーカスグループやコ・クリエーションワークショップなど、同じ目的を持つグループにおいてファシリテーターとして振る舞うことがあります。しかし、コ・クリエーションへの関心が高まるにつれて、さまざまな分野の参加者が集まって複雑な課題に取り組むグループセッションにおいて、デザイナーがファシリテーションを頼まれることが多くなってきました。異なるバックグラウンドや異なる目標を持つ組織を代表する参加者がいる場合には、特にその傾向があります。こういった場合、ファシリテーションは非常に難しく、ファシリテーターとしての高度な専門技術が要求されます。

ファシリテーターはグループセッションの目的を理解していなくてはいけません。情報やリソースを共有することなのか?コラボレーションすることなのか?何かを決定することなのか?問題を解決することなのか?それとも新しいアイデアを生み出すことなのか?目的ごとに異なるファシリテーションプランが必要ですが、たいていのグループセッションには複数の目的が存在します。経験豊富な進行役が主な目的を達成するためのプランを立てますが、万一に備えて、別のプランも準備しておかなくてはなりません。

 

ファシリテーターに相応しいのは?
組織内の人なら誰でもファシリテーターになれますが、「優れた」ファシリテーターになるためには豊富な経験が必要です。ファシリテーターとグループセッションの参加者との相性も大切です。例えば、年齢や性別について十分に考慮する必要があります。

 

優れたファシリテーターになるために必要な能力やスキルとは?
ファシリテーターの最も重要なスキルは聞き上手であることです。注意深く、そして共感を持って参加者の話を聞くことです。ファシリテーターは、話を聞きながら同時に考えることもできなくてはなりません。参加者に話をさせ共同作業をさせることがその役割だからです。時には沈黙が生まれることもあります。例えば、誰かが何を言おうかと考えていたり、数人で何かの作業をしている時などです。そういう時に無理に話をして沈黙を破る必要はありません。

優れたファシリテーターは、グループセッション用に設けられた時間枠の中で、合意した議題に従って系統立った思考をすることができます。また、議論をリードしたり自分の意見を共有したりしません。ファシリテーターは、ほかの参加者の見解を引き出し、視覚化するためにそこに居るのです。優れたファシリテーターは会話を引き出し、継続させながら同時にコントロールします。
ファシリテーターは、すべての参加者が重要かつユニークな意見を持ってセッションに参加していると、固く信じていなくてはいけません。さらに、優れたファシリテーターはグループのダイナミクスをコントロールし、参加者全員に自分の考えや感じていることを発言する機会を与えることができなくてはなりません。時には、口数の少ない参加者の意見を聞き出す必要もあります。

ファシリテーションのスキルは教科書や講義、Youtubeのビデオから学習することはできません。実践あるのみです。このスキルを習得するには何年もかかります。自分のファシリテーションに自信を持つには場数をこなすしかないのです。自信がなければ、参加者がそれを敏感に察知して、セッション自体がうまくいかなくなるかもしれません。経験を積むには、アシスタントから始めて経験豊富なファシリテーターに成長していく方法があります。

優れたファシリテーターの「その他の条件」とは?
ファシリテーターには、一定の作業を任せられるアシスタントが必要です。アシスタントがいて初めてファシリテーターはグループのニーズをサポートできるのです。アシスタントはメモを取り音声を録音して、セッションの議事録を作成します。アシスタントは、セッションをスケジュール通り順調に進めるためにファシリテーターが必要とするものを、準備します。

グループセッションを開く場所は、参加者を歓迎する雰囲気があり、心地良いこと、そして動き回れる広さがあることが大切です。美味しい食べ物も必要です。歓迎されている雰囲気を作るのは、開催場所の物理的な条件だけではありません。ファシリテーターがセッション参加者を歓迎し、互いに心地良く感じるように仕向けることも重要です。

ファシリテーションを学ぶために役立つリソースは?
私の知っているベストなファシリテーター学習リソースは、Group Works Card Deck(グループ作業カードデック)です。優れたファシリテーターが習得し実践している内容を、100枚のカードに表示しています。このカードはさまざまな組織的バックグラウンドを持つ50人以上のボランティアが、グループセッションを成功に導くための知恵を出し合い、3年以上かけて作成しました(Group Pattern Language Project)。

以下に掲載しているのは、この記事で説明したポイントを表示したカードです。
全カードデックは次のサイトから購入またはダウンロードできます。

http://groupworksdeck.org

 

card_deck.jpg

Liz SandersMakeTools 代表

Search検索

Categoryカテゴリー

過去のExperience Magazine

  • 米国マーケティング最新事情 / 瀧口範子
  • デザインテクノロジーの最前線 / 桐山孝司
  • 「本能」から人間を読み解く / 佐藤武史
  • 注目のクリエーターズボイス